食べチョク 秋元

他社を模倣したバリューでは腹落ちしない|#6 食べチョク代表 秋元里奈氏|河合聡一郎氏と考える、スタートアップに必要な採用・組織づくり

スタートアップに必要な「採用・組織づくり」のポイントについて河合聡一郎氏と探求する連載。今回お話をお伺いするのは株式会社ビビッドガーデン代表取締役の秋元里奈氏。別の連載企画ではHRの佐藤氏に1人目人事の極意をお聞きしました。今回は代表である秋元氏に、2017年からサービスを開始した、こだわり農家・漁師のオンライン直売所「食べチョク」をどのように運営してきたのか、河合聡一郎氏が聞いていきます。

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株式会社ビビッドガーデン

代表取締役社長
秋元 里奈氏

神奈川県相模原市の農家に生まれる。慶應義塾大学理工学部を卒業した後、株式会社ディー・エヌ・エーへ入社。webサービスのディレクター、営業チームリーダー、新規事業の立ち上げを経験した後、スマートフォンアプリの宣伝プロデューサーに就任。2016年11月に株式会社ビビッドガーデンを創業。
https://www.wantedly.com/id/rina_akimoto_b

創業からサービスローンチまでは一人で奔走

食べチョク 秋元

河合聡一郎氏(以下、河合):本日はよろしくお願いいたします。ビビッドガーデン様は設立が2016年の11月29日ですよね。あえてキリのいい日に創業日を置かないのにはきっとこだわりがあるからと感じるのですが、どのような理由なのでしょうか?

秋元里奈氏(以下、秋元):ありがとうございます。11月29日は「いい肉の日」なんですよ。本当は「野菜の日」である8月31日に創業したかったのですが、当時はまだDeNAに所属していたので逃しました(笑)。さすがに1年は待てなかったので。肉の日も縁起がいいですからね。

創業から2か月間はずっと一人でどんな事業にしようかを考えていました。私の実家は農家ですが廃業し、農地が耕作放棄地になっていたので、まずは「空いている農地を使いたい人にマッチングする」事業を考案したんです。ですが、調べる内に農地法などの関係で難しいとわかったので、次は個人間で農作物を売買できるプラットフォームを考えました。でも、投資家から「メルカリでいいじゃん」と指摘を受け、さらにピボット。こだわって農作物を作っている農家さんは、メルカリでは高く野菜を売れないために、食べチョクの「こだわり生産者が集うオンライン直売所」というコンセプトに繋がっていきました。

食べチョク 秋元

河合:仮説検証を繰り返して、市場のニーズから外れないサービスを作られたのですね。仲間集めはどのように行ったのでしょうか?

秋元:実は私、組織づくりには反省が多いんです。事業を創る方に時間を割きすぎて1人目の社員が加入したのはサービスローンチ以降です。なぜそれほど採用が遅くなったかというと、周囲に「起業します」と宣言していたので、とにかく早くサービスを出したくて。あれもこれも手が足りないけれど、「自分が人の2倍働こう」と思っていたのがまずかったですね。結果的に、急ぐならば採用してレバレッジが効く体制を整えた方が良かったと感じています。

加えて、当時は候補者を惹きつけるアトラクト力も弱かったと思います。自分自身の原体験を言語化できたのもサービスをリリースしてからです。プレゼンも苦手でした。DeNAの同期からは「困っているなら手伝うけど、社員にはならない」と言われたり。当時、私は「事業がうまくいくかわからないけど、農業は可能性があるから」と周囲に言っていましたが、今振り返ればまったく事業内容や会社が目指す姿、強みなどが固まっていませんでした。事業もビジョンも出来ていない創業期のスタートアップに入社してくれる方はいないと思います。きちんと事業に対しての想いや、どのように事業を創っていくかを言語化できて、仲間集めをしっかり行っていれば半年はサービスづくりも早くできたと思います。

食べチョク

ただ、人材は足りていませんでしたが、妥協して採用しなかったのは良かったと思っています。先輩の経営者たちに失敗談を聞くと、「2人目以降は所属している人を見て入ってくるから。とくにエンジニアの1人目社員は非常に重要」と聞いていました。2人目社員として加入し、現在リードエンジニアを担ってくれている西尾が加入してからは組織が加速した感覚を持っています。

河合:お話を伺っていると、前職のDeNAでの経験が大きいと思いました。高い組織品質で採用は決して妥協しない会社様ですから。高いレベルのエンジニアたちと同じ組織にいらっしゃった経験は非常にアドバンテージだったと思います。10人目くらいまでの採用はどのような手法を取っていらっしゃったのでしょうか?

秋元:採用にかけられる資金もあまりなかったので、とにかくたくさんの採用サービスを活用していましたね。採用時は「事業に共感するか」を見ていました。Wantedlyも初期から活用していますが、共感性の高い方が応募してくださっており、マッチ度合いが高いと思っています。また、SNSではまめに採用情報を発信していました。投稿をきっかけにメディアに記事を書いていただいたりもして。それを読んだ方が応募してくださり、採用にもつながりましたね。発信し続けていたのが後々採用に効いていたと思っています。

バリューが浸透しないのは、前職の体験を引きずっていたから

食べチョク 秋元

河合:採用ができるようになり、人数が増えてくるなかで、組織や会社経営で変わっていったことなどはございますか?

