エンジニア採用で人事担当者が知っておくべき知識を紹介

dodaエージェントサービスによると、2021年3月のIT・通信業種の求人倍率は5,58倍となり、単純に計算すると6社が1人の採用を競い合うという市場感になっています。また、経済産業省「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によると、2030年のIT人材不足は約41万人~約79万人と試算されており、今後IT人材不足はますます深刻化すると予測されています。

本記事は、IT人材の代表格であるエンジニアの採用難を解決するために、必要となる”人事担当者の知識”や”効果的な採用手順”を成功事例付きで紹介しています。

エンジニア採用が難しい理由と解決法

エンジニア採用が難しい理由

IT業界の革新スピードは他業界に比べとても速く、プログラミング言語やフレームワークなどの技術トレンドがめまぐるしく変化しています。エンジニアを採用するには、その状況下で専門性の高い内容をキャッチアップして候補者を評価することが求められます。

求人倍率については前述のとおりですが、LAPRAS「国内エンジニアのスキル分布」にて確認できるように、言語スキルによっては母集団がさらに少なくなり、採用の難易度はあがります。

また、近年では、SNSを通じて直接声をかけるソーシャルリクルーティングやリファラル採用(紹介)を利用したエンジニアの転職が増えており、求人サイトや転職エージェントのような採用媒体離れが進んでいます。転職顕在層の採用競争が激化していること、さらには従来の採用媒体離れが進んでいることから、「良い会社があれば転職を検討するかもしれない」転職潜在層へ向けたアプローチの重要性が増してきています。具体的には、採用広報やダイレクトリクルーティングなど、攻めの採用活動が必要なのです。

採用広報とは?メルカリ、マネーフォワードなど急成長企業の事例を紹介
労働人口の減少による求職者の母数の減少が拍車をかけ、各企業にとって優秀な人材・最適な人材を採用する難易度が上がっています。難易度があがる採用市場の中で、間口を広げつつ自社に適した人材を確保するために注目されている手法が採用広報です。今回は、採用広報の役割と重要性、やり方や発信すべき内容を成功事例と合わせて詳しく見ていきます。
ダイレクトリクルーティングとは?
ダイレクトリクルーティングは企業から候補者へ能動的にアプローチする採用手法です。本記事では「ダイレクトリクルーティングとは何か」をはじめ、向いている会社の特徴、サービスの比較などを紹介します。

エンジニアを採用できない根源と解決法

状況は把握しているのに採用ができない理由。その根源として、エンジニアに対する知識不足があげられます。“必要以上に高い採用要件をつくってしまい候補者がいない”、”求人・募集要項の解像度が低く応募が来ない”、”メールや面談のコミュニケーションがうまくとれず辞退になる”、それらは全て、エンジニアに対する理解不足から起こっています。

ここからは、「エンジニアを知る」をベースに「効果的な採用ステップ」と「成功事例からみるエンジニア採用」を解説していきます。

人事が知っておくべきエンジニアに関連する知識

エンジニアの理解を深めることで、人事担当者は「エンジニアにとって魅力的な仕事・企業とは何か?」「自社にとって優秀なエンジニアとは?」を明確にし、効果的な採用戦略をつくれるようになります。

エンジニアの職種と職位

そもそもエンジニアとは何を指すのでしょうか。こちらでは、よく目にする職種や職位を一般的な例として紹介していますが、エンジニアの職種や職位は、企業や組織によって領域や呼称が異なります。自社にとってその職種や職位が何を指すのか、正しく定義を理解することが重要です。

~扱う領域でみるエンジニアの呼称と仕事内容~

・フロントエンドエンジニア
WebサービスやアプリのUI(User Interface, ユーザーが利用する際、実際に目にする部分)の実装、時にはデザインも担当します。
代表的な利用言語、ツール 例)HTML, CSS, JavaScript, TypeScript,React, Angular, Vue, jQuery

・バックエンドエンジニア
Webサービスやアプリの裏側を開発します。
代表的な利用言語、ツール 例)C, Java, PHP, Ruby, Go, Python,Ruby on Rails, Laravel, CodeIgniter, Symfony

・インフラエンジニア
サービス運用・運営や開発の土台となる基盤の設計、開発、管理をする。Webサービス運営企業ではない場合に、配線等のネットワーク環境の構築まで含むケースもあります。
代表的な利用言語、ツール 例)AWS, GCP, Microsoft Azure, Docker, Kubernetes

