1
/
5

都市と地方を行き来するデュアルスクール。卒業と次なる暮らし方

デュアルスクール卒業の大きな理由は、、、

端的に言えば、今回デュアルスクール卒業の大きな理由は受験です。ですが、デュアルスクールを始めた2年前は、受験のじの字も考えていませんでした。地方出身の私としては、中学受験の必要性をあまり感じていなかったのです。

けれども、3年と5回に渡るデュアルスクールを通じて、親子の働き方・暮らし方を変えやすくするために、中学受験をしてみようと親子で考えが変わりました。変わったのはなぜか。順を追って、理由を説明していきます。


(参考)デュアルスクールとは

デュアルスクール」とは、徳島の学校・都市部の学校、どちらの良さも体験できる「新しい学校のかたち」のことです。 滞在中は、私達親子の場合、親は戎邸でサテライトワーク、子どもは美波町立日和佐小学校で学び遊ぶという生活を送ります。ちなみに普段私は東京都目黒区のオフィスに通い、子どもは東京都内の小学校に通学しています。本事業は「デュアルな視点を持った多面的な考え方のできる人を育てること」「児童生徒がいる家庭でも、地方と都市の二地域居住の可能性が拡がりがでること」などが目的です。

環境は雄弁だ

(写真:この3年間で、魚を釣ったり捕まえたり。命をいただくことも知りました / 2018年夏・小4)


まず、デュアルスクールで我ら親子が最も感じたのは、「その場に行ってみて初めてわかることが、そこらじゅうに溢れている」ということです。知識として知っていても、肉体を通じて入ってくる情報の量と質にはかないません

本で海の水が塩辛いと知っている。けれども、海水が目にしみることを、海を泳がずに知るのは難しい。水族館で見ているから、魚にウロコがあると知っている。でも、ウロコは簡単にはがれ落ちて生臭いものであると、魚を触らずに知るのは難しい。

さて、生き物の体温や心臓の音を、画面越しに感じることはできるでしょうか。

それまで、世界は二つだと思っていた

( 写真:息子にとって、初めての日和佐。この時から働くと暮らすの実験開始 / 2016年夏・小2)


今までの息子は「知っている世界(東京)」と「知らない世界(それ以外)」の中で生きてきました。東京以外に旅行したとて、そこは非日常なので「知っている世界」とは呼びません。旅行で1日2日訪れる場所は、テレビの中にあるのと変わらない「知らない世界」です。

ここでは「知っている」とは、「その場の空気になじんで実感がある」ということを意味します。身体で得た情報は実感を伴います。だから、社会の「好きな県を発表する」授業で、徳島県を取り上げたり、四国地方に台風が直撃した時に美波町にいる友達を心配をすることができるのだと思います。

世界はグラデーションのようにつながっている

(写真:夕暮れ時に見つけた三日月 / 2016年夏・小2)


今まで地図の上でしか認識したことのない場所に降り立ち、継続して生活したことで、「知っている世界(東京)」「知らなかったけれども新たに知った世界(徳島)」「『まだ』知らない世界(東京と徳島以外)」と、一つ階層が増えます。そして、『まだ』知らないだけで、自分が現在地から見える景色以外にも、世界があることを想像できます。つまり、暮らす場所を変えることは、自分と世界がつながっていることを想像する機会とも言えます。1箇所で暮らすだけでは、気づかなかったことです。



(写真:日和佐八幡神社秋祭りにて、戎町の同級生と)
(左上:2016年・小2 / 右上:2017年・小3 / 下:2018年・小4)

「知っている世界」の中だけで生きていくことは、安心ではありますが、同時に「ここしかない」という息苦しさもあります。ですから、「『まだ』自分が知らないだけで、世の中にはもっとたくさんの選択肢がある」と実感しながら生きていけたら、より精神的に自由になれると思うのです。

どこでも生きていけると思って生きてほしい

(写真:ヒトカラメディアの男子メンバーと縁側で朝ごはん。家族か親戚のような空気/2018年秋・小4)

