ダイレクトリクルーティング

ツクルバが語る事業規模に合わせたダイレクトリクルーティング|採用のプロを目指す #3 ツクルバ 小林杏子氏

ツクルバの事例から考える。 事業の規模に応じたダイレクトリクルーティングの推進方法とは

採用を進める上で「ダイレクトリクルーティング」を行っている方、または今後行いたいと考えている方も多いのではないでしょうか。前提として、採用を成功させるには行動量を担保することが重要です。ただ、なぜダイレクトリクルーティングが必要なのか、そして採用成功とは何かといった点に納得して行動することで、結果は大きく変わると考えています。

そこで、HERP株式会社との共催イベントとして、採用の体系論から具体的な手法までをお伝えする、全4回のオンラインイベントを実施します。第3回は、株式会社ツクルバの小林様をお呼びし、事業規模に合わせてどのような体制でダイレクトリクルーティングを実施していたかを中心に、組織拡大を支えた採用の裏側をお話いただきました。

※本記事はウォンテッドリーが主催したセミナーの内容を要約した上で構成しています。

株式会社ツクルバ
人事本部 採用・人材開発チーム マネージャー
小林杏子氏

2014年 青山学院大学卒業後、新卒でアパレル企業に入社。販売職を経て、人事採用担当を経験。2016年 ツクルバに入社、最初の採用担当専任者となる。当初の社員30名から現在の150名規模までの採用に携わり、採用体制づくり、チーム作りを推進する。
現在は採用・人材開発チームのマネージャーとして採用業務を統括する他、CIリニューアルなど複数の全社プロジェクトにも携わる。
https://www.wantedly.com/id/anzu_kobayashi_a

はじめに:ダイレクトリクルーティング成功の方程式

ダイレクトリクルーティング

今回は「採用のプロになるためにダイレクトリクルーティングをどう活用するか」を問う全4回のイベントの第3回目になります。今回のテーマは、上図の「ダイレクトリクルーティングの方程式」の中央にある「スカウト体制の構築と効率化」。株式会社ツクルバの人材開発チーム マネージャーの小林杏子さんに登壇いただき、社員30人から150人にまで成長した企業の採用の裏側をリアルに語っていただきます。

具体的には、事業・組織の成長に合わせて採用戦略・手法をどのように変化させてきたか、その中でもダイレクトリクルーティングをどう活用したかにフォーカスして伺っていきます。

「エンジニアってどんな人」からはじまった採用立ち上げ期

ダイレクトリクルーティング

ーー本日はよろしくお願いいたします。ツクルバ様はこの5年間で社員30人から150人に成長された企業ですが、当初は採用の専任スタッフは小林さんおひとりだったのですね。

小林 : はい、私が入社した2016年5月には、正社員が20名、委託社員を含めて30名程の規模でした。この30名は「採用された」というより「この指とまれ」で集まったメンバーです。たとえば、代表やメンバーの大学の先輩、前職の後輩など。そのため、採用専任の担当者はいませんでした。

当時の会社の状況は、大型の資金調達を実施し、現在の注力事業である「cowcamo(カウカモ)*」を正式にリリースした直後のタイミングで、「カウカモで大きく仕掛けに行くぞ」という機運の最中でした。
*カウカモ :中古・リノベーション住宅の流通プラットフォームサービスhttps://cowcamo.jp/

そんな中、本格的な組織拡大の必要性を見越し、まずはその実現を推進する役割である採用専任者を入れようということになりました。そこで入社したのが私です。前職で採用業務の経験があったとはいえ、その内容はアパレル企業での販売職の採用でした。そのため、最初に任されたエンジニア採用では「そもそもエンジニアって何をやる人?」という状態からのスタートでした。

そこで、採用する職種について理解を深めることが先決だと判断し、「とにかく面接で候補者に会ってみる」ことに。候補者との会話の中で、その職種について解像度を上げていきました。採用担当としての私は、当時面接に来てくださった候補者に育てられましたね(笑)。

