これからの時代は“エモい”会社が勝つ|#11 株式会社POL CEO加茂倫明氏

スタートアップに必要な「採用・組織づくり」のポイントについて河合聡一郎氏と探求する連載。今回は、理系学生向けスカウト型就活/採用サービスLabBaseや、研究開発者・技術者に特化した採用サービスLabBaseplusなどを展開する株式会社POL代表取締役CEOの加茂倫明氏です。

「これからの時代、エモい会社が勝つ」と組織づくりについて語る加茂氏に河合聡一郎氏が聞いていきます。

スタートアップの最適な採用方法

スタートアップ企業において、採用は非常に重要なミッションです。そして、会社のフェーズによって、適切な採用手法は変わるもの。成長フェーズに合わせた採用ができるかどうかで、採用成功の確率は大きく変わってきます。

この資料では、急成長するスタートアップ企業のために、成長フェーズごとに考えるべき採用戦略、適切な手法を事例付きで紹介しています。

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株式会社POL
CEO
加茂倫明氏

1994年京都府生まれ。東京大学工学部システム創成学科3年生(休学中)。在学中にベンチャー数社で長期インターンを経験し、2015年9月からシンガポールに渡り、投資事業会社REAPRAグループのヘルスケア企業HealthBankで新規事業の立ち上げに関わる。2016年9月にPOLを設立。26歳。

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高校生で起業を志し上京、スタートアップのインターンを経てPOLを起業

河合聡一郎氏(以下、河合):本日はよろしくお願いします。加茂さんは大学の在学中に起業をされて、現在に至ってらっしゃいます。そもそも、「起業をしよう」と思った背景から伺ってもよろしいでしょうか?

加茂倫明氏(以下、加茂):高校2年生の頃、祖父が亡くなったんです。「いつか自分も死ぬ。何のために生きるのか、どんな人生なら成功か」を考え抜いて起業することを決めました。また、父親は理論系の経済学の教授で、父の書斎にはスティーブ・ジョブズの本などが置いてありました。そのため、幼い頃から経済や起業には興味があったんです。

大学に入ってからも「勉強したい」というより、「起業の準備をしたい」と思っていた。そのため、なるべく小さい規模のスタートアップ・ベンチャー企業のインターンに参加し、1年生の頃から着々と起業の準備をしていたんです。結果的に起業前に合計3社インターンを経験しました。1社目は宅配クリーニングのホワイトプラス、2社目はシンガポールで事業立ち上げ、3社目はマーケティングソリューションのReproです。どの会社でも「社長の近くで考えを知れる」ことを重視して、自分の事業テーマを考えていました。

河合:ビジネスモデルがそれぞれ異なり、ミッションも多様なインターンを経験されてきたのですね。そうした中でご自身の事業テーマが見つかられたとのことですが、どのような考えで、そのテーマに至ったのでしょうか?

加茂:自分にとって「意義のある事業か」「社会に与えるインパクトが大きいか」「ユニークさのある事業か」の3つを軸に置いて事業探しをしていました。世のため人のためになる意義のある領域で、社会に大きくインパクトを与えることを、他社がやらないユニークな形でやっていきたいと考えていたんです。

スタートアップ POL 採用

加茂:最初の事業アイデアは知り合いの起業家が資金調達で困っていたことから、日本版「エンジェルリスト」でした。しかし、自分は駆け出しの起業家ですし、「本当にこれを解決したい」と思えるかで考えると違うなと。最終的に、理系の学生が就職に困っている現実を目の当たりにして、LabBaseを思いつきました。

思いついた背景には父親が経済学の研究者であったことそして自分の身近にいた理系の先輩方がキャリアにあまりこだわらずに推薦で就職を決めていたことが大きかったです。大学院で研究していた内容就職先で活かせるかわからない、活かせる企業を知らない。」という声を聞き、就活の仕方に疑問を感じましたし、広く研究領域の課題を見渡すと優秀な研究者が数年単位契約の不安定な職に就いていることも知りました。

共同創業者は37歳年上、両親より年齢が上の人と起業した理由とは

河合:事業テーマを探すための「軸」が先におありで、その中で、色々と比較し、考え抜いた中でたどり着かれたんですね。そして、その3つの軸に当てはまるのが、「LabBase」だったと。

加茂:起業家には「マーケットドリブン」で事業を思いつくパターンと、「ミッションドリブン」で心から解決したいと思う課題から入るパターンがあると思いますが、自分は後者。自分の中でパッションを持ち続けられる領域はそれほど多くありません。その中でも、これまでの経験や課題感とうまく重ねて事業領域を選定できたと思っています。

河合:事業テーマが決まり、マーケットも見えたところで、仲間づくりをスタートされると思います。最初のチームはどのようなお考えや、ポジションなど含めて、創られていかれたのでしょうか?

