【そねせん!第17回】強い言葉で行動指針をつくり、模倣困難なカルチャーづくりに投資する


こんにちは!ランサーズの曽根です。先週お休みしてしまいましたが、「経営・組織」編の第2回になります。

今週、とあるコンサルティング会社の社内勉強会(World Impacter Sessionという名前だけ聞くと恐ろしく目線の高いイベントでしたw)にて、「1億総デザイン社会をどう生きるか?」というテーマで1時間お話させていただきました。イベントの様子はまたあらためて紹介できればと思いますが、あらためて、コミュニティやエンゲージメントが大事な時代だな、と実感しました。(奇しくも次回のテーマは「エンゲージメント」です!)

前回のミッション・ビジョンに続く「経営・組織」編の第2回のテーマは、Way=行動指針と企業文化=Cultureになります。「ん?WayとCulture?」と思った方。正しい反応です。ミッション・ビジョンと同様、似て非なるコンセプトです。今週もぜひお付き合いを!



Wayで個人の行動指針を規定し、Cultureで組織のあるべき理想像を明文化する

前回の記事で、ミッションとビジョンの違いについて説明しました。今回はこれに続いて、バリューについて書いていきたいと思います。

ミッション(Mission)、ビジョン(Vision)、バリュー(Value)の3つをあわせて、MVVなどと略されることもあります。ミッションは目的・使命(Why)、ビジョンは目標・志(What)だとすると、バリューは価値観・行動指針(How)にあたります。

いろいろな定義がありますが、このMVVの3つをあわせて「経営理念」とか「企業理念」と総称することが一般的かなと思います。

さらに話を進めると、この「企業理念」に対して、これにもとづく日々の行動を積み重ねていくことによってできあがってくるのが「企業文化」です。企業の中に存在する空気、雰囲気、「ぽさ」みたいなものですね。

ちなみにランサーズでは、バリュー=行動指針にあたる”Lancers Way”を2015年10月につくりなおし、カルチャー=企業文化にあたる“Lancers Culture”を2017年11月に明文化しました。

なぜそのタイミングで、Lancers Wayをつくりなおし、Lancers Cultureをつくったのか。年月を経た大企業にとっては当たり前の存在かもしれませんが、ベンチャー企業にとっては、これらの存在はそれなりにクリティカルなものとなります。

まずはLancers Way。2015年6月当時、従業員数が100名を超えて、毎月10名近く入社が続くような組織の急激な拡大期において、以下のような事象が、行動指針をつくりなおすきっかけになりました。

名前や顔を知らない顔従業員が出始めてきた。
行動指針を覚えていない従業員がいるようになってきた。
(それまでの)指針に反する行動がみられるようになってきた。

一つひとつは小さくても、これは見逃せない変化であると気づき、無理をしてでもWayをイチからつくりなおそうと、経営合宿で決めました。

のちほど詳細を書きますが、実際につくりなおすのに4か月間。経営陣としても全社としてもかなりの工数をさきました。当時は大変でしたが、あのタイミングでWayを作りかえたのは本当に正解だったな、と今ではそう振り返っています。

Lancers Cultureも、あらためてこれを意識して明文化しようとなったのは経営合宿の場でした。Wayは一人ひとりの行動規範にはなるけれど、チームや組織のあり方や関係性については規定していないよね、と。

チームや組織がつくる空気や雰囲気に目を向けることが重要なんじゃないか。関係性の質を強化することが、結果の質につながるんじゃないかと。(経営陣の中では「祭り」がひとつのキーワードになっていました)

まだまだ進化の途上ではあるものの、ランサーズにおけるLancers WayやLancers Cultureを題材に、具体的にこれらをどういうふうにつくっていったのか、紹介していきたいと思います。



Wayの浸透で重要なのは動機づけ。エッジのある言葉にエピソードをひもづける

まずはLancers Wayを紹介します。

目指したのは、トヨタの「Toyota Way」や楽天の「成功のコンセプト」のような、外にも知られているようなWay。サントリーの「やってみなはれ」やリクルートの「お前はどうしたい?」といった魂の規範となるようなWay。

でも、そんなWayをいったいどうやってつくるのか。
プロに入ってもらうでもなく、手探りでこれにチャレンジしました。

手探りで始めた中で、まず大事にしたのは、できる限り現場をまきこんでつくっていくということでした。

具体的には、2か月の間に、全10回のオープンディスカッションを実施し、同時期に、社長である秋好がすべての社員との1on1を実施しました。(今から考えると、途方もない工数をさいたと思います)

