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【デュアルスクール番外編】美波町の秋祭りで最もお世話になってるあの人に聞いてみた

ご無沙汰してます、ヒトカラメディアの杉浦です。2018年秋にも、デュアルスクールで徳島県美波町に滞在しておりました。もう今回で7回目の滞在です。すっかり、会社の実家(?)として、美波町への滞在は定番になっています。特に、2018年の秋祭りで4回目の参加です。

そこで、今回は、ヒトカラメディアが秋祭りで最もお世話になっている「戎町のこうちゃん」こと大城康輔さんに、秋祭りのこと・変化する美波町のことなど色々とお話をうかがってみました。

※お話をうかがった当時は秋祭り翌々日(2018年10月10日)。祭り後の爽やかな秋の気配も込みでお楽しみください。4月19日より有楽町スバル座ほか全国順次公開予定の映画『波乗りオフィスへようこそも見ていただくと、美波町と秋祭りをより楽しんでいただけます。

【前情報】美波町 日和佐 とはどんなところ?

(この絵地図が最も使いやすい。ダウンロードできます▶ http://www.minami-kankou.com/pamphlet )


徳島県南部に位置する美波町は、2006年に海部郡由岐(ゆき)町日和佐(ひわさ)町が合併してできました。日和佐は、ウミガメの産卵地としても有名で、NHK連続テレビ小説『ウェルかめ』の舞台でもあります。

インタビューの中で登場する「戎町」「中村町」「桜町」は、それぞれ日和佐八幡神社の氏子区域14町の中の町を指しています。中でも「戎町」は、いわゆるお神輿のようなちょうさと呼ばれる太鼓屋台の文化を最初に持ち込んだ町です。1795年(寛政7年)にちょうさが作られた記録が残っています(日和佐八幡神社Webサイトより)。エリアの大きさは、「美波町>日和佐>戎町・中村町・桜町など」の順です。

また、私達ヒトカラメディアが徳島のサテライトオフィスとして利用している戎邸が、ここ戎町にあるご縁で、秋祭りのときには戎町のちょうさ(トップの写真にある、お神輿のような太鼓屋台)を担いでいます。

いざ、インタビュー本編

(写真:戎邸にてお話を聞かせてくださった大城さん。秋祭りが無事に終わりほっとした様子)


(杉浦、以下(杉))  改めて、秋祭りおつかれさまでした。お時間いただきありがとうございますー。

(大城、以下(大))  こちらこそ〜。

(杉)  もう4期めでしたっけ?太鼓若連中(※1)の責任者としては。

(大)  4年目が終わったところです。次は5期め。

(杉)  次はラストイヤー。

(大)  責任者としては最後ですね。

●秋祭りと人、そしてリーダー

(写真:戎町太鼓若連中とともに、お祓いを受ける大城さん)


(大)  秋祭りは祭り約1週間前からが準備期間だね。今回は10月8日が宵宮(※2-1)なので、9月30日から。

(杉)  「ちょうさ(太鼓屋台)」が納められている神社の太鼓納屋で、1週間前から夜に練習しますよね?一の宮(※2-2)からたたいてるんですが、あれは練習というより奉納なんですかね?

(大)  ぼくらが小さいころは、秋祭りの1週間前から各町の太鼓のところに行って太鼓を叩いてました。町を音霊(おとだま)で浄化するような感じで。穢れを落とすような。夜じゃなくて、学校終わったらすぐ、太鼓をたたいてましたけど。今の子らは、学校終わっても部活があったり習い事があったり、、、。

(杉)  戎町のハッピを着て戎町の「ちょうさ(太鼓屋台)」を担ぐ方って何人くらいです?

(大)  だいたい40人くらいかな。

(杉)  いろんな方が担いでると思うんですが、みなさんどこからの方です?

