一番大切にしているのは「嘘のない」メッセージを送ること|サン・クレア 栗田氏×中野氏〜スカウトメッセージからはじまる採用物語

「1通のスカウトメッセージがひとりの人生を動かすこともある」。Wantedlyのスカウトメッセージからはじまった採用の過程を、実際のメールのやりとりをご紹介しながら追っていくこの企画。

今回ご登場いただくのは、株式会社サン・クレアの採用担当・栗田康二さんと、2021年2月に採用となり、現在は愛知県松野町にある水際のロッジで働く中野麻里さん。お2人には一体どんなドラマがあったのでしょうか?

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株式会社サン・クレア
人事・執行役員
栗田康二 さん

第二新卒で入社した大手人材企業では1,000名を超える転職サポートを行う。その後、求人広告や人材紹介サービスなどの企業側にとって「待ちの採用手法」だけではない採用支援にチャレンジしたいと思い、株式会社ビズリーチに入社。企業の採用コンサルティングを行う。2018年11月、株式会社サン・クレアに初の人事担当としてジョイン。2ホテル60名の組織から、7ホテル120名の組織に至るまでの採用活動をリードする。また個人事業として人材採用コンサルタントも行う。

▼Wantedly_Profile
https://www.wantedly.com/id/koji_kurita_c

株式会社サン・クレア
愛媛県北宇和郡松野町にある「水際のロッジ」勤務
中野麻里 さん

大学中退後、事務職、飲食業、ホテル業などを経てフランスに語学留学。2020年5月の帰国に向けて転職先を探していたときに「Wantedly」の株式会社サン・クレアの記事が目に止まり「お気に入り」に追加したところから、スカウトメッセージのやりとりがスタート。コロナ禍で帰国が予定より大幅に遅れ、転職活動が一時ストップしたものの、2021年2月に株式会社サン・クレアに入社。現在は水際のロッジにあるレストランのホールをメインで担当。

▼Wantedly_Profile
https://www.wantedly.com/id/mari_nakano_d

理想とは違うけれど「会ってみたい」と思った

――サン・クレアさんからダイレクトスカウトを受け取った2019年の秋はまだ、中野さんはフランスに留学されていたんですよね。

中野:いずれは宿泊業界で働きたいと考えていて、それをふまえての留学でした。ただ、当時は転職活動に本腰を入れるよりは、どういう企業があるかを知りたいくらいの気持ちだったので、細かい条件も考えずにWantedlyに登録して、いろいろな企業の記事を読んでいたんです。そのときにサン・クレアのページを見て、「おもしろそうな会社だな」と思いブックマークをしたら、すぐに栗田さんからスカウトメッセージをいただきました

※当時中野さんがサン・クレアからいただいたスカウト文面

栗田:当時は愛媛と福山のビジネスホテルの運営だけをしていて、チャレンジをはじめるフェーズでした。大企業であれば違う戦い方もできますが、まだまだ認知の足りない企業です。そのときは興味を持っていただいたみなさんに会社の紹介をさせていただきたいと思っていたんです。コロナ以前はインバウンド需要を見込んでいたこともあり、海外で留学経験や就業経験がある方がいたほうがより良いサービス展開ができるとも考えていました。ホテル業界での経験がなくても迎え入れる姿勢でしたし、フランスに留学する行動力があり、海外でのリアルな暮らしを知っている中野さんに、ぜひ一度お会いしてみたいと思いました。

中野:気になっていた企業から、自分が「応募する」ボタンを押す前にアクションがあったので、非常に驚きました。ただ、そのときはまだフランスに留学中で帰国予定も先だったので、他社と並行してやりとりをしていた感じです。ダイレクトスカウトをいただいたのは、サン・クレアの他に1社。都内の飲食店だったのですが、名前以外テンプレート感のある内容だったため、お断りさせていただいて。別の求人サイトの求人にも応募していましたが、書類審査に合格したら面談が設定されるといった流れだったので、まだそれほど積極的に動いてはいませんでした。

※スカウトに対しての中野さんのお返信内容

――そこから一時帰国のタイミングで栗田さんと中野さんは対面されるわけですね。

中野:一時帰国のタイミングでは、サン・クレアと同時に別の企業との話も進んでいました。あまり規模の大きくないところで働きたいと思ってはいたものの、サン・クレアはこれからオープンする施設が多かったこともあり、正直お会いする前までは「私の理想とは少し違うかもしれない」とも思っていたんです。でもきちんと私の経歴を見てくださった上で連絡をしてくださっていることがわかるメッセージの内容だったので、「会ってみたい」と思いました。実際にお会いする前に、一度オンラインでお話しましたよね。

栗田:帰国がまだ先ではあったのですが、一度サン・クレアの紹介を中野さんにして、現段階のお気持ちを聞きたかったんです。その流れで「一時帰国のときにタイミングが合えばお会いしたいですね」という話になりました。

