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メディア事業推進部が何をやっているか聞いてきた

マネーフォワードの中の人を知ってもらうため、マネーフォワードの各部署にインタビューをするこの企画。今回は、くらしの経済メディア『MONEY PLUS』の開発・運営を担っているメディア事業推進部メディア開発グループへのインタビューです。

語り手

永山 忠義 (MONEY PLUS 編集長)
出版社、IT企業等を経て、2016年4月にマネーフォワード入社。

樫本 倫子 (MONEY PLUS 編集者)
日経ホーム出版社(現・日経BP社)にて、編集記者として月刊誌を担当。その後、Webメディア企業を経て、2017年1月にマネーフォワード入社。

土屋 舞 (MONEY PLUS ライター)
広告代理店、出版社の広告部にて営業や進行管理、モバイルサイトのディレクションを担当。2017年2月にマネーフォワードに入社。

ガヤ芸人

青木 香菜子(広報)
インタビュー・書き起こし・編集担当

改めてメディアをゼロから作る

永山:私は、出版社や前職のSupership(旧nanapi)を経て、現在は『MONEY PLUS』の編集長を務めています。旧オウンドメディア『マネトク』を別メディアとして作り変える形で立ち上げました。

青木:もうすぐ1年経ちますが、いかがですか?

永山:幅広く任せていただき、比較的自由にやらせてもらえていますね。入社前に会議等にも参加させていただき、いろいろと配慮していただいたと思います。

樫本:旧メディアは、マーケティングのためにスタートしたもので、そこからのダウンロード数やクリック数などを重視していたと聞いています。永山さんは、「改めてメディアをゼロから作ってほしい」ということでご入社されたわけですが、どんな意志を持ってリニューアルを進められたんですか?

永山:オウンドメディアはそういう役割のものが多いですよね。集客やサービスへの送客のためにメディアを立ち上げるというのはよく聞きますが、ROIを考えたときに運営コストに見合った成果が出るのかどうかはかなり難しいと思っています。広告で集客した方が効率的だと思いますし、僕は送客目的のメディアにはやや懐疑的なんです。

だから、マネーフォワードへの入社を考えていた時も、メディアの役割や体制などは何度も確認させてもらいましたし、そこに納得してメディア事業として新しいモデルが作れそうだと思ったので入社しました。

青木:ありがとうございます。樫本さんは今年1月の入社ですよね?

樫本:私はこれまでもずっと雑誌やWebメディアで編集をしてきたのですが、何社か転職するなかで考えていたのは、「よいものを作っても読まれないと意味がないなぁ」ということ。

例えば出版社にいると、クオリティの高い記事を作ることにひたすら専念できるしあわせな環境だったんですけれど、「実際に誰が読んでるんだけっけ?」「どうすればもっと多くの人に届くんだっけ?」と。雑誌の編集部には、部数のほかにアンケート葉書くらいしか読者の反応をみる仕組みがなくて誰がどの記事を読んでくれているのかよくわからなかったんですよね。

ただ、Webメディアに来るとPV(ページビュー)の指標があるけれど、タイトルとアイキャッチを過激にすればするほどたくさん数字が稼げたり、ニュースアプリに掲載されるかどうかで数字が大きく違ったり……。でもそれって本質的じゃないし、“いいものを作れば読まれる(はず)”みたいな他力本願の考え方ではなくて、流通のところを真剣に考えないと徒労に終わってしまうことが多いなぁと。

編集者は辞めるつもりだった?

青木:樫本さんは、実は違う職種を志望されていたとか。

樫本:そうですね。もう編集者は疲れたから辞めようかな……と(笑)。広報とか人事とかマーケティングとか、編集力を使ってなにか別のことができないかなと思っていました。

永山:最初の面接時にそういうことを話していましたね。

樫本:ユーザーとしてアプリを使っていたり、前職で「MFクラウドExpo」や辻さんの記事を作っていたりして、会社自体にはすごく好感を持っていたんですが、「オウンドメディアの編集は……」と。ただ、永山さんには「編集者ができることって、編集じゃないの」って言われたんですよね。

永山:そんなことを言った気がします(笑)。

樫本:それに、マネーフォワードには優秀なエンジニアの方がたくさんいますよね。すでに利用者が450万人を超えるアプリがあって、そこでユーザーに最適な記事を表示するとか、AIが相談に答えるとか、テクノロジーの力で試行錯誤できるかもって思ったんです。面接でも、そういった話で盛り上がって、必要な情報を必要な人に届けるためのトライ&エラーをいろんな角度からできる環境があるのはよいなと感じたのが一番最初でした。

