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国や文化にとらわれず、多文化チームで成果を挙げる組織作り。TAM外国人社員3人と考えてみた

グローバル化が進む中、国籍に制約されず優秀な人材を引きつけることは、企業にとって大きな課題です。また、そうした環境で働く経験は、個人にとっても重要なものとなりつつあります。

しかし、イギリスの金融機関が調査した「外国人が働きたい国ランキング」で日本は昨年、33カ国中、最下位から2番目の32位。「世界で2番目に外国人が働きたくない国」となってしまいました。

では、より多くの外国人が「働きたい」と思えるような職場には何が重要なのでしょうかーー。

今回はTAMで働く、台湾出身のGinaさんとShawさん、アメリカ出身のBarrettさんに、実際に日本の働く環境をどう感じているのか、3人の同僚でもある佐藤佳穂さんとともに彼らの「本音」を聞き、多文化な環境で成果を挙げる職場づくりのヒントを探ります。

日本は「住みたいけど働きたくない国」?

ーみなさんはTAMでどんなお仕事をしていますか。

佐藤 Shawは台湾オフィス、GinaとBarrettは東京オフィスに在籍しているのですが、3人ともやっている仕事は近いですね。マーケティングのプランを考えたり、ディレクションをしたり、SNSアカウントの運用も行っています。私は同僚として3人をサポートしています。

ーお三方はなぜ日本で働くことになったのですか?

Gina 私は台湾出身なのですが、1年間日本の大学に留学したことがきっかけでした。日本を選んだのは、四季や文化など美しいものがたくさんあって、日本人ってすごく細やかな美しさを表現できる民族だなって興味を持っていたからです。仕事でも日本のマーケットから学ぶことがたくさんありそうだと思い、日本で働くことにしました。

Shaw 私もGinaと同じ台湾出身で、海外の文化を学びたい、海外で働きたいという思いがありました。日本を選んだのは、文化が好きだし、食べ物も美味しいから。東京で1年半ほど働いた後、いまは台湾で日本の仕事をしています。1〜2カ月に一度は東京を出張で訪れています。

Barrett 僕はアメリカのハワイ出身なのですが、日系4世なので日本の文化には馴染みがありました。日本に住んでみたいなと思い、5年ほど福岡で英語を教えていました。その後、アメリカでやっていたマーケティングの仕事を東京でもやってみたくて、それでTAMで働くことになったんです。

ーところで、日本は「働きたくない国ワースト2」という不名誉な調査結果が発表されました。率直に、どう感じますか?

Gina ランキングが低い他の国は、治安とか経済の問題があるからなんとなく分かる気がするけど、日本はそこまで言われるほど悪くはないんじゃないかなと。少なくとも住みたい国ではあると思うんですよ。アニメとかマンガとか、観光地とか、すごくいいイメージがあって、期待があるからこそ、実際に働いてみるとギャップがあるのかも。

Shaw サービスもすばらしいし、マナーもいい。だけど、たしかに外国人として働くのは大変そうとは感じます。そもそも海外で働きたいと思ったら、日本より英語が使われている国を選ぶほうが簡単だろうし、それに日本だと敬語を使わなきゃいけない・・・・・・。

ー観光客として来るのはいいけど、働く側として考えると、日本は求められるサービス水準が高いのかもしれませんね・・・・・・。

Barrett いいサービスをするためには、たくさん仕事をしないといけなくなるというのもあるからね。一方で、僕が生まれたアメリカでは、サービスは早いけど、正直クオリティは「なんでチップあげないといけないの?」と思うこともあるし、それは仕方がないことでもあるのかなと思います。

どうして働きづらい? 外国人社員の本音

ーみなさんが実際に日本で働いて、課題を感じるのはどんなことですか。

Barrett うーん・・・・・・ちょっといくつもありすぎて(苦笑)。

Gina 日本の他の会社で働いていたときにも思ったんですけど、日本人はミーティングが好きですね(苦笑)。台湾で働いていたアメリカの会社では、ミーティングは問題解決のためにやる。今日はこういう問題があるからミーティングをやります、と。だけど日本は・・・・・・「ミーティングのためのミーティング」がありますよね。

それと、ミーティングでは自分の仕事についてだけ報告して、他の人には何も求めないことも。問題があっても「詳しくはまた別の日に相談します」ってなったり。そんなときは「このミーティング、なんだったんだろう」って感じてしまいますね・・・・・・。

