エンジニア 採用

候補者として、目の前のエンジニアと一緒に働きたいと思えるかどうか|Career Insight〜求職者の心理〜 #1 ランサーズ CPO中嶋 信博氏

近年、エンジニアやデザイナーなど、サービス開発に関わる人材の採用が難しくなっています。とくに、経験豊富な候補者となると引く手あまたな状況です。

そこで、実際にWantedlyを活用してスタートアップに転職し、現在も活躍する方々の転職体験にフォーカスし、採用活動のヒントを探っていく本企画をスタートすることにしました。新たなステージに挑戦する転職者たちの思考や行動、意思決定の姿に迫っていきます。

第1回目は、エンジニアとして20年以上のキャリアを誇る、ランサーズの中嶋信博氏。SIer、フリーランス、ベンチャーのCTOなどを経て、現在はランサーズでCPO(Chief Product Officer)をされています。そのような豊富なキャリアを持つ中嶋氏に、転職も含めたキャリアチェンジの際に大切にされてきたポイントや、意思決定の肝などを聞きました。

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優秀なエンジニアを採用するコツを公開

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専門知識を持たない採用担当者の方にも簡単に理解できる内容になっていますので、ぜひご覧ください。

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ランサーズ株式会社 
執行役員兼CPO
中嶋 信博 氏

専門学校卒業後、独立系SIの富士ソフトに入社し、通信キャリアの監視ソリューションの立案から開発に携わる。その後、独立し大手メディア企業のWebサービスの立ち上げ、研究開発、およびプラットフォーム化に従事。2017年よりランサーズ株式会社に開発責任者として参画し、現在は同社の執行役員兼CPOを務める。

▼Wantedly_Profile
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就職、独立を経験後、再びサラリーマンへ

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――本日はよろしくお願いします。まずは、これまでのキャリアについて聞かせてもらえますか。

父親がエンジニアだったこともあり、小学生のころから、当時としては会社にしかないような環境で、プログラミングをしていました。高校生になると放課後は仲間とゲームをプログラミングするような毎日を過ごし、卒業後はプログラミングが学べる専門学校に入学。その後、富士ソフトというSIerにエンジニアとして就職しました。

――富士ソフトではどのような業務に携わっていたのですか。

当時は、いわゆるSIerの業務である、クライアント先に常駐してシステムを構築するような仕事ではありませんでした。配属先が、自社の開発案件を担当する部門だったからです。具体的には、ソフトウェア開発会社がカンファレンスで使うデモソフトを開発したり、数百万円する装置に代わりパソコンで簡便に扱える携帯電話関連のシステムの提案から開発をするような案件もありました。

受託よりも提案型の案件が多かったこともあり、毎日楽しく、仕事をしていましたね。ただ会社が成長するにつれ、合併などが頻繁に起こるようになり、心地良かった働き方や会社の文化が変わっていきました。

――それで、転職を考えられたんですね。

ええ。ただ転職ではなく、提案型の自社開発案件を多く手がけていたこもあり、自分1人でできるかなと思い、フリーランスのエンジニアとして独立する道へ。最初のころは、ソフトウェア会社の一覧を見て、片っ端から営業をかけていきました。するとその中の一社の社長さんが声をかけてくれ、以降は、その会社の案件を中心に、仕事が広がっていきましたね。

社長さん経由で誰もが知るトップ企業の研究所での開発案件に携わることができた一方で、個人事業主ですから、顧客からの直接案件もありました。SNS関連の案件や、ポータルサイトの検索エンジンのデータを活用するアルゴリズムを開発したり、WebサイトのUIを開発するような案件など。

その後、大企業とのやり取りも多くなり、一緒に働く仲間が増えたこともあり、法人化を果たします。さらに仲間とスタートアップを創業し、CTOに就任。ただ同事業はマネタイズがうまくいかず、途中から自分の得意領域とは異なる事業にピボット(方向転換)したので、一線からは退くことにしました。

――そこから転職活動といいますか、あらためて組織でエンジニアとして働こうと思われたのはなぜですか?また、そのためにどのような行動を取りましたか。

前職のスタートアップでは、上場することを1つの目標としていました。そのため、今度は上場前のベンチャー企業に所属し、あらためてその目標を達成したいと思ったからです。

はじめは、当時働いていた会社の目の前の近くに人材紹介会社が入っていたので、足を運び、カウンセリングを受けてみました。また、大手転職サイトにも登録しましたね。当時の転職サービスは人材紹介会社が主流で、ほかには知人経由で紹介してもらうかでした。