青木:そんな背景があったんですね。

樫本:今、思い出しました(笑)。実は、これまでお金の話って私自身からは一番遠いところにあって、面倒くさそうで興味が持てないし、なにを読んでも難しかった。だけど、人生にとってお金って本当はものすごく大事なことなので、そんな私でもちゃんと理解できるメディアがあれば最高だなって思ったんです。そういう意味で、一番遠い私がやることで社会の役にも立てるかもって。

土屋:おもしろいですね。そんなやりとりがあったんですね。

編集者のキャリアでぶつかる壁

永山:樫本さんとの面接では、編集者のキャリアについて話した覚えはありますね。仮にこれまでのメディア編集経験を生かして広報や人事になったとして、プレスリリースを書いたり、採用ブログを書いたりするのをやりたいの?って話した覚えはあります(笑)。それらも大事な仕事ですが、編集者のメインキャリアではないわけですよね。そこに行ったらまた戻ってくるのも大変だし、あくまでメディアの編集者として新しいキャリアを目指した方がいいんじゃない?って伝えた記憶があります。樫本さんの思考やキャリア的にも編集者の方がマッチするんじゃないかと話しましたね。

ただ最近、メディアの編集者が、コンテンツマーケティングに関わるとか、広報や人事になってなどのキャリアチェンジが流行っているのも確かです。

青木:確かに最近そういう話を聞くことが増えてきた気がします。

永山:編集者を雇ってオウンドメディアをやる会社も出てきましたよね。ただ、それも開発リソースを確保できないので、ひたすらコンテンツづくりを頑張る役割になることが多いと思っています。そういう仕事にやりがいを見出す編集者もいると思いますし、それ自体を否定する気はありません。ただ、編集者としてメディアづくりに携わってきたのであれば、あくまでメディアの編集者としてのキャリア形成を突き詰めた方がいいと、僕は考えています。

樫本:キャリアチェンジしても全部のスキルが中途半端になるパターンもありそうですよね。。

永山:編集者としてのスキルを高めてキャリアを歩んできた人が、一旦、編集者から離れてしまうと、この先の選択肢が狭くなるパターンもあると思うんですよ。Webメディアにおける編集者の役割は今後もっと増えていくと思っているので、編集者のキャリアとスキルがあるならば、チャレンジの場はメディアに見出した方がいいのではないのかなと。だから、記事を作るだけではなく、専属のエンジニアがいて、メディアづくりそのものに関われる場所だったら、樫本さんのキャリアにとってもよいチャレンジの場になるんじゃないか…というような説得をした覚えがあります(笑)。

樫本:説得(笑)。

永山:説得というか、本音です(笑)。実際、編集者のキャリアって難しいんです。特にWebメディアでは、メディアのあり方そのものがまだ模索段階だと思うので、ある程度やっているとどこかのタイミングで悩む人は多いと思います。

青木:編集者のみなさんが、壁にぶちあたるところなんですね。

永山:紙媒体だと、ひたすら面白い・売れる本や雑誌を作るというシンプルなミッションがあって、それを達成していくと権限やポジションが確立していくという世界なので、わかりやすいんです。Webは、組織化されていてプロデューサー、ディレクターなど多くの他職種がいることが多いので、編集者が携われることが非常に狭いんですよね。そのうえ、「編集」をちゃんと理解している人は少なくて、「記事作る人ですよね?」と思われがちなんです。そうすると、今のSEOのトレンドを踏まえて、このキーワードを狙ってこの記事作ってね、みたいなことが仕事になることが多い。でも、僕はメディアを事業として確立させるうえではそれは違うと思っているので、編集者もテクノロジーをしっかり学んで業務の範囲を拡大していくべきだと思います。実際これをやるのはすごく難しいですが。

樫本:ヤフトピに載ってたくさん読まれたとか、SEOで上位表示されてたくさん流入があるとか、もちろん数字の上で多くの人の目に留まることはすごく大事なんですが、それはメディアとしての手段であって目的ではないんですよね。

永山:例えばディレクターが戦略を考えると数字ベースの結果とか、流入経路の分析とか、そういう話に終始しがちなんですが、それだと新しいメディアづくりにはならないと思っています。だから、編集者出身の人間からもWebの仕組みを理解した、そういうポジションができる人材が出てこないといけないと考えています。メディアとしての事業化も、編集がしっかり考えていかないといけないですね。メディア企業ほど、経営と編集の分離という方向性を打ち出していることが多いですが、そうなるとメディアの編集方針と売上の話が必ず衝突します。