2通目のメッセージが「はじめまして」の挨拶

――求職者の方にメッセージを送るときに気をつけていることを教えてください。

栗田:まずは嘘をつかないこと。僕が心がけているのは「会社のフェーズはここで、場合によっては課題になることもあるかもしれないけれど、その課題に対する魅力はここです」というように、会社のありのままの状態をお伝えすることです。会社の事実、求人の事実をストレートにお伝えするのが僕のスカウトに対しての礎です。

メッセージの文面は、ご経歴を見ながらひと言、ふた言、文言を変えて送るようにはしていますが、8割くらいはテンプレートです。求職者のみなさんもそれはわかっていると思うので、テンプレの中に「経歴を見てくれている」と思ってもらえる部分があればいいのかなと。それから多くの方はスマートフォンで見られると思うので、一文はあまり長くならないようにして改行を2段つけるなど、読みやすさにも気をつけています。さらに、レスは遅くても1日以内。できるときは1、2分で送ります。

あとは最初のスカウトも大事ですが、それよりも大事なのはそのあとの返信です。僕はこの2通目のメッセージが「はじめまして」だと思っています。求職者の多くは、1通目はDMに近いと思っているんじゃないかなと。1通目のメールに返信をいただけたら「よっしゃ!」とさらに気合を入れます(笑)。

※当時中野さんがサン・クレアからいただいた2通目のメッセージ

中野:メッセージ(上記)の文面にも書いてありますが、「ホテル業界経験者は1名だけです」と教えていただけたのはありがたかったです。さらにどういう会社なのかを改めて自己紹介してくださって、とても丁寧な会社だなと思いました。

栗田:たとえ間違っていても、求職者の方が気になっているところをフォローしたいと思うんです。自分が伝えたいことももちろん伝えますが、送る前に「もしかしてこんなことを気にしているのもしれないな」と想像して入れ込む。あとはもう堅苦しく考えず「一度遊びに来てみませんか?」とお伝えするようにしています。

――そもそも中野さんは、就業先の地域はどのあたりを想定していたのでしょうか?

中野:実家は東京ですが、東京で探すつもりはありませんでした。地方の大都市とか、親戚が西日本に多く住んでいるということもあり、東北や北海道よりは近畿、中国、九州地方あたりでいいお話があればいいなと思っていましたが、ここまで田舎にくるとは思っていませんでした(笑)

栗田:現在は愛媛県の松野町にある「水際のロッジ」に勤務していただいているのですが、当初は倉敷にある「NAGI KURASHIKI HOTEL&LOUNGE」のスタッフでのご活躍イメージを持っていたんです。当時はコロナ禍でもなかったので、Webサイトも日本語よりも英語表記が大きいような、インバウンド設計のホテルになる予定でした。日本に旅行に来る外国の方は、最初に東京、関西、そのあとに北海道、福岡で、広島や岡山に来る方は3、4回目の方だと想定していたので、首都圏よりもローカルな土地では不安なことも多いのではないかなと。そこで、日本にくる前から「旅のコンシェルジュ」がホテルへのアクセスや地元の美味しいお店などをお教えして、旅のお手伝いができるようなサービスを提供する、新しいホテルが作りたかったんです。

そのためには一度体験してもらうしかないなと、中野さんを当時オープンしたばかりの「ANCHOR HOTEL」にご招待しました。倉敷のオープンが3月1日だったので、実際に採用したスタッフとお話をしていただいたり、観光マップには載っていない地元のお店でご飯を食べたりしながら「こういうところを海外の方に見つけてもらえるホテルにしたいんです」とお話をしました。

中野:行くまでは候補のひとつの企業でしたが、実際に「ANCHOR HOTEL」に泊まる経験をさせていただいて「この会社で働きたい」という気持ちが芽生えました。「NAGI KURASHIKI HOTEL&LOUNGE」のスタッフのみなさんや地元のおばんざい屋さんのお母さんとお話をして「またここに来たい」と心を奪われたというか(笑)こういう機会を与えてくれる会社で働きたいと思いました。

栗田:ただ中野さんの帰国がまだ先だったので、一旦そこではご縁がなかったというか、入社のタイミングはもう少しあとですよね。時期先人材としていつかご縁があるといいなとは思っていました。

お互い不安もあったコロナ禍での宿泊業界での求職活動

中野:フランスに戻った途端にコロナウイルスが蔓延して、3月後半から5月にかけて、フランスはロックダウンに入りました。日本も緊急事態宣言が出て、4月、5月くらいはサン・クレアのホテルも全部閉じていたんですよね。

