自律型組織とは|管理型から変わるために必要な3つの要素

近年、ティール組織ホラクラシー組織など、「自律型組織」と呼ばれる新しい組織形態が注目を高めています。

今回は、Wantedlyが取材した【自律型組織を実践する企業事例】を参考に、自律型組織が求められる時代背景や、そのポイントまで、詳しく解説します。

管理型に頼らない「自律型組織」とは

組織における「自律している状態」とは、組織を構成するメンバーが自身の業務を自分自身で意思決定して遂行できている状態を指します。

近年では、ティール組織ホラクラシー組織など、「自律分散型」の新しい組織形態が注目を高めています。

「自律している組織」は、リーダーが期初に目標や予算を明確化してしまえば、各メンバーはその目標を実現するために、どんな施策を行うか、どこにどれくらいの予算を使うのか、といったことを自分たちで考え、実行していきます。

目標や予算についてもメンバーが主体となって決定できていれば、なお「自律」している組織と言えるでしょう。

「自律している組織」では、各メンバーがチームのバリュー(=行動指針)を理解できているため、リーダーがマイクロマネジメントをする必要がなく、本人が自分の意志で仕事をしていると感じることができます。

自律型 階層 管理型組織

近年「自律型組織」が必要とされている理由

新型コロナウイルスの流行により、社会は大きく変化しています。会社組織に影響をもたらす変化でいうと、間違いなくリモートワークの普及はその筆頭でしょう。

株式会社パーソル総合研究所の調査によると、2020年3月時点で13.2%だったリモートワーク実施者は、11月には24.7%になっており、コロナウイルスの感染拡大の対策としてリモートワークを実施している企業が増えていることがわかります。(出典:パーソル総合研究所「第四回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」)

リモートワークが増えることで、組織にはどのような変化が起こっているのでしょうか。

ウォンテッドリー株式会社が実施した調査によると、「コロナ禍で会社との心理的距離が広がった」と回答した人は63%にものぼります。(出典:ウォンテッドリー「新型コロナウイルス感染拡大に関する調査」

また、「コロナ以降、頑張りが会社に伝わりづらくなったと思うか」という設問に対しても33%の人が「はい」と回答しています。(出典:ウォンテッドリー「with/afterコロナの仕事に対する意識調査」

「自律していない組織」において、各メンバーの行動指針となっているのは例えば上司からの命令であり、モチベーションは上司からの監視によって担保されていたりします。

リモートワーク下ではこういった環境的な制約から部分的に解放されるため、「誰からも見られていないので頑張る意味がない」という心理状態にメンバーが陥ってしまう可能性があります。

実際に同調査では35%もの人が「上司や同僚が近くにいたほうが手を抜かずに作業できる」と回答しています。(出典:ウォンテッドリー「with/afterコロナの仕事に対する意識調査」

実に3人に1人が頑張るために、上司や同僚が近くにいる重要性を訴えているのです。

一方でコロナ収束後もリモートワークの継続を望む人は6割以上と多く(出典:日本生産性本部「新型コロナウイルスの感染拡大が働く人の意識に及ぼす影響の調査」)、今後もリモートワークの普及が続いていくと思われます。

そのためオフィスという同じ空間に集まって働くことで、仕事に対するモチベーションを担保していた組織は、リモートワーク化でも各メンバーがモチベーション高く働ける組織のあり方を再構築する必要があるのです。

自律型組織を実現するための3要素

自律型組織の実現のためには以下の3つの要素が大事です。

1.ビジョン、ミッションに対する社員の共感

「共感」とは、会社、チームのミッションやビジョン、つまり向かうべき方向が明確に示されており、メンバーがそれらを心から有意義なものであり、達成することを自分の使命と感じられる状態を指します。

共感を形成するためには、まずマネジメント側がきちんと自分たちの目指す方向性を言語化して、誰にでもわかる状態にしておく必要があります。

マネジメント側の責任として、ミッションやビジョンが、シンプルかつ誰にでも伝わる状態で言語化されているかどうか、再確認してみましょう。ミッションに対する解釈が複数生まれてしまうような状態は避けたいですね。

メンバーのビジョン、ミッションに対する共感は、採用のタイミングできちんと確認することが重要です。給与などの待遇面だけでなく、会社の目指す方向性に対する共感によって自社に興味を持ってもらえているのかは、選考の段階で確認しましょう。

また、会社の目指す方向性をより多くの求職者に知ってもらうためにも、カジュアル面談や、オンライン面談、ミートアップなど、参加のハードルが低いカジュアルな接点を設けることが重要です。

21卒就活生を対象に調査を行ったところ、オンライン面接はもはや当たり前なもので、本選考の前にカジュアルに話せる機会があると良いと90%が回答しています。(出典:ウォンテッドリー「オンライン就活に関する意識調査」

互いに自分を作る面接のみでは実際の雰囲気がわからず不安という声もありました。まずはカジュアルな接点を持つことで、フラットに互いの相性を確認しましょう。

2.バリュー(行動指針)の浸透

バリューとは組織内で共通して持つ行動指針のことです。

たとえば、「短期的に売り上げは上がりそうだが、ユーザー体験を損なう」施策を実施すべきか否か悩んだ時に、「ユーザーを第一優先に考える」というバリューがあれば、短期的な売り上げではなくユーザー体験を優先するという意思決定を各メンバーが行うことができます。

