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こどもたちの8日間デュアルスクール

●もしかして、大人の自己満足?こどもはホントに地方暮らしを望んでいるのか

こんにちは、ヒトカラメディアの杉浦です。初動は「面白そう!」、次に「子どもに田舎暮らしを体験させたい」という理由から、デュアルスクール(※)に参加させた親でございます。最初はやや強引な誘い方でしたが、親子で徳島で暮らすに連れ、息子も東京・徳島間の暮らしに慣れてきた様子。

しかし、ふと、「もしかして、息子は私のワガママに付き合って、同行してるだけなのかも」と気が付きました(今さらな気もしますが)。そういえば、デュアルスクールに関わる大人は誰しも「やっぱり来てみてよかった」「楽しかった」と話をしますが、子どもは実際どう感じているだろう?息子だけでなく受け入れる徳島のお子さんたちはどうだろう?

と、いうわけで今回は「こどもたちの8日間デュアルスクール」と題しまして、息子本人と日和佐小学校のお友達3人に聞いたお話をご紹介します。後半はその内容を受けて、彼らの希望を現実化するための話も。

デュアルスクールとは、地方と都市の両方のよさを教育活動に取り入れることができるよう、地方と都市の二つの学校が一つの学校のように教育活動を展開することができる「新しい学校のかたち」のことです。地方と都市、双方の教育委員会の間の合意があれば、転校手続を簡略化して、2校間の移動が容易になります。地方と都市それぞれのよさを体験することで、双方の視点を持った、多面的な考え方のできる人に育てることを目的としています。
▶詳細はこちら https://dualschool.jp/

●こども達にインタビューをしてみました


・ゲスト紹介

・息子
東京出身。デュアルスクール参加者第1号。徳島から帰る度に「今度いつ徳島へ行くの?」と聞く。上の前歯が抜けて、1本だけ大人の歯が生えている。東京ではスイミングスクールに通っている。『おしり探偵』シリーズが好き。

・いっくん(仮名)
神奈川出身。1年の9月から日和佐小学校に転校、現在はすっかり徳島っ子。日和佐小学校へ転校する前に1度お父さんと日和佐を訪れ遊ぶ。サッカーが好き。阿波踊りの地元連に所属。踊り方がキレイと評判。

・ひーくん(仮名)
徳島出身。少年野球をやっている。ポジションは、ファーストもしくはセンター。広島カープファン。広島(※)の菊池選手が好き。登校前に、息子を迎えにきてくれる。

・こうくん(仮名)
徳島出身。少年野球をやっている。ポジションは、セカンド。打順は6番が多い。広島(※)の鈴木と菊池が好き。

徳島は広島か阪神ファンが多いそうです。ちなみに私は愛知県出身なので、中日ドラゴンズファン。

●いざ、インタビュー

<徳島では何をして遊んでますか>

ーー 毎日学校どうですか?何して遊んでる?
いっくん:学校楽しい。1年のときから、うしお連で阿波踊りやってる。阿波踊り楽しい。
息子:体育館で遊んだのが楽しい。ドッジボールとか。
いっくん:壁キック(忍者みたいな)とサッカーがたのしい。川エビ捕り大会ある。

ーー 徳島に来てから遊ぶことは何が増えた?
いっくん:釣り!あとは、阿波踊り、川エビ捕りしてる。
息子:本読んでる。『火の鳥(手塚治虫著)』があったから。学校いる間は運動場じゃなくて体育館遊んでる。体育館で手打ち野球するのが楽しい。スリーベース打った。
いっくん:ぼくホームラン打った!

ーー こっち来て遊ぶことって何が1番楽しい?
いっくん・息子:釣り!!!

阿波踊り、川エビ捕りは、都会じゃなかなか経験できませんね。釣りがこんなに人気とは。

夏といえば、山、海、そして川!透明度が高いので遠くまではっきりと見えます。魚を捕まえようとしている少年たち。



<デュアルスクールってどう?(息子の様子を見て)>

ーー いっくんから見てデュアルスクールはどう?