(大)  まず、戎町に住んでいて戎町のちょうさを担ぐ人は20人ぐらい。美波町に縁のある人が10人ぐらいが準レギュラー的に毎回担いでくれる。あとは、県外からくる神奈川大学の学生さんやヒトカラメディアさんで10人ぐらいかな。で、合計で40人くらい。

(杉)  ちょうさは、約50人で担ぐから、あともう10人ほしいですね

(大)  ちょうさ保存会をはじめ応援に来てくれてますけどね。気持ち的にはね、同じハッピで揃えれたらね。なかなかそうは言えん時代になって来てますけどね。人口が少ない町なので。

(杉)  私は来る度に、新しいお店ができてきたり会社が来てたりするように感じるんですけどね。最近だと、at Teramaeさんとか、藍庵さんとか。ちょっとずつ変わってきてるなあと。大城さんが初めて太鼓若連中の責任者になったのが、いつです?

(大)  4年前。30歳のとき。今でこそ、同世代の責任者も増えたし責任者同士も仲良うしようぜという穏やかな雰囲気出してるけど。最初の責任者の時はピリピリしてました。それにこんな若輩者が声出せるような雰囲気でもなかったし。でも、戎町だし。他の町からも聞かれるし。

(杉)  ああそうか。一番最初にちょうさを持ち込んだのが戎町だから。何か判断しなきゃいけないとなったら、相談役的なところも。

(大)  そう。だから聞かれることが多いですね。最初の年はプレッシャーで押しつぶされそうで。

(杉)  最初の年と4年目の今回で変わったことはあります?

(大)  多少余裕はでてきた反面、ちょうさを担ぎたいっていう気持ちがだんだん強くなってくるね。全体見渡して声をかけるのが今は仕事だから。変わったことはあんまりないけど、今年は台風で準備ができなくて気持ち的にはバタバタな年だったな。なんだかんだで4キロぐらいやせたし。

(杉)  大城さんにとっての「ちょうさ」ってなんです?

(大)  生活の中の一部って言ったら一部ですけどね。ああまた、この季節が来たんやなっていう。朝涼しぃなりだしたら、そろそろだなあって思います(笑)

(杉)  秋の風物詩的な?

(大)  なんでしょうね。親父だったりじいさんだったりが祭りが好きだったし、そういう影響も大きいんでしょうね。まあ、僕自身も10歳の打ち子スタートから24年間戎町で。最初の打ち子の年は、親父が責任者だったかな。

●サテライトオフィスやデュアルスクールなど、他県から町にくる人が増えてきました

(写真:ヒトカラメディア公式Webサイト内、町と人と企業がつながる。美波町の化学変化を加速させる、触媒としての『ミナミマリンラボ』(後半)より)


(杉)  今、サテライト企業さんが美波町に増えて、秋祭りとか普段でも顔をあわせることがあると思うんですけど、町の方からするとどんなふうに見えますか?

(大)  僕はサテライト企業が増えてきたのはいいと思う。この人がどこの企業の人かまでは、全部が全部は知らないけれども。

(杉)  ヒトカラメディア以外によく知ってる会社さんあります?

(大)  実はあんまり知らんのよね(笑)

(杉)  あはは(笑)。じゃあ、あわえさん(※3)のところが呼んでるなあ〜ぐらいな感じですかね。「観光客なのか、こっちにおる子なのか、どっちだろう?」みたいな。

(大)  「サテライトオフィス関係なんかな・・・?」ぐらいの。

(杉)  「ミナミマリンラボ(※4)」で町の人とサテライト企業の人が顔を合わせることができるといいですね。私も自分の会社以外のサテライト企業さんと一緒に仕事をする機会もあんまりないですし。では、デュアルスクールで行ったり来たりしている、私達親子についてはいかがでしょう?

