ベンチャー企業の採用が難しい背景には、構造的な人手不足や知名度・リソースの壁など、複合的な要因があります。
本記事では、採用が難しい5つの理由と、その壁を乗り越えるための採用戦略・成功事例を紹介します。
【関連記事】中小企業の採用を成功させるポイントと具体的な手法
【関連記事】スタートアップの採用戦略
▶︎スタートアップ企業が知っておくべき採用ノウハウ集を無料ダウンロード
▶︎ 採用プラットフォームWantedlyの無料トライアルを始める
採用広報を始めたいけど、何から始めれば良いかわからない方へ
ベンチャー企業の採用が難しい5つの理由
ベンチャー企業の採用が難しい理由は、以下の要素が重なりやすいことにあります。
| 1. 知名度・ブランド力が低く、母集団を集めにくい 2. 採用に割ける予算・人員が限られている 3. 採用ノウハウ・仕組みがまだ整っていない 4. 即戦力人材ほど大手やメガベンチャーに流れやすい 5. 待遇・安定性で大手と差をつけにくい |
単に応募数が少ないという表面的な問題ではなく、認知・リソース・仕組み・市場環境が複合的に影響することで、さまざまな課題が生まれるといえるでしょう。ここでは、その背景にある代表的な要因を整理します。
1. 知名度・ブランド力が低く、母集団を集めにくい
多くのベンチャー企業にとって最大の課題は「そもそも認知されていない」ことです。大手企業のように企業名だけで一定の応募を集められるケースは少なく、求人情報を出しても候補者の目にとまりにくい傾向があります。
特に転職市場では、求職者は限られた時間の中で応募先を選定するため、知名度の低い企業は比較検討の土台にすら乗らない可能性があるでしょう。また、「ベンチャー=不安定」といったイメージを持たれやすく、認知だけでなく信頼の面でもハードルが存在します。
2. 採用に割ける予算・人員が限られている
ベンチャー企業は事業成長にリソースを集中させる必要があり、採用に十分な予算や専任人員を確保できないケースが少なくありません。結果として、求人媒体への出稿数が限られたり、採用広報やブランディング施策に手が回らなかったりします。
また、採用担当が他業務と兼任である場合、候補者対応や施策改善に十分な時間を割けず、結果として機会損失が生まれやすくなります。これは母集団形成だけでなく、選考体験の質にも影響を与える重要な課題です。
3. 採用ノウハウ・仕組みがまだ整っていない
創業間もない企業や成長途中のベンチャーでは、採用活動の型やノウハウが蓄積されていないことが少なくありません。ターゲット設計、求人票の作成、選考プロセスの設計、面接の評価基準などが属人的になりやすく、再現性のある採用が難しい可能性があります。
また、データに基づいた改善サイクルが回っていなければ、「なぜ採用できないのか」が不明確なまま施策を繰り返し、成果につながりにくいでしょう。採用を仕組みとして捉えられているかどうかが分岐点です。
4. 即戦力人材ほど大手やメガベンチャーに流れやすい
経験豊富な即戦力人材ほど、選択肢が豊富にあります。そのため、待遇や安定性、ブランド力が相対的に高い大手企業やメガベンチャーに流れやすい傾向があります。
特に同じ成長環境を求める場合でも、知名度があり、かつ成長機会もある企業が優先されやすく、ベンチャー企業は比較の中で不利になりがちです。結果として、ポテンシャル層に偏る、あるいは採用難易度が高い人材が長期的に不足するという課題が生じます。
5. 待遇・安定性で大手と差をつけにくい
ベンチャー企業では、給与水準や福利厚生、雇用の安定性といった条件面で、大手企業と同等以上の魅力を提示することが難しい場合が多くあります。特に家族を持つ層や安定志向の強い求職者にとっては、リスクとして認識されやすいポイントです。
そのため、単純な条件比較では選ばれにくく、「なぜこの会社で働くのか」という価値訴求がより重要です。しかし、この訴求が十分に言語化・発信されていない場合、魅力が伝わらず機会損失につながります。
▶︎スタートアップ企業が知っておくべき採用ノウハウ集を無料ダウンロード
採用広報を始めたいけど、何から始めれば良いかわからない方へ
ベンチャー企業でよくある採用の失敗例

ベンチャー企業の採用は構造的に難易度が高い状況にありますが、意識せずに採用をさらに難しくしてしまう失敗例も存在します。ここでは、多くのベンチャー企業で見られる、代表的な失敗例を紹介します。
| ▍ベンチャー企業でよくある採用の失敗例 ・求人媒体頼みの待ちの採用 ・採用人材要件が曖昧 ・経営者が採用判断をすべて握っている ・現場を巻き込んだ採用活動ができていない |
求人媒体頼みの待ちの採用
採用にリソースを割きにくいベンチャー企業では、求人媒体に掲載して応募を待つだけの「待ちの採用」に依存するケースが少なくありません。しかし、売り手市場が続く現在は、待ちの姿勢だけでは十分な母集団を形成することが難しくなっています。