いっくん:息子、たまに来ておもしろい。楽しいし、一緒に何回も遊べるからいい。楽しそう。

息子:デュアルスクール楽しい。もっと長くいたい。

ーー もっと長くいたいのね。息子、社長とappear in(ビデオチャットツール)で繋ぐからあとでお願いしてみたら?

いっくん:子どもが社長に話すって(笑)

息子:「高井さんに甘いものあげるから許してー(※)」って言う(笑)

※弊社の代表高井はスイーツ男子です。いくつも事例がありますが、詳しくはこちら▼
https://www.facebook.com/hitokaramedia/photos/a.350835581711778.1073741828.337442053051131/891611857634145/?type=3&theater

ーー (息子に対して)他の人にもデュアルスクールをオススメしたい?
息子:はい!すすめたいです!

ーー どうして?どんなところがススメたいとこなの?
息子:おれさー、都会育ちじゃん?都会育ちの人に来てほしいんだよね。自然があってさー、海も近いしさー、ゲームないけど遊ぶことたくさんあるんだよ。あとね、友達と釣り!釣り、絶対楽しいからしてほしい!

確かに、母親から見ても「息子がこんなに外で遊ぶんだ」と、徳島に来て初めて知りました。普段インドアなので少し心配もしていたんです。

ーー (息子に対して)ずっと徳島にいるのはどうです?
息子:やーそれはないなあ。ずっとこっちにいると、都会の味が恋しくなる。俺都会っ子だから。
いっくん:俺だって都会っ子だった。
息子:神奈川県は東京と隣じゃん。近いー。
いっくん:東京だと体育館も運動場も狭いよねー。

息子に後日「何の味(?)が恋しいのか」聞いたところ、「ゲーム(ポケモンガオーレや妖怪ウォッチウキウキペディアなどのアーケードゲーム)」のことでした。確かにデパートのおもちゃ売り場などにしかこのアーケードゲームがないんですよね、、、。ただ徳島では東京と同様に、3DSなどのポータブル型のゲーム機を持っている子はよく見かけました。


ーー (息子に対して)全国津々浦々いろんなところで暮らすのは?
息子:いいよ!



<もしも、自分達がデュアルスクールへ行くとしたら>

ーー (徳島の友達3人対して)逆に2週間自分が東京行くってどう?観光だけじゃなくて学校行くの。
いっくん:行きたい。面白そう。
ひーくん:・・・・。東京タワーは行ったなあ。うーん。
こーくん:どうするかなー。考え中。

意外と即答で「行きたい!」じゃないんですね。

ーー デュアルスクールやってみるとしたらどう?
いっくん:東京と教科書違うから、こっちで勉強して、あっちの分も勉強してってのが大変そう(※)。やるしかないならやるけど。

※デュアルスクール支援員の方が、東京の学校の授業進度を確認してくれ、息子に対して個別にプリントを配布してくれました。その様子からのコメントと思われます。



ーー 前の学校へ行くっていう形で、もしデュアルスクールがあったらどう?
いっくん:うーん。特にいいかなあ。こっちで遊ぶほうが楽しい。向こうの学校、超狭い。1学年5クラスあって800人いて、人が多かった。別の学校なら行ってもいいかも。

学校の生徒数が多いのは、子供目線だと嫌なものだったりもするんですね。自由に動くことができるスペースがあるといいのかな。徳島の学校は、東京の学校と比べて1人あたりの自由に使える面積が10倍〜20倍ほど。かなり空間に余裕があります。

●結論「勉強大変そうだけど、楽しい。もっと長期で滞在したい」

とりあえず、息子も徳島滞在を楽しんでいて、日和佐小学校のお友達も面白そうと思ってくれているようで一安心。デュアルスクールの最低参加期間が「2週間(学校は約10日間。今回は祝日と終業式があったため、学校へ通ったのは8日間)」なので、初回も今回も2週間ほどの参加でした。

