採用のミスマッチを防ぐ鍵として注目される「カルチャーフィット」。
本記事では、カルチャーフィットの定義やスキルフィットとの違い、導入のメリット・デメリットを整理して解説します。
面接で役立つ具体的な質問例や採用成功事例も紹介しますので、自社に最適な人材を見極めるための参考にしてください。
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カルチャーフィットとは
カルチャーフィットとは、Culture(文化)とFit(適合)を組み合わせた造語で、採用活動においては「候補者の価値観や行動特性が、自社の企業文化や社風とどの程度一致しているか」を指す指標です。
これまでの採用では、過去の実績や技術力を評価するスキルフィットが最優先されてきました。しかし、どれほど優秀なスキルを持っていても、企業のミッションや価値観に共感できなければ、早期離職や周囲との不和を招くリスクがあります。
そのため、現在の採用戦略では、スキルとカルチャーの両面から適応性を判断することが不可欠となっています。
カルチャーフィットとスキルフィットの違い
スキルフィットとは、個人のスキルと企業が求めるスキルの一致度を示す言葉です。
カルチャーフィットとスキルフィットの主な違いは、スキルフィットが「その業務を遂行できるか(能力)」を評価するものであるのに対し、カルチャーフィットは「その組織で共に成長し続けられるか(価値観)」を評価するものである、という点です。
| 比較項目 | カルチャーフィット | スキルフィット |
| 評価の対象 | 価値観、性格、志向性、行動特性 | 技術、経験、知識、資格、実績 |
| 判断基準 | 自社の社風やMVVに合うか | 業務遂行に必要な能力があるか |
| 期待される効果 | 定着率の向上、組織の活性化 | 業務遂行・推進、成果の創出 |
| ミスマッチの影響 | 早期離職、周囲との衝突、士気低下 | 業務の停滞、目標未達成 |
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カルチャーフィットが採用で重要視される背景

履歴書上のスペックが完璧な人材を採用しても、組織の価値観との相性にズレがあれば、早期離職や生産性の低下は避けられません。採用コストが高騰し、働き方が多様化する現在、カルチャーフィットを見極めることは「採用の成否を分ける生命線」となりました。
なぜ今、カルチャーという目に見えない要素が、経営の成否を左右する重要課題として浮上しているのか。その要因を2つの側面から整理します。
採用コストの増大と「早期離職」のリスク回避
労働力不足が加速する現在、一人当たりの採用コストは上昇し続けています。せっかく高額なコストを投じて優秀なスキルを持つ人材を採用しても、社風に馴染めず早期離職されてしまえば、その投資はすべて無に帰します。
調査によれば、入社半年以内に離職が発生した場合、採用費や教育費、人件費などを含めた企業の損失額は1人あたり最大640万円にのぼるという試算もあります。
単なる「定着率」の問題ではなく、「採用ROI(投資対効果)を最大化させるための防衛策」として、カルチャーフィットの確認は不可欠なプロセスとなっています。
働き方の変化
ハイブリッドワークやフルリモートが一般的になり、チームメンバーが物理的に離れて働く「孤立化」しやすい環境がスタンダードになりました。対面でのコミュニケーション機会が限られる中では、従来のように対面での空気感や手取り足取りのマネジメントで足並みを揃えることは困難です。
こうした環境で組織の推進力を支えるのが、カルチャーフィットです。自社の価値観に深く適合している人材は、たとえオンライン中心の接触であっても、企業の判断基準や目指すべき方向性を正しく認識できます。
共通の価値観が個人の行動指針となるため、細かな指示がなくても迷わず自律的に動くことが可能です。物理的な距離があっても高い生産性を維持できる組織を作る上で、カルチャーフィットは今や欠かせない要素となっています。
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カルチャーフィットを重視した採用のメリット・デメリット

