健康経営優良法人の認定は、取得すれば効果が出る制度ではありません。認定を受けても成果につながらない企業がある一方で、採用や定着に明確な効果を出している企業も存在します。この違いを分けるのは、認定そのものではなく認定後に制度を運用できるかどうかです。
本記事では、「健康経営優良法人は意味がない」と言われる理由を整理したうえで、自社にとって意味があるのかを確かめるチェックリストや、認定を形骸化させないための4ステップを解説します。
健康経営優良法人が「意味ない」かどうかは認定後の運用で決まる
企業によっては、健康経営優良法人の認定を受けても意味がないケースがあることは確かです。ただし、その多くは認定制度そのものの問題ではなく、認定後の運用に原因があります。
健康経営優良法人の認定が意味のあるものになるかどうかは、「認定後に制度を適切に運用できるか」によって決まります。認定が成果につながっている企業と、形骸化してしまう企業の違いは、認定後の運用の仕方に表れます。
| 成果につながりやすい運用 | 形骸化しやすい運用 |
|---|---|
| 従業員が常時使える制度にする | 認定要件を単発の施策で終わらせる |
| 意義を社内で周知し、従業員の協力を得る | 経営層だけで認定取得を進める |
| 定着率向上など目的を明確にして取り組む | 認定取得自体が目的になる |
| 認定取得後も社内制度の改善を続ける | 認定の審査対象期間のみ取り組む |
1分でわかる健康経営優良法人の基本と認定区分
健康経営優良法人の認定を受ける場合、申請区分には大規模法人部門と中小規模法人部門の2種類があります。どちらの部門で申請するかは、業種ごとに従業員数などの要件が決まっています。
申請スケジュールは部門によって異なります。中小規模法人部門は例年8月頃から約2か月間が申請期間となる一方、大規模法人部門は健康経営度調査への回答が申請プロセスに含まれるため、時期が異なります。
最新のスケジュールは必ず公式ポータルサイトでご確認ください。
| 対象部門 | 位置づけ | 選出規模 | |
|---|---|---|---|
| ホワイト500 | 大規模法人部門 | 大規模法人部門の上位層 | 上位500法人 |
| ブライト500 | 中小規模法人部門 | 中小規模法人部門の上位層 | 上位500法人 |
| ネクストブライト1000 | 中小規模法人部門 | 中小規模法人部門の準上位層 | 上位501~1500法人 |
| 健康経営銘柄(※) | 大規模法人部門 | 上場企業のうち健康経営に優れた企業 | 44銘柄(2026年3月現在) |
※健康経営銘柄は認定制度ではなく、経済産業省・東京証券取引所による選定です
出典:健康経営とは|健康経営優良法人認定制度ポータルサイト
出典:健康経営銘柄|経済産業省
健康経営優良法人「意味ない」と言われる理由
健康経営優良法人が「意味ない」と言われる理由は、認定を受けた企業で以下のようなケースが見られることがあるからです。
| ・認定取得がゴールになり施策が形骸化する ・コストや手間に対して効果が見えにくい ・従業員が恩恵を実感していない ・制度の知名度が低く、社内外で評価につながらない ・健康問題や経営課題の改善に結びつかない |
このうち多くは、認定制度そのものではなく認定後の運用に原因があります。
たとえば、求職者や取引先にアピールするために認定ロゴマークを取得したい場合、認定取得自体が目的化して健康増進・生産性向上という本来の目的から逸脱することがあります。健康経営の推進よりもブランディングやマーケティングが目的になるケースです。
また、健康増進や生産性向上は、効果測定が難しいためにメリットや意義を実感しにくい点も、認定制度自体が「意味がない」と錯覚しやすい理由のひとつです。効果を数値化・分析していないと、改善したかどうかを確認できません。その結果、従業員も恩恵を実感できず、制度自体が意味のないものに見えてしまいます。
さらに、健康経営に会社全体で取り組む姿勢や雰囲気が醸成されていない場合も、認定取得後に意味がなくなることが少なくありません。制度の意義やメリットを社内で周知・共有できていないと従業員の協力を得られず、組織課題の解決につながらないこともあります。
しかし、実際には、認定取得によって制度のメリットを生かし、成果を出している認定企業が多く存在します。
次の章で、健康経営有料法人のメリットとその事例についてみていきましょう。
健康経営優良法人のメリット
実際に成果を出している企業は、経済産業省の事例集で数値とともに公開されています。健康経営優良法人の主なメリットは次の3つです。
| 1. 従業員の生産性が高まる 2. 採用・定着に貢献できる 3. 業績の向上につながる |
それぞれどのようなメリットなのか、以下で具体的に見ていきましょう。
① 従業員の生産性が高まる
健康経営の推進により従業員の健康が促進されれば、一人ひとりが能力を十分に発揮できるようになり、生産性が高まります。
経済産業省が公表している医療法人の取組事例では、職員自身が働きやすくやりがいを見いだせる職場づくりを目指して、診療時間短縮や増員を行った事例が紹介されています。
