「内定者研修」とは、主に新卒の内定者が入社前に受ける研修のことです。内定辞退や早期離職を防ぎ、早期戦力化を図る上でも重要なフォロー施策として実施されます。一方で、参加をどこまで求めてよいのか、どのような内容にすればよいのか、悩んでいる採用担当者も多いのではないでしょうか。
本記事では、内定者研修の目的や実施時期、主な内容のほか、実施の際の注意点について解説します。自社で取り入れるべき内定者研修がどのような内容になるのか、本記事を参考に考えてみてください。
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内定者研修とは内定者が入社前に受ける研修のこと
「内定者研修」とは、主に採用選考で内定を得た学生が、入社前の期間に受ける研修のことです。入社前研修とも呼ばれ、入社予定の企業への理解を深めたり、同期との関係を築いたり、社会人としての基本的な心構えを学んだりする機会として実施されます。
内定者研修と新入社員研修の違い
内定者研修と似ている言葉に「新入社員研修」というものがあります。内定者研修との違いは、実施するタイミングと労働契約の有無です。新入社員研修は、入社式以降に労働契約を締結した社員に対して行う研修ですが、内定者研修はまだ労働契約が発生していない内定期間中に任意参加で実施します。
内定者研修の目的

内定者研修を行う目的は複数あります。ここでは、内定者研修の目的について紹介します。
| ▍内定者研修の目的 ・内定者の不安を解消し、辞退を防ぐ ・内定者の早期戦力化を促す ・早期離職を防ぐ |
内定者の不安を解消し、辞退を防ぐ
内定者研修は、内定者の不安を解消し、内定辞退を防ぐ上で有効な施策です。内定承諾後から入社までの期間は、企業との接点が少なくなりやすく、内定者が「本当にこの会社でよいのか」「入社後にうまくなじめるのか」と不安を感じることがあります。
特に新卒採用では、内定から入社まで数ヵ月以上空くケースも少なくありません。企業からのフォローがないと入社意欲が下がり、辞退につながる可能性が高まります。同期や先輩社員と交流する機会を設けたり、入社後の働き方を具体的に伝えたりして、入社までの関係性を維持・強化するフォロー施策として設計しましょう。
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内定者の早期戦力化を促す
内定者研修には、入社後の早期戦力化を促す目的もあります。入社前に社会人としての基本姿勢やビジネスマナー、業務に必要な基礎知識を学んでおくことで、入社後の研修、配属先での育成をスムーズに進めやすくなります。業界知識や事業内容、基本的なPCスキル、報連相の考え方など、入社後の学習を支える土台づくりとして設計しましょう。
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早期離職を防ぐ
内定者研修は、入社後の早期離職を防ぐためにも重要です。2025年10月に厚生労働省が公表したデータによると、2022年3月に卒業した新規学卒者の就職後3年以内の離職率は、新規高卒就職者で37.9%、新規大卒就職者で33.8%でした。新卒を10人採用しても、3人は早期に離職してしまう計算です。
こうした早期離職の背景には、仕事内容や職場環境、人間関係、企業文化に対する「入社前のイメージとのギャップ」があります。このギャップを埋めるために、内定者研修では現場社員との交流や職場見学、先輩社員の体験談共有などを通じて、入社後のリアルな働き方を伝えましょう。良い面だけでなく、仕事の難しさや求められる姿勢も共有することで、内定者は現実的な期待値を持って入社できます。
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出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します」
優秀な学生を採用する、長期インターンシップのススメ
インターンシップは優秀な学生を早期に囲い込む、会社の魅力を選考以外で知ってもらう機会を作るために、欠かせないものとなっています。
しかし、説明会の延長のような、1日~3日のインターンシップで優秀な学生に興味をもってもらえるのでしょうか。
この資料では、長期インターンシップを利用して優秀な学生を採用する方法、コツについてご紹介します。
内定者研修の実施時期と期間
内定者研修の実施時期や期間に明確な決まりはありません。一般的には、内定式が行われる10月前後から入社直前の3月にかけて、複数回に分けて実施されるケースが多く見られます。内定式後から入社直前までの期間に1日だけ実施する企業もあれば、数ヵ月にわたって複数回実施する企業もあり、自社の採用スケジュールや研修目的、内定者の状況にあわせて設計しましょう。
ただし、内定者は学業と並行して研修に参加するため、研修日程はできるだけ早めに確定し、余裕を持って通知します。内定者研修を複数回に分けて実施する場合は、内定直後は同期との関係づくりや会社理解、その後は社会人としてのマインドセット、入社直前にはビジネスマナーやOAスキルへといった実務スキルの習得を段階的に設計するのがおすすめです。段階的に設計することで、内定者は無理なく入社準備を進められます。