・モバイルエンジニア
バックエンドエンジニアの中でも、モバイル向けアプリに特化しています。Android向け、iOS向けが大半です。
代表的な利用言語、ツール 例)Kotlin, Java, Swift

・データサイエンティスト
単語自体は広義ですが、Webサービスを運営している企業では、サービスを開発、改善のためにデータの管理や分析を担当するケースが多いです。
代表的な利用言語、ツール 例)SQL, Python,Looker

~マネジメントや職位でみるエンジニアの呼称と仕事内容~

・プロダクトマネージャー
市場が求めるものを実現するために活動するポジション。市場のニーズ把握、プロダクトの立案、生産を行う責任者。開発だけでなくビジネスにも大きく関わる。PDMやPdMと表記することもある。

・プロジェクトリーダー
計画通りにプロジェクトを進められるように開発チームをリードする役割を持つ。エンジニアからアサインされ、技術力だけでなく、チーム内の調整力、顧客との交渉力も期待される。

・プロジェクトマネージャー
プロジェクトの予算やスケジュールの管理など全体を統括し、プロジェクトを成功に導く責任をもつ。プロジェクトリーダーへの指示出し、顧客や社外の人と交渉も行う、コミュニケーション力も求められる。

プログラミング関連知識

人事担当者に求められる知識は「プログラミングができる」ではなく、「プログラミングに関する基礎や概念を知っている」ということです。自社の技術開発に関わりのある用語の内容を理解することから始めましょう。

知識を学ぶことで、人材要件などの理解が進み、採用業務がスムーズになります。

以下の資料が詳しいです。

https://speakerdeck.com/corocn/recruting-engineer-basic

エンジニアの転職理由とキャリア観

エンジニアの転職理由として上位を占めるのは、雇用条件や働き方への不満、人間関係の不和、スキルアップ希望です。技術職であるエンジニアは、「納得できる雇用条件のもと、円滑な人間関係の中でスキルを磨き、経験を積める職場に魅力を感じる」ということが分かります。

人事担当者は、候補者が”何のスキルや経験を積みたいと思っているのか”をしっかり読み取り、自社で働くことで”何を得られるか”を明確に提示できるようにしましょう。

以下の記事では5人のエンジニアに転職先を選ぶ基準などをヒアリングしています。

ウォンテッドリーのエンジニアに聞く「エンジニア募集の作り方」中級編 〜エンジニアの職種を知る〜
今回は、エンジニア向けの募集記事を作成する上で、必須となるエンジニアの知識が得られるコンテンツとなっています。具体的には、エンジニアにどういった職種があるのか、どういった背景で職種を選んだか、各職種のエンジニアが何を考えているのかといった内容をウォンテッドリー株式会社の現役エンジニア達のインタビュー形式でまとめました。

エンジニア採用成功のために人事が取り組むべきこと

Step1 社内エンジニアを巻き込む

エンジニア採用において、現場エンジニアの協力は必須と言えます。採用活動の協力を得る場合、人事担当者から一方的に依頼するのではなく、採用活動に関わってもらうことのメリット(チームメンバーとなる欲しい人材を獲得できる、採用活動がキャリアを積む手段となるなど)をしっかり伝えるようにしましょう。

なお、採用の協業をしやすい人材として、マネージャーやリーダーを目指している人、コミュニケーションが得意な人など、採用・組織に興味を持っている人やSNSでアウトプットするこをが得意とする人があげられます。

Step2 ペルソナ設計と求人・募集要項の作成

ペルソナ設計は、現場、人事、経営層でずれがないように行う必要があります。特に、どんなスキルが”なぜ”必要なのか、現場のヒアリングを大切にしましょう。その際、must(絶対に必要なスキル)とwant(あると良いスキル)を分けて聞き込むこと、そして求める役割(チーム内での立場、期待すること)を明確にすることで、正確な採用要件をつくることができます。

ウォンテッドリー現場人事が語る、「エンジニア募集の作り方」上級編
今回は、ウォンテッドリー株式会社でエンジニア採用を担当している竹内に話を聞きました。今回は優秀なエンジニアから応募をもらえる募集記事を作る方法をお伝えします。

Step3 採用チャネルを決定する

ペルソナが確定したら、どの採用チャネルでアプローチすべきかを検討します。候補者とコンタクトを取る手段は①掲載型の求人媒体、②ダイレクトスカウト、③人材紹介、④リファラルの4つに区分できます。それぞれの性質を理解し、最適な採用手法を組み合わせましょう。 

