採用CX(候補者体験)とは?改善のための4つのステップ、注目される理由、メリットを解説

採用CXとは、CXはCandidate Experienceの略で、「候補者体験」を意味します。近年、採用市場が「企業が選ぶ側」から「求職者に選ばれる側」へと変化する中で、候補者側から見た選考プロセスを最適化することが重要とされており注目される概念です
本記事では、採用CXが注目される理由、メリット、採用CX5つのフェーズ解説、具体的な改善のための4つのステップ、実際の採用CX改善事例をご紹介します。

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採用CX(候補者体験:Candidate Experience)とは?

採用CXとは、CXはCandidate Experienceの略で、「候補者体験」を意味します。具体的には、候補者が企業を認知してから内定入社(または不採用連絡)までの一連の体験を設計することを指します。

採否に関わらず「この企業の選考を受けてよかった」と思ってもらえるよう、各採用プロセスにおいて「候補者が価値を感じる体験」を提供するのが採用CXの考え方です。

採用CXが注目されている背景

採用市場で人材獲得競争が続くなか、候補者にとって納得感のある選考体験を設計することは、企業にとって重要なテーマになっています。
ここでは、採用CXが注目されている背景を3つの観点から解説します。

1.「選ぶ採用」だけでなく「選ばれる採用」が求められている

労働力人口の減少により、多くの企業で人材獲得の難易度が高まっています。リクルートワークス研究所の「未来予測2040」では、2040年に日本全体で約1,100万人の労働力が不足すると予測されています。

新卒採用でも、採用計画を予定通り満たすことは簡単ではありません。就職みらい研究所の「就職白書2025」では、2025年卒採用において「採用予定数を充足できた」企業は37.2%にとどまりました。

こうした環境では、企業が一方的に候補者を選ぶだけでなく、候補者からも選ばれる必要があります。選考中の連絡の早さ、面接でのコミュニケーション、企業理解を深める情報提供など、一つひとつの接点が候補者の印象に影響します。そのため、採用CXを高め、候補者が安心して選考に進める状態をつくることが重要です。

出典:リクルートワークス研究所「未来予測2040」
出典:就職みらい研究所「就職白書2025」

2.若手世代の価値観が変化している

若手世代では、給与や待遇だけでなく、仕事の意義や成長環境を重視する傾向も見られます。Wantedly利用者を対象にした調査では、23卒から26卒の学生が就職活動で重視するポイントとして「共感できるパーパスを持っている会社で働くこと」(70%)、「自己成長性」(69%)が上位に挙がりました。

また、リクルートの調査では、20〜30代の離職経験者の直近の離職理由として「充分なキャリア構築がされないと思った」が54.8%に上っています。

候補者は選考を通じて、仕事内容だけでなく、「この会社で自分は成長できそうか」「自分の価値観と合うか」「キャリアについて相談できる環境があるか」を見ています。そのため、採用CXでは、企業側が一方的に魅力を伝えるだけでなく、候補者の志向や不安に向き合い、相互理解を深めることが大切です。

出典:ウォンテッドリー株式会社「就職活動とインターンシップに関する調査結果を発表」
出典:就職みらい研究所「就職白書2025」

3.選考辞退・内定辞退への対策が必要になっている

採用市場では、選考辞退や内定辞退も企業にとって大きな課題です。マイナビの「2026年卒企業新卒内定状況調査」では、採用活動が厳しかった理由として「内定辞退の増加」を挙げた企業が31.6%に上りました。また、学生の内定辞退理由で最も多かったのは「より志望度の高い企業から内定が出た」(49.8%)です。

候補者が複数の企業を比較しながら意思決定するなかでは、面接官の対応、連絡のスピード、フィードバックの有無、面談でのコミュニケーションなどが志望度に影響する可能性があります。選考を単なる評価の場として扱うのではなく、候補者の不安を解消し、自社への理解を深めてもらう相互理解の場として設計することが重要です。

