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ビジョン・ミッション・クレドを決めたことで生まれた効果 - キャリア事業部の取り組み事例

法律相談ポータルサイト「弁護士ドットコム」や税務相談ポータルサイト「税理士ドットコム」など各種ポータルサイトを開発・運営する専門家プラットフォーム事業本部では、専門家を対象とした各種サービスを提供しています。今回は、弁護士・パラリーガル・法務人材など専門家に特化したキャリアコンサルティング・転職支援サービス「弁護士ドットコムキャリア」を運営するキャリア事業部での取り組みをご紹介します。

「弁護士ドットコムキャリア」は、2016年に現在のキャリア事業部長・西村さんが立ち上げ、6年目を迎える事業です。当初は西村さん一人で、採用ニーズのある法律事務所、企業を中心にヒアリングを行い、移籍希望の弁護士に対してコンサルティングを行っていましたが、現在では西村さん以外に6人のコンサルタントが在籍する組織へと成長しました。

今後、より強固な組織へと目指すために、キャリア事業部では先日、ビジョン・ミッション・クレドを策定しました。キャリア事業部一丸となって取り組んだビジョン・ミッション・クレドの策定について、なぜ今策定することにしたのか、どのようにして検討を進めたのか、策定したことで何が変わったのか、西村さんと、クレド策定を主導したメンバーの菰田さん・船木さんにお話を聞きました。

【Profile】
専門家プラットフォーム事業本部 キャリア事業部長
西村 英貴(Nishimura Hidetaka)

株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア)、株式会社リクルートエージェント(現リクルート)を経て、2016年弁護士ドットコムに入社。専門家特化型採用支援事業である「弁護士ドットコムキャリア」を立ち上げ。20年弱、一貫して「ヒトのキャリア」と「組織の採用」に関わる。これまで、5,000名超のキャリアコンサルティングを実施。

専門家プラットフォーム事業本部 キャリア事業部 第2エージェントチーム
菰田 有花莉(Komoda Yukari)

東証一部上場の金融機関にて法人および富裕層向けのコンサルティング営業に従事。リレーション構築力を武器として結果を残し、新人教育・指導も経験。顧客との情報交換や新人教育を通じて『キャリア』『人材』への大きな課題を感じ、エグゼクティブ領域の転職エージェントへ転身。求職者と採用企業の橋渡し役の経験を活かし、2020年弁護士ドットコムに入社。

専門家プラットフォーム事業本部 キャリア事業部 第1エージェントチーム
船木 博光(Funaki Hiromitsu)

新卒で東証一部上場メーカーに入社しMRを経験した後、スタートアップ支援ブティック系経営コンサルティング企業に転職。シード〜アーリー期の経営者に対するコンサルティング営業や新規事業立ち上げ支援に従事後、独立。製薬業界での転職・採用支援や企業の人材育成支援を行う。2021年弁護士ドットコムに入社。現在は企業の法務/弁護士事務所双方の支援に強みを持つ。

ビジョン・ミッション・クレドの策定に向けて

ーー まずは、ビジョン・ミッション・クレドを策定しようと思った背景を教えてください。

西村:メンバーが増え組織が拡大していく中で、確かに人数は増えているもののの、いつまでたっても「結局は自分の事業」という感覚がなくならないことに危機感を覚えたのがきっかけです。私たちはエージェント業なので、個々人が良い意味で独立して活動を行っています。人数が少ない時は、メンバー全員と密にコミュニケーションを行うことができますが、事業が成長するにつれ、これまでと同じようなコミュニケーションは難しくなります。今後さらに組織が拡大していくことを見据えて、9月に新入社員が入社することをきっかけに、今後お迎えするメンバーにとっても「共通言語となる指標があるといいかもしれない」と考え、夏くらいからキャリア事業部としてのビジョン・ミッションを考え始めました。

また、個人的な想いもありました。2016年に「弁護士ドットコムキャリア」を立ち上げてから、キャリア事業は新規事業の部門に位置付けられたり、「弁護士ドットコム」の部門に位置付けられたり、転々としている組織でした。それがこの4月から専門家プラットフォーム事業本部の中に位置付けられることになり、私としてはこのタイミングできちんと存在意義を定義しておきたかったんです。

ーー どのように検討を進められたのでしょうか?