➀求人媒体

良い点
・登録ユーザーが多い
・人材紹介よりも採用単価を抑えやすい

悪い点
・応募が集まらないリスクがある
・年収などの条件面で検索や比較をされる傾向が強い

選ぶ際のポイント
・エンジニア採用に強い媒体を選ぶ

②ダイレクトスカウト

良い点
・採用要件に合う人材にピンポイントでアプローチすることができる
・自社の魅力を訴求しやすい
・運用次第で採用単価を抑えることができる

悪い点
・業務負荷が高い

選ぶ際のポイント
・送信単価と平均返信率から効率を比較する

③人材紹介

良い点
・成果報酬型のため、掛け捨てリスクがない

悪い点
・採用単価が他の手法と比べて高額になる
・給与条件が良い企業に候補者が集中する傾向がある

選ぶ際のポイント
・紹介担当者によって成果が変わることに留意する

④リファラル

良い点
・スキルや経歴の判断を行いやすい
・入社後の定着率が高い
・採用単価を抑えられる

悪い点
・母数が少ない

選ぶ際のポイント
・社員に協力してもらうために、採用担当の働きかけが必要

可能であればリファラル採用は実施し、その上で他の手法を、効果を見ながら組み合わせていくのがよいでしょう。

エンジニア採用が難しい3つの理由|勝つための戦略とやるべきことを紹介
エンジニアの需要は今後も益々増加すると予測されていて、採用競争はさらに激化していくことでしょう。過酷な採用競争を勝ち抜き、自社にマッチするエンジニアを採用するためには、どのような手段でアプローチすればいいのでしょうか。本記事では、エンジニア採用の難易度が高まる背景から、求める人材を採用するためのポイントやおすすめの採用媒体をご紹介します。

エンジニア採用の成功事例

エンジニア採用を成功させている企業が行っている”具体的な取り組み”について紹介します。

クラスメソッド株式会社

クラスメソッド株式会社のWantedlyページはこちら

「30人の組織、6年で400人に」

オウンドメディアとして”技術ブログサイトDevelopers.IO”を運営。社長を含め、全社員が積極的にブログを書き、技術力の発信とファンづくりに力を入れています。また、採用サイトの情報発信が細かく、平均年収や残業時間、有給消化率まですべて数字で公開しており、福利厚生情報も豊富なことで、条件面でのミスマッチが少ないそうです。さらに、ミートアップにも力を入れており、多種類のオンラインイベントを継続して行うことで、転職潜在層への接点も広げています。

 

株式会社オプト

株式会社オプトのWantedlyページはこちら

「エンジニア7名の組織、1年で約50名を採用」

「ギーク」と「チャレンジング」のを兼ね備えたエンジニアを欲しい人材像と設定し、その層に向けて、Qiita、技術カンファレンスへの協賛、エンジニア向けイベントなどを通じて情報を発信しています。また、社内エンジニアに開発環境や専門領域に関する記事を書いてもらい、公式Webマガジン「Opt Technologies Magazine」に情報をストック。マガジンやSNSを有効活用し、候補者との接触率を高める取り組みも活発に行っています。他にも、採用管理システム「Talentio」を使い、採用をデータで分析、採用施策を常に改善し続けているそうです。

 

株式会社コーボー

株式会社コーボーのWantedlyページはこちら

「小さな会社でも1年半で4人のエンジニアを採用、内定承諾率100%」

社長の生い立ちから会社を起業するまでの経緯、会社の向かっていく方向など、想いや熱量をメインにWantedlyを利用して配信しています。採用ターゲットにとっての”あるある”や転職でぶつかる壁、開発で苦戦することなど、エンジニア特有の悩みや問題をどう解決すればよいか、社内事例をもとに記事化しています。採用広報の活動を継続したことで、4名のエンジニアの採用に成功したそうです。

著者プロフィール

一月香織

Writer

国家資格キャリアコンサルタント兼ライター。大手教育系企業にてマネージメント経験を積み、人事研修課に異動。エリア責任者として新卒・中途採用、人材育成に携わる。母集団増、内定辞退率、離職率減に貢献。フリー転身後は子育て世代のキャリア支援を中心に、Webサイト運営や採用・転職に関わる記事執筆も行う。

タイトルとURLをコピーしました