特に知名度の低いベンチャー企業の場合、同じ媒体内でも大手企業や人気企業に埋もれ、「求人が見られない」「比較対象にすら入らない」といった状況に陥りがちです。その結果、「掲載しているのに応募が来ない」という状態が続き、採用活動が停滞するリスクがあります。
採用人材要件が曖昧
「誰を採るか」が言語化されていないまま採用活動を進めてしまうのも、よくある失敗のひとつです。人材要件が曖昧なままでは、求人票の訴求軸がぼやけ、誰にも刺さらない内容になりかねません。
ターゲットを設定していても、「優秀なエンジニア」「営業経験者」といった抽象度の高い定義にとどまっている場合も同様です。訴求内容が曖昧なままでは媒体選定の軸も定まらず、意図した人材層にそもそもリーチできない、あるいは応募は来ても求めている人材と乖離しているという状況に陥りがちです。
経営者が採用判断をすべて握っている
採用要件や評価軸が経営者一人に集中しているケースは、ベンチャー企業でよく見られます。属人的な判断が続くと、採用基準が言語化されないまま進むため、担当者が変わるたびに選考の質がブレやすくなります。
また、経営者のスケジュールに選考が左右されることで、候補者対応が遅れ、優秀な人材を逃す機会損失にもつながりかねません。採用を組織として機能させるためには、判断基準の言語化と役割分担が不可欠です。
現場を巻き込んだ採用活動ができていない
現場メンバーが多忙を理由に採用に関与できていないケースも、ベンチャー企業では起こりがちです。候補者にとって、実際に働く環境やメンバーの雰囲気はそのまま入社の決め手になりえます。
現場が関与できないと、採用広報や候補者との接点づくりといった工数のかかる施策が後回しになりがちです。知名度のないベンチャー企業にこそこうした取り組みが必要であるにもかかわらず、手が回らない状況が続くことで「応募が来ない」状態がさらに悪化する負のサイクルに陥りやすくなります。
ベンチャー企業の採用を成功させるポイント

ベンチャー企業が採用を成功させるためには、待ちの採用から脱却し、自社の強みを活かした能動的なアプローチが欠かせません。ここからは、押さえておきたい具体的なポイントを4つ解説します。
| ▍ベンチャー企業の採用を成功させるコツ ・転職潜在層にアプローチする ・採用コンテンツで共感を醸成する ・採用要件を定義する ・選考基準を設計する |
転職潜在層にアプローチする
求人広告を掲載して応募を待つ受け身の採用では、優秀な人材の獲得は難しくなっています。経済産業省の試算(2019年)では2030年のIT人材不足は最大約79万人規模に達するとされており、実際に2026年時の厚生労働省「一般職業紹介状況」でも情報処理・通信技術者の有効求人倍率は全職種平均を上回る水準が続いています。
こうした環境では、転職を意識していない層に早期から接点を持ち、「認知→興味→共感→応募」の流れを設計することが重要です。具体的には、ダイレクトリクルーティングなどで認知させ、採用ブログやカジュアル面談で興味や共感を抱かせる設計が有効です。
出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年)
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」
採用コンテンツで共感を醸成する
企業のビジョン・ミッション・価値観への共感を軸に人材を惹きつける採用手法は「共感採用」とも呼ばれ、知名度や待遇で差がつきやすいベンチャー企業にとって、特に有効なアプローチです。
そのためには「何をしている会社か」だけでなく、なぜそれをやるのか、どのような意思決定で今に至るのかといったストーリーを言語化し、継続的に発信していくことが不可欠です。代表インタビューや創業の背景を伝えるミッションストーリー、あえて失敗・試行錯誤のプロセスを公開するコンテンツは、企業のリアルを伝え共感を生みやすいテーマです。
Wantedlyのストーリーやフィード投稿を活用する場合は、読み手が具体的に働くイメージを持てるフォーマットでの発信が効果的です。入社前後のBefore/After、社員の1日の仕事の流れといった切り口のコンテンツは、キャリアの変化や仕事のリアリティを伝えやすく、共感や興味の喚起が期待できます。
採用要件を定義する
採用活動において「誰を採るか」が言語化されていないと、求人票の訴求がぼやけ、意図した人材層にそもそもリーチできません。自社の事業計画を踏まえ、どのような人物が必要かを具体的に言語化しましょう。経歴やスキルが優れた候補者が現れても、「自社に適しているかどうか」の視点を忘れてはいけません。人材要件は「Must(必須)」と「Want(あれば良い)」に分けて設定することで、現実的なターゲット設計ができます。
さらに、採用ペルソナとして「どんな経歴・価値観・志向性を持つ人物か」を具体的に描くことで、求人票の訴求軸が明確になり、スカウトメッセージや採用コンテンツとの一貫性も生まれます。ターゲットの輪郭が明確であるほど、意図した人材に届く確率が上がります。
