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インナーブランディングに大事な他者の巻き込み方

レバレジーズさんと弁護士ドットコムが一緒に定期開催しているデザイナー勉強会「InHouseDesigners」が、11月26日に開催されました。今回のテーマは「インハウスで取り組むブランディング」。弁護士ドットコムからは、法律相談ポータルサイト「弁護士ドットコム」のデザイナーである山本 香織が「インナーブランディングに大事な他者の巻き込み方」についてお話しました。

現在「弁護士ドットコム」のリブランディングを担当している山本は、日々「弁護士ドットコム」のあり方について考えています。その中で、山本はなぜインナーブランディングが重要だと考え、どんな風にメンバーを巻き込んでいったのか。今回は山本の発表内容をお届けしたいと思います。

山本 香織
印刷会社のクリエイティブチーム、Web制作会社等を経て、2009年に弁護士ドットコムにデザイナーとして入社。法律相談ポータルサイト「弁護士ドットコム」のデザインや、クラウド型電子契約サービス「クラウドサイン」のロゴ制作、企業法務ポータルサイト 「BUSINESS LAWYERS」のロゴ・UIデザイン等、様々な業務を担当したのち、「弁護士ドットコム」の専任に。直近では弁護士ドットコムのリブランディングを担当中。

インナーブランディングの必要性

「弁護士ドットコム」は「専門家をもっと身近に。」の理念のもと、法律トラブルに悩む方々が納得のいく解決方法を見つけられるよう、オンラインで弁護士に相談できるサービスや弁護士が探せるサービスなどを提供しています。サービスリリースは2005年なので、かなり長い間提供しているサービスです。

今後は社会のインフラとなるようなサービスを目指すべく、最近リブランディングをはじめました。このリブランディングの一環として実践しているのが、インナーブランディングです。インナーブランディングとは、ユーザーに提供する価値の向上を目指し、社員一人ひとりが自社のビジョンや価値を深く理解・納得して、自分ごととして行動することを目指す活動です。

そもそもブランディングとは、ブランドアイデンティティ(サービスに対してユーザーにどのように思い描いてほしいか)とブランドイメージ(実際にユーザーがサービスをどのように見ているか)を近づけるために、ユーザーに情報や体験を通してサービスの価値を理解・実感してもらう活動です。つまり、ブランドアイデンティティは「サービスが目指すビジョンや提供する価値を明確にしたもの」で、ブランドイメージは「ユーザーが実際に感じているもの」となります。

ブランドイメージは、ユーザーがサービスとのあらゆる接点の印象が蓄積されたものであり、ユーザーにブランドイメージが定着するには「ユーザーが感じる印象の一貫性」が重要だと言われています。一貫性がないとブランドイメージがブレているということなので、ユーザーは混乱し、頭の中にブランドイメージがつきにくくなってしまうからです。

以下のスライドで一例をあげています。A店とB店だとまったく印象が異なりますよね。

ブランド力は「体験の魅力度」と「体験の量・時間」と「体験の一貫性」がかけ合わさったものだと言われています。ユーザーに対して一貫した体験を提供するには、「弁護士ドットコム」のサービスづくりに関わるメンバー一人ひとりがきちんと自社のブランドアイデンティティを理解して実現に向けた行動が必要だと思い、インナーブランディングをはじめることにしました。

弁護士ドットコムのインナーブランディング施策例

まず施策の第一弾として、ブランドリーダーを設置しました。ブランドリーダーとは、チーム内で最もサービスのビジョンや価値に深い理解と共感をしている人を指します。そして、チームメンバーへの「ビジョン・価値」啓蒙の協力者として活動していただく存在です。

インナーブランディングには以下5つのステップがあります。

・認知(概念の存在を知る)
・理解(理念の背景や必要性を理解)
・共感(概念実現に貢献したい)
・行動(概念実現にむけ自律的に行動)
・定着(概念が仕事の意欲になる)

「弁護士ドットコム」の各チームにブランドリーダーを設置し、この5つのステップの施策をブランドリーダーと協力しながら進めています。

なぜブランドリーダーが必要なのかを説明するにあたって、「弁護士ドットコム」のチーム編成をご紹介します。以下のスライドにある上の5つのチームは、チームごとに日々ミッションを追求しながらサービス改善を行なっているチームです。下の2段のチームはそれらのチームを横断的にサポートしているチームです。

