4年前、人口1万人の宮崎県都農町に「HOSTEL ALA」をつくりました。
観光地でもない町に、わざわざホステルを?とよく聞かれます。
理由はシンプルで、僕にとってここは「まちづくりの合宿所」をつくるのに一番ふさわしい場所だったから。
そして委託事業に偏らず、自社直営の柱を持ちたかったから。
もうひとつは、この町で“観光をつくる”こと自体に可能性を感じたからです。
4周年を迎えたいま、その3つの理由と4年間の歩みを振り返りつつ、これからの挑戦について書きたいと思います。
1.まちづくりの合宿所
「合宿所」と言っても、スポーツの合宿じゃありません。
まちづくりや地方に関心のある人が集まり、難易度高くて正解のないテーマを、なにもない環境でじっくり話し合える、話すしかない拠点。
これがALAの原点です。
都農町には有名な観光資源はないけれど、町そのものを題材にすれば学びや気づきが生まれる。学生や社会人が集まり、地域課題を一緒に考える。地元の子どもたちも混ざって「未来の町」について語る。そんなシーンを何度も見てきました。
「ただ泊まる」じゃなく「出会い、考える」ための宿。
4年間で少しずつ、そのイメージに近づいてきたと思います。
2.自社直営としてのバランス
僕らの仕事の多くは自治体や教育委員会からの委託事業です。
やりたいことが、公共の場づくりや教育なので、委託事業は積極的に取り組んでますが、公金の宿命、単年度契約で翌年、一気になくなるリスクと背中合わせ。
もうひとつ、まちづくりベンチャーとして、いくらやりたいこととはいえ、委託事業だけだと、直接のリスクがないため、ぼくを含めてメンバーの逼迫感や当事者意識が薄まるリスクも大きいと考えてます。
そんなわけで、委託に依存しない「直営事業」の存在は不可欠。
ホステル事業は波もあるし経営的には厳しいことも多いけど、自分たちでコントロールできるのが大きい。
決して大きな数字ではないけれど、イツノマメンバー、インターン生の活躍、協力で黒字化。小さいながらキャッシュで貢献。
専業ホステルじゃないので、品質的にはまだまだと自覚してますが、全員でできる清掃には気合。ぼくの担当は広大な敷地の草刈り。
肉体的に大変だけど、地方創生やまちづくりが口先だけでなく、この地に毎日いないとできない仕事だと実践できるのもホステル事業のよいところ。
3.観光を“創造”する
3つ目の理由は「観光をつくる」という挑戦。
都農町には都農神社と都農ワインという、ぼくら的には2大コンテンツがある自慢の町ですが、とはいえ“観光名所”といえる場所ではありません。
でも、だからこそ「町そのものを体験資源にできる」と考えました。
実際、高校生のスタディツアーは毎年開催して5年目だし、大学生や社会人のスタディツアーも増えていきています。
地域の中学生と一緒に未来の町を考えたり。来た人が町に新しい視点をもたらしてくれるし、町の人もそれに刺激を受ける。
抽象的なテーマにとどまらず、地元の南国プリンを東京でプロモーションしたり、地元のスーパーで販売するハンバーガーの商品企画を高校生と一緒に取り組んでます。
観光客というより「都農を好きになってくれる仲間」を増やすこと。
それがALAを拠点に進めていきたい観光のつくり方です。
4.小さな勇気で一歩を
5年目に向けて、大きな拡張計画があるわけじゃありません。
でも、合宿所としての機能をもっと深めたいし、スタディツアーを広げたい。リモートワーカーや長期滞在者に選ばれる宿にもしていきたい。
大事なのは「小さな勇気で一歩を踏み出す」ことだと思っています。
ホステルを開いたのも、小さな一歩。
クラファンでトレーラーハウスを増築したのも、小さな一歩。
中学生たちがALAに遊びに来るのも、小さな一歩。
その一歩が重なって、4年が経ちました。
HOSTEL ALAを支えてくれたすべての人に感謝しています。
投資と施工をしていただいているオーナーの秀建設さん、
クラファンで応援してくれた方、自治体や教育機関の皆さん、そして泊まりに来てくれているゲストのみなさん。
4周年を迎えましたが、ALAはまだ完成していません。
むしろこれからも未完成のまま、穏やかな挑戦を続けていくと思います。
どうぞ5年目のALAにも遊びに来てください。
一緒に考えたり、笑ったり、町を歩いたり。
そんな日常の中に、小さな勇気と新しい景色がきっと見つかるはずです。