発言すれば、仕事が増える。
憶測を口にすれば、追及されて恥をかく。
だったら、黙っているのが一番得。
多くの日本の職場に、こんな空気が流れています。私たちはこれを「黙った者勝ち会議」と呼んでいます。悪気のある人は、どこにもいません。それでも、思いやアイデアを持った優秀な人ほど口をつぐみ、「どうせ変わらない」という静かな諦めが積み重なっていく。これほどもったいない価値の停滞は、そうありません。
失われた「24%」
少し、データの話をさせてください。1990年を基準にすると、OECD諸国の実質賃金はこの間に30〜40%上がりました。ところが日本は、わずか6%。この差、およそ24%が、私たちが「失われた24%」と呼ぶものです。
なぜ、こうなったのか。名指しできる悪役はいません。
原因は、時代の潮流の読み間違いと、人への投資の不足にあります。モノさえ良ければ売れる時代から、体験や意味にお金が動く時代へ。市場が変わったのに、その意味を生み出す「人」への投資を、私たちは後回しにし続けてきました。
議論を、対話に変える
日本には、真面目で誠実で、能力の高い社員が驚くほどたくさんいます。彼らの力が活きていない理由は、能力ではありません。「話し合い方」です。
私たちアンドアは、過去の正しさに白黒をつける「議論」を、未来に向けて新しい意味を紡ぐ「対話」へと変えていきます。あらゆる会社が対話を練習し、実践できるようになれば、失われた24%を取り戻すことは、決して夢物語ではないと本気で考えています。
1,600社が変われば、空気が変わる
新しい文化が社会に広まる分岐点は「16%」だと言われます。私たちが見ているのは、従業員500名以上の日本の大企業・中堅企業、およそ1万社。その16%にあたる1,600社の対話の質について、2036年までに関わらせていただく。それが「ビジョン2036」です。
そのために、3つの取り組みを循環させます。
- 「話せてよかった」と思える対話体験を届けること。
- 対話の質を可視化する健康診断(対話の傾向診断)を提供すること。
- そして、社内の対話を変えるプロのファシリテーターを、毎年育て、輩出すること。
1,600社の現場で「本音と未来がつながる対話」が当たり前になれば、日本中の「黙った者勝ち会議」は姿を消していく。私たちはそう信じています。
一番の美意識は、「洒落てますか?」
最後に、アンドアで働くうえで大事にしている言葉を紹介させてください。
「洒落(しゃれ)てますか?」です。
対話の本質は、自分の意見への執着に気づいて、それを手放し、解釈が更新されていくのを楽しむこと。余計なものを削ぎ落とすその精神を、日本語で一番美しく言い表せるのが「洒落ている」だと、私たちは思っています。だからバリューを、細かく並べて人を縛ることはしません。それこそ、洒落ていないので。
洒落た対話をして、洒落たプロであろうとして、洒落た人生を生きる。
勝った負けたと比べるのをやめて、未来から逆算し、今なすべきことに軽やかに集中する。
そんな仲間と、この大きな仕事を進めていきたいと思っています。
最後に
私たちは、日本企業がこれまで良かれと思ってやってきたことを、否定するつもりは一切ありません。ただ、「自分の人生、これでよかったのか」と後悔する人を、一人でも減らしたい。日本のポテンシャルを、解放したい。
「いつか」ではなく「今から」組織を変えると腹を決めた方と、私たちは伴走し続けます。黙った者勝ちの会議を、本音で未来を決める場に。誰もが、本来の力を、思いのままに。
まずは一度、本音で話せたら嬉しいです。