一方、今であればさまざまな転職サービスがありますし、転職手法も色々ですから、人それぞれではないでしょうか。たとえば、企業から直接声がかかる場合もあるでしょうし、知人経由は変わらずありますが、昨今の採用トレンドはリアルではなく、SNSによるオンラインが中心ですよね。

――その後、どのような流れで転職活動を行いましたか。

スタートアップ・ベンチャー企業への転職を希望していたので、その旨を人材紹介会社の担当者に話すと、すぐにリストを提示してくれました。ただ、人材紹介会社を通すと、直接企業とコンタクトを取れないことが分かり、次第に自ら直接、企業に連絡を取るようなスタイルにシフトしていきました。

そこで活用したのが、Wantedlyです。もともと新しいツールを使うのが好きな性分だったこともあり、SNS要素が加わったユニークな転職サービスだと以前から注目していて、実際、かなり初期のころに登録していました。

転職を考える前は、単に自分の知り合いのエンジニアの動向やつながりをチェックするツールとして活用し、転職活動を始めてからは、気になるスタートアップをチェックしていきました。Wantedlyは、自分が検索した企業に近しい候補がレコメンデーションされる機能が便利でしたね。実際、そのようなレコメンデーションされた企業も含め、合計で30社ほど、当時出始めていたHRテックや、マッチング系のサービスを開発する企業をピックアップすることができました。

働きたい会社の条件は、面接官との共感

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――選考を受けた企業の条件を教えてください。

大きく3つありました。まずは「人」です。これは今も変わらないですが、SNSなど、人に関わるサービスに携わりたいと思っていたのが1つ。

2つ目は、知り合いがいないこと。ベンチャーの役員をしていたこともあり、経営層クラスの知人から誘っていただくこともありました。ただ、そのような流れで入社すると、どうしても一般の従業員から色眼鏡で見られるため、自分のことを誰も知らないまっさらなフィールドのほうが、気持ちいいだろうと思ったので。

そして3つ目は、上場を経験したかったので、その可能性がある企業であることでした。補足するとすれば、細かなルールなどで縛られるのが好きではないため、大企業やグループの子会社ではなく、自由な社風を持つ独立企業であることも条件でしたね。

――選考中に重視していたポイントもあると聞いています。具体的に、どのあたりだったのでしょう。

自分がその会社にフィットするのどうか。選考中に会社を見極めようとしていたことです。具体的には、応募先企業の実際のサービスを、まずは使ってみる。そのうえで、不具合やよりよく改善できる点があるかどうかを探り、実際に改善案を自ら考えるんです。そして、そのアイデアを持参して、面談に向かい、担当者はどのような反応を見せるのか、注目していました。

――なかなかユニークな方法だと思いますが、正直、嫌な表情や態度を見せる企業もあるのではないですか。

ええ。サービスをプログラミングしていたエンジニアからすると、嫌な奴にも思えますが、サイトの動作やHTMLを事細かくチェックし、不具合などを見つけていましたからね(笑)。

そしてそのような不具合を、面談の場で指摘・提案するんです。その反応を見て、自分に合っている企業かどうかを、判断していきました。

採用担当者が技術に詳しくなく、困っていた企業もありましたが、私が働きたいと思える企業は、早い段階から技術に詳しい担当者が同席することが少なくありませんでした。そして今となって分かることですが、そのような企業のほとんどが、上場を果たしています。

――ランサーズを選んだ一番のポイントはどこだったのですか。

提案に対する反応が、一番求めているものだったからです。ランサーズの面接では、初回からCTOが対応してくれました。その時、私が感じたランサーズのサービスの良い点と改善点を伝えたところ、「そうなんですよ!」と大いに共感してくれたことが大きかったですね。具体的に、ランサーズはマッチングサイトでありながらメディア特性や業務システムの特性も持っており、あらゆる要素を取り入れながら運営しているところはすごいなと思いました。しかし、重要な機能でも所々のページが表示されるまでにとても時間がかかり、HTMLソースを見ると一貫性が保ってないことに改善の余地を感じていました。

そんな会話をしながら、入社するまで5回ほど面接や面談を繰り返しましたが、私の中では技術の意見交換をしているような感覚でした。

そのような雰囲気でしたから、面接の後半はすでにランサーズの一員のような感覚になっていましたね。実際、最高レベルのスペックのパソコンを手配してくれていましたし、明日からでもすぐに働けるような環境を整えてくれてもいました。

――つまり、会社から必要とされていることが、入社の決め手だったんですね。

はい。あとは、近しい話になりますが、この人たちと一緒に働きたいと思えるかどうか。このあたりはフィーリングになるため言葉で説明するのが難しいですが、面接の場が盛り上がるかどうか、話が合うかどうかもポイントでした。

現在、私は採用も任されていますが、このような経験から、入社を悩んでいる候補者がいたら「私たちと一緒に働きたいと思いますか?」「働いている姿がイメージできますか?」と問いを投げるようにしています。そして、その姿が明確にイメージできたら、入社すればいいと。

――企業や人との相性は、Web上の情報だけでは十分に伝わりきらないと?

