日本を代表する起業家へ、24歳の経営者が見据えるビジョン|#9 株式会社タイミー代表取締役 小川嶺氏

スタートアップに必要な「採用・組織づくり」のポイントについて河合聡一郎氏と探求する連載。今回は、スキマバイトアプリ「タイミー」を運営する株式会社タイミーの小川嶺氏です。小川氏は弱冠24歳にして30億超えの資金調達を行い、組織も急拡大させていますがどのようにタイミーを創ってきたのでしょうか。タイミーのビジョン策定にも携わっている河合聡一郎氏が聞いていきます。

スタートアップの最適な採用方法

スタートアップ企業において、採用は非常に重要なミッションです。そして、会社のフェーズによって、適切な採用手法は変わるもの。成長フェーズに合わせた採用ができるかどうかで、採用成功の確率は大きく変わってきます。

この資料では、急成長するスタートアップ企業のために、成長フェーズごとに考えるべき採用戦略、適切な手法を事例付きで紹介しています。

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株式会社タイミー
代表取締役
小川嶺氏

1997年生まれ。立教大学経営学部在学中。高校生の時に起業に関心を持ち複数社でのインターンを始める。2017年にアパレル関連事業の株式会社Recolleを立ち上げるも1年で事業転換を決意。様々なアルバイトを複数掛け持ちする日々の中で「応募から勤務、報酬の受け取りが一つのアプリで完結できたら」と感じ、スキマバイトアプリ「タイミー」の開発に着手。2018年8月10日よりサービスを開始した。「一人一人の時間を豊かに」というビジョンのもと、様々な業種・職種で手軽に働くことができるプラットフォームを目指す。趣味は将棋で認定2段の腕前。
https://www.wantedly.com/id/ogawa_ryo_a

18歳で起業。採用基準は「一緒に飲みに行けるか」

タイミー 小川

河合聡一郎氏(以下、河合):本日はよろしくお願いいたします。タイミー様はシリーズBの資金調達も終わり、ビジネスを更に伸ばしていくフェーズだと思います。実は私、3年半前に事業をスタートさせた頃に小川さんにお会いさせていただいたことがあるのですが、短期間でこの急成長は素晴らしいなと思っていました。本日はその軌跡を、事業や組織の面からお伺いできればと思います。まず、スキマバイトアプリTimee(タイミー)はどのような背景から生まれたのでしょうか?

小川嶺氏(以下、小川):私は今24歳になったばかりですが、高校生の頃から企業を志していまして。高校3年生のときにはトリマーと犬を飼っている方のマッチングサービスの会社でインターンをはじめました。

大学に入ってからファッションの会社を立ち上げたのですが、なかなか上手く行かず1年半で解散。お金がないタイミングでよく日雇いバイトにお世話になっていたのですが、日雇いバイトは非常に不便なんですよね。バイト前に毎回、説明会に行かなければいけなかったり、メールで案件が流れてきたり。「これだけスマホが普及しているのに、もっとアプリだけで完結するモノがあってもいいのでは」と思ったのがサービスをローンチするきっかけです。

河合:大学入学と同時に起業されたのですね。そして在学中に2度目の起業を経験されているとのことで、タイミー様の事業のきっかけも非常にシンプル。ご自身の「こうあった方が良いな」からスタートしているのも共感します。そんな中で、タイミー設立後の仲間集めはどのように行ってきたのですか?

小川:初期メンバーはWantedly経由です。採用コストを大きくかける余裕もなく、コストの安いWantedlyを重宝していました。創業当初は「お金をかけずに、いかにいい人を集めるか」に一番注力していました。あらゆる採用イベントに登壇し、さまざまな方に声をかけて全力で夢を語って口説いていました。エンジニアの採用では、Twitterのプロフィールに「Ruby on Rails」と記載のある方に直接DMをしていましたね。30人~50人までの組織作りはエージェントは使わず、リファラルとWantedlyとTwitterを活用していました。

タイミー 採用

河合:すごい行動量ですね。起業家はフェーズに関わらず、「採用や組織への感度を高く、その設計や実行に対してフルコミットすべき」と私はいつも思っています。実際に、大きく成長している企業の経営陣の共有項とも思いますし、私自身のご出資やご支援の判断基準の1つにもなっています。小川さんはどういう背景から、仲間集めの重要性に早くから気づき、こうした行動量の担保や、口説いてチームを創れることができたのでしょうか?