ーたしかに、何らかの意思決定をするにしても、それ以前に上司とか関係各所に根回しして、会議のときにはすでに決まっていることも多いですね。

Gina たぶん、「ミーティングの意味」をすり合わせたり、目標を設定したりするといいと思うんです。

Barrett うん。本当に1時間必要なのか、とかも。もしかしたら30分で済むことを長々と話しているだけかもしれない。

Gina それと、ミーティングで私がなにか話したとして、チームのメンバーにはもうちょっと「これはこうなんじゃないの」とか言ってくれたら嬉しい。

ーああ、遠慮してしまうというか、人によっては上下関係も影響しているのかもしれません。

Barrett それは、なんとなく原因が分かるんです。僕は日本の学校で働いたことがあるから、今の日本の大人がどんな教育を受けてきたのか、見てきました。先生が一番なんでも知っている人で、なにか言いたいことがあったら手を挙げる。答えが間違っていたら、先生が教えてくれる。

でも、僕がハワイで通っていた学校は、椅子を円の形に並べて、先生も一緒に座って、ディスカッションしていた。先生はあくまでファシリテーターみたいな感じ。だから、日本では大人になっても、なにか話すときには上の人に一言断って・・・・・・みたいになるんだろうと思います。

<日本の職場に求めること『ミーティング編』>
・目的・目標・必要時間を事前にすり合わせよう
・報告・情報共有ではなく、相談・意思決定の場にしよう
・主体性を持ち、上下関係にとらわれないようにしよう

ー他にも何か働く上で課題を感じるのは?

Shaw 言葉が曖昧なところ。台湾の人は自分の考えをハッキリ言います。だから、最初は全然理解できなかったんです。だいぶ慣れましたけど(苦笑)。

佐藤 それはよく3人から相談されますね。それぞれから「〇〇さんからこう言われた。本当にそう思ってる?」っていう。個別に連絡が来て、本当の意図はなんなのか、と確認されます。

Shaw もっと正直になっていいと思う。「日本語上手ですね」って言われるけど、ネイティブじゃないから絶対にそんなことないはず。ダメなところは教えてくれたほうがすごく嬉しいんですよ。仕事のことでも、ちゃんと指摘してもらえたらありがたいし、全然気にしません。

Gina 仕事で「よくやったね」って言われても、「え、本当にそう思っている?」って、かえって心配になるんです。それでKahoに相談してしまうんですけど・・・・・・(苦笑)。

Barrett 日本人は優しすぎるのかもしれない。僕、スポーツを観るのが好きなんですけど、よくアナウンサーが「いい笑顔ですね!」って言うじゃないですか。「ナイスファイト!」みたいな意味で。でも、それって本来、重要なことではない。「勝つか、負けるか」じゃないですか。プロが「頑張った」とかは当たり前のこと。

ー結果よりも「頑張っているかどうか」というプロセスを評価する。たしかに、ビジネスでもそういうところがあるかもしれません。

Barrett プロセスは大事なんです。スポーツでも仕事でも、細かいところを分析して、何が良かった、ダメだった、今度はどうするべきかという話はよりよい結果出すために必要なこと。だから、それを全部否定しようとは思わない。だけどバランスは取ってほしいかな。ダメなところがあったら、ちゃんと意見を出してほしい。自分が考えたデザインに対して、「かわいい」とかじゃなくて、本心を言ってほしいんです。

Gina それで言うと、逆に自分たちが考えを伝えるときにも難しさを感じることがあるなと。

例えば、デザイナーさんとの間でデザインを調整したいとき、「ここの色をこうしてください。こういう理由です」って言ったら、ちょっと傷つけることがあるんです。別に、傷つけようと思って言っているわけではありません。もっと違う言い方ができるのかもしれないけど、あまり日本語が得意ではないので。本当は、私の意見に対するデザイナーさんの意見を聞きたいのに、聞けないときがあるんです。

Barrett  I totally agree.(まさにその通りですね)。自分に対して正直に意見してもらえないとき、逆に正直に意見するとき、どちらもなんとなく「壁」を感じてしまうんです。

今、こうして僕たちが集まって、「外国人の意見」みたいにくくられるのも、そうなんですよ。「外国人」という壁で分けられているような気がする。本当は、僕みたいな日系4世のアメリカ人と2人のような台湾人でも違うし、性別も年齢もそれぞれ違うから、意見も全然違うはずです。

ーなるほど。今回みたいに「外国人社員に話を聞く」という企画自体、みなさんを特別扱いするようなバイアスがあるのかもしれませんね・・・・・・

Barrett もちろん、国籍も母国語も違いますから、僕が「外国人」であることはたしかです。ですが、女性やLGBTQといった人たちも含めて、もっと大きな意味で本当にダイバーシティな組織を作ろうとしているか。ダイバーシティが本当に大切だと深く感じることが必要なんだと思います。

実際、採用するとなると通常よりもコストがかかるでしょうし、「やっぱり難しい」とあきらめてしまう企業もあるかもしれません。だけど、いろんな文化の人が組織にいたほうがビジネスとしては強いですよね?