採用CXを見直すことで、候補者が選考途中で不安を感じたり、入社後のイメージを持てないまま辞退したりするリスクを減らしやすくなります。

出典:株式会社マイナビ「マイナビ2026年卒 企業新卒内定状況調査」

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採用CXに注力するメリット

採用CXに注力することはさまざまなメリットをもたらします。

1.内定承諾率・選考完走率の向上

採用CXが優れていると、候補者は「この会社で働きたい」という気持ちが高まり、選考途中の離脱や内定辞退が減少します。
とくに優秀な人材ほど複数社を比較検討しており、選考体験の質が意思決定に直結します。

丁寧なコミュニケーション、迅速なフィードバック、わかりやすいプロセス設計といった細部の積み重ねが、最終的な承諾率の差となって現れます。

2.候補者によるブランドイメージの拡散

選考を経験した候補者は、合否にかかわらず企業の印象を周囲に伝えることがあります。対応が丁寧であれば「あの会社は誠実だ」という評判が広がり、将来の応募者増加につながります。
一方、雑な対応は口コミやSNSで拡散しやすく、ブランド毀損のリスクになります。採用CXへの投資は、現在の採用だけでなく中長期的な母集団形成にも効いてきます。

3.入社後のパフォーマンス・定着率の向上

選考プロセスを通じて候補者が企業文化・仕事内容・職場環境をリアルに理解できると、入社後のギャップが小さくなります。
「思っていた会社と違った」という理由による早期離職は、採用コストの無駄であるだけでなく組織へのダメージも大きいです。CXの充実は、ミスマッチを防ぎ、即戦力として活躍できる人材を増やすことに直結します。

 

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採用CXにおける5つのフェーズ(タッチポイント例)

採用CXの各フェーズは、次の5つに構成されます。それぞれのフェーズで、候補者に自社の価値を感じてもらう体験を提供していきます。

採用CXのフェーズ概要・目的
認知フェーズ求職者が自社を知り、好印象を持つ段階
応募フェーズ迅速なレスポンスで選考への意欲を高める段階
選考フェーズ面接等を通じて真摯に向き合い、相互理解を深める段階
選考結果連絡フェーズ合否に関わらず誠実に対応し、企業の信頼を高める段階
内定入社フェーズ手厚いフォローで入社への不安を解消し、意欲を高める段階

1.認知フェーズ

はじめに自社を認知してもらう段階です。当然、好印象とともに認知してもらわなくてはなりません。
求職中の候補者だけでなく、現状では転職意欲が高くない候補者予備軍も対象と考えるべきでしょう。
「従業員が楽しそうに働いているな」「活気がありそうだな」といった印象をもってもらえる発信を工夫します。
認知における自社との接点(タッチポイント)は、以下のものが考えられます。

タッチポイント例

・求人票
・自社ホームページ
・WEBメディア
・採用サイト
・プレスリリース
・SNS
・従業員インタビュー記事
・イベント・交流会
・採用動画

2.応募フェーズ

応募段階で候補者に好印象を与える最大のポイントは、レスポンスの良さです。通常、候補者は複数の企業に応募するものです。

競合に対抗するには、スピーディーかつ誠実なレスポンスで、選考への参加意欲を高めることが重要です。

可能な限り早く接点をつくり、選考フローに乗ってもらいましょう。

タッチポイント例

・求人票
・スカウトメール
・リファラル(紹介)
・人材紹介
・SNSのDM
・応募フォーム
・採用担当者とのやりとり
・インターンシップ
・カジュアル面談

3.選考フェーズ

選考の過程も、スピーディーさと誠実さは重要なポイントです。顔を合わせる最初のコミュニケーションとなる場合が多く、この段階の第一印象は重要です。

とくに面接時の対応は、候補者の入社意欲に大きく関わります。

一人ひとりに真摯かつ誠実に向き合い、緊張をほぐしてあげるなど、候補者に寄り添った対応に徹します。

タッチポイント例

・受付担当の対応
・オフィス内の従業員の挨拶
・従業員の身だしなみ
・オフィスの雰囲気(空調・明るさなど)
・面接官の雰囲気(やわらかで優しい)
・面接時の雑談(アイスブレイク)
・面接官の質問内容
・候補者の質問に対する回答
・WEB面接