(大)  僕自身は「ああ、今年も来てくれたな」っていう感じ。連絡来るんだろうなあと思いながら待ってた。

(杉)  私から「またお世話になります」の連絡の前に日和佐小学校からお知らせ行ってたりして(笑)。到着早々、美波町のいろんな方から「おかえり」って声をかけてもらいました。

(大)  今年は、(杉浦の息子が)たいこの練習に参加できてよかったね。

(杉)  そう、よかった。でも、初日息子が途中で帰ってしまい、失礼しました。彼の中のたいこをたたくイメージと実際にはだいぶ差があったようで。帰ってから、You Tubeの動画を見ながら練習してましたよ。

(大)  なかなかね、地元の子たちと同じようにたたくのは難しいよね。 それでも子供だから入ってしまえばなんとでもなるんだよね。

(杉)  たしか、大城さんのところのお兄ちゃんかな。息子がたいこをたたいてるところをほめてくれたらしくて。それから練習が楽しくなって最後まで練習に行けたらしいです。ありがとうございます。

(大)  僕らも小さいころは、上の子が下の子の面倒見てたからね。みんなが楽しんでくれるように声をかけられるような子になってくれたらね、それはいいことだから。


●大きな親戚のような町のつながり

(写真上:右から3人目が大黒さん。20代・30代に混じって、最前列で力強く担ぐ)(写真下:中央の男性がナカイさん。初めて訪れるヒトカラメディアのメンバーにも優しく声をかけてくれる)


(杉)  祭りの翌日の打ち上げで、レジェンド大黒さんが、太鼓若連中さんに対して熱くお話してましたね。なんだかおじさんと甥っ子のような。

(大)  本当。そういう先輩がいてとても助かってる。

(杉)  大黒さんの奥さんも当家(とうや)(※5)さんとして、仕切り上手でバリバリ仕事ができる人。

(大)  大黒様様や。

(杉)  当家さんをやってみて思ったのが、奥さんチームの大黒さんも鈴木さんも指示出し的確だし、一緒に働いていてとても気持ちがいい。それに、戎町のナカイさんはいつもヒトカラメディアの若い子らに声をかけてくださって。初めての子も馴染みやすい雰囲気を作ってくれますね。

(大)  本当、そういう雰囲気を先輩たちが率先して作ってくれるんはありがたい。


●ヒトカラメディアなど他県から来た人間に大事なちょうさを担がせてくれるんですか?花形の最前列で担がせてくれたのも気になります。

(写真:重さ約1トンのちょうさ(太鼓屋台)を担いで、日和佐八幡神社と大浜海岸を往復する。ちょうさを担いだまま豪快に海に入る。)


(大)  うーん「どうして担がせてくれるか」ねえ。こっちからすると、助けに来てくれると思ってるし。どうして「最前列を担がせてくれるか」は、個人的に社長好きやし(笑)

(杉)  うれしい!(笑)聞かせたい!

(大)  もう3年も4年も来てくれて、流れもだいたいわかっとるし。それに最前列を白の股引きを履いた担ぎ手で揃えたかったのもある。

(杉)  今回、祭りの1週間ぐらい前に「浅草に股引きや地下足袋を買いに行こうツアー」を組んでましたよ。楽しそうでした。

(大)  それに、なかなか毎年続けて来てくれる方が少ないですからね。

(杉)  「来年も来ます!」って言ってそれっきりってこともあります?

(大)  そっちの方が多いねえ。地元の同級生でも離れてしまうと、来なくなってしまうことがあるんでね。ちょっとその辺の寂しさはあるなあ。

(杉)  大城さんが知ってる範囲でいいんですけど、昔から町外の方に「ちょうさ」を担がせることについては寛容だったんですかね?

(大)  自分が高校生のころは、同じクラスの友達を連れて行って紹介して、すぐに担がせてくれたからね。だから、昔から外からの担ぎ手さんを歓迎してるんじゃないかなあ。今は外からの担ぎ手がいなかったら成り立たなくなってきたのもあるし。

(杉)  あとは、打ち子さんは、昔は女の子はなれなかったと聞きました。今は男女問わずたいこが上手なら打ち子さんになれる。他には、2017年には戎町の子どもみこしが復活したこと。町の中の人が少なくなってきたから、町の外に声をかけて、人の行き来が増えたから変わったことの一つかもしれない。