面接では、各職種の人物像を理解するとともに、「どうすれば自社が採用ターゲットに刺さる会社になれるのか」のヒントを得るために次の3点を聞くようにしていました。

・ツクルバをどのようにして知ったか
・外から見た、ツクルバへの率直な印象
・転職するにあたって、会社選びの重要要素は何か

ーー採用手法を選ぶにあたり「自社の課題はこれだから、この手法を選ぶ」といった考え方が大切だと思います。ツクルバ様が採用手法としてダイレクトリクルーティングを選んだ理由と、具体的な活用方法についてお話いただきたいと思います。

採用手法については、社内にも私にも「何も知見がない」状態でした。最初は人材紹介もダイレクトリクルーティングも、まずはフラットに活用してから有効か判断するようにしましたね。まず最初に気付いたことは、サービス立ち上げ期のスタートアップが人材紹介をうまく活用することの難しさ。社名・サービス名が知られていないことや、採用人数が少ないこと、定性的な条件が多いことなどがエージェントを活用する上での大きな障壁でした。エージェント頼みの「待ち」の採用活動ではなく、ターゲットを見つけ、自ら声をかけにいく「攻め」の採用活動の方が当時の状況においては成果が出やすいと考え、ダイレクトリクルーティングを軸に採用戦術を考えていきました。
ダイレクトリクルーティングに関しては、Wantedlyはもちろん、5つほどのサービスを利用してみました。それぞれ3ヶ月程度運用し、相性の良いものを残し、合わないと判断したサービスの利用を辞めていきました。相性の見極めのためにざっくりと目標を決めて週次で効果検証し、高速でPDCAを回すことを意識したんです。

当時、相性の良さを判断する主な観点は、データベースに存在している人物のキャラクターが自社にマッチするかどうかでした。スカウトメールの返信率などはあまり気にせず、「このデータベースにはどんな志向性を持った人がいるのか」を重視しました。やはりサービスごとにユーザーの集め方が異なるので、どんなキャラクターの人がどんなサービスを使っているかは大まかな傾向があると感じています。
あくまで私の肌感ですが、Wantedly経由でお会いする方は「これまでの経験を捨ててもいいから、共感できる事業のもとで新しいことにチャレンジしたい」といった方が多い印象です。現在にも続くポリシーではありますが、当時のツクルバはより「共感」を軸に仲間を集めていたので、Wantedly経由でお会いする方のキャラクターは比較的親和性が高いと思っています。

ーー小林さん1人だった採用立ち上げ期では社内の協力が重要だと思います。どのように協力を仰いでいったのでしょうか。

当時を振り返り、協力体制という観点でとくに重要だったと思うことが3つあります。
1つ目は、代表との関係性。特に創業から間もないスタートアップの採用では、代表が1人ひとりの候補者を自ら口説きにいくという姿勢がなければ成果は出せません。弊社の代表は「採用はトップの重要ミッションである」ということを重々承知していたので、採用担当としてはとても助かりました。上場直前までは共同代表の2人と採用定例MTGを週次で実施しており、候補者の情報や課題感の共有などを密に行っていました。現場メンバーを動かすためにも、「トップレイヤーから協力を仰ぐ」という考え方は有効だと思います。

2つ目は、事業部内にカウンターパートを立てること。変化のスピードが早いスタートアップで、すべての事業部の最新情報を集め続けることは至難の業です。しかし、採用担当がどれだけ情報を持っているかもまた採用成果に直結するポイント。弊社では、事業部の中でとくに情報が集まる人を見極め、定期的に壁打ちをしてもらっていました。事業進捗や、人の動きの共有をしてもらいつつ、採用手法についてのブレストや私のお悩み相談まで、さまざまな話題について会話していました。情報収集のためにも、孤独感を感じやすい1人担当の心の安定のためにも、事業部の中に「頼れる相談役」を早めに見つけておくことをオススメします。その人を起点にすることで、他の現場メンバーへの業務依頼もしやすくなると思います。

