【そねせん!第7回】「伝わる」プレゼン=聞き手が「自分ごと化」できるストーリーをつくる

こんにちは。ランサーズの曽根です。「そねせん」シリーズの第7回目です。先週から始まったビジネス・ノウハウ編。先週の「問題解決」に続いて、今週は「プレゼン」をテーマに書きたいと思います。

つい昨日も登壇させていただく機会があって、50人くらいに向けて話をさせていただいたのですが、あらためて、これまでの10年あまりの社会人キャリアの中でも、自分自身のプレゼンのスタイルもいろいろと変わってきたなぁ、と。

問題解決に続き、ビジネスパーソンに欠かせない技術としてのプレゼン。社内のトレーニングセッションをやるときは、問題解決とプレゼンをセットにして2-3時間のパッケージでやることが多いです。ぜひご自身の経験や具体的なシーンを思い浮かべながら読んでいただければ幸いです。


プレゼンの基本的な心得。「伝える」ではなく「伝わる」ことが重要

「ビジネスパーソンにとって・・・」みたいな書き方をしましたが、実は、僕のプレゼンの原体験は、大学時代に在籍していた建築学科での経験にあります。

建築学科では、「設計課題」というものが講義の一環で与えられます。基本的には、敷地とビルディングタイプを指定されたうえで、テーマを決めて自由に設計を行う、というもの。

ビジネスでいえば、事業エリアと事業ドメインが指定されたうで、コンセプトを自由に決めて事業を企画してね、という感じでしょうか。

スケッチをかきながらコンセプトを練っていき、最後は図面と模型とダイアグラム(設計コンセプト)を使ってプレゼンをします。



今思い返すと、図面はPLや数値。模型はサービスのデモや(文字通り)プロトタイプ。ダイアグラムはフレームワークをつかったコンセプト図。

そのころから、プレゼン自体は好きだったのですが、いまぼくがビジネスの世界でやっているプレゼンと似たようなことを、そのころから(形は違えど)やっていたんだな、と。

ビジネスの世界だけで使われるというわけではないプレゼンですが、一口に「プレゼン」といっても、用途や形式などによって、細かいチューニングは必要になってくると思います。

1:1か(例:商談)、1:少数のnか(例:社内プレゼン)、1:大多数nか(例:イベント)、はたまた複数人によるものか(例:グループワーク)。

使うメディアも、紙の資料か、投影したスライドか、動画か、はたまた実際の商品・サービスデモのようなものか。

ただ、どの形式をとっても、変わらないひとつの本質は、「伝えたい」内容が「伝わるか」、ということ。

よくやってしまいがちなのは、相手が知りたいことから逆引きして話すのではなく、自分が苦労してやってきたことをだらだらと話してしまうケース(商品開発でいえば、マーケットインではなく、プロダクトアウトになってしまうようなケース)。

相手にしっかりと「伝わる」ようなプレゼンをするために気を付けたいこと。ぼくなりに思うのは以下のような点です。

伝わるようにするために、言葉以外の要素(身振りや手振り、声のトーンなど)をしっかり意識する。人のコミュニケーションにおいて、相手に伝わるのは、言語情報(=Verbal)が7%、聴覚情報(=Vocal)が38%、視覚情報(=Visual)が55%(cf. メラビアンの法則)
(相手が少人数相手の場合は)しっかり準備をするのが重要な一方で、実際のプレゼンでは"リリース・アジェンダ"を意識する。つまり、相手の知りたいことや反応の様子にあわせて、話す内容を柔軟に変えていく
(相手が大人数相手の場合は)話す内容をいかに自分ごと化してもらえるか。登壇などでよく言われるのは、I, We, Youの順番で話す。まず自分の体験や紹介から始めて、次に市場や自社の大きなことを話して、最後に話した内容を聴衆にとって意味あることに自分ごと化してもらって、持ち帰ってもらう

プレゼンについて語るときに必ず引き合いに出されるスティーブ・ジョブスにしろ、TED TALKで次々と出てくるプレゼンの達人たちにしろ、上記のようなことは必ず意識しているのではないかと思います。

まずは、ぜひ上記のような点に注意して、プレゼンを実践していっていただければと思います。


プレゼンでスライドを使いこなす。定量分析の本質は「比較」である

今回の記事では、特にビジュアルの使い方、より具体的には(パワーポイントなどのメディアでの)スライドの作り方について話をフォーカスしようと思います。

プレゼンにおいて表情や身振り手振りや声のトーン(=全体的な雰囲気)はたしかに重要ですが、どれだけプレゼンが「格好良く」なっても、基本は変わらないと思います。まずは基本が大事。守・破・離ってやつですね。

現代はなにしろ大量に情報があふれている時代です。あらゆるレベルに情報は存在しているし、情報の種類も、テキストから画像、画像から動画へとよりシフトしている。視覚に訴えかけるビジュアルの使い方ひとつ間違えると、伝わるものも伝わらなくなる、と思います。

スライドの基本は、メッセージ、比較軸の設定、視線の設計、です。よく言われることなので詳細の説明は省きますが、以下のような感じです。

メッセージの抽出:最も重要なメッセージが明確に示されている("One Chart,
One Message”)
比較「軸」の設定:分析内容が論理的かつMECEな軸できちんと整理されている
視線の設計:パッと目のつくところに、一番大事な情報やメッセージが入っていてわかりやすい