秋元:創業時から「行動指針」を定めていましたが、なかなか浸透しなかったので、あらためてバリューを創りました。当初の行動指針は、私がDeNAの行動指針(DeNA Quality)から引っ張ってきました。「私はDQへの納得感が高いし、理想とする組織に近いから同じでいいのでは」と。でも、その言葉を使っているのは私だけで、みんなは使わなかったんです。DeNAとビビッドガーデンは集まっている人が違いますから。同じ行動指針では納得感が薄まりますよね。

あらためてバリューを創るときも、「私のWillを反映したい」と思って「草案を私が考えますね」と言ったことがあります。でも、振り返って考えると自分が創りたいものを押し付けていたなと。メンバー全員で「どんな会社がいいか」、「どんな会社にしていきたいか」を考えて価値観を言語化して行く方が、メンバーの納得感が高く主体的に動けていると思いましたね。

ビビッドガーデン バリュー

河合:バリューは事業上の構造や、ビジネスプロセス、お客様にどう価値を提供するかで変わっていきます。また、集まっている方のバックグラウンドに紐付いて制定することが多いですが、意外と紐付かないケースもありますよね。浸透しないバリューは都度変えていくのがよいと思っています。バリューを制定して、組織運営や採用基準など変わったりはされたのでしょうか?

秋元:採用基準は変わっていませんが、自分のなかでぼんやり考えていたことが、メンバーの共通言語になっていったのは良かったと思っています。採用すべき人材の要件が明確になったのも良かったですね。

現在はどう浸透させるかのフェーズですね。たとえば、「生産者ファースト」というバリューは、生産者よりよくなるような意思決定をするものですが、顧客を置き去りにしてはならないですし、利益を削ってしまえば事業が立ち行かなくなります。言葉が独り歩きしないように意識はしています。

事業を創っているなかでも、実行しているのは事業ではなく人です。「事業を大きくすることがメンバーのためになる」ことはもちろんそうですが、「事業を大きくするためにメンバーに向き合うこと」も大事にしています。「コトに向かうためにヒトに向かう」というのを最近はとくに意識しています。

河合:人と向き合う姿勢は素晴らしいですね。他にコミュニケーションで気をつけている点はありますか?

秋元:もともと、私は性格がネガティブなので、かなり反省しますね。ネガティブな性格が出るとリスクが取れない時もあります。意図的に自身を律しないと自信なく見えるので、コミュニケーションでは気をつけています。ただ、私が意思決定する際には「全能感」を出しすぎないようにしていますね。

組織作りは素人だったので、「創業者はなんのためにいるのか」と考えたことがあります。私の答えとしては、「創業者は道をしるすためにいる」ことだと思っています。事業的な道標を示す。これまでは、自分自身がプレイヤーだった感覚を残したまま事業を行っていたので、組織に対して道をしるすことができていなかったと思います。

河合:なるほど。多くの方が、ファウンダーとしての気質と経営者の気質の2つに人格が分かれると思っています。たとえば、エンジニア出身の経営者の場合、なかなか現場のプロダクト開発を手放せず経営者の気質を持つのが遅くなり、結果伸び悩むケースなどもあります。「自分がやったほうが早いけれど、任せよう」といったような、経営者としての人格をもったきっかけはあるのでしょうか?

秋元:私はビジョンを語るファウンダーの人格、経営を考えるCEOの人格、組織設計や事業計画など足元を固めていくCOOの人格などが混在しているんですが、経営メンバーが最近までいなかったので、混在するのは致し方無いと思っています。今は適任の人がいないので「自分がその人物になろう」という感覚で補っていましたね。

食べチョク

河合:加えて、バリューに反映する評価制度はどのように考えていらっしゃるのでしょうか?

秋元:スタートアップあるあるだと思いますが、最初はどの会社も評価制度はありません。報酬が貢献度合いに応じていないことも多く、給与もズレやすい。メンバーに対して頑張りが正当に評価される状況にしなければいけないと思っています。

本格的な評価制度は2020年11月にスタートしました。まだ半年も経っていませんが、メンバーに対して「とても信頼しているから、よりこの業務に対して頑張って欲しい」といったコミュニケーションはできるようになりましたね。評価制度は最初から緻密に設計せず、柔軟に調整できるようには意識しています。あえて曖昧さを残したのは、「業務内容が変わってくることもあるので柔軟に設計したほうがいい」と先輩経営者から助言いただいたのが大きかったです。

河合:いい意味で曖昧さを残すのは非常にいいですね。丁寧に業務を見たり、目標設定して、目標が変わったらすぐに対応したりするのはスタートアップでは必要だと思います。意外と、事業が進むなかで「これは私の仕事じゃありません」とメンバーの解釈が変わるのはよくあることなので。最後に、今後の組織をどのようにしていきたいか、展望をお聞かせください。

秋元:今は食べチョクがメインの事業ですが、より生産者さんの課題を解決する事業を行っていきたいと考えていきたいです。たとえば、農家の人手不足問題などは深刻で、モノが売れたとしても事業を拡大できない要因が多い。取り組む事業内容が増えて食べチョク以外に部署が増えれば、また経営の複雑性も上がるので、見据えた組織設計を行っていきたいです。

河合:ビビッドガーデン様の経済圏を創られるのですね。楽しみにしています。今日はありがとうございました。

▼スタートアップが取るべき採用戦略とは?
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