加茂:最初は2名で起業し事業アイデアを形にするところからスタートしました。共同創業者は元ガリバー・インターナショナル社(現IDOM社)専務取締役を務めた吉田行宏。吉田は現在64歳で、自分とは37歳差です。両親よりも年上の方と起業したことになります。起業家と投資家が交わるイベントで、共通の知人を通じて知り合いました。彼は器が非常に大きく戦略の思考力も高いため、学ぶことばかり。「自分に足りないものを持っており、この人と一緒ならばより社会にインパクトが出せる」と思い、3回の打ち合わせを経て共同創業を決意しました。吉田も「学生起業家としての熱量を持ちつつ、本気で世の中を良くしたいと思っている」と感じてくれていたようです。

今振り返れば、吉田は自分にとってコーチ兼参謀のような立ち位置でした。毎週、仮説を立てて戦略を持ち込み、1週間アクションを取ってみて、その振り返りを1週間後に行う。毎回、ボコボコにされていました。現在こそ、隔週の戦略会議で対等にディスカッションする関係になりましたが、最初は先輩経営者に一緒に伴走してもらう感覚でしたね。

河合:経験豊富な経営者の方と一緒であれば、時間軸から逆算した取り組みができたり、ありがちな失敗を回避できたりと、さまざまな面で安心感があると思います。当時を振り返って、具体的にどのような点が良かったと思われますか?

加茂:組織戦略は吉田のスペシャリティがある部分で、非常にありがたかったです。創業前〜初期に投資家や先輩起業家からもらうアドバイスは、事業やビジネスモデルの話が中心でした。その中で吉田から「事業づくりと組織づくりは両輪」と教わったのはクリティカルな学びでしたね。

加えて、資本政策も非常に貢献していただきました。たとえば、資金調達のとき、学生起業家はイベントなどで繋がった投資家に頼みやすいのでお願いしにいくのは “あるある”。私も例に漏れず、イベントでつながった投資家のリストを作って吉田のところに持っていきました。しかし、吉田は「POLにとって、その投資家の布陣はベストなのだろうか」と問いを立ててくれた。POLが成長するために必要な要素は何か。それをもった投資家は国内外どこにいるのか」をあらためて考えて動けたので、恵まれた投資家に出会えたと思っています。

河合:調達は目的ではなく手段ですものね。経営においてのさまざまな問いを立ててくれる存在は大きいですよね。また、「事業づくりと組織づくりは両輪」もその通りだと思います。そんな中、事業を進めるうえで、初期のプロダクトをつくるチームはどのように集められたのでしょうか?

加茂:1号社員はエンジニアです。創業前に壁打ちしていた友人からリファラルで紹介してもらい、ジョインしてもらえることになりました事業立ち上げにおいて最初に行ったのは、サービスにおける事前登録募集のプレスリリースを打ったことLabBaseをプロダクトに落とし込む際、市場のニーズを見ながら作ろうと思っていたからです。プレスリリースを打ち、どれくらいの反応があるか、また、顧客は本当は何を解決したいのか。顧客の声を聞きながら柔軟にプロダクトを変化させたかった。プレスの時点で100社の事前登録があり1か月半で彼に作ってもらいましたね。プロダクトができたばかりの頃は、ボランティアで関わってくれる社会人インターンが中心。週末副業で手伝ってくれていました。この初期フェーズにWantedlyでの採用も行い、熱量が高い人材に来ていただいたのでありがたかったです。

経営者は感情を揺さぶる大きな旗を掲げるべし

河合:事前のプレスリリースを上手に活用されて、真のニーズを探っていきながらプロダクト開発をされていたんですね。実際に、「これはいける」と手応えを感じた出来事はございますか?

