こんにちは。LI ホールディングス代表取締役の山口稜です。
LI ホールディングスは介護事業所を連続的に経営統合・経営再建することで、地域に必要とされながら続けられなくなる介護を引き継ぎ、持続可能な仕組みに再生する会社です。
LIホールディングスの創業から3年半が経過し、これまで約40の介護事業所をM&Aして経営再建に取り組み、年商40億円規模まで成長してきました。この記事では改めて、なぜ私たちが介護領域で事業に取り組むのか、その意義と目的について書いていきたいと思います。
![]()
山口稜 | Ryo Yamaguchi
東京外国語大学中国語専攻卒。2016年に丸紅株式会社に入社。中国駐在を経験し、輸出入業務を中心に国際貿易・事業運営に従事。2022年株式会社リブインを設立し代表取締役に就任。介護事業所のM&AおよびPMI(買収後統合)を主導し、事業成長と組織基盤の強化を推進している。同年、株式会社LIホールディングスを設立し代表取締役に就任。グループ経営体制の構築と事業戦略の立案・実行を担う。
「介護とは人生の最終章を納得できるものにするための仕事」
私は介護とは「人生の最終章を納得できるものにするための仕事」だと考えています。思い返すと、私がそう思うようになったのは、大学生の頃に大叔父が闘病の末亡くなったのがきっかけでした。
彼は国家公務員として真面目に働き通し、定年後はゆっくり旅行でもしようか、と夫婦で話していた矢先にすい臓がんを患いました。治る見込みはほとんどない状態でしたが、それでも本人はあくまで寛解を目指し、家族と励まし合いながら闘病を続け、惜しまれながら60代半ばでこの世を去りました。
癌の末期は痛みも伴うため、緩和ケアを受けるのではなく最期まで諦めずに闘病を続けるのは、とてもつらい道のりだったと思います。けれど、家族のために最後まで戦うという尊厳と決意の中で生き抜いたこと──それが大叔父にとって納得のいくあり方だったのだと思います。
正直、自分が同じ状況だったら緩和ケアを受けると思います。しかし、彼は覚悟を持って闘病し、納得できる最期を選びました。終末期を迎えるにあたっても、最後の数年の過ごし方にはその人のこれまでの人生や価値観が色濃くでるのだとその時感じたのを覚えています。
実際には、現実の制約によってできること、できないことがありますが、できるだけ本人の意思を尊重して叶えられる社会環境がある方がより豊かなのではないかと思っていて、できるだけその人にとって納得のできる選択肢を選び続けられる環境を作りたいと思う今の価値観に繋がっています。
大半の人が闘病の末に最期は病院で亡くなるのが現実ですが、病院よりも慣れ親しんだ自宅でできるだけ長い時間を過ごせるようにしたり、創業初期は中間の選択肢として終末期ケアができるホスピス、ナーシングホームを立ち上げることに力を入れていました。
そこから事業は発展し、いまではサービス形態に関わらず介護事業全般を通じて「人生の最終章を納得できるものにする」ことに取り組んでいます。
介護の現場は崩壊寸前。経営統合による運営の効率化が求められる時代に
![]()
しかし、世の中全体で見れば介護の現場は崩壊寸前です。少子高齢化を背景に介護の需要は2040年をピークに増え続けると言われており、要介護・要支援認定者の数は990万人にも上ると推計されている一方で全国では122万人もの介護人材が不足すると推計しています。
日本の介護の仕組みは2000年に介護保険法が施行されて以後、急速に整えられてきました。ほとんど仕組みがない所から急ピッチで介護サービスの担い手を増やすために零細の参入を歓迎してきた結果、介護サービスの担い手は圧倒的に小規模分散しており、業界大手上位10社による市場シェアを合わせてもわずか8%前後に過ぎません。
しかし、もはや小規模事業所単独では経営が成立しなくなってきており、2025年度の決算における赤字事業所の数はなんと37.5%にものぼり、介護事業者の倒産は2025年で176件。前年から2.3%増え、2年連続で過去最多を更新しています。原因の約8割が売上不振。休廃業・解散は653件、これも4年連続で過去最多です。
こうした市場構造から、厚労省は1法人1拠点のような小規模経営について、協働化・大規模化等による経営改善が必要と示唆しており、経営統合による効率的な運営が求められるようになってきました。
健全な事業所運営には「算盤」も重要
![]()
私自身、これまで何十件もM&Aを手がけてきました。オーナーが法人や事業を手放すパターンは大きく2つあります。
一つは後継者の問題です。前述のように2000年代初頭、介護保険制度が広まる中で起業し、施設を立ち上げた当時30代・40代だった人たちが、それから25年ほど経って60歳を過ぎている。ところが継いでくれる後継者がいない。だから「売ります」というケースです。
もう一つは経営難です。一時期介護は「儲かる」とされ、その収益をあてに進出してきた会社も多くありました。ただ、甘い見通しで入った結果、収益的に立ち行かなくなる。
介護事業の経営者は理念、思いを持って取り組まれている反面、経営に疎く数字に弱いことが多い印象です。利用者が減ったときに、どこに原因があるのかを分解してアタックする、施設の魅力を考えて打ち出す、数字を因数分解して収益を改善する。私は介護事業を持続可能な形で経営していくためには、「論語と算盤」の「算盤」も重要だと考えています。
経営再建で黒字化を達成し、給与アップを実現。持続可能な経営へ
![]()