このオープンディスカッションには累計250名超、ユニークで50名超のメンバーが参加してくれましたが、その中で、一人ひとりの考えの違いや、新鮮な意見、Wayに対する期待などが明らかになっていきました。

創業期からの変化に違和感を覚えていた人。
普段は感じとれないアツい意見をもっていた人。
議論をする中でWayに対する理解を深めていった人。

これらのオープンディスカッションを経て、最終的にWayを一つひとつの言葉に落とし込んでいくのですが、最後はあえてトップダウンにしました。なぜなら、言葉尻に魂を込めることが重要だから。

楽天の「Get Things Done」やFreeeの「マジ価値」といった、社名を隠してもどの会社のものか分かるエッジのきいた言葉をどこでどう使うか。(ランサーズでいえば「ランサー第一主義」「自分ごと化」が特にこれに近いかと思います)

社長のつくった草稿をベースに、ボードメンバー間で、ランサーズらしい独自のとんがりとその一般的な解釈、Wayが及ぼす組織への作用と副作用、マネジメントへの活用方法などについて深い議論を3回重ねて最終化し、まずはマネージャー陣、そして全社の合宿の場で社員に共有しました。

でも本当に重要なのは、それをどのように浸透させるかです。
Wayをつくって、伝えて、動機づけしながら、浸透させていく。

この「動機づけ」というのが難しい。

もちろん、「Wayを実践しないとダメだよ」と評価に組み込むのもあるのですが(北風策)、同時に、いかにして「Wayを実践することによる利益実感」をもってもらえるか(太陽策)。

たとえば楽天においても、成功のコンセプトが全社に確実に広がっているのは、「Get Things Done」のような強烈な価値基準に対して、それを実践することによる利益実感や成功体験を多くの人が味わったことがあるからだったと思います。

ランサーズでも、拙いながら色々な工夫をしてきていますが、もっともきいていると思うのは、エピソードをたくさんつくっていくこと。

まず、全社員にWayを発表・共有した全社合宿においては、”L-Way Book”というものをつくって配布したのですが、その中の一つひとつの指針に対して、メンバーが理解できるようなエピソードを5つほど集めて記載しました。

しかしそれだと一過性のもので終わってしまうので、毎朝、新たに策定したWayの実践エピソードを、日替わりで社員に発表してもらうようにしました。

自分のことだけではなく社外の人のエピソードを語ってもらうようにしたり、同僚のエピソードを語ってもらうようにしたりと少しずつ変化を加えていますが、最近では、こうしたエピソードを社内のFBに投稿して、コメントをつけあうようにしています。

つくりなおしてから2年半。色々な試行錯誤を重ねてきていますが、Wayは一日にしてならず。継続することによって徐々にしみわたっていくものだと思います。



模倣困難なカルチャーが競争優位性をつくる。中長期の目線で文化づくりに投資する

つづいてはLancers Cultureです。

つくるうえで一番参考にしたのは、”How Google Works”で紹介されているような文化です。たとえば「TGIF」や「7人のルール」に見るようなフラットさ。

現代のビジネスにおいて、カルチャーはますます重要になってきていると思います。なぜなら、時代の変化が圧倒的に早くなり、産業の寿命や戦略の賞味期限が短くなってきたから。サービスや事業や戦略がすぐ陳腐化してしまう中で、組織のもつ優位性がどんどん重要になってきている。

「好き嫌いと経営」でも書きましたが、「文化=カルチャー」的な考え方は、局所的かつローカルなものです。(『ビジョナリーカンパニー』でも、「だれにとってもすばらしい職場」ではなく、「基本理念と高い要求にぴったりと合う者にとってだけすばらしい職場」であることが重要と説かれているのが印象的です)

カルチャーを考えるうえで、人材の採用は重要です。「乾けない世代」の「良い人材」をひきつけるためには、「良いビジョン」が必要です。

でも、ビジョンに共感した良い人材が集まるだけではカルチャーはできあがりません。個人を超えたチームとしてのユニークなカルチャーが重要です。「カルチャー」といったソフトで見えないものは、見えないがゆえに、模倣困難で重要な経営上のコンピタンスになります。

では、どのようにカルチャーをつくっていくか。

ランサーズでは、Wayと同様に社員とのディスカッションを実施して2017年11月に、「超オープン・超フラット」「ファーストペンギンがかっこいい」「オール・タレント」というLancers Cultureを明文化したあと、これを形成・浸透していくために、5つの委員会(※)というのを立ち上げました。