リブランディングのプロジェクトチーム自体は、緑の枠のメンバーが中心となって進めていましたが、そうなると上のチームの人が誰も関わらない状況でした。

このままの体制だと最悪のシナリオが起きなくはないな…と危惧しました。たとえば、メンバーにブランドアイデンティティを理解してもらえなかったり、仮に知っていても行動に結びついていなかったり、新しいメンバーが入ってきても周知できなかったり…。その結果、サービスのブランドアイデンディディが反映されず、ユーザーに正しくサービスの価値やビジョンが定着しないということがありえるかもしれないと懸念しました。紙などでブランドアイデンティティの見える化をしたところで、メンバー全員に認知・理解してもらうには足りないな…どうしよう…と悩んでいた時に、ある資料にたどり着きました。

以下は、電通さんが発表しているインナーブランディングの各施策の効果分析表です。

この資料から、「認知・理解」に有効な施策を見ると、業務に近いところでのコミュニケーションが適していそうなことがわかりました。そこで、各チームにブランドリーダーを設置するのが望ましいと思い、協力してもらうことにしたのです。

ブランドリーダー育成のためにはまず、ブランドリーダーと主要メンバーを交えて、「弁護士ドットコム」のビジョンやユーザーに提供したい価値を表したストーリーを皆で作成する会を開くことにしました。まず事前に私の方で大まかなストーリー案を用意して、それを元に皆で議論しながらブラッシュアップしていくという流れです。

ストーリー作成後、会の効果を測るために参加メンバーへアンケートを実施したところ、「自分ごと感が増した」「自分がやるべきことを自発的に考えるようになった」という回答が多くあがりました。

またブランドリーダーの感想では、「具体的な行動イメージがわきました」「ユーザーの状況や心理について、もっと情報収集しなければ」「自分がやっている業務も弁護士ドットコムが提供する価値の一部なんだと感じることができました」という声をいただけるようになり、インナーブランディングの第一歩としては成功かなと思っています。

ブランドリーダーを巻き込む時に気をつけたこと

ストーリー作成でブランドリーダーを巻き込む時に懸念したことがあります。「ただお願いされたからやる」「やる意味がわからない」「やらされてる感」こういう気持ちで臨まれてしまうのは嫌だなと思ったので、インナーブランディングのステップに沿って、まずは「理解」と「共感」をブランドリーダーが得られるように意識しました。このステップでは、「理念や価値の理解」と「自分の仕事にやる意義を感じる」ことが大事だと考え、きちんと達成できるような伝え方をするために、自分の過去の経験等から以下の4つのことに注意しました。大きく分けて2つで、「自分と同じ視点に立ってもらうこと」と「モチベーションを高めること」です。

①ゴールと「して欲しい事」を明確に伝える
相手にお願いしたい役割を明確にすることによって、自分の役割を具体的に描けるようになり、ゴールの理解が深まります。また、相手と自分の認識を一致させることで、ズレを防ぐことにもつながります。そのために、長期・中期・短期のゴールをメンバーに伝えてすり合わせました。
②この活動によって得られる価値を伝える
「やる価値がある」という実感を相手の中に生み、ワクワク感を醸成することが必要です。自発的にやりたい気持ちは、それがないと経験上、湧き上がってこないように感じていますので、この活動によって得られる相手の価値や会社の価値をわかりやすく伝えるように工夫しました。
③熱い想いを真剣に伝える
相手にワクワク感や、やる価値を感じてもらうには、発案者のやる気やワクワク感が伝わることが大事だと考えました。私は感情を表に出すことが苦手なんですが、それでも、どうすれば相手に自分の熱意が伝わるかを真剣に考え、メッセージを入念に準備して真剣に伝えところ、相手にもそれが伝わったように思います。また、自分一人だけでがんばるのではなく、社長の力を借りて熱い思いを語ってもらうこともしました。トップの熱い想いはメンバーにもかなり刺さっていましたね。
④「あなた」でないと駄目
「誰でも良い」のではなく、「自分にしかできない」ことで頼られると、どんな人でもやる気が増すと思います。その時、つい忘れがちになってしまいますが、「あなたでないと駄目」な理由もすべて明確に伝えるようにしましょう。

そうした結果、おかげさまでストーリー作成にメンバー全員が真剣に取り組んでくれました。今後も様々なインナーブランディング施策の実施を計画しています。「弁護士ドットコム」のリブランディングはまだ始まったばかりですが、この巻き込む時の4つの観点は他の施策でも使えそうなので、意識していきたいと思っています。

当日の発表した資料は以下よりご覧いただけます。
インナーブランディングに大事な他者の巻き込み方

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