数々の大企業に対して「コンサルティングxクリエイティブ」で領域不問の課題解決を行うJBA。でも「JBAって何屋さん?」と聞かれると、一言では答えにくいんです。
そこで、実際のお客さまとの具体的なプロジェクトを通して、担当した社員は、何を考え、どんなことをしたのか。やりがいや苦悩や仕事観に至るまでをリアルにお伝えする「事例紹介」シリーズです。
始まりは、あるドクターの承継問題だった
2019年現在、この事業部の責任者である園田が最初にこのモデルの原型にたどり着いたのは、JBAに入社してから2年目の、2011年の春だった。
当時、何か役に立てることはないかと色々なクリニックに足を運び御用聞きをする中で、園田は「同じ開業医といっても、ドクターが描く理想の経営や人生設計はそれぞれ。それに合わせた提案が出来なければ意味がない」と感じていた。「多くのクリニックが経営課題を抱えていることは確かだが、汎用的な支援モデルなんて作れるものだろうか?」
そんな思いを抱えていた時に出会ったのが、関西のある大病院の整形外科部で部長をしていたK医師だった。
K医師は、奥様の父親が26年前に開業した地域のクリニックを継ぐかどうかで悩んでいるところだった。開業当時は地域に競合もなく多くの患者さんに恵まれていたが、時が流れて、近隣に何件も新しい整形外科ができ、現院長の義父も60歳を超えて体力が落ちてきていて、患者数は減る一方であった。義父も、妻も、そのクリニックをK医師が継ぐことを望んではいたが、本人は、大病院の中の安定したキャリアと2000万円の給与を捨てて、果たしてうまくやっていけるだろうかと踏み切れずにいた。古びた設備の改築をするにはまとまった借入金が必要だし、二人の子供もまだ幼い。
そんな不安から話し始めてくれたK医師であったが、園田がよくよく話を聞いていくと、真に実現したいと願っている答えはひとつだった。義父のクリニックを継ぎ、自身の理想の医療を行い、自分の家族も幸せにしたい。
「心を開いてくれたK医師の選択を正解にするために全力で支援しよう」と、園田は思った。そのための第一歩として、K医師が思い描く理想を深く深く理解したかった。
経営面だけじゃない、人生に寄り添った提案を
「なぜ整形外科医を目指されたのですか?」「ご趣味は?」「地域にとって、どんな存在になりたいですか」「将来の住宅プランや子供の教育費の見通しは?」「引退は何歳で、その後はどんな風に暮らしたいですか?」直接経営とは関係のないことまで、ひざを突き合わせて何回もヒアリングするうちに、最初はあいまいだったK医師の医療の理想や人生の希望が、はっきりと言語化されていった。
ゴールが明確になれば、次はそれを実現するための徹底的なマーケティングというのが企業の手法である。しかし、クリニック経営の世界では、実は、利用者保護の観点から医療法によって規制されてきた背景もあって“マーケティング”の概念は浸透していない。
でも、マーケティングの本質は広告宣伝ではなくその手前の調査や戦略を考えることにある。クリニックだって、その地域についてしっかり理解し、多くの患者さんに選ばれるための方法を緻密に考えることが成功の鍵になるのではないだろうか?
