企業文化と人材の価値観が一致する「カルチャーフィット」は、採用成功や定着率向上に直結する重要な概念です。しかし、見極めや実現は容易ではありません。本記事では、カルチャーフィットの難しさ、その背景、カルチャーを構成する10の要素、そしてこれからの採用で必要なマッチングの考え方までを体系的に解説します。
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カルチャーフィットしないのはなぜ?
カルチャーフィットが成立しない背景には、単なる性格や価値観の違いだけでなく、採用過程や情報発信の段階で生じる“認識のズレ”が大きく影響しています。
企業と候補者が互いに好意的な印象を持っていても、入社後に「思っていた文化と違った」というギャップが生じれば、早期離職やモチベーション低下に直結します。
特にカルチャーフィットを阻む主な要因は以下の通りです。
自社文化の可視化不足
ミッション・ビジョン・バリューや行動規範が言語化されておらず、面接官ごとに説明が異なる。採用広報の理想化
実際の職場環境や課題よりもポジティブな側面だけを強調し、入社後に現実との乖離が生じる。価値観確認の軽視
選考でスキルや経験を優先し、候補者の志向性や働き方の好みを深く確認しない。候補者側の自己分析不足
自分が何を重視して働きたいのかが明確でなく、企業文化との相性を判断できない。環境変化によるズレ
リモートワークや体制変更など、入社後の環境変化によってカルチャーの体感が変わる。
こうしたズレは、企業側が自社の文化を明確に示し、候補者側が自分の価値観を理解することで初めて防げます。
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カルチャーフィットの見極めが難しい理由
- 自社のカルチャーが確立・共通化されていない
- カルチャーの言語化が難しい
- カルチャーを求職者に伝える方法やタイミングがわからない
- どんな人材がカルチャーフィットするのかわからない
- 面接でチェックすべきポイントがわからない
職場の雰囲気や独自の価値基準などのカルチャーは、言語化が難しいうえに、一言では言い表せないものがほとんどです。
しかし、カルチャーを明文化できなければ、求職者に対してカルチャーを伝えることも、適切な採用基準をつくることもできません。
カルチャーフィットした人材を採用するためには、まず自社独自のカルチャーを言語化する必要があるでしょう。
企業も求職者も「カルチャーフィット」の難しさに悩んでいる
早期離職は企業にとって痛手となるのはもちろん、社員にとっても痛手となります。また一から転職活動しなければなりませんし、在職期間の短さや転職回数の多さは不利に働くこともあるでしょう。
しかし、株式会社マイナビの調査によると、20代〜50代の正社員の約1割が早期離職(入社半年以内)を経験。「職場の雰囲気や人間関係があわなかったこと」が主な要因となっています。

引用:株式会社マイナビ 正社員のワークライフ・インテグレーション調査
転職が当たり前かつ売り手市場の今、従来のスキルのみに着目した採用では限界がきます。スキルマッチに加えてカルチャーフィットも重視し、入社後の活躍・定着を見据えた採用活動が求められています。
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カルチャーを構成する10の要素を理解し、カルチャーフィットを実現させる
前述の通り、カルチャーフィットの最大の壁は「言語化」です。そもそもカルチャーとは何なのか、カルチャーを構成する要素を細分化してみましょう。
1.ミッション・ビジョン・バリュー
ミッション:企業の存在意義や果たすべき使命
ビジョン:将来どうありたいかという企業の理想像や中長期的な目標
バリュー:ミッションやビジョンを達成するために大切にしている価値観や行動指針
例)顧客第一、イノベーション、スピード、柔軟性
2.リーダーシップスタイル
組織のトップやマネジメントがどのように指導し、意思決定を行うか。トップダウン型、ボトムアップ型、権限移譲が進んでいるかなど。
3.意思決定のプロセス
どのように意思決定が行われるか。迅速に行われるか、慎重に行われるか、社員全員が参加できるかなど。
4.コミュニケーションスタイル