この医療法人では、経営者が「職員を大事にする」というメッセージを発信したことで、職員のモチベーションが高まり、職場が活性化しました。組織内のコミュニケーションが活発になったことで業務が効率よく回り、患者数が伸びるなかでも残業時間は取り組み前より減少したとされています。
出典:経済産業省「健康経営優良法人2023(中小規模法人部門)認定法人 取り組み事例集」(令和5年3月・15社掲載)
② 採用・定着に貢献できる
従業員が健康に働ける職場環境が整えば、その企業で働きたいと思う求職者が増え、採用率の向上を期待できます。働き続けたいと思う従業員が増えることで、定着率向上・離職率低下を期待できる点もメリットです。
経済産業省が公表している卸売業の企業の取組事例では、メンタルヘルスで従業員が入院したことをきっかけに健康経営に取り組んだ事例が紹介されています。
こちらの事例では、各部から選出した健康管理委員が会議や朝礼の場で健康活動を推進し、全従業員の関心を高めていきました。さらに、ブライト500取得企業であることを前面に出して採用活動を行ったところ、応募人数の増加につながったと報告されています。
出典:経済産業省「健康経営優良法人2023(中小規模法人部門)認定法人 取り組み事例集」(令和5年3月・15社掲載)
③ 業績の向上につながる
従業員の健康促進による生産性向上に加えて、認定取得によって企業イメージが良くなれば、新たな取引機会に恵まれるなど業績の向上を期待できます。
経済産業省が公表しているサービス業の企業の取組事例では、従業員が自分自身の健康課題に気付き向き合えるように、日々自身が感じている健康の悩みなどを記入する健康管理ノートを活用した取り組みが紹介されています。健康経営に関する発信を続けたところ、テレビや新聞の取材を受ける機会が生まれ、広く認知を獲得。このことが、企業イメージの定着につながり、新たな事業進出の足がかりになったと紹介されています。
出典:経済産業省「健康経営優良法人2023(中小規模法人部門)認定法人 取り組み事例集」(令和5年3月・15社掲載)
【関連記事】大企業はどのような福利厚生を実施している?大手の取り組み事例を紹介
【チェックリスト】自社に「意味がある」かを確かめる5つの問い
健康経営優良法人の認定を取得して意味があるか、確かめる際は以下のチェックポイントを確認してみてください。
※本チェックリストは、本記事独自の目安として参考にしてください。
| YES | NO | |
|---|---|---|
| 従業員もメリットや意義を感じられる取組内容になっているか | ||
| 事業計画や推進計画は認定取得後まで見据えた内容になっているか | ||
| 健康施策の担当者が決まっているか | ||
| 既存の福利厚生の利用率を数値で把握しているか | ||
| 採用活動や広報活動で使う予定はあるか |
| YESが4つ以上であれば認定取得の効果を得やすい状態にあると考えられます。 1つ以下の場合は、認定申請よりも先に社内体制の整備を進める方が効果的です。 2つまたは3つの場合は、認定に向けた取組体制・社内制度を整備するなど、不足している項目を埋めることで意味のあるものにできる可能性が高まります。 |
健康経営優良法人を「意味ある認定」に変える4ステップ
以下の4ステップに沿って検討すれば、健康経営優良法人の認定取得を意味のあるものに変えられます。
| 1. 目的を採用・定着・生産性のどれに置くか決める 2. 認定要件を「単発イベント」から常時使える制度へ変える 3. 効果検証の方法を決めておく 4. 社内外への発信までセットで設計する |
以下では、各ステップで検討すべき事項やポイントを解説します。
① 目的を採用・定着・生産性のどれに置くか決める
何を目的に認定を取得するのか、目的によって打つべき施策も測る指標も変わります。採用・定着・生産性のいずれを目的とするのか、最初に決めて明確にすることが重要です。
そして、目的を決定したら、具体的な指標に落とし込み、達成すべき目的・目標を数値基準として明確化します。具体的に数値で基準を定めることで、目標の達成に向けた進捗管理や達成有無の確認ができるようになるからです。
設定する指標は、採用が目的なら「応募数・内定承諾率」、定着が目的なら「離職率・福利厚生の利用率」、生産性が目的なら「プレゼンティーイズムの指標」などが挙げられます。
② 認定要件を「単発イベント」から常時使える制度へ変える
認定審査の際、審査対象になるのは申請日までの取組内容であり、申請日より後の取り組みは審査対象外です。
しかし、認定を意味のあるものにするためには、申請日の後も含め、従業員が日常的に使える、継続的な制度にすることが欠かせません。1回限りの単年度・単発の申請に終わらせず、持続可能な運用体制と制度を構築して取り組みを継続することが重要です。
たとえば、「健康セミナーの年1回開催」では、その1回限りで終わってしまいます。一方で、「健康に関する相談窓口の設置」や、「セルフケアの方法など健康に関する情報の社内サイトへの掲載・更新」であれば、従業員は相談したいときや情報を調べたいときにいつでも利用できます。
また、パッケージ型福利厚生を導入して、従業員がさまざまな種類の福利厚生制度を利用できるようにすることも、健康促進を図るうえで効果的です。
