採用活動のオンライン化が進む中、採用動画への注目が高まっています。
求職者に向けた情報発信が主な目的にはなりますが、採用サイトや求人サイトに掲載している情報をトレースして動画にするだけでは、効果の最大化は望めません。
本記事では、採用動画に期待される効果や制作のコツや逆効果になる注意点などを解説します。
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採用動画がもたらす6つの効果
採用動画とは、企業説明動画・社員インタビュー動画・社内見学動画など、採用活動で用いられる動画全般のことです。
【関連記事】採用動画とは
動画制作には多大なコストを要するにもかかわらず、なぜ近年では採用動画を活用する企業が増えているのでしょうか。ここでは、採用動画がもたらす6つの効果を解説します。
| 1. 求職者の印象に残りやすい 2. 企業のカルチャーや雰囲気を伝えやすい 3. 社員の人柄を伝えやすい 4. 入社後のミスマッチを防ぎやすい 5. コンテンツを拡散しやすい 6. 企業説明の工数削減につながる |
1.求職者の印象に残りやすい
採用動画は、情報伝達力が非常に高く、視覚的なインパクトを残せるのが特徴です。
1分間の動画が伝えられる情報量は、Webページ換算で約3,600ページ分にあたるという指標がマーケティング業界で広く紹介されています(※)。厳密な学術的検証に基づく数値ではありませんが、テキスト・画像ベースのフォーマットと比較して、動画は短時間で多くの情報を伝えられる媒体だといえます。
※アメリカの調査会社Forrester Researchのアナリスト、James L. McQuivey氏が2014年に発表した見解に基づく目安
2.企業のカルチャーや雰囲気を伝えやすい
採用動画が伝えられる内容は採用サイトなどに掲載されるテキスト情報よりも幅広く、求職者に訴えかける熱量も高められます。テキストでは伝えきれない、あるいは表現が難しい「企業のカルチャー」が伝わる動画に仕上げることは、施策効果を高めるための重要なポイントです。
カルチャーやビジョンに賛同した人達が集まり、ひとつの集団を形成しているのが企業です。採用動画に賛同し、同じ方向を目指したい求職者が集まることで、入社意欲の高い優秀な母集団が形成されます。
実際に、株式会社Lumiiが2024卒の就職活動経験者を対象に実施した調査では、採用動画を視聴した人の6割以上が「志望度が上がった」と回答しました。さらに、8割以上が「採用動画があったほうがいい」と回答しており、採用動画が企業理解や応募意欲の向上に大きく寄与していることがわかります。
出典:株式会社Lumii「採用動画の視聴によって6割以上が志望度上昇。24卒の就活経験者に「採用動画に関する実態調査」を実施。」
3.社員の人柄を伝えやすい
実際に社員が働いている様子やオフィスの雰囲気など、テキストではニュアンスまでを伝えづらい情報も、求職者に届けられることが動画の強みです。企画構成にもよりますが、過度な演出はできるだけ控え、社員自身の価値観などを自然体のままパッケージしましょう。
企業説明会や選考を通じて、社員とコミュニケーションがとれる機会はありますが、動画であればより多くの求職者に広くリーチできます。転職潜在層や非認知層との接点にもなり、母集団形成にも役立ちます。
4.入社後のミスマッチを防ぎやすい
企業説明会や面接で交わす言葉でのコミュニケーションは、企業・求職者双方が抱く認識と実態の間に齟齬が生じることがあります。選考段階では社風に合うと思っていたものの、入社してみたらマッチしなかったなどのケースも少なくありません。
豊富な情報量を有する動画で企業カルチャーや社員の人柄を伝えることは、入社後のミスマッチの防止にも寄与します。
5.コンテンツを拡散しやすい
単純なWebページと比較して、動画はシェアされやすい性質を備えます。採用サイトや求人サイトだけではなく、X(旧Twitter)やFacebookなどSNSも活用し、採用動画を発信していくと効果的です。
採用サイトでの公開を想定し作成した動画でも、同時に複数のSNSチャネルでシェアできます。コンテンツの掲載先の自由度が高く、限られたフォーマットのみにとどまらず配信できることも採用動画のメリットです。
6.企業説明の工数削減につながる
採用動画を活用すると、採用業務の効率化とコスト削減が期待できます。一度制作すれば会社説明会や選考の場で繰り返し活用できるため、担当者が毎回同じ内容を説明する手間を減らせます。特に、複数会場や複数日程で説明会を実施する場合は運営負担の軽減につながり、担当者は候補者との対話や見極めにより多くの時間を割けるでしょう。
また、採用動画は長期的に活用できる資産でもあります。担当者の異動や経験の違いによる説明内容のばらつきを防げるほか、会場費や交通費など説明会にかかるコストの削減も期待できます。