西村:まずは私の方でビジョン・ミッションを考えることから始めました。これまでは弁護士向け支援のイメージが強いサービスでしたが、専門家プラットフォーム事業本部として「専門家」軸で考えると、それは弁護士に限らないなと。では、専門家の対象はどこまで含まれるのか、法務や人事、司法書士や税理士など、専門家の対象をまず洗い直しました。

また、この会社においてのHR事業として、何を実現したいのかを考えた時に、当社の経営理念である「専門家をもっと身近に」の前に、専門家が活躍できる社会でないといけないなと。むちゃくちゃ頭をひねりまくったというわけではなく、「こうありたい」とすっとイメージが浮かび、「専門家がより活躍できる社会を実現する」というビジョンを設定しました。

「ビジョン=目指す世界」と捉え、次に「ミッション=ビジョンを実現するために我々が成し遂げること」を考えました。私個人としては、キャリアコンサルタントとしても活動をしているのですが、定期的に指導いただいている先生の著書(松岡保昌『人間心理を徹底的に考え抜いた 「強い会社」に変わる仕組み』)に「社外規範」と「社内規範」を設定している会社は強いという内容があり、それがずっと心に残っていて、ミッションにはその両方を定めました。

クレド(キャリア事業に携わるメンバーに大切にしてもらいたいこと)については当初、私の方で5つ素案を考えましたが、上から一方的に決められたものを落とされても自分自身も腹落ちしないなと思い、メンバーにビジョン・ミッションを伝えると同時に、クレドはメンバー間で話し合って決めてもらうよう伝えました。ベテラン社員ではなく、社歴の浅いメンバーにリードしてもらいたいと思い、菰田さんと船木さんに主導してもらうことにしました。クレドが決まるまでの過程は私は一切関与せず、10月頭に二人から決まった内容を伝えられました。

【西村さんが考えたクレドの素案】
1. プロフェッショナリズム
2. 顧客志向
3. 当事者意識
4. スピード
5. 変化
キャリア事業部長の西村さん

クレドの検討から策定まで

手順①メンバーが大切にしていることを可視化する

ーー クレドの検討過程について、順を追って教えてください。

菰田:8月27日のキャリア事業部の定例ミーティングで西村さんからビジョン・ミッションの発表があり、そこで船木さんと私がクレド策定を主導してほしいと依頼を受けました。最初に西村さんの方で考えられたクレドの素案もいただいたのですが、どう思うか聞かれ、「本当にこれだけなのか?もっと他の観点もあるのではないか?」と少し生意気な発言をしていたかもしれません(笑)。

船木:それは自分も一緒です(笑)。西村さんから発表された後に「感想は?」と聞かれ、「自分勝手な話かもしれないけれど、チームとしての要素が欲しい」ということを伝えました。自分の場合は、なぜ弁護士ドットコムに入社したのかという理由にも結びつくところがあったからです。

私は弁護士ドットコムに入社する前は、個人事業主で一人で仕事をすることが多かったんです。今回、事業会社に戻る理由の一つが、チームとしてみんなで目標を達成しながら大きなことを成し遂げたいという思いがあったので、クレドにはチームワークの観点を入れたいなと思いました。

菰田:私もチームの要素がないなと感じました。今いるメンバーは全員が中途入社で、バックグラウンドは人それぞれ。仕事の進め方や常識、判断の物差しが異なるため、チームとして共通の意識を持っていないと、職人同士の集まりになってしまいそうだなと感じていました。

船木:「まずはメンバーからの意見出しが必要だよね」と菰田さんと話し、菰田さんがスプレッドシートでフォーマットを用意してくれました。当初は9月10日にクレドをまとめるスケジュールを想定し、9月1日までを期限に、

  • エージェントとして譲れないポイント、一緒に働くメンバーに絶対に伝えておきたいこと
  • 反対にエージェントとしてやって欲しくないこと、こういったエージェントにはなって欲しくないこと

の2点に関する各コンサルタントの行動基準について、最低5個〜最高10個まで箇条書きで書き込んでもらうよう各メンバーにお願いしました。その内容をふまえて、9月2日にメンバー一同でミーティングを実施。当初はすんなりとまとまるだろうだと思っていたんですが、これがものすごく白熱して(笑)。

菰田:コンサルタント向けのクレド策定ではありましたが、ミーティングには日頃からキャリア事業部に携わってくださっているマーケティングのメンバーにもオブザーバーとして参加してもらいました。

船木:メンバーが一人ずつ発表をしていく中で、「間違っている」とか「正しい」というような指摘ではなく、活発に意見交換がなされ、当初予定していた1時間では収まらないほど議論が白熱しました。これは1回みんなの意見を出し切った上で集約する必要があるなと思い、「当初予定していた9月10日の提出期限にはまとめきれそうにないよね」という話を菰田さんとして、菰田さんから西村さんにクレドの提出期限の調整をしてもらいました。