人材が企業にカルチャーフィットしていることのメリットにはどのような点を挙げることが出来るのでしょうか。
ここでは、カルチャーフィットのメリット・デメリットを解説します。
メリットその1:早期離職を防止できる
カルチャーフィットしていることのメリットとしてはまず早期離職の防止に効果がある点を挙げることができます。
入社した人材が「この会社は自分に合わない」と感じた場合には早期離職につながってしまいます。
しかし、カルチャーフィットしている人材は価値観の近い従業員とともに業務を遂行し、企業に適応するため早期離職につながりにくいのです。
またカルチャーフィットしなかった人材の退社は定着率の低下を招き採用コストを上昇させるうえ、長期的な企業の成長に影響を与えてしまいます。
そのため、カルチャーフィットは人材が企業に定着し長期間活躍するための大きな要因であるとともに、企業側にとっても成長性を保つための必要な要素なのです。
メリットその2:円滑なコミュニケーションに結びつく
カルチャーフィットしている人材は周囲と考え方や感じ方が近いため良好な人間関係を構築できます。
そのため、社内のコミュニケーションが円滑になるというメリットがあります。
カルチャーフィットしていない場合、入社した人材のモチベーションが価値観の違いから低減してしまう可能性があります。
また考え方のズレから周囲がストレスを感じ業務効率の低下につながることもあるでしょう。
カルチャーフィットによりコミュニケーションが円滑であれば、スムーズな意思の疎通や考え方の浸透が可能となるため業務の効率化にも結びつくのです。
メリットその3:生産性が高まる
カルチャーフィットしていると企業やチームと共通の価値観のもとで業務に取り組むことができます。
したがって、カルチャーフィットしている人材は主体的に行動することができるという特徴があります。
さらに企業の考え方を深く理解した上で高いモチベーションを持って業務に当たるため、早期に戦力となるのです。
こうした点からカルチャーフィットしていると生産性が高まり、企業にとっても成長に寄与する人材であると言えます。
カルチャーフィットを重視した採用のデメリット
ここまでメリットをご紹介しましたが、カルチャーフィットを活用するうえで注意しておきたいポイントもあります。
それは、カルチャーフィットが行き過ぎると企業にとって多様性の喪失を招いてしまうという点です。
同じような考え方や価値観の社員が集まってしまうと、新しい発想や社内での議論が起こりにくくなってしまいます。
変化のスピードが速い現代においては、カルチャーフィットを重視しすぎると停滞した企業文化が成長の阻害要因となる場合があるのです。
そのため、採用活動ではカルチャーフィットをひとつの指標にとどめ、社内にない新たな考え方を持った人材を獲得する姿勢を持つことも重要と言えます。
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カルチャーフィットを採用に活用する4つのステップ