③ 効果検証の方法を決めておく
健康経営を推進する取り組みを行っても、効果検証の方法を決めておかないと、効果があったのかどうか確認ができません。現在の取組内容で問題がないのか、効果が不十分で改善が必要なのか、わかるように効果を測る指標を決めておく必要があります。
効果の程度を測定して定量化できるように、最低限測る必要がある指標は「施策の利用率」「従業員の満足度・健康実感」「離職率」の3つです。
施策の利用率や従業員の満足度・健康実感の数値が低い場合は、企業の取り組みが従業員のニーズにマッチしていないことがあります。離職率が高いまま改善しない場合も、現在の施策内容や社内制度、働く環境に従業員が不満を抱いている可能性があるため、原因の分析や改善策の検討が必要です。
④ 社内外への発信までセットで設計する
健康経営の推進は、社内外の関係者の理解と協力を得てこそ、スムーズな取り組みを実現できて効果を発揮します。そのため、経営層や人事担当者が取組内容を決定して実施するだけでなく、社内外への情報発信のやり方まで含めて検討し、制度を設計することが重要です。
取組内容や意義など、健康経営を推進している点を発信する際は、社内と社外の両方へ情報発信を行います。
社内向けには、社内報や入社時案内などによって会社の取組内容を従業員に周知し、健康経営に会社全体で取り組む雰囲気を醸成します。一方で社外向けには、求人票・採用サイト・取引先向け資料などを使って発信することで企業価値向上につながります。
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健康経営施策と掛け合わせて活用できるパッケージ型福利厚生サービスPerk
従業員の健康を重視する経営を企業が行う上で、活用できるサービスのひとつが「パッケージ型福利厚生サービス」です。ジムをはじめとした運動施設の利用、食事補助、メンタルケアなど、従業員がさまざまなサービスを利用することで健康促進を期待できます。
ジムや食事補助系の福利厚生サービスを単体でそれぞれ契約した場合は、契約管理・問い合わせ対応・利用促進がそれぞれ発生し、担当者1人では回らなくなる恐れがあります。パッケージ型福利厚生サービスなら1契約で複数カテゴリをカバーできる点がメリットです。
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パッケージ型福利厚生サービス「Perk」には、スポーツジムや食事系のサービスなどの幅広い特典が含まれています。健康経営の取り組みとして社内に置ける施策の例を領域ごとに整理すると以下のようなことができるでしょう。
| 認定要件の領域 | 対応しうる福利厚生施策の例 |
|---|---|
| 運動機会の増進 | スポーツジム・ヨガ等の優待割引の補助 |
| 食生活の改善 | 食事補助、健康食品の割引 |
| 心の健康保持・増進 | メンタルケア相談、マッサージ・睡眠関連特典 |
ただし、これらの施策が認定要件のどの項目に該当するか、また要件を満たすと判断されるかは、各社の運用実態と申請時の記載によって決まります。サービス導入で必ず認定要件を満たせるわけではありませんが、前述の4ステップを回すための手段のひとつとして活用が可能です。
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「制度を置くだけ」で終わらせない|ポイントをイベントの景品に使う
本記事の冒頭で挙げた「認定がゴール化して形骸化する」「従業員が恩恵を実感していない」という2つの課題は、制度を用意するだけでなく、従業員が使いたくなる仕組みまで設計することで回避できます。
パッケージ型福利厚生サービス「Perk」には、アプリ内で使える独自ポイント「Perkポイント」があり、健康経営施策のインセンティブとしても活用できます。
たとえば、社内でウォーキングイベントを実施し、参加者や上位者にポイントを付与するという使い方です。ポイントはコンビニやECサイトなど身近なサービスで利用できるため、参加への動機づけとして働き、施策の参加率を高めやすくなります。
さらに、部署対抗のチーム戦にすれば、運動機会の提供と部署間の交流を1つの施策で同時に実現することも可能です。
Perkは、初期費用無料・従業員1人あたり月額280円(税抜)から導入でき、約6万件の特典を利用できます。健康経営の推進や福利厚生の充実をご検討中の方は、ぜひ資料をご覧ください。
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まとめ
健康経営優良法人は意味がないと言われる理由や認定取得のメリット、意味ある認定に変える4ステップを解説しました。
健康経営優良法人は認定制度自体に問題があるわけではありません。認定取得が効果を発揮して意味のあるものになるかどうかは、適切に運用できるかによって決まります。
認定取得そのものが目的化して施策が形骸化しないように、健康経営優良法人の本来の目的・趣旨である従業員の健康促進を重視する姿勢が大切です。
自社の状況を踏まえ、従業員のニーズに応える制度を導入することで、従業員の健康促進や満足度の向上、企業イメージ・ブランド価値の向上につながります。