栗田:ゴールデンウィーク前から6月までは全館オールストップでした。

中野:フランスでロックダウンを経験するとは思っていなかったので、帰ってからのことを考える余裕もありませんでした。そもそも「帰れる?」という不安もありましたし。結局、帰国も5月から9月に後ろ倒しになり、サン・クレアが営業休止していることもホームページで見て知っていたので、このタイミングで「働かせてください」とは言えないと、私から連絡することは控えていました。その期間が半年くらいあり、9月にようやく帰国して、求人を出しているかもわからない状態ではありましたが、10月くらいに恐る恐る「まだ求人はしていますか?」という連絡をしてみたら「お話しましょう」と行ってくださったんです。

栗田:まだ興味を持ってもらえているだけでもハッピーじゃないですか。当時は運営するホテルは2つから5つに増えてはいましたが、ホテル業界は向かい風で目も当てられない状態。その状態でも興味を持ってくれているのなら「まずはお話をしましょう」と。一方で最初に想定していた倉敷はインバウンドから日本人向けにサービス設計をし直していましたし、稼働率も低く求人もなかったので、愛媛県の松野町から民間譲渡していただいて運営していた「水際のロッジ」であれば可能性はゼロではないというお話をして、そこからトントン拍子に話が決まりました。

中野:「ANCHOR HOTEL」に出泊させていただいたときには「水際のロッジ」はオープン前で、新しくできる施設のひとつという認識しかなく、想定になかったので初めはびっくりしました。でも完全に向かい風の中、本来は求人を取る余裕もない時期に、それでも話を進めてくれたので、ぜひ一度「水際のロッジ」に行ってみたいと思ったんです。

栗田:提案はしたものの、中野さんの考えとは違うわけですから。とにかく一度行ってみないとわからないから行きましょうと、松山空港からさらに2時間ほどかかる「水際のホテル」に実際に来ていただきました。そこで現地スタッフ、社長の細羽と仕事の話や住む場所、実際にやる仕事についてなど、いろいろな話をしました。もちろん僕もできる限りのサポートをするとお伝えして、現在は「水際のロッジ」にあるレストランでご活躍いただいています。

スカウトメッセージのやりとりや面談を経て入社してからできた新しい目標

――中野さんの採用物語には第二章があったんですね。「水際のロッジ」に実際に行かれたことで「働きたい」と思ったのでしょうか?

中野:そうです。「水際のロッジ」で細羽社長の考え方などもお話いただきました。会社が向いている方向をわかった上で入社できたことも良かったと思っています。

栗田:実は中野さんが入社される前にいたスタッフは、立ち上げフェーズに興味があった方も多く、在籍1年ほどで退職が続いたのも事実です。「自然や世界観を守って共存していく」という大きな方向はずれていないのですが、立て直していく中でより農業に注力していこうとか、サステナブルな考え方をさらに取り入れて行く方向になり、オープン前よりも、より鮮明なビジョンが出来上がってきたのです。そうなると「こんなはずじゃなかった」と思う方もいますよね。それは働く環境を整備できなかった僕らの反省点でもあります。中野さんが入社された当時と今とでは、一緒に働いているスタッフはほぼ違うので大変だったと思います。だから今日、こうやっていろいろと話してもらえて嬉しいです。

中野:スカウトメッセージのやりとりや面談を経て、2020年の2月に入社してから約8カ月ものすごく濃かったです(笑)。倉敷の「NAGI KURASHIKI HOTEL&LOUNGE」でお話をいただいていたときは、メインターゲットは海外からのお客様でしたが、「水際のロッジ」はファミリー層です。とくに夏は自然の中で子どもたちを遊ばせたいファミリーが多いので、これまでの経歴では経験できないことばかりです。毎日私が子どもたちに遊んでもらっている感じなのですが、それが結構楽しいんです。それはここに来ないとわからなかったことですし、自分自身もこういう環境で楽しめるとは思いませんでした。毎日お客様から元気をもらって「ああ今日も楽しかった!」と思って家に帰る毎日です。

私は大きい目標を考えるのは苦手なのですが、目の前のことは頑張れるので、とにかくひとつずつ着実にやっていくしかないと思っています。今の目標としては、お客様と接するときに、できるだけマニュアル通りではない対応をしたいと思っています。忙しいと難しい場合もあるのですが、少しでもマニュアル通りのやりとりをなくして「また遊びに来るね!」と言ってくださるお客様が増えたら嬉しいです。

栗田:サン・クレアに関わってくれたことが中野さんにとって少しでもプラスになっているなら嬉しいです。これからも末永くよろしくお願いいたします!

決め手となったスカウトメッセージのポイント

  • 1通目の返信で求職者側は、「ホテルの勤務経験が浅い」「帰国予定が半年先」という不安を書いていた。
  • その不安に対し、2通目のメールで「ホテル業界経験者は1名だけ」「直近入社以外の求職者とも面談している」と回答し不安を解消。
  • 2通目のメールは採用者側にとっては「はじめまして」のあいさつ。求職者の気になるところをフォローする内容で柔軟に対応。
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