なお、採用担当者は、研修内容だけでなく、実施時期・頻度・所要時間についても内定者の負担に配慮しながら検討しましょう。
内定者研修の内容

内定者研修の主な内容は、「人間関係の構築」「企業・仕事内容の理解」「社会人としてのマインドセット」「ビジネスマナー・OAスキルなどの習得」の4つに分けられます。どのテーマに比重を置くかは、自社が内定者研修で達成したい目的や、内定者のスキルレベルによって決定しましょう。
| ▍内定者研修の内容 ・人間関係の構築 ・企業や仕事内容の理解 ・社会人としてのマインドセット ・ビジネスマナー・OAスキル等の習得 |
人間関係の構築
内定者研修では、まず「人間関係の構築」を目的にしたプログラムを取り入れることが効果的です。入社前に「一緒に働く人」の顔が見えると、内定者の不安がやわらぎ、入社意欲の維持にもつながります。
具体的には、内定者同士の交流会、グループワーク、社員との食事会、懇親会などが代表例です。採用担当者だけでなく、配属予定部署の社員や若手社員、役員なども交えることで、内定者は組織の雰囲気を実際に体験できます。ビジネスゲームなどをアイスブレイクとして活用すれば、コミュニケーション力やチームで協働する姿勢も学べるでしょう。
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企業や仕事内容の理解
企業や仕事内容への理解を深める研修も一般的です。選考中の説明だけでは、実際の働き方や組織文化までは十分に伝わりません。例えば、企業概要・沿革・事業内容の説明や施設見学、部署ごとの業務紹介などで自社を知ってもらう方法があるでしょう。
また、入社後の1日の流れや成長イメージを具体的に描きやすくするために、先輩社員の体験談を共有することも有効です。企業理解が深まるほどリアリティショックが軽減され、早期離職の防止につながります。
社会人としてのマインドセット
内定者研修では、学生から社会人への意識転換を促す内容を実施することも重要です。新卒入社の場合、知識やスキルだけでなく、責任感、主体性、報連相、当事者意識といった基本的な考え方を身につける必要があります。
マインドセット研修では、座学だけでなく、実際の業務を想定したテーマでグループディスカッションやケーススタディを取り入れることで、組織の一員として働く感覚を育てられます。コンプライアンス、ハラスメント防止、情報セキュリティなども、早い段階で共有しておきたいテーマです。
ビジネスマナー・OAスキルなどの習得
ビジネスマナーやOAスキルの習得を内定者研修に取り入れることで、入社後の業務をスムーズに始めるのに役立ちます。あいさつ、敬語、名刺交換、電話対応、メールの書き方などは、多くの職場で必要になる基本スキルです。入社前に学ぶ機会を設けることで、新入社員は現場に出た際の不安を軽減しやすくなるでしょう。
ただし、ビジネスマナーは知識として理解するだけでは不十分です。電話対応や名刺交換、メール作成などは、ロールプレイを通じて実践することで定着しやすくなります。ExcelやPowerPointなどの基本操作、業務に必要な資格の取得支援を行う場合も、内定者のスキルレベルにあわせて無理なく学べる設計にしましょう。
また、中には業務で必要な資格や検定などの取得支援を内定者研修で行う企業もあります。学生のうちに費用のサポートを受けながら学習できる点は、内定者にとってもメリットといえます。
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内定者研修は違法?法的な注意点を解説
内定者研修を実施する際は、いくつか注意点があります。内定期間中は、入社後の新入社員研修とは異なり、原則として労働契約が成立していない状態です。そのため、企業が内定者に対して研修への参加を強制することは認められず、内定者本人の同意を得た上で実施することが大前提となります。
内定者研修が「任意参加」であり、かつ「業務に直接関係しない内容」であれば、基本的に給料の支払い義務は発生しません。一方で、参加を義務付けたり、実務に近い内容を行ったりする場合は、研修時間が「労働時間」と判断される可能性があります。この場合、企業には給料の支払いが必要です。
たとえ案内上は「任意参加」としていても、「欠席した内定者に不利益な扱いをする」「参加しなければ入社後の業務に支障が出る」「実際の業務に近い重要な実務体験が含まれる」といった場合は、会社からの指示とみなされる可能性があります。厚生労働省は、「研修・教育訓練の取り扱い」として事例をもとに労働時間に該当するかの判断基準を示しています。内定者研修を設計する際の参考にしてください。
| ▍労働時間に該当しない事例 ①終業後の夜間に行うため、弁当の提供はしているものの、参加の強制はせず、また、参加しないことについて不利益な取扱いもしない勉強会。 ②労働者が、会社の設備を無償で使用することの許可をとった上で、自ら申し出て、一人でまたは先輩社員に依頼し、使用者からの指揮命令を受けることなく勤務時間外に行う訓練。 ③会社が外国人講師を呼んで開催している任意参加の英会話講習。なお、英会話は業務とは関連性がない。 |