樫本:私が以前、紙媒体を離れた理由もそこにありました。大きな組織だとビジネスと編集ががっつり分離されているんですよね。

永山:メディアの事業化やメディア自体の設計などを、編集者も理解する必要があります。アドテクやエンジニアリングなど、関わることが幅広いので大変ですが、僕自身も含めチャレンジしていく必要がある。そうしていかないと新しいメディアは生まれないと僕は思っています。

青木:樫本さんは永山さんのこういった話を聞いてご入社を決められたんでしょうか?

樫本:そうですね。あと、ちょうどお話をしていたのが10月のリニューアルの時期だったんですよね。編集者の方がほかにいなくて、ほぼゼロからの立ち上げと聞いて、それは絶対楽しいなって。

永山:これまで順調に数字も伸びていますし、樫本さんが入社してくれて本当に助かっていますね。

ここなら、自分が発信したい情報を伝えられる

青木:土屋さんがご入社されたのは2月でしたよね。

土屋:はい。私は今、ライターをしています。これまでは広告代理店で営業やモバイルサイトのディレクションに携わっており、一部ライティングも担当していました。働きながら結婚や出産を経験するなかで、出産や育児休暇でもらえるお金や控除されるお金って、そもそも知らないと申請しないし、資格があっても申請しないともらえないってことに気付いて、「それっておかしいな」と感じて、FPの資格を取ったんです。今は2級を持っています。

そんな時に『マネーフォワード』のアプリを知って、使ってみたんですよね。すごい便利だなぁって思いましたし、アプリの中にあるコンテンツもそのときの自分にマッチしていました。

「出産にはどこの区がお得か」とか、「出産手当や扶養控除はいくらか」など、有益な情報がいろいろ載っていて、このメディアよいなって思ったんです。それで、ここなら自分が発信したいって思っていた情報を伝えられるんじゃないかなって考えて、応募しました。

永山:土屋さんは面接時からすごく真面目そうで、お金に関してもっと詳しくなりたいし、自ら発信したいという思いが伝わってきて、MONEY PLUSにはすごくぴったりな人材だと思った覚えがあります。

土屋:私は、面接でお話を聞いて、永山さんの人柄もすてきだなと思ったので入社を決めました。メディアチーム自体は永山さんが入社された4月から稼働していたんですか?

永山:メディア事業部は2016年の6月ぐらいからですね。できる範囲で改善しながら旧メディアを運用して、数字も少しずつ伸びていたんですけど、リニューアルは平行してやっていました。10月に抜本的につくりなおして、メディア名も変えて、メディア事業を立ち上げていきました。

コンテンツを読んでもらえるようにならないと意味がない

青木:この辺りで、実際どういうふうにお仕事をされているのかを教えていただけますか? ほかの部署からは、みなさんが普段どんな動きをされているのかって、見え辛いと思うんですよね。

永山:コンテンツはお2人が頑張ってくれているので、ぜひお2人から。

樫本:まず「編集者ってなにする人なんですか?」ってわかりにくいですよね。私は今までメディア事業が中心の企業にいたので、会社のメインストリームで大きな顔して働いてきたんですけど、ここでは「樫本さんは、へん、しゅう、しゃ? ですか?」みたいな(笑)。

青木:確かに、そもそも編集者とは何ぞやっていうところって見えにくいとは思います。

樫本:まだまだ立ち上げ期なので、日々公開している記事を作ると同時に、今はメディア運営のための土台づくりを進めています。専門家の方に定期的な寄稿をお願いしたり、ほかのメディアと提携の相談をしたり、自然と情報が集まってくるような仕組みを整えたり。

2月からはライターとして土屋さんに来ていただいたので、今、注目されているニュースや話題を、専門家や企業の方に取材した上ですぐに記事化できるようになりました。

永山:(撮影される様子をみて) 樫本さん、写真撮られるの緊張してますね(笑)。

樫本:編集者は撮られ慣れてないんですよ(笑)。話を戻すと、「私たちはこういう人です」って社内に伝えていってもいいんですけど、それってあまり意味がないなぁとも思います。

それよりも、「あの記事おもしろかった」と思ってくれたり、Facebook経由で友達からMONEY PLUSの記事がシェアされてくるとか、そんなふうに外側から認識してもらえるようにならないとメディアとしては意味がないし、そうなるようにがんばってます。