小川:「1人でできることは限られている」という想いが前提にありますね。中高はサッカー部だったので、「1人のスーパープレイヤーが活躍しても勝てない。11人揃ってようやく勝てる」と思っていました。また、高校3年生のときに生徒会長を経験したのですが、1人で動いても仕方なく、さまざまなメンバーに動いてもらったからこそ、組織として動いていたという実感もあります。

河合:多くの候補者と会っていく中で、面談や面接ではどんな部分を見てらっしゃっるのでしょうか?

小川:当時は「一緒に飲みに行けるか」が1つの基準でした。もちろん、アルコールを飲まない人を採用しないという意味ではありません。困ったときに、社長に直接愚痴を言える関係は30人規模程度の組織だと重要です。フラットな組織を作りたいと思っていたので、飲みに行って「困っていることある?」と気軽に聞ける関係性にしたいと。

そして、メンバーを増やし、権限移譲して自分がやらなくても会社が回るフェーズまで創らないと急成長はできないと思っていました。ただ、権限移譲しても回る組織にしたいとは言いつつ、30人規模から現在の120人規模になったときは「理想の組織構造」や「権限移譲」について考える余裕すらなかったのが正直なところです。常に月次で130%成長し、3か月で売上が2倍になる中、メンバー全員の余裕がまったくない状態でした。

余裕はなかったですが、私以外のメンバー個々人も判断を求められて人間的にも成長していったため、自然と私は権限移譲ができたと思っています。タイミーでは「やっていき」という言葉があります。「とりあえずやっていきながら、振り返って検証していけばいい」という文化です。この「やっていき」が浸透していたこともあり、事業の決定が現場である程度成せていました。たとえ、その判断を間違っていたとしても振り返って直せばいい。だから、私は権限移譲を考える間もなく、メンバーに任せられたのです。

「自分は必要ないのではないか」。苦悩を乗り越え、日本を代表する会社へ

タイミー 小川

河合:会社の中で大切な行動を示す言葉や、文化ができていく中で権限移譲も進み、30~50人規模から一気に100名規模になっていかれたと思います。起業家はフェーズごとに自分と企業との関係性を見直したりするケースが多いのですが、小川さんご自身の役割や変化を感じたりさられましたか?

小川:ええ。一番大きかったのは「自分はタイミーにいらないのではないか」と思ったことです。以前は全社員と自分が1on1していましたし、ある程度自分が把握して動かしていた自信があるのですが、100人規模になると見えなくなるし、見えなくても成長する気持ち悪さが実際にありました。それは、権限移譲が上手く行った形かもしれませんが、自分が必要とされていないような虚無感に襲われたんです。当時は本当に何も見たくなくて、会社のSlackの通知も切って、三日三晩ネットカフェに入り浸っていました。

河合:いわゆる、現場の情報や解像度がだんだん見えなくなってきますよね。事業と組織としてはある意味いい成長ではありますが、一方で、ファウンダーとしては焦りもあると思います。そこはどう向き合って打破されたのでしょうか?

小川:自分自身で内省したのと、シード期に出資してくださったエンジェル投資家に相談したんです。シード投資家は「アイディアに投資するのではなく、人に投資する」と言われますが、それを肌で感じました。「自分は小川君に投資したんだから、会社を辞めるならば投資も回収するよ」と話してくださって。当時はその言葉があったからこそ、踏みとどまれたと思っており、非常に感謝しています。

また、サイバーエージェント藤田社長の言葉も大きかったです。「今こんな状況なんです」と相談しにいったら、「お前がどうなりたいか、だよね」と言われました。その言葉の真意は、「中途半端な起業家で終わりたいならばそのままでもいい。けれど、ソフトバンクの孫さんや、楽天の三木谷さんのように日本を代表する起業家になりたいならば、常にバッターボックスに立ち続けないと自分自身が成長しないし、その領域にはたどり着けない」と。藤田さんの言葉で、あらためて自分が当事者意識を持てなくなるのは危険だと思いました。もう一度、オーナーシップを持ち、細部までこだわって取り組めるようになりましたね。