| ▍労働時間に該当する事例 ①使用者が指定する社外研修について、休日に参加するよう指示され、後日レポートの提出も課されるなど、実質的な業務指示で参加する研修。 ②自らが担当する業務について、あらかじめ先輩社員がその業務に従事しているところを見学しなければ実際の業務に就くことができないとされている場合の業務見学。 |
内定者研修を成功させる5つのポイント

内定者研修は、内定者の不安を軽減し、入社意欲を高め、入社後の活躍につなげるために実施します。有意義な研修にするためには、研修の目的を明確に定めた上で、内容、スケジュールなど丁寧に設計することが重要です。
ここでは内定者研修を成功させるためのポイントを5つ紹介します。
| ▍内定者研修を成功させる5つのポイント 1.内定者研修の目的とゴールを明確にする 2.内定者の目線で内容を考慮する 3.現場で求められるスキルにあった研修内容にする 4.内定者の特性やスキルを把握する 5.あらかじめスケジュールを設定しておく |
1.内定者研修の目的とゴールを明確にする
内定者研修を行う際は、まず何を目的に実施するのか、目指すべきゴールはどこにあるのかを明確にします。目的とゴールを設定しておけば、研修の内容も自ずと見えてくるものです。
内定者同士の連帯感を高め内定辞退を防ぎたいのなら、グループワークが適しています。社員教育の負担軽減が目的なら、ビジネスマナー研修や内定者インターンシップを活用するのもおすすめです。
研修ごとに実施の目的を内定者に伝えておくと、内定者側も研修にどのような姿勢で臨めばよいのかわかります。実施後は、目的どおりの効果が得られたかを測定・分析して、次回以降の研修に役立てましょう。
2.内定者の目線で内容を考慮する
内定者研修の内容は、内定者が知りたいことや不安に感じていることを反映したわかりやすいプログラムを設計します。企業側の都合だけで研修を組み立てると、一方的な説明になりやすく、内定者の参加意欲も下がってしまいかねません。
内定者は、入社前に「どのような人と働くのか」「入社後についていけるのか」といった不安を抱えています。会社説明や制度説明だけに偏るのではなく、先輩社員との座談会、同期同士の交流、入社後の1日の流れを知る機会なども取り入れ、内定者にとって参加意義のある研修にしましょう。
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3.現場で求められるスキルにあった研修内容にする
内定者研修の内容は、入社後に現場で求められるスキルとつながっていることが重要です。例えば、営業職であれば基本的な商談マナーや顧客対応の考え方、エンジニア職であれば開発環境の理解など、職種ごとに必要な準備は異なります。現場社員にヒアリングし、入社前に理解しておくとよい内容を洗い出しましょう。
ただし、内定期間中の研修では、業務指示に近い内容にならないよう注意が必要です。現場で求められるスキルを扱う場合も、参加の任意性を担保し、学習目的の範囲にとどめることが大切です。
4.内定者の特性やスキルを把握する
内定者研修を効果的に進める上で、内定者それぞれの特性やスキルを把握しておくことも重要です。事前アンケートまたは必要に応じた面談を通じてヒアリングを行うことで、研修内容やフォローの仕方をより適切に調整できます。
また、研修中も内定者をよく観察することで、選考過程では見えなかった得意・不得意や個性、スキルのレベル感などをさらに深く理解できます。得られた情報は、入社後の研修設計や配属先の検討にも活かしましょう。
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5.あらかじめスケジュールを設定しておく
内定者研修は、できるだけ早い段階でスケジュールを設定し、内定者に共有しておくことが重要です。内定者は学業や卒業に向けた準備と並行して入社準備を進めているため、直前の案内では参加が難しい場合もあります。
特に、複数回に分けて研修を行う場合は、内定承諾後から入社直前までの流れをあらかじめ設計して伝えておきましょう。開催日時だけでなく、所要時間や実施形式、服装、持ち物なども早めに案内しておくと、内定者の不安を軽減できます。
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まとめ:内定者研修は内定者の「不安解消」と「入社後の活躍」につながる取り組み
内定から入社までの期間、内定者はさまざまな不安を抱えています。内定者研修は、そんな内定者の不安を解消し、入社後のミスマッチや早期離職を防ぐための重要な取り組みです。目的やゴールを明確にした上で、人間関係構築、企業理解、マインドセット、ビジネスマナーなどを内定者の状況にあわせて設計しましょう。
また、ミスマッチを防ぐためには採用段階からのアプローチも欠かせません。企業の「カルチャー」や「想い」に共感してくれた人材なら、内定者研修もより効果的に機能します。そうした人材との出会いを増やすには、共感を軸にした採用活動に強いWantedlyの活用がおすすめです。企業らしさを発信し、入社後も活躍できる人材の採用を進めていきましょう。
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