永山:本当にそうですね。外部から変えていかないと意味がないですし、社内に「僕らはこういうことをやっています」っていうのを発信しても、わからないと思うんですよ。だから、むしろ外へのメディアの影響力を変えていきたい。

青木:見てもらえる記事をつくるっていうことですね。

永山:はい。外部からの反響が大きい、という状態になって内部の人にも気づいてもらうことが、メディアとしてあるべき姿かなと思っています。だから、そんなに社内広報にはそれほど力を入れていないです(笑)。まずはメディアとしてやるべきことをやるっていうのが大事だと思うので。

青木:最近SmartNewsにもよく載ってますよね。

土屋自己破産の記事でしたっけ…?

永山:そうです。そういう時に内部の人から「掲載されているよ」と教えてもらえるのはうれしいですよね。

まだまだスタートしたばかり

青木:たまに社内の人からも、「MONEY PLUSすごいリニューアルされたよね」とか、「かっこよくなった」とか聞きますよ。

永山:まだまだ変えていくつもりですけど、そう言っていただけるのはうれしいですね。

樫本:メディアってもっと進化できると思うんですよね。例えば、さっき土屋さんがおっしゃっていたような補助金や助成金の話って検索したらたくさん情報が出てくるけれど、検索するのってめんどくさいじゃないですか。そもそも需要が顕在化していないと、どんなワードで検索すればいいのかもわからない。

でも、もし物知りのママ友がいたらみんなに教えてくれるかもしれない。適切なタイミングに先回りして教えてくれる、そんなおせっかいな友達みたいなメディアになりたいですよね。

ほかにも老後のために何千万円必要っていわれて、20代から節約しすぎて苦しくなっちゃう人生はもったいないので、好きなことにはお金を使いながら自然と貯まるような仕掛けを作ってあげるとか。「すべての人の、『お金のプラットフォーム』になる」というビジョンのもとでメディアができることってたくさんあると思ってます。

青木:前はそこまで設計された記事ばかりじゃなかったですもんね。

永山:以前はリソースが僕しかいなかったですしね。今の話題を取り上げたいっていうのは前からあったんですが、自分たちだけで記事を作るリソースがなかなかなくて。樫本さんが入ってきてくれた時にMONEY PLUSとしてどういう風にやっていくのかを一緒に考えようと話したんですよ。

編集に理解がある開発体制をつくっていくべき

青木:最後に、「これだけは伝えたい」ってことがあればうかがいたいです。

永山:編集チームとして最小限のリソースで同じ方向を向いているメンバーで、テクノロジーの力を使いながら新しいメディアを作っていきたいですね。

また、メディアの開発はもちろんですが、ユーザー向けのイベントを企画するなど今後の展開はいろいろ考えているので、それを実現できる体制を早く作りたいですね。

樫本:寄稿していただく専門家の方とか、一緒に記事作りをしていただけるライターさんをすごく求めています。”お金のメディア”と聞くと、「私、お金にはくわしくないし……」ってなりがちかなと思うんですけれど、スタイリストの方に「ファストファッションの着回しテクニック」を教えてもらうとか、キャリアアドバイザーの方に「幸せな転職のコツ」を聞くとか、"くらしの経済メディア”という軸で人生をより充実させるためのコンテンツを作っていきたいので、幅広いジャンルの人と一緒にコンテンツを作っていければと思っています。

いろんな得意分野がある人と働きたい

樫本:あと、いろんな得意分野がある人と一緒に働きたいですね。私は偏ってるので、土屋さんと話しているとこうも考え方が違うのかと、「ハッ」と驚くことが多いんですよね。

土屋:そんなに違ってましたっけ?

樫本:例えば、自己破産の記事を作っていたときに「自己破産すると住宅ローンが組めないから大変だ」という話になって、「そもそも持ち家がほしいという気持ちが私にはぜんぜんわからないから、ローンは組めなくても困らない」と(笑)。

土屋:そういえばそんな話しましたね(笑)。

永山:樫本さんは本当に編集以外興味ないんじゃないかとたまに心配になります(笑)。毎日電車乗り過ごしたり、乗り間違えたり……。

樫本:東京に来て10年以上経つんですが、仕事のこと考えながら帰ってると、よく違う電車の中とか、ぜんぜん反対の方向にいるんですよね……。

永山:早くちゃんと電車に乗れるようになりましょう(笑)。

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