そう思った園田は、まずはデータを集めるところから動き始めた。その地域の人口動態から推測される整形外科の1日の患者数。高齢者が多いかファミリー世帯が多いかなどで、訴求すべきクリニックの特徴は大きく変わる筈だ。
次に、実地調査。その地域の市役所や不動産会社、地域住民への聞き込みを行って、データでは分かりにくい医療ニーズをあぶりだす。
そして最後に、競合調査。同じ地域の8つのクリニックを受診し、受付スタッフの電話の対応、接遇レベル、院長や看護師の患者対応などを自ら体感してみた。
3週間をかけた徹底的な調査で見えてきたのは、その地域では「リハビリテーション」医療が熱望されているということだった。
高齢化が進むなかで病床数は不足がちである。そうなると、大病院はリハビリが十分でないままに患者さんを退院させる。なのに、その地域では、退院後の患者さんのリハビリを担うクリニックがなかったのだ。
リハビリをしっかり提供できれば十分な患者数が見込めるはずだ。しかし、そのためにはK医師の義父の整形外科の設備は大きく拡張し、専門スタッフも雇い入れなければならない。
その改革のために必要な初期費用は1億2千万円。金融機関からの借入が必要となるが、現状を変えずに事業承継することはリスクが大きいと確信した園田は、数パターンの経営計画シミュレーションを作成し、家族の節目を織り込んだライフプランも添えて、K医師との打ち合わせに臨んだ。
データに裏付けられた提案を見たK医師は「わかりました、やりましょう。」と頷いてくれた。園田が人生を賭けた挑戦のパートナーとして選ばれた瞬間だった。「もし、園田さんがこんなに真摯に話を聞いて本気の提案をしてくれていなかったら、本来の想定を超える借入をしてまで事業承継する決断はできませんでしたよ。」
成果がでるまで伴走し続けるのがJBA流
K医師は、どんなことでも園田に相談してくれた。園田も、採算度外視で、JBAが様々な企業殿経験で培ってきたノウハウを惜しむことなく、全力でそれに応えた。
資金を得るための緻密な事業計画書の作成を手伝い、それを手にK医師と共に複数の金融機関を巡った。最も条件がよい地方銀行から融資を得ることができた。
妥協なしの病院を形にするための打合せにも同席した。スタッフのスムーズな導線、患者さんがくつろげる待合室…最高のリハビリ施設のための、内装・外観のデザイン設計。
そして、「理学療法士」の国家資格を持ったスタッフの採用。看護士と同様に、昨今は売り手市場で採用が難しい人財であるが、ただ経験豊富なだけではなく、K医師の理念に共感して、共にクリニックを創っていってくれる人でなければならない。その確保のための求人メディアの選定・広告制作から、書類選考、面接、合否判断までがすべて園田に任された。採用には4ヶ月の期間と500万円の予算を割き、80名のエントリーの中から、最終的に3人の優秀な理学療法士を採用した。
仕上げが集客である。26年の歴史あるクリニックが新たに生まれ変わったことを地域に周知するため、K医師の専門分野や人柄を紹介するホームページを作成し、ブログやSNSを使った発信を仕掛けた。また、来院患者数の少ないエリアに対してはリハビリのできる病院としてのリニューアルオープンを知らせるポスティングを行った。近隣の商店街や介護施設を巻き込んだ開院イベントも企画して、K医師とスタッフによる健康教室やクリニックの内覧会を行い、2日間で300人超の地域住民の方に足を運んでいただくことに成功した。
2年後にはK医師のクリニックはその地域で「リハビリと言えばここ!」という認知を得ることに成功し、患者数は承継前の二倍以上に増えていた。
「私ひとりでは、ここまで地域で信頼されるクリニックにはできなかった。親身になってくれた園田さんのおかげです。」以前は重圧と不安で暗い表情をしていたK医師が、今はやりがいに溢れた笑顔でそういってくれる。その後すぐに、勤務医時代の後輩2名の新規開業相談も紹介してくれた。
なくてはならない社会インフラを目指して
今では、紹介が紹介を呼んで、園田が「ドクターの理想の人生の実現を支援したい」という思いで最初の型を作った「医療経営コンサルティング」は、JBAのユニークなサービスとして、全国8拠点で年間200件以上の経営相談を受ける規模までに成長している。
しかし、医療技術は日々進化し、市場も変化していく。地域を支えるクリニックのドクターたちがその変化に柔軟に対応していけるよう、まだまだ継続的に考えて行かねばならないことは山積みだ。
優秀な医療スタッフを採用し、育てていくための汎用的な評価制度や、夢のあるキャリアステップの設計。高齢化社会の進展で今後さらにニーズが増えていくであろう介護領域・デイケア施設の経営を支えるための知恵の体系化。地域のクリニックやドクターの生涯のパートナーとして指名され、社会インフラとして役に立つような枠組みを生み出していきたい。
JBAの「医療経営コンサルティング」が真価を発揮するのはこれからです。
この事業に幹部として参画し、自分のアイディアで生涯密着型支援モデルをスケールさせていくのは楽しそうだと思う人は、是非一度、話を聞きに来ていただきたいです。