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採用動画の効果を高めるコツ

コンテンツ設計が曖昧なままだと、採用動画の効果が薄れてしまう可能性があります。採用動画の効果を高めるために、以下のポイントを押さえておきましょう。
| ・コンセプトを設計する ・ターゲットとなる求職者を具体的にする ・良い面ばかりを見せようとしない ・社内や社員のリアルが伝わる内容にする ・企業独自の魅力を発信する ・媒体の特性に応じて動画を見やすくする工夫を心がける |
コンセプトを設計する
コンセプトとは「方針」のことです。採用動画を作り始めてから運用するまで、目標の達成を一貫して目指すにあたり、明確な方針は欠かせません。動画を作る工程は企画から撮影、編集と大まかに分かれますが、コンセプトが定まっていないと、フェーズ間や関係者間で方向性がブレてしまう、あるいは方向性を見失ってしまいます。
例えば「普段は知れない企業のリアルを伝える」ことがコンセプトであれば、企業の良い面だけではなく、課題となっている事柄にも積極的に触れていくべきでしょう。
【関連記事】採用コンセプトとは
ターゲットとなる求職者を具体的にする
採用動画のコンセプトが固まったら、ターゲットとなる求職者を具体的に設定しましょう。どんな人材に応募してほしいのか、その人材は現在どのような状況に置かれているかなどを定義します。
求職者が企業選びで重視するポイントはさまざまです。職場の人間関係を重視するのか、あるいは詳細な業務内容に着目しているかなど、ターゲットとなる求職者が最優先に考えているものを明確にして、そのニーズを満たせるように採用動画を企画します。
【関連記事】具体的な人物像を設計する「採用ペルソナ」とは
良い面ばかりを見せようとしない
採用動画を構成するコンテンツを決める際、企業の良い面ばかりを伝えたいと考えてしまう企業は少なくありません。
しかし、動画の視聴者が獲得したいのはリアリティを感じる情報です。良い面だけを切り取った情報は歓迎されず、「求人サイトの内容と変わらない」と思われてしまっては、印象に残りません。
企業の課題や苦労話は求職者にとってネガティブなものではなく、ときには弱みも見せることで「この企業は信頼できる」と親しみを醸成できます。これは採用動画ならではの特性であり、伝えられる情報量の多さや訴求力が活かされる好例でしょう。
社内や社員のリアルが伝わる内容にする
「良い面ばかりを見せない」ことは、企業としてだけではなく社員の姿の見せ方に対しても同様です。
ポジティブな面ばかりに魅力を感じて求職者が入社しても、実際の業務は上手くいくことばかりではありません。理想と現実のギャップが大きくなるほど、早期退職のリスクも高まってしまいます。
社員インタビューでは、働きがいや今後のビジョンだけではなく、社員が実際に苦労した経験なども交えてみましょう。ただ苦労したといった文脈で終えず、その課題をどのようにしてクリアしたかなど、前向きな要素も交えたエピソードにすると効果的です。
【関連記事】社員インタビューの質問例
企業独自の魅力を発信する
採用動画の効果を高めるには、他の企業にはない独自の魅力を発信することも重要です。例えば「社員同士の仲が良い」「風通しの良い企業文化」といった訴求は多くの企業が行っているため、それだけでは求職者の印象に残りにくくなります。
自社ならではの魅力が見つからない場合は、社員の人柄や実際のエピソードに焦点を当てるのがおすすめです。また、「社員同士の仲が良い」と伝えるだけでなく、上司と部下が自然にコミュニケーションを取る様子を映像で見せることで、企業の雰囲気や独自性をより効果的に伝えられます。
配信媒体に応じて見せ方を工夫する
TikTokやInstagramリール、YouTubeショートなどSNSで配信する場合は、採用サイトとは異なる工夫が必要です。スマートフォン視聴が前提のため縦型フォーマットに対応し、冒頭3秒で興味を引く構成にすることでスクロール離脱を防げます。また、無音視聴が多いため、字幕で内容が伝わるようにしておくことも欠かせません。
こうした工夫により、これまでリーチできなかった転職潜在層にも企業の魅力を届けやすくなります。
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採用動画が逆効果になってしまう事例
採用動画は適切に制作・運用すれば高い効果を発揮しますが、内容や尺によっては求職者にマイナスの印象を与えてしまうケースもあります。次の2つの事例を参考に、リスクを事前に把握しておきましょう。
動画が長すぎて離脱される
採用動画は、長すぎると求職者にマイナスの印象を与える可能性があります。
