一次面接を終えたあと、手元に何が残っているでしょうか。
私たちが採用担当の方から聞くのは、だいたい次の3つです。面接官によって判断が割れる。落とした理由が残らない。去年の候補者と比べられない。
どれも「面接をしなかったから」ではなく、面接の前に基準を決めていなかったから起きています。
そして基準づくりは、思われているほど大仕事ではありません。1職種ぶんなら30分で形になります。この記事では、その手順のうち、いちばん効くところだけを書きます。
求める人物像から始めると、手が止まります
最初にやることは、求める人物像を言葉にすることではありません。いま社内で成果を出している人が、実際にやっている行動を3つ書き出すことです。
頭の中にあることではなく、外から見えたことを書きます。
- 「積極性がある」→ 手が空いたときに、自分から次の作業を見つけて動く
- 「コミュニケーション力が高い」→ 相手が新人か常連かで、話す速さと言葉を変える
- 「責任感がある」→ ミスに気づいた時点で、隠さずその場で報告する
左側は評価できません。人によって思い浮かべる場面が違うからです。右側なら、面接で「そういう場面があったか」を聞けます。
この3つに短い名前をつけると、それがそのまま評価の軸になります。社内で通じる言葉のままで構いません。一般的な言葉に直そうとすると、また左側に戻ります。
軸は3つに絞ってください。4つ以上あると面接の時間内に確認しきれず、確認できなかった軸は結局その場の印象で埋まります。点数がついているぶん、基準が無いときより悪くなります。
5段階は、まず3つだけ書く
次に、軸ごとの目安を書きます。ここでよく止まるのですが、5段階すべてを埋めようとしないでください。先に 1・3・5 の3つだけ書くほうが、早く、ぶれません。
1 は「その行動が見られない状態」で、ここに当てはまるなら見送る、という下限。3 は標準。5 は、いま社内で成果を出している方の水準です。
このとき、「しっかりしている」「感じがよい」「地頭がよい」は使えません。これらが測っているのは候補者ではなく、面接官の好みです。書き換えられない項目は、評価軸から外したほうが早いです。
2 と 4 は、面接を何回か行ってから「1 と 3 の間」「3 と 5 の間」として埋めれば足ります。
合計点で決めない
最後に合否の線を引きます。ここで一つだけ、実務で効く注意があります。
3軸の合計点で決めないでください。合計にすると、ある軸が 1 でも、他の2軸が高ければ通ってしまいます。その 1 が「ミスをその場で申告する」だった場合、あとで困るのはその軸です。
軸ごとの下限で決めます。3軸すべてが 3 以上なら合格。3 未満の軸が1つなら保留。2つ以上、または 1 の軸があれば不合格。
保留を必ず用意してください。合格と不合格しかないと、迷ったときに「とりあえず通す」か「とりあえず落とす」のどちらかに寄ります。保留があると、何を確認すれば決まるのかが言葉になります。
基準を書き出しておくと、10月からの備えにもなります
2026年10月1日から、求職者等に対するセクシュアルハラスメントの防止措置が事業主の義務になります。求められる措置の最初の1つが、方針の明確化と周知です。
何を聞くかが先に決まっていれば、面接官がその場の判断で質問を作る場面が減ります。基準づくりは、選考の精度を上げるためだけの作業ではありません。
この法改正については、別の記事にまとめています。
資料にまとめました
ここまでが手順の一部です。全体は17ページの資料にまとめていて、5つのステップの全文、記入例2種類(アルバイト/中途)、そのまま印刷して使える記入式のワークシートが入っています。評価してよいこと・してはいけないこと(就職差別の14事項)も、面接の言葉に置き換えた形で載せています。
資料は無料でお送りしていますので、下記のページからご請求ください。
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