バリューの浸透に課題を抱える組織は多く、会社の行動指針を全て言えると答えた人は、管理職でも3割を切ります。(出典:ウォンテッドリー「働き方に関する調査」

また、経営者、人事、採用担当者等を対象にしたアンケートによると、従業員エンゲージメントに関する課題の筆頭に上げられたのは「バリュー・ミッションが浸透していない」ことでした。(出典:ウォンテッドリー「エンゲージメントに関する調査」

バリューを浸透させるためには、つくって終わりではなく、日常的に業務内でバリューを意識できるような制度設計が重要です。

たとえば、Slackなどのコミュニケーションツール上でバリューのハッシュタグやスタンプを作成して、お互いの行動を称賛するといった施策でも、バリューへの意識そして理解度を向上させることができます。

また、評価システムにバリューを組み込み、バリューの体現度が評価に反映させる仕組みをつくることで、定期的にバリューへの意識を促進することも効果的です。

3.挑戦的な目標の設定

自律型組織では、メンバーは自分自身でモチベーションを管理する必要があります。そのために重要な要素が「挑戦的な目標」を設定することです。

心理学者ミハイ・チクセントミハイは、できることとなすべきことが十分に重なっていて、難しすぎず、簡単すぎず、努力しないと達成できない仕事に向かうことが、 その他の月並みな体験とは全く異なるレベルの集中と満足感を生み出すと提唱。

そしてその状態を「フロー状態」と呼びました。この「簡単すぎず難しすぎない挑戦に向かっている」フロー状態をつくることも重要なのです。簡単すぎると飽きてしまい、難しすぎて解決の筋道が見えないとやる気を失ってしまうからです。

インテル社が初めて導入し、シリコンバレーの有名企業が取り入れていることで知られるOKRという仕組みも、組織のメンバーが挑戦的な目標に向かっている状態をつくるための制度と言えるでしょう。

OKRのうち、OはObjective(目的)を指し、KRはKey Result(目的の実現を測れる、定量的な指標)の略です。

Objectiveには定性的な目標、例えば「顧客満足度を高める」といったものを掲げます。一方でKRには、Objectiveの実現のために必要でかつ、誰が見ても客観的に計測することのできる指標を設定します。例えば「顧客の契約更新率を5%改善する」などといった目標です。

このOKRも設定するだけで終わりではなく、きちんと日々の業務でOKRの達成に近づけているかどうかを振り返る機会があることが重要です。

自律型組織を取り入れた企業の成功事例を紹介

本記事で紹介した自律型組織を実践している企業の組織づくり事例を紹介します。自社でも真似できる部分を見つけていただき、より良い組織をつくっていきましょう。


参考:「やりたい」ではなく「やるべき」で動く組織に。/Marketing-Robotics株式会社

ITベンチャーでとくに重視される、ビジョンもあらためて整理しました。多くのITベンチャーでは、新しい価値の創出や革新性などを目指すことが、社員のモチベーションや利益につながります。

しかし弊社は、「サステナブルカンパニーの支援をするための企業」です。弊社が目指しているのは、新しい価値を生み出す世界ではなく、すでに価値あるサステナブルカンパニーが今後も続いていく世界であり、「今ある価値を守る存在」だと再認識しました。

目指すべき世界を明確にした後、社員からアイデアをもらいながら、現在のバリューに落とし込んでいったんです。


参考:自律・分散型チームをつくる上で大切にしたコト/株式会社プレイド

プロジェクトによって毎回チーム編成が異なる外資系コンサルティングファームの動き方や、スクラム開発手法、チームとして学び合い協力し合う学習型組織など、「組織力」や「柔軟性」を高めるさまざまな施策を取り入れています。

しかし、特定のフレームワークをそのまま社内に持ち込んだことはありません。別の要素と組み合わせたり、主要なポイントだけを抜き出したりして活用するのがほとんどです。

またフレームワークが行動や物事を判断する際の制約にならないよう、独自の名前を付けるといった工夫をしています。自分たちがフレームワークのオーナーであるという自覚を持ってほしいからです。


参考記事:長期化を見据えた組織を創るために意識すること/キャディ株式会社

キャディ社では、OKRとして「3年」の全体テーマと、「1年」のテーマ、「3か月」のKRを決めています。

ただ、決めても状況は変わるのでこれ自体にはあまり意味がない。Why(なぜ)、What(何を) How(どうやって)を軸にゴールデン・サークルを個人で書いてもらい、私自身が作る戦略と個人のOKRを統合して戦略ストーリーを作っています。

全体を作るのは1年に1回でよくて、周知させたり意識させたりするのは3か月に一度の頻度で良いと考えています。1年のKRは毎月、3か月のKRは週次で触れていくという形です。

まとめ

いかがでしたか。リモートワークが拡大していく中で、上司や同僚と同じ空間で働くという、環境的な制約があったことが要因で動けていた組織には限界が生じています。

これからは各メンバーが、働く意義を本人が言語化しており、挑戦的な目標に対してモチベーション高く業務に取り組み、自ら意思決定できる、自律型組織の時代となるでしょう。

自律型組織を実現するために、以下のような基準で組織を振り返ってみましょう。

  • ミッション、ビジョンが言語化されており、誰にでも伝わる内容になっているか
  • バリューの言語化と日常で使う仕掛けづくりができているか
  • 簡単すぎず難しすぎない目標を各メンバーが掲げることができているか

著者プロフィール

伊藤佑介

Marketing

東京大学文学部卒。新卒でスタートアップに入社し、マーケティングを担当。現在はウォンテッドリー株式会社のマーケティングを担当し、メディア「HirinGeek」の立ち上げを始め、webマーケティング業務に従事。再現性をもってLTVを最大化させることをミッションにしています。

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