社内での情報共有や対話がどのように行われるか。オープンなコミュニケーションが促進されているか、上下関係に厳しい形式が存在するかなど。
5.チームワークやコラボレーションのスタイル
社員同士や部門間の協力体制、チームとしての働き方。個人の成果を重視するか、チームの成果を重視するかなど。
6.働き方や職場環境
フレックスタイムやリモートワークの導入など、働き方に関する柔軟性や規範。福利厚生、オフィスの雰囲気、服装規定なども含まれる。
7.学習や成長の機会
従業員が成長し続けるための教育やトレーニング、スキルアップの機会が提供されているかどうか。失敗を許容する文化や、イノベーションを奨励するかどうかも含まれる。
8.評価制度
パフォーマンスの評価や報酬のあり方。成果主義、年功序列、チームプレイの評価など、何を重視した評価制度か。
9.多様性とインクルージョン
社内のダイバーシティ(多様性)をどの程度尊重しているか。性別、年齢、国籍、背景にかかわらず、従業員が平等に活躍できる環境かどうか。
10.象徴的な慣習や儀式
朝会・表彰式・社内イベントなどの独自の慣習はあるか(企業の一体感や価値観を強調するために設けられている場合が多い)。
上記の通りカルチャーは、企業特有の価値観・行動・信念・習慣・ルールなど、従業員の考え方や働き方に影響を与える要素で構成されています。
そしてそれぞれの要素が相互に関連し、日々の業務や意思決定に影響を与えると同時に、従業員のモチベーションやパフォーマンスに大きな影響を与えます。
10の要素すべてを完璧に明文化する必要はありませんが、上記の要素をもとにぜひ多面的な視点でカルチャーを捉え、自社独自の価値基準や職場の雰囲気を言語化してみましょう。
たとえばココナラ社は、チャレンジ精神・向上心・責任感を重んじるカルチャーです。「CULTURE BOOK」によって独自のカルチャーを細かく言語化しており、面接時は、人生のターニングポイントにおける選択基準を聞くことでカルチャーフィットをはかっています。
【関連記事】ココナラが語る、組織が急成長してもぶれないカルチャーを築く方法|共感採用はなぜ必要か vol.01(Event Report)
また、マネーフォワード社は「Speed・Pride・Teamwork・Respect・Fun」という5つのカルチャーを掲げており、面接時は価値観にフォーカスして候補者の過去・現在・未来を深掘りしています。
【関連記事】全社採用スタイルで実現する「ファンづくり」。重要なのは、地道なカルチャー発信|Best Team of the Year GOLD:株式会社マネーフォワード
なお、カルチャーフィットを見極めるための質問事項は以下の記事で解説しています。ぜひあわせてご確認ください。
【関連記事】カルチャーフィットとは?採用に役立つ具体的な質問を紹介
これからの採用に必要な「マッチング」の考え方
ここまで解説した通り、早期離職の主な要因はカルチャー面でのミスマッチです。従来のスキル重視の採用では、社員の活躍・定着ははかれません。
採用活動の目的は、優秀な人材に入社してもらい、できるだけ長く活躍してもらうことです。
そのためこれからの採用は、スキルマッチに加えて、カルチャーフィットやミッションフィットも加えた複合的なマッチングが必須です。
カルチャーフィットすれば、社員は安心感や居心地のよさから最大限のポテンシャルを発揮できます。また、自分が実現したいことと企業の方向性が一致(ミッションフィット)すれば、仕事のモチベーションが高まり、生産性や成長速度が大きく向上するでしょう。
ただ人員を補充するだけなら、アウトソーシングでも可能です。しかし、同じ方向を向いて事業を前に進めたり、周囲にポジティブな影響を与えられる仲間と出会うためには、カルチャーフィットやミッションフィットが欠かせません。
欠員補充をくり返し、コストが増大する採用活動から脱却するためにも、これからはカルチャーフィット・ミッションフィットに着目した新しい採用をはじめてみてはいかがでしょうか。
なお、ミッションフィットの重要性はこちらの記事で解説しています。
▶︎社員の生産性と定着率を向上させる新しい採用の考え方【ミッションフィットの重要性】
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