4.選考結果連絡フェーズ

各選考終了時の合否連絡も重要な候補者とのタッチポイントになります。
どのようなスタンスで候補者と接するのか、選考の合否に関わらず誠実な対応を徹底することが、企業の長期的な信頼性を高める鍵となります。
たとえ不採用の場合でも、丁寧な対応やフィードバックを心がけることで、企業イメージ悪化を防止につながります。

タッチポイント例

・各選考の選考通過連絡
・選考フィードバック
・採用通知書
・不採用通知連絡

5.内定入社フェーズ

選考を終え、採用を決めた候補者に内定を出します。優秀な候補者ほど、複数の内定を獲得しているものです。

そのなかで自社を選んでもらわなくてはなりません。これまでの対応に加え、この段階のフォローの手厚さが、入社意欲を高める重要なポイントです。

タッチポイント例

・条件交渉
・内定通知
・内定者フォロー
・会社見学
・社内イベントの参加
・従業員との懇親会(WEB座談会)
・内定者研修(WEB研修含む)

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採用CX改善のための4ステップ

自社においての採用CXを構築・改善するには、次に挙げる4つのステップについて検証します。

1.採用ペルソナの見直し

採用ペルソナとは、自社が採用したい人物像を「実在する1人の人物」として具体化したものです。

年齢・性別・学歴、経験職種や保有スキル、価値観といった詳細をイメージし、人物像を作り上げます。

採用ペルソナが明確であれば、どのような情報や経験が候補者の心に響くのか、正しく設定できます。

このステップをおろそかにすると、採用CXは焦点がブレたものになってしまいます。

採用ペルソナについては、以下の記事で詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。
【関連記事】採用ペルソナの作り方

2.候補者との接点の洗い出し

次のステップでは現在の選考フローを検証します。

候補者が自社を認知、内定・入社に至る段階で、どのような接点があるか洗い出す作業です。

複数の採用担当がいる場合は、異なった対応をしていないか確認する必要があります。

担当者により対応が違うことは、候補者に違和感を与え、不信感につながります。

このステップで検証すると良いでしょう。

3.課題となる接点の選定

次にそれぞれの接点が、適切に機能しているかを検証します。

候補者が魅力に感じない部分はないか、採用ペルソナと照らし確認しましょう。

もし、弱い部分があるとすれば、改善すべき課題として抽出します。

4.課題に対する施策立案

抽出された課題に対して、どのように改善するか施策を立案します。

面接官の技量に課題があれば、面接マニュアルの見直しやトレーニングを実施すると良いでしょう。

リソースを多く割けない事情があれば、それを補う外部サービスの導入を検討することも必要です。あらゆる側面から検討し、改善を図っていきます。

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採用CXを成功させるポイント

続いて、採用CXを成功させるポイントを4つご紹介します。

1.迅速に対応する

候補者が不安や不信感を覚える原因となるのは、対応の遅さです。

問い合わせへのレスポンスが遅いと、「いい加減な会社」という印象を与えてしまいます。

また選考をスムーズにテンポ良く進めなければ、選考離脱の原因となります。

次のステップの案内は、即日連絡するといった迅速な対応が望ましいでしょう。候補者を待たせないことは、採用CXを成功させる重要なポイントです。

2.フィードバックを実施する

選考プロセスの要所でフィードバックを実施することは、満足度の向上に効果的です。

候補者への評価点、期待することについて、言葉で明確に伝えます。

また、物足りないと感じる部分を改善点として伝えても良いでしょう。

「自分に真剣に向き合ってくれている」と感じてもらうことで、候補者との信頼関係はより深くなります。

3.採用管理システムを導入する

採用CX成功のためには、採用管理システムの導入も検討すべきです。

可能な限り工数を削減し、候補者に向き合う時間を確保するためです。

採用管理システムを導入することで、情報を一元的に管理でき、担当者間の共有や連携がスムーズになります。
【関連記事】採用管理システム(ATS)比較

4.事実に即した情報を伝える

候補者によいイメージをもってもらおうと、企業のプラス面ばかりを伝えるのはよくありません。イメージと現実のギャップは早期離職の原因となるため、面談や選考では事実に即した情報を伝えましょう。

