人事評価制度は「刷新」一択ではありません。症状から“育て方”を決めます。
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人事評価制度は、「そのまま」でも回るのか。
それとも「改善」か「刷新」が必要なのか。
このテーマは、企業の規模を問わず、今あらためて向き合う価値があると感じています。
最近、ある社長様と話していて、すごく腑に落ちた整理ができました。
評価制度の議論は、流行や理想論で結論を急ぐほど、現場が疲弊しやすいです。だからこそ、まずは“症状”を丁寧に言語化して、最短で効く手を打つべきだ、という整理です。
ここでいう「症状」は、次の本文の箇所に当たります。
- 症状①:評価者ごとに基準がズレる(=解釈や判断が揃わない)
- 症状②:賃金が二重構造になり、凹凸・逆転が起きる(=処遇の説明が難しい)
- 症状③:制度が“作った人の頭の中”にあり、運用が属人化している(=再現性が低い)
以下、それぞれが本文のどこに含まれているかを、ストーリーとして整理します。
症状①:評価者ごとに基準がズレる(自然に起きる前提で、揃える仕組みが必要です)
評価者ごとに基準がズレるのは、制度が悪いというより、組織が生きている以上、自然に起きる現象だと思っています。
人が違えば見ている現実も違いますし、同じ行動を見ても、経験や価値観で解釈が変わります。
だから「ズレがある=制度が破綻している」と決めつけるのではなく、ズレを前提に“揃える仕組み”を持つことが大切です。
- 定義(何を評価するのか)
- 尺度(どの状態をA/B/Cとするのか)
- 運用ルール(いつ・誰が・どう判断するのか)
- 評価者校正(ズレを揃える場)
この4点が整うだけで、同じ評価シートでも運用品質が大きく変わります。
「制度の中身」だけでなく、「制度が回る構造」を作ることが重要だと考えています。
症状②:賃金が二重構造で、凹凸・逆転が起きる(順番は“賃金より先に等級”です)
採用の時期や背景によって賃金体系が二重になり、凹凸や逆転が起きている。これは中小企業でも成長企業でも、よく出てくる課題です。
ただ、ここでも結論を「刷新」に寄せすぎない方がいいと感じています。
等級(役割)が設定されていて、それを明確化できれば、改善で整流化できるケースは多いからです。
ポイントは順番で、賃金を先にいじるのではなく、まず「等級=役割」を揃えることだと考えています。
同じ等級ならこのレンジ、という説明可能性を先に作った上で、必要に応じて調整給などで段差をならす。
この方が現場の納得感も得やすく、移行も安全です。
症状③:制度が属人化している(制度は完成品ではなく、運用で育てます)
私は「刷新」を否定しているわけではありません。
ただ、何でもかんでも刷新で結論を付けるのはもったいないと思っています。せっかく育ててきた制度を、また1から作り直すことになってしまうからです。
制度には、ぶらしてはいけないものがあります。
一方で、事業や技術は変化し続けます。だからこそ制度も「固定」ではなく「更新」前提で育てていく必要があります。
評価制度は、作った瞬間がスタートです。
運用して、ズレを見つけて、言語化して、修正して、また回す。
この“育てる姿勢”が、組織の強さにつながると信じています。