例えば、当社が事業を引き継いで経営再建した一例をご紹介します。そこは月商2500万円ほどの施設で、毎月営業赤字が続いていました。稼働率はもともとそれなりにあったので、稼働を上げること自体のインパクトは大きくない。問題を紐解いていくと、本当の問題は経費の作り方でした。経営側に「どの経費をいくらまで使うか」「無駄をどう削るか」という視点がほとんどなかったのです。
そこでまず経費に手を入れ、100人弱の規模の施設で、グループ入りから3か月で不要な経費を約300万円削減しました。特筆すべきなのは、給与やイベント費含めて施設運営の質を維持するために必要な経費に関しては一切手を入れていないということです。
これにより売上はほぼ変わっていないのに、営業利益を早期に黒字へ乗せることができました。そして嬉しいことにこの黒字化によって、現場で働くスタッフの賃上げを実現することができたのです。
このように経営を再建していった結果、辞めると言っていた職員がポジティブに踏みとどまってくれたり、涙ながらに職員から感謝された現場もあります。
人とお金をどう配分すれば、いいケアを続けながら持続的な経営をつくれるか。それこそがこの事業の醍醐味であり、取り組みがいがある部分だと感じています。
AI活用によって更なる効率化を目指す
![]()
介護事業の健全な経営を目指すうえで、私が大きな可能性を感じているのがAIの活用です。介護というと、人が人を直接ケアする仕事なので、一見、AIを活かしにくい領域に見えるかもしれません。けれど実は、その裏側には大量の書類仕事があります。
提供したサービスを利用者や国に請求する事務もありますし、何より介護は、利用者一人ひとりの状況に応じて「どんなケアを提供するか」という計画書を作り、それに基づいてサービスを実施し、記録を取り、その記録を振り返って次のサイクルの計画を立てる──とにかく記録が多い仕事です。こうした領域は、過去に積み上げてきた計画や記録の蓄積があれば、AIによる省力化がかなり効くところなのです。
実際、ケアプランの作成や記録の入力や振り返りなどのオペレーションの中で、一部実験的にAI活用を始めているところがあり、すでに手応えを感じています。今後は専任のAIエンジニアを採用し、本腰を入れて業務の効率化に取り組んでいきたいと考えているほどです。
私自ら社内のAI活用の推進役を買って出ていて、ClaudeCodeを活用して社内の自動化可能なタスクを自動化してみせたり、Claudeのビジネスライセンスを法人契約して希望者全員に付与し、生産性向上を積極的に推進しています。
こうした、これまでになかった技術を活用しながら、迫りくる人材不足を乗り越えていくことになると思います。当社は、介護事業所を運営するオペレーターである立場を最大限に活かし、AIを現場に実装することにもチャレンジしていきます。
地域に根ざした介護を未来に繋ぐ仕事
![]()
理由はどうあれ、一つの事業所が廃業すれば、当然通っていた高齢者は別の場所を探さなければならず、従業員も別の働き口を探さなければなりません。
それだけではありません。きちんとやっていた施設ほど、従業員にとっては思い出と愛着の詰まった場所であり、高齢者にとっては自分の人生における一つの「居場所」になっています。だから、同じタイプの施設に移ればいい、という単純な話ではないのです。実際、当社の従業員にも「この施設にすごく愛着がある」という人は少なくありません。
真面目に働き、楽しく通っていたら、ある日突然「廃業です」と告げられ、別の場所へ行かなければならなくなる。いい施設ほど、経営とは別の次元でケアの質を高く保っています。それが急に失われるのは、本当にもったいないことです。
私たちの取り組みはそうした「地域に根ざした介護」を持続可能な形に再建し、未来に繋ぐ役割を担っていると信じています。
介護業界の未来を作る仲間を募集中です
LIホールディングスでは非常に速いペースでM&Aをおこない、連続的に経営再建に取り組んでいます。結果的に、介護事業参入からわずか3年超でホールディングス全体で運営する事業所数は50超に増え、年商は50億円規模に成長し、すでに黒字化も実現しています。
このペースでの事業成長は到底私一人で実現できるものではなく、一緒に取り組んでくれる優秀なメンバーがいてこそのものです。
当社では「事業推進」という職種のメンバーが、M&Aした介護事業所のPMIに伴走し、経営再建をリードしています。
経営再建の大きな方向性は私も含めた経営陣とすり合わせしながら決めていきますが、その方向性を達成するための目標設定、課題がどこにあるかの見極め、どうすれば解決するかの仮説立案、それを戦略として組み立てて実行に移すところはご自身で大きな裁量を持って進めていただくことができます。
社会性の高い仕事に情熱を燃やして働きたい方を求む
私は新卒で大手企業に入り、会社からいろいろなチャンスをもらって多くの仕事をしてきました。けれど、心から熱中して、真剣に取り組むという気持ちには、なかなかなれませんでした。自分のしている仕事が生み出している価値をうまく測れなかったり、別の人がやっても同じ結果になるのではないか、という思いが拭えなかったのです。どうせ働くなら、自分の情熱を捧げるに値する、意義のある事業に取り組みたい。そう思った結果、いま私はこの介護事業にいます。
介護そのもの、介護を取り巻く状況、その中での私たちの取り組み、どれをとっても大きな意義があり、一生をかけて情熱を捧げるだけの価値があるものだと思っています。
その取り組みは、直接人の豊かな人生につながっていく。どうせ仕事をするなら一生懸命やりたいと思える人には、ぜひうちで一緒に頑張る仲間になってほしいです。
ご応募お待ちしています。