また、企業イメージは一貫性も重要です。採用プロセスごと雰囲気が変わったり、情報が二転三転してしまうと、候補者は疑念や不信感を抱きます。

選考・内定・入社後の3つのプロセスで考えるべき候補者体験は、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひあわせてご確認ください。
【採用の新常識】内定辞退を回避する、候補者視点の選考フローとは

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採用CXの成功事例4選

採用CX改善を計画・実施し、内定承諾率の改善など成果をあげられた、具体的な成功事例を紹介します。

1.Sansan株式会社

Sansan株式会社

Sansan株式会社は、採用CXに注力したことで新卒採用における内定承諾率の向上に成功しています。

当社では求職者目線で考えることを徹底し、リクルーター面談にて学生自身のやりたいこと・キャリアビジョンの解像度を高めるサポートを実施。「本当に学生のためになっているのか」を考え抜いたうえで、各採用フローが設計されています。

内定承諾においても無理に自社を勧めるようなことはせず、求職者の意思を尊重。誠実で手厚いフォロー体制の結果、母集団の少ないエンジニア・R&D(研究開発)ポジションでも多くの優秀層を獲得できています。

【参考】徹底的に寄り添いキャリアをサポート。高い内定承諾率を実現する新卒採用チームの強さ|Best Team of the Year SILVER:Sansan株式会社

2.harmo株式会社

harmo株式会社

harmo株式会社は、カジュアル面談における採用CXに注力したことで、面談参加者の選考移行率が80%以上となっています。

カジュアル面談では、最初の10分間で候補者のやりたいことを徹底的にヒアリング。その後の企業説明では、候補者の状態にあわせて資料の順番を変えたり資料を追加したりして、内容を個別にカスタマイズしています。

また、内定前にはCEOと部門長との顔合わせ面談をオフィスで実施。候補者が入社後ギャップを感じて苦しむことのないよう、キャリアや人生観についてカジュアルに意見交換できる場を設けています。

【参考】エンジニアのCX(候補者体験)重視のカジュアル面談とは|Lab W,【Event Report】

3.株式会社メルカリ

メルカリのようなBtoC企業は、候補者が自社の直接の顧客でもあります。

採否に関わらず、良い印象で選考を終えてもらうことは重要な意味をもちます。

メルカリでは事業拡大にともない採用スタッフが増え、面接官の技量のばらつきが課題となっていました。

対策として採用プロセスの体系化と情報共有に力を入れます。

また「候補者アンケート」を行い、候補者から選考活動のフィードバックをもらう取り組みを実施しています。

アンケートで得た候補者の意見を面接官の育成に反映、担当者のスキルアップで採用CXの改善を図っています。

4.Airbnb

Airbnbは世界でもっとも知名度があり、人気の高い民泊サービスを提供する企業です。

いち早く、採用CXに取り組んだ企業としても注目を集めました。

同社の採用CXでは、選考プロセスのスピード化と、候補者とのコミュニケーションを重視しています。

特筆すべきは、採用を見送った人材に対してフィードバック面談を実施していることです。

企業として、候補者に対する最大限の敬意が感じられる施策といえます。

まとめ

採否に関わらず候補者に「この会社の選考を受けて良かった」と感じてもらうために必要なものは何でしょうか。

ひとつは候補者自身が気づきを得たり、成長を感じられたりする体験を提供することです。

しかし、それ以上に重要なのは、熱量をもって候補者に向き合う姿勢にほかなりません。

どれだけ親身になり候補者に寄り添えるか?

採用活動において、もっとも大切なことではないでしょうか。

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