こんにちは。株式会社Unyteの上泉です。
僕たちが何を作ろうとしているのか=事業のビジョンそのものについて書きます。
きっかけは、ある面談でした。先方に「Unyteって結局何を作ってるんですか?」と聞かれて、僕はこう答えました。
「信用の食べログです。」
飲食店を選ぶとき、食べログを見ますよね。星の数、口コミの文面、写真。それだけでお店を選べる。
じゃあ、人はどうでしょう?
一緒に仕事をしたことがない相手を「信頼できる」と判断する材料が、学歴、職歴、面接の印象など...驚くほど少ないんです。しかもそれらは全部自己申告。
僕たちが作ろうとしているのは、何をしてきたか、どんな貢献をしたかが改ざんできない形で蓄積され、必要なときに必要な相手にだけ開示できる仕組みです。ステーブルコインで報酬が流れ、AIが貢献を評価し、ブロックチェーンがそれを刻む。
この記事では、なぜこの仕組みが今こそ必要なのか、そしてどうやって実現していくのかを書いてみます。
今の「信用」は氷山の一角に過ぎない
まず、現状の問題意識から話します。今の評価制度って、ぶっちゃけると「賢い人がいい思いをする」構造なんですよね。学歴、資格、言語化能力が高い人が有利。地道にアシストした人、目立たないけど本質的な貢献をした人は評価されにくい。
サッカーで言えば、ゴールを決めた人だけが評価されて、決定的なパスを出した人は忘れられる。そんな状態です。
企業の評価制度も現実はなかなか厳しくて:
- 大企業: 莫大なコストをかけて設計・運用して、やっと「まあまあ」の精度
- 中小・スタートアップ: テンプレ通りに作って形骸化。その会社のカルチャーに合わない仕組みになっている
- そもそも: 評価指標の設計自体が専門知識を要する作業で、ほとんどの組織でまともにできていない
これ、構造的な問題なんです。評価制度を「ちゃんと」作るのが難しすぎる。
僕たちの原点は、「いい人がいい思いをする」社会にしたいというシンプルな想いです。賢い人でも、声が大きい人でもなく、地道にいい仕事をしている人がちゃんと報われる。そのために必要なのが「信用のインフラ」だと考えています。
「信用の食べログ」ってどんな世界?
食べログが飲食店にやったことを、人の信用に対してやる。
具体的にはこういうイメージです。一人ひとりがウォレットを持って、そこに貢献情報が蓄積されていく。求職時、投資を受けるとき、新しいプロジェクトに参加するとき——必要な相手に必要な情報だけを開示できる(選択的開示)。検証は全世界の誰でもできる共通のデータ基盤(ブロックチェーン)で行う。
最終的には「PayPayのようなアプリで起業も投資もできる」世界線を目指しています。決済・貸借・投資・貢献履歴の証明が一つのプラットフォームでできる。ステーブルコイン版PayPayのようなインターフェースで、誰でも使える。
壮大すぎるように聞こえるかもしれませんが、一つひとつのピースは既存の技術で実現可能なものばかりです。
なぜオンチェーンでなければならないのか
ここでよく聞かれるのが、「それ、普通のデータベースでよくない?」という質問です。
web3の領域で3年やってきて、ここだけは確信を持って言えます。信用のインフラはオンチェーンでなければならない。理由は3つです。
1. 改ざん不能性:自己申告ではない「証明された貢献」
現状の履歴書や職務経歴書は自己申告です。詐称も可能。実際、経歴詐称が発覚して問題になるケースは後を絶ちません。
オンチェーンに刻まれた情報は改ざんできません。第三者が検証可能。「この人はこのプロジェクトでこういう貢献をした」という情報が、誰でも確認できる形で残る。
2. 組織を跨いだ可搬性:退職しても消えない信用
これが一番大きいかもしれません。今の評価情報って、「その会社の中」で閉じているんですよね。3年間いい仕事をしても、退職したら評価はリセット。転職先ではまたゼロから証明し直し。
オンチェーンなら、どの組織にいても持ち運べる「ポータブルな信用」になります。会社が変わっても、国が変わっても、自分の信用は自分のウォレットに残る。
3. AIとの相性:評価の自動化と公平性
ここが僕たちが特に注力している部分です。
- AIが評価指標を組織ごとにカスタマイズして自動生成
- Slack、Zoom、業務ツールからの貢献データを自動収集
- 人間のバイアスを排除した評価がオンチェーンに記録される
前回までの記事で書いたAI活用の延長線上にある話なんです。業務データの収集・分析をAIで自動化 → その結果をオンチェーンで証明 → 信用として蓄積。この流れが一本につながります。
なぜ今、ステーブルコインなのか
「信用」の話だけだと、ちょっと抽象的ですよね。でも、信用が最も試されるのって金銭が絡む場面なんです。投資、融資、企業間取引。「信用の食べログ」が本当に機能するためには、その信用情報を元に実際のお金が動く仕組みが不可欠です。
そこでステーブルコインです。ステーブルコインが解決する課題は大きく3つあります。
「独自トークンじゃダメなの?」ともよく聞かれるんですが、正直なところ、独自トークンのエコシステム構築は微妙です。ユーザーの本音は結局「日本円に換えたい」なんですよね。ステーブルコインなら価値の変動リスクなく、法定通貨と同じ感覚で使える。ユーザーにとってのハードルが圧倒的に低いです。
AI時代だからこそ、「信用」の価値が爆上がりする
最後に、なぜ「今」なのかという話をします。
AIが生成物を大量に作る時代になりました。成果物の真贋証明、生成者の紐づけ、貢献の証明と貢献度の可視化など、「誰が何をしたか」の証明がこれまで以上に不可欠になっています。
そしてAIが仕事を代替していく中で、「人の信用」こそが最後の差別化要因になると僕は思っています。
スキルはAIで代替可能です。でも「この人と一緒に仕事がしたい」という感覚は代替できない。その「一緒に仕事がしたい」を客観的に証明できる仕組みがあれば。
信用のインフラを作る者が、AI時代のプラットフォーマーになる。これが僕たちの確信です。
おわりに
「いい人がいい思いをする」。
シンプルだけど、今の社会ではまだ実現できていないことです。賢い人、声が大きい人、要領がいい人がいい思いをしている。
僕たちは、テクノロジーでその構造をひっくり返したいと思っています。AIが公平に評価し、ブロックチェーンがそれを証明し、ステーブルコインで正当な報酬が届く。そんな仕組みを、一つずつ作っています。業務の自動化も、Notion連携も、カスタムスキルも、全部この「信用のインフラ」を作るための手段なんです。
まだ道半ばですが、確実に近づいています。
この記事を読んで「それ、面白いね」と思ってくれた方がいたら、ぜひ一緒にやりましょう。まずは気軽に話を聞いてみたい方も、実際にどのようにして仕組みを構築しているのか興味がある方も、大歓迎です。
ここまでお読みいただきありがとうございました!