(杉)  今年美波町に来たヒトカラメディアのメンバーが、他のメンバーに話をすることで、来年訪れる人が増えるかもしれないですね。

(大)  社長のハッピ姿も板についてきたけん。また来年も来てくれたらうれしいです。


●また来年も

(写真:ヒトカラメディアメンバーを見送る戎町のみなさんと、ヒトカラメディアの杉浦親子)


(大)  ヒトカラさんと何か祭りでやれるといいんだけどね。それが「東京からきた人たちと一緒にやってみたいこと」ですね。演出じゃないんだけど、盛り上げるアイデアとか。ヒトカラメディアの人と。

(杉)  ヒトカラメディア一家と?(笑)

(大)  今年は中村町が何か銀紙吹雪とかまいてたし。桜町も紙吹雪まいてましたね。

(杉)  あれ、映画「波乗りオフィスへようこそ」は、中村町が出るんでしたっけ?

(大)  中村町は、今年のダイドードリンコの日本の祭りの撮影があったね。

(杉)  ああ、だから、ドローンが飛んでたのね。

(大)  うん。2019年の秋祭りでは何か一緒にやれるといいなあ。僕も責任者最後だし、ド派手に行きたい。あとは、戎町のちょうさを全て戎町のハッピの男で担ぐことができたらいいなあ。

(杉)  2019年は何か一緒にできるといいなあ。今年も大変お世話になりました。また次もよろしくお願いいたします。

(大)  こちらこそ。

(杉)  では、そろそろこのあたりで。今日はお時間いただきありがとうございました。


注釈一覧】

(写真:2018年日和佐八幡神社秋祭りのスケジュール。また来年の10月が待ち遠しい)


※1:太鼓若連中(たいこわかれんちゅう)・・・各町の「ちょうさ(太鼓)」の運行・管理担う若い男性達のこと。

※2:一の宮(いちのみや)と宵宮(よいのみや)・・・一の宮は祭りの始まる約1週間前のちょうさの組立や太鼓の打ち子の練習開始日。一の宮から一気に町中が祭りムードに様変わり。宵宮は、本祭りの前日の町廻りや演芸奉納の日の夜を指します。一の宮(約1週間前)→宵宮(土曜)→本祭り(日曜)。

※3:あわえ・・・株式会社あわえ。地方創生の取り組みのうち、成功した様々な課題解決策を他の地域で活用できるような形にして展開することで、全国の自治体の地方振興を支援している会社。美波町をサテライトオフィス先進地にした立役者でもあります。

※4:ミナミマリンラボ・・・水産研究課美波庁舎の一画をリニューアルしてできたコワーキングスペース。ヒトカラメディアが内装プロデュースをしています。

※5:当家(とうや)・・・各町の各班で毎年順番に廻り、料理や飲物の用意や衣類の準備などをする人達のこと。女性を中心に構成されています。ちょうさの町廻りの日には、担ぎ手や打ち子のケアのために付いて廻ります。

※その他、詳しい用語解説は、日和佐八幡神社Webサイト秋祭り参加の手引き」内、「日和佐はちまんさんの秋祭り」にのっています。

来年が待ち遠しい

(写真:メンバーと戎邸前にて。会社という親戚と、美波町という遠縁のみなさんの間で育つ息子。)

今回記事を書くにあたり、写真を見返したり、当時のslackを読み返したりしているうちに、すっかり気分は美波町にいるようでした。秋祭りの「目にも鮮やかなオレンジのハッピと、空と海の青色のコントラスト」もいいですが、戎邸で寛いでいるヒトカラメディアの面々の様子も普段とはまた違って表情豊か。空が広くて、山と川と海があって、良い人たちに囲まれて、素敵な時間が過ごせたことがわかります。

また、美波町に里帰り(?)できる日を楽しみにしています。


【お知らせ】4月19日より有楽町スバル座ほか全国順次公開予定の映画『波乗りオフィスへようこそ』は美波町を舞台にした物語です。美しい町の様子、ちょうさを担ぐ勇壮な姿もご覧いただけます。

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