そういう意味では、会社のトップから変わらないといけない。その人のマインドの中に、自分たちがやりたいことを実現するためにダイバーシティが大切なんだ、って本当に思い込まないといけないんです。

でも、日本企業の経営層はほとんどシニアな男性で、「5年後には引退する」みたいな感じだと、レガシーを変える必要性がありませんよね。自分たちにメリットがない。若い人は「変わらないといけない」と考えているけど、なかなかそれを言えない。

TAMもこれから、もっと国際的な会社になろうとしているんだろうけど、そのためにはもっとアクションを起こすべきだと感じます。

<日本の職場に求めること『コミュニケーション編』>
・相手の改善点に気づいたら、曖昧にせずきちんと伝えよう
・相手からの指摘を人格否定ではなく、前向きなフィードバックと捉えよう
・ダイバーシティの大切さを組織として深く理解しよう

それぞれの強みをチームとして発揮できるように

ーでは、具体的なアクションとしてどんなところから変えていけばよいでしょうか。

Gina そうですね・・・・・・ちょうど先週、私がチームのMVPをもらって、それはもちろん嬉しかったんですけど、受注したときだけじゃなくて、実際に運用してパフォーマンスがよくなったときでも、評価してほしいと思います。

Barrett 100% agree! どうしても「次の四半期の損益は・・・・・・」とか「もっと売りたい」とか、そういう目先のことばかり気になってしまう。

それはもしかしたら、日本人の多くは、売り上げを伸ばすために「いいものを作りたい」という思いはあるけど、もっとコアなことへのパッションが足りないからなのかもしれない。

そういう意味では、やっぱり会社としてもっと明確なコアバリューやミッション、ビジョン、パーパスを描いたほうがいいのではないかと思うんです。でないと、意味のあるゴールを作れないんじゃないかな。

Gina それと、会社としてよりよい仕事をするために、まわりの人にもっと関心を持ったほうがいいとも思います。自分の仕事について人にきちんと伝えることももちろん大事だけど、チームで質問やディスカッションがもっと活発になったらいいな。

Shaw たしかに、台湾では、一人が全部の仕事をやることはありません。5分の1は他の人と分担して、仕事を持ち合うんです。そうすると、その人が来れないときでもフォローできますから。日本では一人で仕事を持つ、という感じですよね。

ーしかし、クライアントに対して専任の担当をつけて、その人が責任を持って対応するほうが、クライアントからも信頼されるし、細やかなフォローができるところもありませんか?

Gina うーん・・・・・・でも、全部自分でやらなきゃいけないと考えると、やっぱり大変ですよね。私はもっとそれぞれの強みを活かせるようなチームが作りたいと思っているんです。

Barrett 僕もGinaと同感です。チームを作る理由は、それぞれ強みが違うからだと思うんです。スポーツでたとえるなら、イチローはピッチャーもできるけど、もっとうまいピッチャーがいるから、実際には投げませんよね。

海外では、自分の仕事はどこからどこまでなのか、そしてどこまでが自分の責任で、どこに力を入れてスキルアップするか、明確になっています。全部、一人でできる会社はつまり、なにも強みがない会社だと思います。会社のアウトプットのために、誰がなにを担当すればベストなのか。それをチームとして考えたほうがいいと思うんです。

ーいろいろと改善すべき点は挙がりましたが、それでもなぜ、みなさんはTAMで働いているのでしょうか。

Gina 他の日本企業よりも、自分のやりたいことを試せるところだからです。私がやりたいのは、台湾の企業や商品の日本進出を後押しすること。前職はインバウンドメディアで、日本のいいものを台湾人に紹介するばかりだったんです。台湾の人にはよく「日本が一番いい!」って言われたけど、本当は台湾にもたくさんいいものがあるのに・・・・・・と思っていました。だから、それを日本人にも知ってもらいたいですね。

Shaw 私はやっぱり自由だからですね。自由は責任と同じです。それに、社長に信頼してもらえるのが嬉しいんですよ。「任せます」って。日本の企業は上下関係が厳しいイメージだけど、TAMでは社長やリーダーと直接話せますし、他の社員の人にも信頼してもらえます。

台湾では、少なくとも私はそういう職場って経験したことないんです。社員が親族だったり、長い時間一緒に働いたりしないと、大きな信頼を得ることは難しいですから。

Barrett 僕も自由でオープンなところがいいと思っています。だって、こうしてインタビューして、こういう正直な意見を外に出すことが、いいファーストステップじゃないですか。僕たちの意見をオープンにすることで、TAMが本当にダイバーシティでインクルーシブな組織なのか、少なくともそういう組織になろうとしているのかって、パブリックな目線から自分たちをよりよくしようという覚悟は持っている。