※(学校の委員会を意識した)教育委員会、風紀委員会、つながり委員会、儀式委員会、図書委員会の5つ

まだまだ始まったばかりのカルチャーづくりの活動ですが、始めて3か月にして、早くも変化を感じる場面もあります。「経営上の良いことはだいたい6か月後に表出してくる」というのが最近の学びですが、未来への投資をすることが競争優位につながると信じてやっています。

逆に言うと、組織作りは重要だし、事業と組織が両輪であることはわかるのですが、短期的な事業成長と、中長期的な組織文化づくりは、トレードオフになりうると思っています。

特に、組織やカルチャーのような目に見えづらい、効果を測りづらいものに時間をさく決断をするのは難しい。わかっていても、どうしても優先順位を後回しにしてしまう。

※中長期的に組織のエンゲージメントを高めるために、ランサーズではeNPSというのをひとつの指標にしているのですが、このあたりは次回に詳細を書いていきたいと思います。

「VUCA」と言われる変化の時代。強い組織をつくり、競争優位を築いていくために、カルチャーづくりに積極的に投資をしていくのがますます重要になってくると思います。



今回のポイント

というわけで今回のまとめです。

Wayで個人の行動指針を規定し、Cultureで組織のあるべき理想像を明文化する
Wayの浸透で重要なのは動機づけ。エッジのある言葉にエピソードをひもづける
模倣困難なカルチャーが競争優位性をつくる。中長期の目線で文化づくりに投資する

あらためてLancers WayやLancers Culture策定のプロセスを振り返ると、忙しい大変な時期によくそこに時間を使ったな、と自分をほめてやりたい気持ちになります笑。ぼくが思うのは、組織の話って、対症療法より予防が大事で、病気に気づいてから対処するのでは遅いということ。明らかな事象が出てくる1年くらい前の予兆に対して手を打っていかないといけない。必然、「今はまだ必要ないでしょ?」とか「なんでこんな時期にやるの?」となりがち。そんな中で組織のイニシアチブを進めていくには、トップの強いリーダーシップが必須。

事業と組織、短期と中長期、スキルとマインドみたいな典型的な対立軸の中でそれを乗り越えていく中で、「ああ、経営って矛盾に向き合うことなんだな」と日々実感します。でもそこを乗り越えた先にしか成功はないし、そこに向き合うことを放棄した瞬間に成長がストップするんだと思います。(ほぼ徹夜明けの朝方のハイな状況でのぼやき笑)でも、だからこそ経営や組織って面白い。深く体験した人に見えてくる暗黙知の世界がそこには広がっているのではないか、と。それをわずかながら&少しでも伝えられればとおもいます。

次回は「カルチャー」からの「エンゲージメント」がテーマになります。今ぼくの中でかなりアツいテーマでもあります。残りあと3回になりますが、引き続き最後までぜひご笑覧ください!



これまでのバックナンバー

【キャリア編】
第1回:キャリアを「えらぶ」のではなく「つくる」方法―キャリアの「タグ化」のすすめ
第2回:市場価値の磨き方―ステージ×役割でとらえるキャリア論
第3回(前編):1億総デザイン社会の未来―モデルなき時代に、働き方をハックする
第3回(後編):1億総デザイン社会の未来―働き方は、よりフリーに、スマートに、クリエイティブに
第4回:成長は失敗を糧に―非連続な成長は、アンラーニングと意識の変革から
第5回:「乾けない世代」と「好き嫌い経営」―働く「個人的大義」を大切にせよ


【ノウハウ編】
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第8回:ブレストはアイデアをひきだす脳内スパーク―「ブレスト筋」を鍛えよう
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【事業編】
第11回:「4次元チェス」的戦略―不確実な未来のシナリオに、骨太な仮説をそえて
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第15回:M&A、それは究極の意思決定。PMI、なんて深淵な人間ドラマ


【経営/組織編】
第16回:ユーザーに学び、社会に訴えかけ、組織を動かすミッション・ビジョン
第17回:強い言葉で行動指針をつくり、模倣困難なカルチャーづくりに投資する
第18回:安心感×成長実感でエンゲージメント・ドリブンな組織をつくる
第19回:マネジメントに必要なのは、矛盾に向き合い、乗り越えるための真摯さ
第20回:「開き直り」の境地で51/49の意思決定し、自らの人生の主権を握る


【番外・総集編】
番外編①:エン・ジャパン主催の「ワーク&プライベート・シナジー勉強会」での登壇
番外編②:ランサーズ勉強会(L-Academy)の「戦略ケーススタディ」のレポート
総集編(前半):「一億総デザイン社会」を生きるためのキャリアと仕事の考え方
総集編(後半):「VUCA時代」を勝ち抜くための事業と組織の考え方

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