加茂:やはり成長を加速させる転機になったのは、プロダクトをリリースしてすぐ早い段階で、LabBase経由で「内定承諾」が出たことでしょうか。

東京大学に通っていた院生の方がとある企業さまからオファーを受け取り、内定承諾に至った。ヒアリングした際、「LabBaseで人生が変わった」と言ってもらえたのは本当に嬉しかったです。お客さまにも恵まれて、プレスリリースで事前登録をしたときにとある大手企業さまが「こんなサービスを待っていたんですよ」と問い合わせしてくださった。まだサービスが出ていない状態にも関わらず契約してくださり、フィードバックもいただいた。サービスの未来をユーザーもお客さまも信じてくださったことが大変ありがたく、背中を押してもらえたと思っています。ちなみにですが、当時内定承諾した院生と、フィードバックをくださったその企業の人事担当者さんは共に今POLに入社して働いてくれています(笑)

河合:創業者として、やはり事業を通じて世の中に新しい価値を生んだ瞬間は嬉しいですし、自信になりますよね。そして、ある意味でPOLに魅せられた方が結果的に御社へと循環されていますね(笑)

加茂:本当にご縁に恵まれました。でも、サービスリリース初期に未来を信じられないと今はなかったと強く思います。これからの時代はエモくて感情を揺さぶれる会社が勝つ。人が何に突き動かされるかは時代によって変わります。これまでは、出世による社会的地位や金銭が動機の一つにありましたが、これからの時代ではより「何のためにやるのか」「何を目指すのか」「いかに世の中のためにるのか」が問われていると思います。

その意味では、最初にPOLは「未来を加速する(Accelerate the Future.)」という大きな旗を掲げたのは良かったですね。

「なぜやっているのか?」を問える会社は強い

河合:まさに、これからの時代はさまざまなステークホルダーから、「Why」を問われますよね。「なぜやっているのか?」についての意義や、どうやって解決していくのかなど、きちんと説明できる会社がビジネスでも、資本のマーケットでも勝ち残っていくと思います。そのなかで、組織づくりはどのように行ってきたのでしょうか?

加茂:創業前に吉田に壁打ちしていた際吉田から「君の一番の課題は仲間が居ないこと」と言われてハッとして採用に注力するようになりました。採用の他には、組織をつくるうえで「経営者マインドを持ったリーダーをいかに増やせるか」を大事にしてきました。弊社では投資家集会に、全員の参加をOKにしています。「自分が意思決定をするならばどうするのか」という意見を各人が持つようになるのが狙いでした。そうすることで、自分の思考と他のメンバーの思考の違いが浮き彫りになり、そこから学べるので、個人の成長も早くなるんです。

POL 採用

加茂:組織づくりにおいても、やはりマインドセットが高い方を採用することが重要だと思っています。会社や自分の人生に対して、100%自責でオーナーシップを持って動ける人がどれだけ組織にいるのかは重要ですね。ですから、価値観やカルチャーフィットは採用面接でも非常に見ています。ただ、価値観やカルチャーフィットしていることは、「その方が活躍する」ための十分条件ではなかった。プラスアルファで思考力やカオスを楽しめるか、スピーディーに泥臭い行動に移せるかなども、POLで幸せに活躍していただくためには必要です。

泥臭さで言うと、営業活動が例にあがります。最初からフィットする企業のセグメントや、刺さるトークが分かっていたわけではないので、泥臭く営業の数を重ねてその中で学習しながら突破していく必要がありました

一方、ユーザーとなる学生集めもキレイに立ち上がったわけではありません。最初は全国の学生インターンを募り、さまざまな研究室に出向いて集客していました。また、社員数が10人以下の頃は、全国100名以上の学生インターンがいる体制をつくり、アンバサダーマーケティングを行っていました。

加茂:あと1つ大事だと思っているのが、組織体制やマネジメントスタイルを決める上で、育成観点を持つことです。私自身は短期の最大化ではなく、中長期で最大化させることを最重視しているので。たとえば年次のPL目標達成も、思い切って各事業責任者に任せていますね。インターン経由での新卒採用を行っているのも同じ理由です。3年~5年後に事業責任者を担うような人材が出てくればといった期待です。

河合:伸びているスタートアップの経営者に共通しているのは「組織」に対しての投資家的思考があることだと思っています。決して短期的な視点ではなく、事業と組織の両輪に対して中長期で回収できれば良いと考えている。そして、そのための逆算的な取捨選択も含めた取り組みが大切ですよね。加茂さんはその観点をお持ちですから、これからの益々の成長が楽しみです。今日はありがとうございました。

▼スタートアップが取るべき採用戦略とは?
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