河合:まさに、創業者が時間軸で「どうなりたいか」「どうあるべきか」という目線を持ち続けることは会社を伸ばすための大事なモチベーションに繋がってきます。実際、事業や会社を大きくしている経営者は大いなる夢や志を描いているからこそ、それがビジョンやミッションとなって表現され、そこに共感した人が集まり、結果的に強い組織ができて事業が成長していく。とくに、新たな経営メンバーの参画は今後の事業成長にも大きく関わります。小川さんは、今後どのような観点で経営メンバーを組成していきたいと考えていらっしゃいますか?

小川:経営メンバーはやはり会社としての顔です。メンバーからリスペクトされる存在であって欲しいと考えています。「この人がこの役職にいるべきだよね」とか「あの役員がいるから自分も頑張れる」と思ってもらえる人間性かどうかはかなり見ています。

また、私とは違う専門領域を持っているかも見ています。ファイナンシャルやアライアンスなど、自分が経験していない領域を任せられる方は有り難いですね。会社の成長をより加速させるためには、より求められる視座も高くなっている。とくにグローバルでの展開経験がある方は見ている範囲が違う。なので、視座を上回ってグローバル志向の経験を持った方と働いていきたいと考えています。

タイミー 採用

河合:今後、さらに会社を非連続に成長させていくにあたり、どのような方向に向かって進んでいくか、会社内に向けてどのようにメッセージを送っているのでしょうか?

小川:まず会社のミッションに、「働くを通じて人生の可能性を広げるインフラを創る」と掲げています。タイミーは世間一般から見ると単発バイトのアプリと見られがちなのですが、そうではありません。タイミーを通じて働き、普段経験しなかったことや出会わなかったコミュニティに属することで、自身の強みや、やりたいことを発見できます。タイミーを通じて人生の可能性を広げる、その後押しをしていきたいと社員にもよく話しています。

そのミッションを達成するために、やはり「No.1」にならないといけません。そのためにどうすればいいのかを各部署でブレイクダウンし、「No.1になるために、この部署ではこれをやります」とメンバーが当事者意識を持って取り組んでいくことが大事だと思っています。首都圏ではタイミーの認知度も向上していますが、地方ではまだまだ。今はまず、47都道府県全域において圧倒的なスピード感で制覇していく会社にしたいです。

ただ、No.1と言ってもがむしゃらに働いたら達成するというフェーズはもう終わっています。しっかり、見通しを立ててロジカルに分解し、「なぜこれをやるのか」や「何をこのメンバーに任せるのか」を分類してマネジメントしていける方に組織を任せたいですね。

最近は「半年後、1年後、2年後にこんな事業計画を引くならば、組織はこうあるべきだよね」という逆算思考での議論ができるようになってきました。タイミーの組織はどのような形が理想かはまだ手探りですが、先を行く各企業の良いところを上手く真似していきたいですね。

メルカリのように「美学が磨かれて、ユーザーエクスペリエンスが高いプロダクト」、リクルートのように「圧倒的なスピード感で各地域の営業を制覇していく筋肉質な営業チーム」、サイバーエージェントのように「実は終身雇用かのように思えるくらいずっと居たい会社」といった要素を取り入れたハイブリッドの形にして、世の中に「タイミーはこんな会社ですよね」と言われるような会社にしていきたいです。

河合:これから組織も事業展開も含めて伸びしろしかないですものね。社員も今いらっしゃる人数から数百人規模にもなっていく可能性が多いにあると思います。どんな組織構造で、どのようなカルチャーでNo.1を取っていくか、起業家にとってエキサイティングなタイミングだなと感じました。これから、組織づくりに対してもよりコミットされると思いますし、さらなる成長を楽しみにしています。本日は本当にありがとうございました。

▼スタートアップが取るべき採用戦略とは?
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