仮に日和佐小学校へ1ヶ月通おうと思ったら、どんな問題が生じ、どんな解決方法があるでしょうか。

●1ヶ月のデュアルスクールでの問題と解決方法(予想)

▶前回(2016年10月)の滞在記。デュアルスクールのメリット・デメリットのまとめ https://www.wantedly.com/companies/hitokara-co/post_articles/39358

・子供編



・【問題】学習について行くのが大変になる→【解決方法】学期末が狙い目

今回は7月10日から20日までの徳島通学でした。ちょうどその時期は1学期のまとめの学習の期間だったので、新しい学びはほぼありませんでした。あらかじめ元の学校のプリント等を取得すれば、夏休みの間に東京の学校の学習の遅れ(復習)はフォローできます。前回の10月の滞在は、東京に戻ってから息子が受けた漢字のテストの点数が悪かったようで、本人は衝撃を受けておりました。最初の週末は徳島→東京へ&わかっている範囲での遅れ部分の挽回。翌週末に遅れ分の取り戻しを行うので、どうしても2週遅れになってしまう。

前回の10月と今回7月を比べると、7月の方が良いタイミングでした。フォローをする親からすれば、長期休みの間に遅れた分を取り返す時間的な余裕もありますし。

ただ、3学期末(学年末)は学校の方が困るかもしれません。2週間以上の不在期間は、成績表を付けるのが困難かもしれないからです。本来、通学時点の学校が発行するそうなのですが、今回7月は元の学校(東京)が成績表を付けてくださいました。


・【問題】クラスや学校の話題についていけなくなる→【解決方法】東京&徳島学校間の交換日記

これは、1週間に1度程度の東京の学校とのやりとりでカバーできそうです。交換日記的なものがあるといいかもしれません。せっかくだから、オンラインで東京と徳島の小学校のホームルームをつなげてみても楽しそうですね。

・【問題】習い事の長期休み 特にチームスポーツだと2週間以上の不在が難しい→【解決方法】大人のスケジュールを調整する

この問題はどうしてもついて回りますね。親の仕事の都合的に、四半期始めと末を避け、子供の運動会や学芸会の練習期間を外して、さらに部活などの大きな大会も避けるとなると、針の穴を通すようなスケジュールになるかもしれません。これは極力大人の都合(会社の都合)を調整する他ないかなと思います。

・大人編

今回利用したビデオチャットツール(テレビ会議ツール)▶appear in. https://ferret-plus.com/4355

・【問題】MTGが困難になる。ちょっとした対面のお願いがやりにくい。→【解決方法】設備整え
オンライン会議の環境を整え、集音マイクとオンラインカメラでかなり軽減されます。Macのカメラだけでやってみたのですが、マンツーマンの会議以外は音声を拾いにくく、会議の内容をきっちり理解するのが難しかったです。議事録で補填していました。ちなみにアサカラ(朝の5分MTG)も参加しました。

【問題】急な依頼に対応できない。何をしているかがお互いわかりにくい。→【解決方法】設備整え
同上。

・【問題】重要事項説明ができない→【解決方法】有資格者を増やす&ネット重説(将来的に)
重要事項説明(重説)とは、不動産取引上、契約前に必要な説明手続き。宅地建物取引士などの特定の資格が必要です。現在、ネット重説(※)はまだ実用化されていないため、現時点ではどうしても東京にいる有資格者の仕事の負担があがります
※ネット重説は、賃貸取引については来月から本格運用となります。詳しくは、国土交通省 Webサイト「建設産業・不動産業:IT重説本格運用(平成29年度~) - 国土交通省 http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_fr3_000046.html」をご覧ください。

・【問題】オンライン会議を常時維持することができない→【解決方法】役割とスケジュールの明確化
「appear inを会議以外の時間もつなぎっぱなしにしよう」ということでやってみたのですが、「だれがオンライン状態にするのか」のルールを決めていなかったばかりに、ヒトカラメディアの紳士こと奥川さんと、癒やしの女神の仁平さんが厚意で接続してくれるという状態でした。