株式会社マイナビが実施した大学生キャリア意向調査によると、対面式の個別企業セミナーで悪い印象が残った理由として、「動画を長い時間見せられた」と回答した学生は、2026年卒で5.9%、2027年卒で8.9%でした。説明会という限られた時間の中では、動画の長さが求職者の満足度や企業への印象に影響することがわかります。
なお、教育分野で行われた動画視聴と集中力の関係に関する研究でも、6分未満の動画は集中して視聴されやすい傾向が報告されています。分野は異なるものの、動画の長さが視聴者の集中度に影響しうるという点は、採用動画を検討する上でも参考になる知見です。
採用動画の長さは、視聴完了率だけでなく企業への印象にも影響する要素です。伝えたい情報を詰め込みすぎず、目的に応じて内容を絞り込むことを意識しましょう。
出典:株式会社マイナビ「マイナビ 2027年卒 大学生 キャリア意向調査4月<就職活動・進路決定>」
出典:株式会社マイナビ「マイナビ 2026年卒 大学生 キャリア意向調査4月<就職活動・進路決定>」
出典:PubMed Central「The impact of short videos on student performance in an online-flipped college engineering course」
コンテンツによって企業イメージを損なう
採用動画は、内容によって求職者にネガティブな印象を与えてしまう可能性があります。例えば、動画のトーンや演出がターゲット層と合っていなかったり、過度な演出や誇張表現が含まれていたりすると、「実際の会社の雰囲気と違いそう」「PR色が強すぎる」といった違和感を抱かれるかもしれません。その結果、志望度の低下につながるおそれがあります。
また、SNSでの拡散を前提とした採用動画には炎上リスクも伴います。演出や発言の一部が切り取られ、意図しない形で批判を受ける可能性もあるためです。ターゲット層に合った表現になっているかを確認し、適切なトーンで発信するようにしましょう。
採用動画を制作するときの注意点

採用動画の制作を検討する際は、注意点について事前に把握する必要があります。費用・工数・更新コストをあらかじめ見積もった上で、計画的に進めましょう。
| ・費用が高額になりやすい ・制作に時間とリソースがかかる ・定期的なブラッシュアップが必要になる |
費用が高額になりやすい
採用動画は、内容や仕様によって制作費が高額になる場合があります。外注する場合の費用相場は幅広く、動画の種類や撮影規模によっては10万〜200万円以上かかるケースもあります。また、修正対応が増えたり、複数種類の動画を同時に制作したりすると、さらにコストが膨らむこともあるでしょう。
想定外の費用発生を防ぐためには、事前に制作する動画の種類や本数、仕様を明確にしておくのがポイントです。発注前には制作会社と要件をすり合わせ、詳細な見積もりを取得してください。
【関連記事】採用動画の料金相場
制作に時間とリソースがかかる
採用動画の制作には、一定の時間と人的リソースが必要です。企画立案から出演者の調整、撮影、編集まで工程が多く、各段階で採用担当者の工数が発生します。他の業務と並行して進める場合はスケジュールが遅れやすく、初めて制作する場合は完成までに2〜3ヵ月程度かかることもあります。
採用動画の公開時期は採用活動のスケジュールにも影響するため、余裕をもった制作計画を立てることが重要です。なお、制作ディレクションを外注会社に委ねることで、社内工数を最小化することも有効な選択肢です。
【関連記事】採用動画の作り方
定期的なブラッシュアップが必要になる
採用動画は、一度制作したら終わりではありません。出演した社員の退職や組織変更、事業内容の変化によって、動画の内容と実態にズレが生じることがあります。特に社員インタビューを中心とした動画は情報が古くなりやすく、放置すると求職者に誤解を与えるおそれがあります。
こうしたリスクを防ぐためには、定期的に内容を見直す運用体制を整えておくことが大切です。年1回程度を目安に動画の内容を確認し、必要に応じて更新するとよいでしょう。また、インタビュー部分だけを差し替えられる構成にしておくと、更新時の手間やコストを抑えやすくなります。
自社の目的に合ったフォーマットで採用動画を成功させよう
高い情報伝達力や求職者への熱量ある訴求、採用ミスマッチの防止や拡散性など、採用動画にはさまざまな効果が望めます。効果を最大化するポイントは、コンセプトやターゲットの具体化、そして「リアル」を追求する表現です。
また、求職者とのコミュニケーションも忘れてはいけません。求職者が知りたいことと、企業が伝えたいことがマッチするような動画作成を心がけましょう。
近年の採用動画は、ショート動画やインタラクティブ動画など多様化が進んでいます。自社の採用課題やターゲットに合ったフォーマットを選び、目的に応じて活用することが成功のポイントです。
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