未曾有のエンジニア不足のなか、 オイシックス・ラ・大地株式会社が採用できている理由

近年ますます難しさを増しているエンジニア採用。豊富なスキルと経験を持ったエンジニアはなかなか転職市場では出会えないのも実情です。そのような中、オイシックス・ラ・大地株式会社では、人事とエンジニアがタッグを組んで「採用課題」や「自社の魅力」を洗い出し、発信を重ね、エンジニア採用を行ってきました。その軌跡について、人事採用担当の小穴貴子さんとシステム本部で副本部長を務める植木雅幸さんにお聞きしました。

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優秀なエンジニアを採用するコツを公開

自社にマッチした優秀なエンジニアにアプローチできていますか?

開発に馴染みのない採用担当者や経営者にとって、エンジニア採用の要件を正しく設定することは容易ではありません。

そこで、優秀なエンジニアを採用するために押さえておきたいポイントを、1つの資料にまとめました。

専門知識を持たない採用担当者の方にも簡単に理解できる内容になっていますので、ぜひご覧ください。

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▼プロフィール
小穴貴子(オアナ タカコ)さん

HR本部/人材企画室/人材スカウトセクション マネージャー

大手人材系企業にてテクニカルサポートや主に採用にまつわる人事領域の仕事を8年経験。子どもが生まれたことをきっかけに、食やそれらを取り巻く社会課題に興味を持ちはじめ、2021年10月にオイシックス・ラ・大地株式会社に入社。エンジニアポジション月推薦数を1.8倍に増やしたり、現場巻き込み型採用への変更や採用スキルアップ勉強会の実施。選考スピード改善により、最短1週間で内定承諾得るなどの成果をあげる。現在は2児のママでもある。

▼プロフィール
植木雅幸(ウエキ マサユキ)さん

システム本部 副本部長

SIer、車載ソフトウェア開発向け開発ツールの企画・開発などを担当。自分の子どもに「お父さん仕事何やっているの?」と言われた時に、イメージしやすい仕事がしたいと思いオイシックス・ラ・大地に2019年3月に入社。当初のミッションはソフトウェア品質の向上。現在ではWebフロントエンドとモバイルアプリ、バックエンド、SREセキュリティを担当する。現在は2児のパパ。 

サービス開始から約20年、蓄積された技術的負債を解決するには?

植木雅幸さん(以下、植木)私が主に関わっているOisixは創業から現在22年目のサービスです。創業時から作り替えていないシステムもあるために、レガシーシステムへ技術負債が溜まり迅速な開発や機能改善に支障が出ていました。 

たとえば、フロントエンド、バックエンド、データベースが密結合していまそのため、フロントエンド側で機能を変えたい場合にバックエンド側でも変更が必要なケースが見られます。バックエンドを変えた場合はテスト工数が膨れ上がってしまうため、機能開発に数か月かかるなど、さまざまな影響が出ていました。

そのような溜まった技術負債をなんとかすべく2018年頃から改革を行っていました。今となっては古くなったJSPという技術を使っていたフロントエンドはVue.jsに。バックエンドはマイクロサービス化を進め、インフラは国内データセンターからクラウドに移行して、事業にマイナスのインパクトを及ぼしそうな領域から徐々に改善を図っています。とはいえ、事業を進めながら改革を実行できるエンジニアも足りておらず、なかなか進みませんでした

小穴貴子さん(以下、小穴):そのような中、私は2021年10月に人事採用担当として入社しました。当時、会社全体として「エンジニア採用は重要」という意識はあったものの「何が課題で、何がうまく行っていないのか」が整理できていなかったように思います。

最初の1~2か月は現状把握とエンジニアとの関係構築に努めました。個別に植木さんをはじめ、各ポジションの担当マネージャーにヒアリングをしたところ、みなさん自分のやりがいや意義をきちんと持って業務に取り組まれていました。一方、採用目線で「エンジニアとしてその仕事に取り組む意義」や「人材を引き込む際に自社の魅力をどのようにアウトプットすればいいのか」について言語化できている方は少なかったように思います。ゆえに必要な人材に対してきちんとメッセージを届けられていなかった。

とはいえ、これは仕方のないことだったと思います。当社は企業理念を『これからの食卓、これからの畑。』と定めています。より多くの人が良い食生活を楽しみ、より多くの食を作る方が報われ、誇りを持てる仕組みを目指している。この理念に共感して入社する方が多いんです。もちろん、この理念共感度の高さが有利にはたらく場面もありましたが「事業の強さ」だけに頼らずに採用ができるようにしたいと思っていました。

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採用の魅力は根気強く深ぼってこそわかるもの

小穴:最初に各マネージャー陣1on1でヒアリングをした際、「応募者さんに対して、当社で働く上で、どのような魅力をあげますか」と聞いても「何があるかな?」といった状況だったんです。「魅力がない」というよりも、聞かれて考えたことがはじめてだったのだと感じました。ヒアリングを重ねていく内に、採用課題の整理と、魅力の整理ができていきました。根気強く質問やコミュニケーションを重ねていくと、魅力の要素は出てきます。人事の役割は最初から魅力を引き出すことよりも、何度も中長期的にコミュニケーションを重ねて本質的な魅力を見つけることだと思っています。 