はい、やはり生の会話が重要なんです。Web上で会社の雰囲気や社員の人柄がわかる採用サービスも増えていていますが、言葉を選ばずに言えばまとまり過ぎているように感じます。もっと、個人のブログのような、ラフな内容と言いますか、リアルな部分を知りたい求職者もいると思んですよね。

ただあまりにラフになってしまうと、それこそ応募者には逆によくない印象を与えてしまうと思いますので、そのあたりのさじ加減は難しいとは思いますが。

企業の課題は入社のモチベーションにつながる

ランサーズ 採用 エンジニア

――転職活動をしていた当事者としての経験、また現在採用も担当されている立場から、企業が優秀なエンジニアを採用するための重要なポイントを教えてください。

エンジニアの多くは、新しい技術を使いたいと思う人が大半です。ですからそのような技術を採用、スタックしている会社であることを、発信することが重要だと思います。既存のサービスでは難しい場合も多いでしょうから、新規事業で扱っているでもいいですし。実際ランサーズでも、導入できるポイントがないかを常に意識しています。

また、企業が自ら課題(イシュー)を公言することも重要だと考えています。それなりの知名度があるサービスは、外部の人から見ると課題がないように見えてしまいます。でも内実は違っていて、まだまだ課題があるのが現実ですよね。実際、ランサーズでも改善すべき点は、山ほどあります。企業のいいところをキレイにまとめている情報よりも、リアルな状況を発信しているほうが興味が湧きますから。

このような課題(イシュー)を、採用ページはもちろん、面接時にも相手に伝えることが大切だと思っています。たとえば私の場合は、「〇〇の領域の△△の箇所を抜本的に変えたい。協力してもらえますか」と、明確に課題を伝えるようにしています。

――そしてエンジニアがその課題を解決できるスキルを持っていれば、入社のモチベーションになると。

ええ。課題という点では、自社のサービスを批判している人も採用の対象になります。たとえば、Twitter上でランサーズのサービスについての悪い点をつぶやいているエンジニアを見かけると、すぐにDMしています。「あなたが入社して改善してくれませんか」と。

実際、「サービスの使い勝手が悪い」とつぶいていた候補者から、該当ページのデザイン提案を受けたことがあり、それをきっかけに一緒に仕事をするようになりました。批判する=自社のサービスを使っていて気になっている証拠ですし、このようなフォーマルではないフローで入社してくるエンジニアもいますよ。

サービスのさらなる質向上にこれからも臨み続ける

ランサーズ 採用 エンジニア

――転職活動を経て、ランサーズに入社し今年で4年を迎えられましたが、現在の業務や役割をご紹介いただけますか。

ランサーズのサービスをよりよくすること。基本的な業務は、入社してから変わっていません。現場が好きなこともあり、今でもガリガリコードを書いています。ただ入社してから1年ほど過ぎたころから、サービスの多くの部分に関与していることもあり、リーダーのようなポジションになりました。

そして2020年の5月からは、CPO(Chief Product Officer)として、プロダクトの統括責任者という立場に。同時に、エンジニア組織の体制がフラットなこともあり、繰り返しになりますが、マネジメントというよりも、実際に重要なソースコードを書き、経験の浅いエンジニアに見本を示したり。あるいは、重要なソースコードをレビューするなどでして、後進の育成に務めています。

――さいごに、今後の目標などを聞かせてもらえますか。

上場という入社前に掲げていた目標のひとつは達成しました。でも、サービスをより上質なものにするとの約束は果たせていません。まわりから見れば、それなりに改善していると思われるかもしれませんが、自分的にはまったくだからです。

ランサーズのサービスはクライアントワークではありませんから、実際に中に入ってみると、ゴールは無限にあるというか、やればやるほど遠ざかっていくというか、もう少しで、望むべきサービスになるとの気持ちも混同しています。

でも、その「もう少し」の一歩が、遠い。そのゴールにいつか辿りつくために、これからもエンジニアとして、改善を続けていきます。

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