カルチャーフィットを採用活動で活用するためには、いくつかの準備を進めておく必要があります。
1.自社のカルチャーを明確化する
最初に必要なステップは自社のカルチャーを定義し、明確にしておくことです。
採用担当者が自社のカルチャーについてきちんと理解し説明できなければ、人材がカルチャーフィットするかどうかを客観的に判断することができないためです。
カルチャーを明文化するためには、「文化と経営」についての世界的権威であるオランダ・マーストリヒト大学名誉教授のヘールト・ホフステード博士による組織文化モデルを参考にすると良いでしょう。
博士は組織文化を「6つの独立した次元と2つの半独立の次元」と表現し、6つの独立した次元について次のようにモデル化しています。
「手段重視か、目標重視か」「内部論理か、顧客優先か」「仕事の規律は厳格か、ゆるやかか」「職場の関心は、上司か専門性か」「組織はオープンか、クローズドか」「従業員志向か、仕事志向か」
参考:【Hofstede Insights JAPAN】組織文化
2.カルチャーを考慮した採用ペルソナを設定する
自社のカルチャーを明確にしたら、次にカルチャーを考慮した採用ペルソナを設定しましょう。
ペルソナの設定とは対象となる架空の人材を想定して人物像を詳細に作り上げることです。
ターゲットが性別や学歴などの属性を中心に構成されるのに対し、ペルソナは価値観やライフスタイルなど多くの要素からきめ細かく決めていきます。
採用ペルソナの設定にあたっては、社内で活躍する社員を対象にヒアリングを実施してどのような考え方・価値観に基づいて行動しているのかを分析するとよいでしょう。
採用ペルソナの設定方法についてはこちらの記事で詳しく説明していますので、合わせてご覧ください。
【関連記事】採用ペルソナとは
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3.候補者の価値観や志向性を選考時に確認する
設定したペルソナとマッチする候補者に対しては、選考段階で価値観や志向性を確認しましょう。
自社カルチャーとして明確にした項目について、同様のシーンで候補者がどのような思考や行動に至ったのかを質問するのです。
候補者が過去にどのような経験をしてきたのか、その際の意思決定に至るまでのプロセスはどのように進んだのかについてヒアリングします。
選考時の確認は面接で行うのが一般的ですが、別の手法も併用するとカルチャーフィットについて多面的な判断が可能となります。
配属先のメンバーやキーパーソンとの面談機会を設ければ採用担当者とは異なる視点から評価することができます。
また社内のイベントに参加してもらい、社員と自由に交流してもらえばカルチャーフィットするかどうかをより診断しやすくなります。
4.社内のカルチャーを発信する
明確化した自社のカルチャーは、外部に対して積極的に発信しましょう。
求職者は待遇だけでなく自分にマッチしている会社かどうかについての情報を求めています。
またカルチャーや価値観が自分に合っていると判断した場合には転職潜在層からの応募につながる可能性もあります。
自社カルチャーの発信においては、社員ひとりひとりが発信者となり社内の雰囲気や考え方を伝えることが重要です。
採用サイトやオウンドメディア、それに各種サービスを利用した自社カルチャーの発信を採用広報の柱の一つとして位置づけましょう。
Wantedlyでは企業のページやブログを簡単に作成することができ、自社のカルチャーを本格的に発信することが可能です。
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カルチャーフィットを面接で見極めるための質問例
カルチャーフィットした人材を採用するためには、面接での質問内容がカギとなります。次の4項目を質問することで、候補者の価値観や志向性を見極めましょう。
【関連記事】カルチャーフィットが難しい理由
1.自社のカルチャーに沿った質問
自社のカルチャーにフィットするかどうか、まず候補者の価値観・行動特性を確かめましょう。
このとき、自社のカルチャーが「失敗を恐れず、積極的に挑戦するカルチャー」だからといって、「チャレンジ精神は高いですか?」などと直接的な聞き方をするのはよくありません。合否が決まる面接の場では、誘導尋問となってしまうでしょう。
したがって以下のように、過去の実体験から候補者の価値観・行動特性を引き出すのがオススメです。
質問の例 ・変化のスピードが早いカルチャー ・仕事に対する責任感を重視するカルチャー |
また、候補者の経験・考え方を深掘りする際は、以下の「STAR」の順に質問するとよいでしょう。価値観や行動特性と同時に、スキルや実績も見極められます。
【関連記事】STAR面接とは
S(状況:Situation) T(課題:Task) A(行動:Action) R(成果:Result) |
2.仕事をするうえで大切にしている価値観
次に、仕事をするうえで大切にしている価値観やこだわりを聞いてみましょう。
オープンなコミュニケーションや協調性を重視するカルチャーに対して、個人の成果や自己成長を重視する人材はあまりマッチしません。
回答の仕方が限定される1の質問と違い、自由に回答できる質問のため、候補者の率直な意見を引き出せます。意外な価値観も発見できるため、ミスマッチ防止につながるでしょう。
3.成し遂げたいこと・キャリアプラン
候補者のやりたいことが、企業のミッション・経営方針と一致していることも重要です。ミッションに共感していなければ、たとえカルチャーに馴染めたとしても入社後のモチベーションが維持できず、早期離職してしまう恐れがあります。
したがって、「仕事を通して実現したいことは何か」「今後どんな仕事にチャレンジしていきたいか」など、候補者の今後の展望やキャリアプランも質問してみましょう。
4.逆質問
いくつか質問した後に、「何か質問はありますか?」と候補者からの逆質問を促すのもオススメです。
候補者は逆質問の際、企業選びで重視するポイントや興味関心の高い分野について質問する傾向があります。業務内容・社風・福利厚生・評価制度・研修制度など、あらゆるジャンルの中で候補者がもっとも知りたがっているポイントがわかれば、仕事に対する考え方や価値観の理解につながるでしょう。
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カルチャーフィットした人材の採用に成功した企業事例5選
ここではカルチャーフィットした人材の採用に成功している企業の事例について紹介します。
1.株式会社ココナラ