手順②メンバーの意見を集約する

菰田:白熱したミーティング後に、「一旦船木さんと私の方で集約してから、再度メンバーと議論しよう」という話になり、まずはオンラインでミーティングを行ったのですが、議論しつつメモしながら考えをまとめるのがなかなか大変で…。結局、後日オフィスに集まって意見集約とカテゴライズの作業を行いました。

船木:西村さんから素案としていただいたクレドは「プロフェッショナリズム」「顧客志向」「当事者意識」「スピード」「変化」の5項目だったのですが、メンバーから出た意見を集約しカテゴライズしてみると、西村さんの素案以外にも「シナジー・相乗効果・組織・チーム」や「コンプライアンス」などの項目に分類されるような内容も出てきました。また、ほとんどのメンバーから「チーム」や「組織」など、「自分」や「顧客」だけではなく「自分たち」に向けられた内容も含まれていたことが印象的でした。

この集約した内容からどのようにクレド化するのか、「複数パターンがあった方がみんなで話し合った時に検討しやすいのではないか」と菰田さんと話し合い、クレドが「3つパターン」「5つパターン」「7つパターン」の3つのプランを考えました。

  • 3つパターン:「プロフェッショナリズム」「顧客志向」「シナジー・相乗効果」
  • 5つパターン:「プロフェッショナリズム」「顧客志向」「シナジー・相乗効果」「当事者意識」「スピード」
  • 7つパターン:「プロフェッショナリズム」「顧客志向」「シナジー・相乗効果」「当事者意識」「スピード」「変化」「コンプライアンス」

菰田:船木さんとまとめたこの3つのプランを改めてミーティングでメンバーに提案しました。また議論が活発にされるかなと想定していましたが、そこまで議論が白熱することはなく、すんなり「3つパターン」で着地しました。

船木:理由としては、数が少なくてみんなが覚えやすいというのと、「プロフェッショナル=自分に向けて」「顧客志向=顧客に向けて」「シナジー・相乗効果=組織に向けて」という観点が明確で、クレドの説明を求められた時にも説明しやすいといった利点もありました。

菰田:パターンはすんなり決まったのですが、「シナジー・相乗効果」というタイトルは「本当にこれで適切なのか?」という議論がありました。もっと一言で言い表せる表現が他にあるのではないかと。「タイトルを聞いて、新入社員がすぐに理解できるような表現がいいよね」となり、9月に入社したばかりの水本さんを交えて、改めて表現の検討を行うことにしました。

手順③適切な表現を検討する

船木:9月28日に菰田さん・水本さん・私の3人でオフィスでミーティングを実施しました。クレドのタイトルと補足する説明文について議論したのですが、「シナジー・相乗効果」に代わるタイトルを決めるだけで、1時間半はかかりました(笑)。

菰田さんと私で「プロフェッショナリズム」「顧客志向」の説明文、「シナジー・相乗効果」に代わるタイトルと説明文を持ち寄り、1タイトルずつ水本さんにプレゼンするという形式で3回戦勝負のように行いました。判断基準となるように評価軸(わかりやすいか・キャリア事業部らしいかなど)を設定して、水本さんには評価軸ごとに点数をつけてもらいました。

菰田:結局、船木さんと私の方で持ち寄った「シナジー・相乗効果」に代わるタイトルはボツになったんですよね(笑)。船木さんは「プロ集団」、私は「専門家キャリア支援の最大化」というタイトルを考えてきたんですが、いずれも水本さんがピンとこず…。3人でディスカッションしていろいろな案を出し合った結果、「組織力」というワードにたどりつきました。

船木:もう「これだー!」ってなりましたね(笑)。

菰田:その後は、3つのタイトルに対する説明文について、また「3行」「2行」「箇条書き」の3つのパターンを用意して提案しようという話になりました。結局、作成していく中で、箇条書きだと行間を読む必要も出てくるので、「特に新入社員だと初めて見た時によくわからないよね」という話になり、メンバーへの提案は「3行」「2行」の2案で提案することになりました。

船木:まとめた内容はSlackでメンバーに提案しました。元々「3行」の説明文だと長いのではないかといった話が出ていたこともあり、「2行」で落ち着くことに。最後は、10月4日のキャリア事業部の定例の場で、西村さん含めキャリア事業部の皆さんにまとめた内容を発表しました。

ーー クレド策定までを振り返ってみて、どうですか?