3つ目は、社内メンバー全体との関係性。ツクルバの採用の武器は何と言ってもメンバーの魅力だと考えていました。なので、その魅力をダイレクトに伝えるためにもミートアップやオープンオフィスといったイベントを積極的に開催し、毎回多くのメンバーに参加してもらいました。そういったイベントを通じ「社員が楽しく採用活動に参加できる」という状態をつくる努力も重要だと思います。

また、立ち上げ期に「採用は全員の仕事」というムードをつくっておくことで、のちのち組織が大きくなった時にも協力体制構築をスムーズに行う下地になるので、最初が肝心かもしれませんね。

ーー30人から50人へ拡大するフェーズでは、小林さんのように「1人」で頑張っている採用担当者がたくさんいらっしゃると思います。そういった担当者に向けて、小林さんからアドバイスをいただけるとありがたいです。

そうですね。まずは、1人であれもこれもやろうとするとすべてが中途半端になるので、「やらないことを決める」必要があると思います。そのためには、一通り短期間で集中的にやりきってみて、やるべきことと捨ててもいいことを早く見極めることが肝心です。

また、施策を選択する際には自分の腹落ちを最重視することをオススメします。「1人目人事」というのは、自分のやっていることが正解なのか分からない中、霧の中を進みつづけるような状態だと思うんです。だからこそ、数字的な根拠だったり、ロジックで説明できない部分があったとしても「これなら勝てる気がする」という自分の感覚を信じてあげてほしいです。自分が信じられる施策じゃないと、最後までやりきれないと思うので。そもそも初期フェーズでは、母集団のボリュームも少ないですし、意味のある数字を取りにくいですから。

最後に、「採用は辛い」と実感されている担当者の方も多いと思いますが、そういう雰囲気を醸していると社内に協力ムードが盛り上がりません。繰り返しになりますが、なるべく早い段階で「採用は全員参加でする楽しい仕事」といった、プラスのオーラをぜひ発信してみてください。ツクルバでは、「全員採用」とか「採用は仲間集め」とか、そういったワードが社内で流通していました。ポジティブに採用に取り組む背中を見せれば、メンバーもついてきてくれるはずです!

ダイレクトリクルーティング

「人を動かさないと達成できないんだ」 1人採用の限界を突破した採用拡大期

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ーー50人から100人のフェーズでは、ツクルバの経営状況と採用課題はどんなものがありましたか。

経営状況としては2019年の株式上場の直前で、営業組織の拡大が急務でした。採用課題は、不動産営業職のスピーディーな拡充がメインで、次に開発チームの強化が必要な状態。結果的にもこの時期は営業職の採用がほとんどで、エンジニアの採用は数名でした。

採用体制は、中途採用担当と新卒採用担当がそれぞれ1名、アシスタント1名の3人体制になりました。採用担当者が増えたきっかけは、2〜3倍に増えた採用目標人数に途方に暮れていた際、COOの北原に「そろそろ人を動かすことを考えないとね」と言われたこと。この言葉をきっかけに、まずは採用目標を達成するために必要なリソースを確保しようと考え、新卒採用担当とアシスタントの採用を急いだ形です。

ーーこのフェーズでの採用戦略はどのようなものでしたか。

前提として、名もなきベンチャーであるツクルバの採用は、その組織理念でもある「共感」を軸に人を集めるしかないと考えていました。そのための武器になるのは、面談の場で伝わる「人の良さ」と大企業にはない「スピード感」だと考えました。言い換えると、面談でいかにツクルバの魅力を伝えて共感してもらえるかと、合否連絡などスピード感のあるコミュニケーションを通じて意思決定の速さと、「候補者に対しての想い」を伝えられるかが勝負だと。

戦術的としては、まずは優先度に合わせた採用体制の変化を行いました。当時の重要な経営目標が「共感度の高い営業メンバーを増やす」だったので、採用チームはそこに力を入れる必要がありました。採用チームが営業職の採用に力を入れる一方、エンジニア採用はスカウトソーシングから現場に依頼しました。専門的な技術を理解している人にコミットしてもらう方が、採用力も上がると考えたからです。

具体的には、営業職採用では人材紹介のエージェントも本格的に利用して、選考ラインに乗る候補者の数を確保することと、一次面接では人事だけではなく、現場の営業メンバーに聞き手、話し手として参加してもらいました。