株式会社ココナラは、採用においてカルチャーマッチを最も重要している企業です。独自の施策を行い、会社のバリューに共感するカルチャーフィットの高い人材の採用に成功しています。
- 「カルチャーブック」を制作しバリューを言語化
- ダイレクトスカウトは「個人のWill」とのマッチングを重視
- カルチャーフィットするかしないかの判断基準は「その人が人生のターニングポイントで何を選択基準にしたか」
【関連記事】ココナラが語る、組織が急成長してもぶれないカルチャーを築く方法
2.株式会社estie

株式会社estieは不動産データプラットフォームの開発・提供を行っている企業です。
創業当時はミッションやビジョンを持たずにリファラル採用を行っていた同社。採用は順調でしたが、組織が大きくなるにつれて「社長が何を考えているのかわからない」という声があがるようになり、企業の指標が言語化されていないことが課題となっていきました。
同社は課題解決のため、ディズニーやマッキンゼー・アンド・カンパニーなど、アメリカの有名企業の手法を真似てパーパスを作成します。
これまでなんとなく抱いていた「なぜ事業を行っているのか」を言語化しました。
パーパスの発信にはWantedlyを活用。ブログ機能などでオープンに発信を開始した結果、必然的にパーパスに共感した人と面接ができるようになり、採用活動に多大な効果をもたらしました。
同社の事例ではパーパスを軸にした情報発信は大きな価値を生むことがわかります。これからの時代、パーパスの発信力は企業の採用力に大きく貢献していくことでしょう。
以下の記事は、同社社長のインタビューです。
パーパスの策定から情報発信、採用までの一連のフェーズをお話しているため、より詳しく知りたい方はご覧ください。
【関連記事】ミッション・ビジョンではなく、バリューとパーパスを重要指標に/株式会社estie
3.TonTon,inc

株式会社TonTonは2013年の設立以来、不動産ビジネスを展開してきました。
同社では「人」と「繋がり」を重視しているため自社の理念に共感してくれる人の採用に取り組んでいます。
しかし、大手求人媒体への求人広告の掲載は採用単価の高さや会社理解度の低さがネックとなっていました。
そこで不動産業界だからではなく、TonTonという「会社」に「惚れて」入社する人材の採用を模索し、自社カルチャーの言語化に取り組み、読み手に刺さる表現についての試行錯誤を繰り返しました。
同社では社内に対してもカルチャーを伝えていく姿勢を心がけた結果、カルチャーフィットした人材の採用に成功しています。
【関連記事】共感型採用で、不動産業界のターゲットにリーチするためのWantedly活用方法
4.株式会社Wiz

株式会社Wizは2017年の創業以来、「ヒト」と「企業」の課題をITで解決する企業としてIoT事業やICT事業を核に幅広いITビジネスを展開してきました。
同社では大手求人媒体を利用していたため、求人条件を元に検索し応募する求職者の多いものの理念やカルチャーに共感した人材からの応募が少ないことが課題となっていました。
そこで自社のカルチャーを積極的に発信し、カジュアルなやり取りを取り入れ、条件に頼らない募集記事を増やしたところ「一緒に働きたい」と考える求職者からの応募が増加しました。
【関連記事】「ヒト」重視の採用だからWantedlyがしっかりマッチした
5.株式会社manaby
株式会社manabyは2016年の創業以来、独自のe-learning学習システムを展開しWeb制作やデザインなどITスキルを学ぶ機会を障害者の方々に提供する事業を展開してきました。
同社は「一人ひとりが自分らしく働ける社会の実現」を目指すソーシャルベンチャー企業として事業所を増やし採用活動を積極的に行っています。
採用にあたっては想いやビジョンの共有、そして共感をベースにしていることからカルチャーフィットを重視しています。
そのため、同社の方針や考え方、価値観に共感した人材からの応募が増加しました。
またWantedlyを活用することで応募に至らなくとも同社を認知し、ビジョンやミッションを知ってくれるという効果もあります。
共感に基づくカルチャーフィット採用が会社の規模拡大にも貢献しています。
まとめ
今回はカルチャーフィットについて説明しました。
カルチャーフィットしている人材は社内コミュニケーションも円滑で自律的な活躍も期待できるなど大きな戦力となることが可能です。
スキルフィットとともにカルチャーフィットをバランス良く取り入れ、マッチング率の高い採用活動を実現しましょう。
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