船木:とても良い思い出です。メンバーそれぞれの顧客に向き合うスタンスや仕事の取り組み方を知ることができ、非常に良い機会になりました。みんな同じコンサルタントとして働いていますが、その中でもそれぞれが何を大事にして取り組んでいるのかを知ることによって、自分にはない観点に気づくきっかけにもなりました。マーケティングのメンバーの意見や考えを知ることができたこともよかったです。

菰田:やり切った感がありますね。決まった内容についてはもちろんですが、決めるまでの過程をメンバーで会話できたことに一番価値があったように思います。それぞれの考え方も知れましたし、どうして自分が組織やチームにこだわっているのかも、自問して整理することができました。このクレドは、事業に関わるメンバーが大事にしていることを集約してできあがったものだと思っています。キャリア事業部は、色々な部分ででき上がっていないこともあるのですが、そんな今こそ、基礎になる部分の想いをつくれたことがすごく良かったです。

キャリア事業部の菰田さん(写真右)と船木さん(写真左)

策定したことによる変化

ーー クレドを決めてから、何か変化はありましたか?

船木:いくつかの観点で自身の変化を感じています。対顧客という観点では、「本当にしっかり支援してもらえるの?」と不安を抱かれている顧客に対して、「私たちにはクレドがあり、その中の一つに顧客志向を掲げているので、しっかり支援することをお約束します」と伝えています。先日、他のメンバーがそのようにお伝えした顧客からは、「私たちの会社でも顧客志向ということを明文化していて、一緒ですね」と盛り上がることもありました。

対組織という観点では、対個人・対顧客に対する考え方について、チームの共通認識が取れている状態になったので、今後自分たちがメンバー育成を担当することになっても、何を大事にして、逆にどんな風にはなってほしくないのかといったことを、今のマネージャー・リーダーと同じ目線で支援できそうだなと感じています。

また、自分自身に対しても、仕事をしている中で迷いが生じた時に「これは自分本意ではなく、顧客本意で考えた結論なのか?」と振り返るようになり、自身の拠り所にもなっています。チームへの共有も意識するようにもなりました。

このクレドの内容は、作成したから新しく取り組んでいくものではなく、チームに元々あったものを表現したものだと感じています。より見える化したからこそ「しっかりやらないと」と思えるようになりました。

菰田:全員の指標となるものをつくったので、例えば新しい社員が入った際など、どう伝えればよいのか、きちんと対応できるような気がしています。クレドがないと自分だけの経験に即した我流になってしまいますが、クレドがあるので自分が伝えることはメンバーの共通認識だと自信を持てます。そして、それを受け取った新入社員も同じように伝えていってくれるはずなので、未来につながる活動がしやすくなった気がします。

業務面で感じている変化としては、例えば商談する際など「自分は事業部の代表として対応しているんだ」という気持ちで、「他のコンサルタントだったらこれが聞きたいんだろうな」という目線も持ち合わせて遂行するようになりましたね。

船木:9月の期末というタイミングで、業務と並行してまとめていくのは大変でしたが、本当に取り組んで良かったと思っています。菰田さんとは打ち上げもしました(笑)。

ーー 西村さんは、メンバーの変化をどう感じられていますか?

西村:明らかに、メンバーの発言内容が変わったと感じています。以前は業績報告の要素が強かったですが、クレドができた後は「伝えよう」「共有しよう」というスタンスでみんな話してくれています。また、以前は私が発案したことをみんなに取り組んでもらうというスタイルでしたが、「ナレッジ共有を目的としたプロジェクトをやろうと思う」など、メンバー自らの意思に基づいた発案があり、動き方が変わってきました。

私自身は、当事者意識を持った強い個の集団が最強の組織であるという考え方で、それは今も変わってはいないのですが、もはやこの事業は私のものではなく、メンバー含めて一緒に頑張っている仲間のものなんだと感じられるようになりました。今回、メンバーは個だけでなく、チームとしての目線も重視したいという意思表示の結果、クレドには「組織力」が盛り込まれていました。それをみんなが実際に体現してくれていることは、すごく良かったなと思っています。

ーー 今後の意気込みをお願いします。

西村:弁護士ドットコムは専門家ビジネスの会社であり、キャリア事業部はその組織の一員です。今回定めたビジョン・ミッション・クレドを大切にしながら、自分たちは専門家のキャリアに向き合う専門家として、今後より一層成長していきたいと考えています。

<まとめ>ビジョン・ミッション・クレドを定めることで生まれた効果

  • 組織の中での存在意義を整理できた
  • メンバー主導で考えることによって、メンバーが納得する行動指針をつくれた
  • 策定過程でメンバーが議論することにより、メンバー間の相互理解が生まれた
  • 明文化することによって、自分の行動に自信を持つことができた
  • 個々人が主体的な動き方に変わった
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