あと、私がどこのMTGにオンライン参加中なのか見えるようにしておけばよかったなと。「杉浦さんどこー?ここ(メインのオンライン接続先)に接続してくださいー」といったやりとりも発生しました。

それでも、可能な限りつなぎっぱなしにして、「徳島からの音声をオフ・東京からの音声をオン」にしておくのが良い状態でした。東京からは用があれば話しかければ私が気付きますし、私の独り言を東京オフィスに垂れ流しにしなくてすみます。画面越しに遠くで聞こえる電話の呼び出し音や、誰かのくしゃみの音などで、孤独感は薄れました。音って大事なんですね。

・(余談)営業メンバーとのやりとりは想定より少なく、私が所属するサポートチームとのやりとりにストレス発生。
営業メンバーとはまったくストレスがない訳ではなかったのですが、思いの外、電話でのやりとりでカバーができました。普段も営業メンバーとは外出時のやりとりが多かったので、東京・徳島の距離はあまり感じませんでした。

一方で、すぐ隣や後ろにいて、基本オフィスの中にいるメンバーとのやりとりが困難でした。対面で5秒でわかることが1~2分slackでやりとりをするなど。普段対面でいる時間が長いメンバーほど、いつもと勝手が違う分ストレスフルでした。

・その他

長期不在時の郵送や宅配物の対応についてはこちら。念のため、大家さんにも1本連絡を入れておりました。
郵送:https://www.post.japanpost.jp/question/115.html
ヤマト:http://www.kuronekoyamato.co.jp/ytc/contact/qa/11.html



●「まずはやってみよう」ができるように

昨年から今年の間に私達親子の他にも希望者がいらっしゃったようです。けれども、デュアルスクールは、居住地域とデュアルスクール受け入れ地域の双方の合意があった上で成立する制度です。残念ながら実施に至らなかった方もいたようです。もっとこの経験ができる仲間が増えるといいなあと思っていたのですが、、、。

まだ事業として確立していない時期だからこそ、たくさんの異なった立場の方の参加が必要です。全体のスケジュールと期限・手続き書類・元の学校とサテライト校(デュアルスクール受け入れ校)とのやりとり・元の学校へ戻ってからの学習のフォローなど、参加される方が多ければ多いほど、本格的に本事業が動く前に整えることができます。

・時間は取られますが、二地域通学生活は楽しいです

現実問題、子どもがいて働きながら、荷造りをするのは時間が取られます。元の学校へ戻ってからは、親子で学校の情報をキャッチアップするために時間がそれなりに取られます。それでも、息子や徳島でのお友達の様子を見るにつけ、参加してよかったと思えます。

国内短期留学としても子どもにとってメリットがありますし、私自身、大学入学を機に、地元愛知県から離れるときは「実家が東京にない人間が、東京で根を張って働いて生きていくんだから、これからは死ぬまで東京暮らしだな」と覚悟していましたが、こうした1年の間に好きな場所・適した場所で働くことができるんだという発見もありました。

私が働いているため、息子は東京では学童にいる時間が長く、放課後、友達の家に行ったり、友達を家に呼んだりすることができません。徳島では、職住同じ場所で生活してるので、放課後に友達と遊ぶことができます。日を追うごとに日に焼けた息子が笑いながら「ただいま!」「もうすぐ友達来るから」とバタバタと駆け込む。その10分後ぐらいに「おじゃまします!」と言ってにぎやかな声がする。家の中よりも外で遊ぶことがたくさんある。それだけでも、来てよかったと思います。

・いつか「徳島に帰ってきた」と言わせたい

今年度は、10月にも2週間ほど滞在を予定しています。本来デュアルスクールは1年間の間に複数回行き来をすることを想定しているとのことなので、自分達で実験してみます。今回息子は「徳島に戻ってきた」と話していました。いつか「徳島に帰ってきた」と話す日が来るのを楽しみに、また次回に向けて仕事と家事(と宿題)を整えます。10月に向けて、一緒に準備しましょう、息子よ!

《「デュアルスクール」に関するブログ記事一覧》

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