※より細かく、スライドにおける図表の作り方を学ばれたい方には、ビジネスよりであれば『外資系コンサルのスライド作成術-図解表現23のテクニック』のような著作、もう少しデザインよりであれば↓のような記事などをお読みになられるとよいかと思います。

http://tomoyukiarasuna.com/make-images/

ここでは、その中でも特に、定量分析に関わるスライドの作り方について、補足的に説明しておきます。

ここで一番覚えていただきたいのは、定量分析の基本は「比較」である、ということです。

何と何を比較するのか。実数を比較するのか構成比を比較するのか指数を比較するのか。時系列で比較するのか複数を比較するのか。

「分析とは比較である」とシンプルに考えると、世の中に出てくるあまたのグラフのタイプは、実は限定的であることに気づくと思います。

ぜひ、プレゼン用にスライドをつくるときは、基本に立ち返ってこのようなことを念頭においていただければと思います。


プレゼンはストーリー。ストーリーボード=「絵コンテ」を積極的に使おう

最後に、少し応用編ということで、大事なプレゼン、特にストーリー性のあるプレゼンをつくるときのコツについて話をしたいと思います。

みなさんにとって、ビジネス上で大事なプレゼンて、どんなものでしょうか。

ベンチャー起業家が投資家向けに行う3分ピッチ。社長がメディアに向けて行う製品・戦略発表会。社長や役員陣に向けて行う事業企画。などなど。

ぼくが重要なプレゼンの準備をするときに気を付けていること。それは、いきなりスライドや資料の作成にとりかからない、ということです。

人間は、どうしても、やれること・できることから作業を始めてしまいがち。これをやると、「木を見て森を見ず」の状態になってしまう。だから、ぼくは最初にしっかりとストーリーを組み立てることをくせづけるようにしています。

具体的にいうと、文章で書き下す→絵コンテを描く→スライドをつくる、の順番。とにかく、いきなりスライドや図表にとりかからない、ということ。

※ちなみに、これはこういう記事についても言えることで、このそねせんも、毎週5時間かけて書いていますが、やり方としては、全体構成案(0.5時間)→箇条書き(1時間)→ラフな文章(2時間)→文章磨きこみ(1時間)→文章校正(0.5時間)という感じでやっています。

たとえば、ぼくが楽天に在籍していたときに実施された2011年の新規事業コンテストで、アイデアを練っていたときの絵コンテ(ストーリーボード)は↓みたいな感じです。

どうです?読めないでしょう(笑)

ここで練った絵コンテをベースにスライドをつくりこみ、最終的に三木谷さんを含む役員陣に対して、英語で5分間ピッチ形式のプレゼンをしたことは今でも鮮明に覚えています。

僕は(細かいスライドになっていなくても)絵コンテを仕上げた時点で、プレゼンのときの盛り上がりやさしどころをイメトレしてしまうようにしています。

だいたいこの時点で、つかみ→つなぎ→にぎり、といったプレゼンの大枠の流れは見えてしまう、もっといえばここでストーリーの方向性を間違えると、問題解決における課題設定の間違いではないですが、その先のスライドづくりは「犬の道」です。

とはいえ、いきなりこういう絵コンテを書くのは難しい・・・と思われるかもしれません。

でも、これもやってみると面白いもので、だんだんと慣れてきます。

ちなみにぼくもコンサル時代は、ホワイトボードのメモ書きをわざわざプリントして、ブックレットみたいにストックしていました。今見返すと恥ずかしいものが多いですが、少なくとも数百回、たぶん数千回はこのような絵コンテを書いたと思います。

何ごとも実践あるのみ。特に、社内外での勝負プレゼンを準備するときなんかは、ぜひこの絵コンテ=ストーリーボードをつくってのぞんでみてください。


今回のポイント

というわけで今回のまとめです。

プレゼンの基本的な心得。「伝える」ではなく「伝わる」ことが重要
プレゼンでスライドを使いこなす。定量分析の本質は「比較」である
プレゼンはストーリー。ストーリーボード=「絵コンテ」を積極的に使おう

最後まで読んでくださった方、ありがとうございます。今回はたぶんこれまでで一番、変化の少ないまっすぐなことを書いた気がします。まぁ、それだけプレゼンは基本の技術ということなのかもしれませんね。

次回は、ブレストについて書きたいと思います。ブレストは個人的に大好物です。「今から次世代の名刺の形について50個アイデアを出そう!」とか、興奮するタイプです。ロジカルシンキングも重要ですが、こういう発散系の脳みその使い方も大事ですよね。ぜひそのあたり語らせていただきたいと思います。

また、ここまで読んでくださった方で、まだフォローいただいていない方は、良ければぜひフォローしてください!


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第2回:市場価値の磨き方―ステージ×役割でとらえるキャリア論
第3回(前編):1億総デザイン社会の未来―モデルなき時代に、働き方をハックする
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第5回:「乾けない世代」と「好き嫌い経営」―働く「個人的大義」を大切にせよ


【ノウハウ編】
第6回:「ネクタイ事件」で学んだ、本当の問題解決―ポジティブ思考でいこう
第7回:「伝わる」プレゼン―聞き手が「自分ごと化」できるストーリーをつくる
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第17回:強い言葉で行動指針をつくり、模倣困難なカルチャーづくりに投資する
第18回:安心感×成長実感でエンゲージメント・ドリブンな組織をつくる
第19回:マネジメントに必要なのは、矛盾に向き合い、乗り越えるための真摯さ
第20回:「開き直り」の境地で51/49の意思決定し、自らの人生の主権を握る


【番外・総集編】
番外編①:エン・ジャパン主催の「ワーク&プライベート・シナジー勉強会」での登壇
番外編②:ランサーズ勉強会(L-Academy)の「戦略ケーススタディ」のレポート
総集編(前半):「一億総デザイン社会」を生きるためのキャリアと仕事の考え方
総集編(後半):「VUCA時代」を勝ち抜くための事業と組織の考え方

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