選考基準を設計する
採用要件を定義したら、「どう見極めるか」の基準を整備することが次のステップです。基準が曖昧なままでは選考の一貫性が失われ、人数が多くないベンチャー企業にとって致命的なミスマッチにつながりかねません。
スキル面では、面接でどんな問いを投げかけるか、どんな回答が自社の求めるレベルに合致するかをあらかじめ言語化しておくことが重要です。採用担当者が現場のポジション理解を深めることで、見極め精度も上がります。
カルチャーフィットの見極めも同様で、自社のカルチャーや働き方に照らしてどんな価値観・志向性の人物が合うのかを言語化しておくことで、面接での確認軸が定まります。候補者への質問設計と、理想的な回答のイメージを事前に現場と共有しておくと、選考の一貫性が保ちやすくなります。
▶︎スタートアップ企業が知っておくべき採用ノウハウ集を無料ダウンロード
▶︎ 採用プラットフォームWantedlyの無料トライアルを始める
採用広報を始めたいけど、何から始めれば良いかわからない方へ
ベンチャー企業の採用成功事例
有効な採用手法が分かったところで、実際に採用に成功したベンチャー企業の事例を見てみましょう。
1年で10名から23名へ急拡大|株式会社EventHub
株式会社EventHubは、オンラインイベントのマネジメントツール「EventHub」を開発・提供している企業です。
オンラインのニーズの高まりにより、約半年で利用企業は約3.5倍、売り上げは約20倍となり、2020年はじめ10名程度だったチームは現在23名となり、2021年には50名規模のチームとなることを目指して現在も採用を進めています。
株式会社EventHubが立ち上げ期に取り組んだこと ・一次面談はCEOか共同創業者が担当 ・オープンオフィス 知名度も高くなく、採用広報にあてるリソースもなかったため、Wantedlyのスカウト機能をメインで利用し、採用活動を行いました。 具体的には一次面談から創業者が候補者と会い、ビジョンや現状を明確に伝え、候補者の目指すキャリアや職場に求める条件も丁寧にヒアリング。これは、候補者の志望度を上げ、ミスマッチを防ぐために有効な施策となりました。 他にも、ハイレイヤークラスの面接では、機密保持契約を挟んで社内データを公開し、具体的な施策や実行期限を一緒に話し合う取り組みも行っており、優秀層の獲得に繋がっています。 カルチャーフィットを確認するため、オフィスの雰囲気を感じてもらうため、直接交流の場を提供できるオープンオフィスも積極的に行っていました。 |
「1人目人事」として行ったこと|株式会社ビビッドガーデン
株式会社ビビッドガーデンは、「生産者のこだわりが正当に評価される世界」をつくることを掲げ、生産者と消費者を直接繋げる産直ECサイト「食べチョク」を運営する企業です。
株式会社ビビッドガーデンが立ち上げ期に取り組んだこと ・ATS(採用管理システム)の導入 ・候補者に合わせたコミュニケーション設計 ・全ポジションの業務理解 採用戦略がない状態からのスタート。まずは課題の洗い出しのために、ATSを導入し、自社の強みや弱みの見極めから始めました。 WantedlyやTwitter上での認知度は低くない一方で、候補者に対する自社の魅力付けが弱かったため、アプローチ段階では「興味の醸成」、最初の面談では「ファン化」など、採用プロセス毎の目的を明確化しました。 カジュアル面談では、候補者のキャリアやビジョンを徹底的にヒアリングし、候補者と志向性が近いメンバーや候補者のロールモデルになるメンバーを同席させるようにしています。 また、採用担当者が採用ポジションの業務理解を深めるために、現場の会議に参加する取り組みも行っています。 |
【参考】スタートアップ企業の「1人目人事」として私が行ったこと
まとめ:ベンチャー企業の採用を成功させるためには
ベンチャー企業の採用では、「待ちの採用からの脱却」「共感の醸成」「採用要件・選考基準の言語化」が重要です。特に、知名度や条件面で不利になりやすい環境においては、自社の魅力や価値観を適切に言語化し、継続的に発信していくことが欠かせません。また、転職潜在層との接点を増やしながら、認知から応募までの導線を設計することが、採用成果に大きく影響します。
こうした取り組みを効率的に実現する手段として、共感を軸とした採用プラットフォームの活用も有効です。Wantedlyは、ストーリー発信やカジュアル面談、ダイレクトリクルーティングを組み合わせて活用でき、ベンチャー企業の採用と相性が良いといえるでしょう。
自社に合った手法やツールを組み合わせながら、候補者との関係性を中長期で築いていくことが、これからの採用成功のカギとなります。
▶︎ 採用プラットフォームWantedlyの無料トライアルを始める
採用広報を始めたいけど、何から始めれば良いかわからない方へ