植木:小穴さんがジョインして、エンジニアチームと採用チームの定例MTGも変わりましたね。面接トレーニングや、採用マーケットの状況や、採用競合のインプットなどの勉強会も実施してくれました。採用の進捗を確認するだけでなく、「これをやってみたらどうですか」と提案をいただけたのは有り難かったです。

小穴:基本的な考え方は、採用したいターゲットとなるエンジニア人材と「出会いの数をいかに増やすか」です。何か特別なことをしたというよりも、一つひとつの施策をしっかり行ったイメージでしょうか。 

魅力を可視化するなかでは、とくに「どのような想いを持って今の課題に取り組んでいるか」を詳しく聞き、採用メディアの『ORDig』やWantedlyで社員インタビューなどの発信を行いました。これまでは当社のミッションと事業課題への接続がなく、事業認知度とイメージと実際に行っていることのギャップがあったので、それを埋めるコンテンツを作った形です。Wantedly内にも「なぜ、この事業に取り組むのか」という項目がありますが、これを聞くのはお互いに考えていることの言語化ができ、非常にポジティブな影響があったと思います。また、エージェントと直に各担当のポジションの方と会ってもらい理解を深めるなどして、採用のペルソナ要件をブラッシュアップして行きました。

植木:話していく中で見えたペルソナの1つは、「レガシーなシステムを技術でなぎ倒すことにモチベーションを感じる方」です。少々乱暴な表現かもしれませんが、人の運用で頑張るのではなく、技術や仕組みを使って前向きに立ち向かうエンジニアは、今のOisixのフェーズに合うと思っています。

レガシーなシステムを再構築した経験者の方が、具体的な話ができるのでマッチングしやすいです。しかし、あまり転職市場にいらっしゃらないのも実情。ですから、未経験でも「やってみたい」という方には、「情報の取り方」や「勉強の仕方」についてなど、技術への向き合い方についての質問から適正を見させてもらっています

カジュアル面談では業務について「池の水を全部抜いて綺麗にする仕事です」と例えることがあります。水が濁って外来種が増えた池の水を抜き、掻い掘りして掃除してまた水を入れ直す。体力も人数もいりますが、効果が大きい。そのような仕事にモチベーションを感じてくれる方に入社して欲しいと思っています。

また、面談や面接では、現状を可能な限り正確に伝えたいと思っています。入社されて「こんなはずではなかった」というリアリティショックを起こさないようにしたいのです。

小穴当社の社員はカジュアル面談にかなり協力的なので有り難いですね。企業によってはカジュアル面談を人事に任せきりにしているケースも少なくありません。採用後、一緒に働くエンジニアが具体的に会社の業務や技術的な話をできる方が、採用には効くと思います。

執行役員兼システム本部・本部長の大木聡の存在も採用では大きいですね。大木はアマゾンジャパンから2020年12月にオイシックス・ラ・大地株式会社にジョインしたのですが、アマゾンの面接手法を持ち込んでくれました。「行動に基づいた質問」を多く重ねて追求していく形でかなり深くまで論理性と思考を見る面接です。人によっては少しハードな面接と感じるかも知れません。ただ、その大木の深掘りの面接によってお互いの理解が深まり「入社したい」となる方も多く、実際に活躍している印象があります。 

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エンジニア採用が難しいなか、徐々に成果が

植木:一連の取り組みの結果、エンジニア採用でも一定のポジションで成果が見えてきました。とくにWebフロントエンドエンジニアは当初苦戦していましたが、ここ1年ぐらいで4名採用できています。 

小穴:エンジニアのなかでは「池の水を抜く」や「技術でなぎ倒す」といったキーワードで事業貢献してくださる方はニッチではありますが、出会えた印象があります。KPIとしてダイレクトリクルーティングでスカウト数を追ったり、エージェントでも母集団の数を追ったりするよりも、「中身の質を追う」ことに注力した結果かと思います。 

植木他社も同様だと思いますが、当社も技術負債に苦しんでいるのは事実ですし、その改善に努めています。ただ、それを解決するだけで終わってはいけません。その先にあるUI/UXの改善といったユーザへ価値のある開発に向かい、技術で事業に貢献できるエンジニア文化を作って行きたいです。そのためにも余力は必要ですから、まだまだ採用と向かい合っていきたいと思っています。

小穴:今後、ずっと更新できていなかった採用サイトのリニューアルを予定しています。採用サイトでも単なる野菜や食品を売るミッションだけでなく、その先にある世界観を示したい。きちんとコンセプトの設定や魅力の整理整頓ができると良いと思っています。

採用サイトのリニューアルに合わせてWantedlyの活用もより強化したいですね。今はWantedlyでプロフィールを登録している社員はまだ一部です。メディアによる採用広報の活動と同時に、「どのような人がいるのか」や「どのような想いを持って働いている方がいるのか」を可視化できたほうが、選考時の候補者体験は上がるはずです。まだまだ、採用活動は道半ばですが、これからも意欲的に取り組んでいきたいですね。

時代の変化に伴い、採用への考え方はアップデートしていく必要があります。
以下の記事では、これからの採用に必要な基本的な考え方や、採用のトレンドについてわかりやすくまとめています。

「採用がうまくいかない」とお悩みの方は、採用への考え方をアップデートすることで、自社にマッチした人材の採用に繋がるでしょう。

【採用の新常識】上手くいかない採用から脱却するために必要な考え方
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