それと、今まで働いた日本の会社の社長の中で、一番頑張っているのが爲廣さん。それもすごくいいことだと思っています。

Gina ちなみに、先ほどは日本の人たちは言葉が曖昧なのが難しいという話が出ましたが、爲廣さんの言葉は、曖昧じゃない(笑)。いいか、悪いか、はっきり言ってくれる。これはすごくいいと思います。

Barrett たまに言うこと変わるけどね(笑)

Gina たしかに(笑)。でも、私が最初にTAMへ来たとき、今よりも日本語があまり分からなくて、爲廣さん、大阪弁だったからさらに分からなかったんです。「あかん」とか「分からへん」とか(苦笑)。でも頑張って、英語でコミュニケーション取ろうとしてくれたのは、今でも感謝しています。

ー「こんな人と働きたい」という希望はありますか?

Gina ああ、Kahoさんみたいな人があと3人くらいいてほしい(笑)。

Shaw 日本人外国人関係なく、自分以外の人のことに興味を持って理解しようとするモチベーションがあるKahoみたいな人はめずらしいと思います。

Barrett たぶんそういう人は、日本の外資系企業に行ってしまう気がする。そういった会社はミッションやバリューが明確だし、給料も高いでしょうから。でも、日本の企業で、ステレオタイプではなく架け橋となってくれるような人が集まる会社があるといいんじゃないかな。

佐藤 よく、「英語とか中国語がバリバリ喋れて、マーケティングが分かる人がいれば」みたいな話があるけど、本当は言葉が重要ではなくて、なんでも吸収できるマインドを持つ人であれば、きっと言葉の問題も克服できると思うんです。

Barrett 国籍とか何人とか、関係ないよね。コミュニケーションで「壁」を作らない人と一緒に働けたら楽しいだろうなと思います。

<多文化かつ成果を挙げる職場づくりのヒント>
・組織のコアに対してよりパッションを持ち、意味のあるゴールを描こう
・一人ではなく、チームで成果を出すことを意識し、より周囲に関心を持とう
・メンバーを信頼して、自由と責任を託し、仕事を任せてみよう
・本当に大切なのは語学力よりも、相手と壁を作らず「吸収できる」マインド
株式会社TAM 広告チームTAMKO Marketing Director 石田バレット (Barrett Ishida)
コミュニケーションのトレンドにフォーカスをしているマーケティングディレクター。来日前は、ハワイ、オレゴン、ロサンゼルス、サンフランシスコに住んだ経験あり。写真と旅行に関心があり、国際的な旅行系企業、官公庁、スタートアップなどのマーケティングを改善し、国内外のブランドエクイティを拡大できるよう支援中。Twitterで声をかけてください!:@barrettish_
株式会社TAM(台湾支社TAMKO) Business Development 蕭卉秀 (Shaw Huihsiu)
台湾出身。数年前、自分にチャレンジすると決め、日本で一年半を過ごす。現在はTAMKO台湾にて、日本を中心としたインバウンド・アウトバウンド案件が主な業務。多国籍間のコミュニケーションとしてマーケティング戦略をクライアントに提案することにやりがいを感じている。今後も日本と台湾の文化交流の架け橋となるよう尽力していく。Instagram:@shawaw618
株式会社TAM 広告チームTAMKO Account Executive 王文君(Gina Wang)
台湾大好きな台湾人。同国の米系IT企業でデジタルマーケターの経験を積み、来日。日本の大手ITメディアでインバウド向けの企画制作に携わった後、「台湾のいいものを日本に広げたい」と思い、TAMにジョイン。日本向けのデジタルマーケティング戦略立案、広告運用、SNS運営などの業務に従事。自分の好きな台湾とデジタルマーケティングに囲まれて、毎日充実してハッピーです!Instagram:@holagina.jp
株式会社TAM 広告チームTAMKO Account Planner 佐藤佳穂
クライアントのSNSアカウント運用、マーケティング戦略立案などをはじめ、デジタル上のコミュニケーション設計を担当しながら、チームのマーケティング活動をリード。自分の周りからダイバーシティ&インクリュージョンを実現させようとしていたら、いつの間にかBarrett・Gina・Shawの相談役になっていました。パリオフィスオープンに向けて奔走中。Twitter:@kahonne_france
[取材・文] 大矢幸世 [企画・編集] 岡徳之 [撮影] 三浦千佳
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