私は、「どこでも生きていける」と感じられることが、幸せな人生において不可欠だと思っています。「なんとでもなる」「きっとどこでも生きていける」と開き直りができれば、生きていく心持ちはずいぶん変わるはず。では、息子はどうしたら「どこでも生きていける」と感じることができるのでしょうか。

私が出した結論は、「『まだ』知らない世界」に身をおく機会を増やすことです。そのために、生活拠点を数年おきに何度も変えるチャレンジをしてみたい。したがって、関東圏内で生活拠点を変えやすくするために、息子と相談をして、住民票の異動の影響を受けない中高一貫校の受験をしようと決めました。
(もちろん、入学した中学校でも「デュアルスクール」が可能かの打診はしてみるつもりです)

デュアルスクールの次は、旅をするように生きる暮らし

(写真:まもなく夕暮れ。波と追いかけっこ / 2016年秋・小2)


2018年12月にリクルートホールディングスが発表したトレンド予測では、複数の拠点を持ちながら生活する「デュアラーが取り上げられました。長野県の塩尻市では2019年度から「国内短期留学の受け入れをはじめるとのこと。また、定額で複数の家に住めるコリビングサービス「ADDressは2019年4月に登場予定と言われています。

かつては、一つの場所で一生を終えていたのが、独立や家族構成の変化で住まいを変えることが増え、さらに同時に複数の拠点を行き来する暮らしが登場しました。これらの変化は「終身雇用による新卒一括採用→中途採用の一般化→複業」によく似ていますね。暮らすと働くは密接につながっています。一人の人が一つの時期に複数の役目を果たすことは、昔からあったのですから(例.夫であり父親であり社員である)、働き方や暮らし方も人の役目・役割に応じて変わっていくことが自然なような気がします。


働き方は生き方

(写真:薬王寺の前にて。アイスクリームが溶けてにっちもさっちもの図。失敗すら笑い飛ばせるようになれば上出来 / 2018年夏・小4)


どんな生き方をしたいか。どうしてその生き方を望むのか。それから、その生き方は何があると実現できそうなのか。どこでどのように実現できそうなのか。自らが「どんな生き方をしたいのか」を知るためにも、実際にいくつもの環境に身をおくことが最もヒントになりそうです。

会いたい人と会い、過ごしたい場所で過ごす

( 写真:日和佐で初めてできた友達と)
(左上:2016年夏・小2 / 左下:2017年夏・小3 / 右下:2018年夏・小4 / 右上:2018年秋・小4)


着替えるような軽やかさで、会いたい人・知りたいこと・やってみたいことの近くへ行ける人生を送りたい。息子にも「これだけしかない」ではなく「これもそれもあれもあるけど、やっぱりこれ」と、その時々に環境を選ぶことができるといいなと思っています。(デュアルスクールのメリット・デメリット。今後のまとめ | ヒトカラメディアブログより )

2年前、最初のデュアルスクール直後に投稿していた文章の通り、私達親子の「自由に暮らし働く実験」はまだまだ続きます。ですが一旦、デュアルスクール小学生編はこれにて卒業です。今後はヒトカラメディアの実家として、徳島県美波町に何度も訪れることになるでしょう。

それでは、徳島県のみなさんと、ヒトカラメディアのメンバーと、家族に、愛をこめて! 杉浦でした。

【おまけ】3年間同じ場所で記念撮影しました

(写真:戎邸前にて。お気に入りのTシャツ(130cm)の登場頻度の高さよ。小4ともなると笑顔を撮るのが難しい。小2のころちょっと大きかったTシャツが、小4ではジャストフィット。)
(下:2016年夏・小2 / 左上:2017年夏・小3 / 右上:2018年秋・小4)


「デュアルスクール」に関するブログ記事一覧

【お知らせ】4月19日より有楽町スバル座ほか全国順次公開予定の映画『波乗りオフィスへようこそ』は美波町を舞台にした物語です。美しい町の様子、ちょうさを担ぐ勇壮な姿もご覧いただけます。
株式会社ヒトカラメディアでは一緒に働く仲間を募集しています
22 いいね!
22 いいね!
同じタグの記事
今週のランキング
株式会社ヒトカラメディアからお誘い
この話題に共感したら、メンバーと話してみませんか?