エンジニアに関しては、現場メンバーにスカウトの協力をしてもらいながら、ダイレクトリクルーティングの媒体を増やして「使ってみて有効か判断する」を再度チャレンジしてみました。

スカウト(母集団の形成)でのKPI(指標)は、「何人に会えたか」というシンプルなものでした。スカウトメールの送信数を指数にするのは、それでやった気になってしまうおそれがあり、返信率はそもそもコントロールできないと考えたからです。

「自分の業務を任せる」採用チームを構築した第3創業期

ダイレクトリクルーティング

ーー100人から現在(150人)のフェーズでの経営状況や採用ニーズはどのようなものでしたか。

経営的には2019年の株式上場後のタイミングで、私たちは第3創業期と呼んでいます。採用については「たくさん採用する」から「必要なキーマンを確実に採用する」にニーズが変わったのがこの時期。営業職は経験者、そのほかの職種もシニアクラスがメインのターゲットに変わりました。

採用体制は、私がマネージャーとなり、新卒採用担当が2人、中途採用が1名の4人体制になりました。現在はさらに増えて中途採用の担当者が兼務も合わせて4人になっています。新体制での私のテーマは、自分の持つ採用業務をメンバーに振り分け、各メンバーが自律的に仕事を回していけるチームに育てることでした。

もう1つの大きな変化は、アシスタントが退職するタイミングで、ダイレクトリクルーティングのオペレーションにRPO(採用代行)を導入したことです。最初は次のアシスタントが見つかるまでのつなぎのつもりでしたが、RPOならマネジメントコストがかからない。また、人材領域の専門性を持った方々が対応してくださるので、社内メンバーはコア業務に専念できるメリットがあります。リーズナブルな選択だと感じ、現在も継続しています。

RPOには基本的にスカウトのソーシング(候補者のピックアップと送付)を行ってもらっていますが、採用ポジションによって想定年収帯等を加味して任せる業務を変えています。

たとえば、だいたい年収700万円を超えるポジションの採用は、市場の母数が極端に少なくなるため、個別性をもったアプローチが必要になる。データベースからのピックアップ、スカウトメールの送信など早い段階から内部で考えて実施した方が成果に結びつきやすいと考えています。

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ダイレクトリクルーティングは 「名もなきベンチャーにもチャンスをくれるウルトラC」

ーーさいごに、ダイレクトリクルーティングを成功させるためには何が大切なのか、アドバイスをいただきたいと思います。

ダイレクトリクルーティングを一言でいうと「名もなき企業にもチャンスをくれるウルトラC」だと思います。ベンチャーにとっては、採用市場の土俵に上がれる唯一の手法と言ってよいですね。

ダイレクトリクルーティングは、スカウトメールの送信機能など便利にサービス化されるほど、人の顔が見えなくなる面がありますが、やってることはナンパと同じなので(笑)。相手が人であることを忘れずに「人の心を動かす声掛け=スカウトメール」を一筆入魂で発信することが大事です。

また、「なんとなくやってみる」では成果は出ないものなので、やると決めたことを丁寧にやり切る覚悟が必要だと思います。その上で「やらないことを決める」選択をして、自社らしい採用スタイルを見つけていくのが良いと思います。

ーーウルトラCをきめるには、覚悟を持って取り組むことが必要なのですね。本日は貴重なお話をありがとうございました。

ダイレクトリクルーティング

※採用のプロを目指すシリーズ、最終回となる第4回はラクスルHRBP大原氏を迎えて4/22(木)19:00開催予定です。詳細はもうしばらくお待ちください。

 

著者プロフィール

北山浩士

ウォンテッドリー株式会社 マーケティング

三重県出身。滋賀の大学から新卒で大手人材紹介会社に入社。大阪にて関西の製造業を中心にRAを担当。その後、東京に移住しウォンテッドリー株式会社でセールスとして働いた後、現在はマーケティングチームでマーケティングコンテンツの企画、制作、ディレクションと、オンラインイベントの企画、運営、を担当しています。

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