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若手に今の職場はホワイトすぎる?「柔軟だけどゆるくない職場」の作り方、TAM社員に聞く

昨年12月、「ホワイトすぎる職場」を問題視する日経新聞の記事が話題になりました。記事によると、企業が福利厚生などを充実させる一方、ブラックな職場にならないよう意識するあまり「ゆるい職場」になってしまい、若手社員が成長への不安を感じているケースがあるようです。

職場がホワイトすぎて辞めたい 若手、成長できず失望
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https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD2865W0Y2A121C2000000/

そこで、今の若手社員が「職場のホワイト化」をどう捉えているかを聞いてみました。お話を伺うのは、大手企業に勤めた経験があるTAMの若手社員2名、松山慎一郎さんと上田瑞起さん、5年目の先輩社員、前田恵莉さんです。大企業の現状や若手社員が会社に求めていること、「ゆるい職場」にならないためのTAMの取り組みについて深堀りしました。

ECチーム ディレクター 上田瑞起
新卒で大手通信会社に入社。キャッシュレスサービスを拡大する営業を経験したのち、2021年10月、TAMに転職。現在はECチームのディレクターとして、ECサイトのプランニング・構築・運用を支援している
広告チーム アカウントプランナー 松山慎一郎
新卒で大手通信会社に入社。家電量販店での店舗販売をしたのち、社会課題解決事業に取り組むベンチャー企業に転職。その新規事業部にて創設期のベンチャー環境を経験。2022年2月、TAMに転職し、現在は広告チーム所属のアカウントプランナーに従事
しゃかいか! コンテンツディレクター 前田恵莉
大手モバイル系のゲームやコンテンツを提供する会社に2年ほど勤めたあと、2018年、株式会社TAMに入社。その後、企業や自治体のSNS・広告運用を支援する「しゃかいか」に異動。現在はコンテンツディレクターとして、Web/SNSのプランニング、ディレクション、動画やライティングなどのコンテンツ制作を担当

「ホワイトすぎる」ことはないが「大企業体質」は感じた前職

——上田さんと松山さんの社会人歴は2年ほどです。TAMに入社する前に働いていた会社で「ホワイトすぎる職場」を体験したことはありますか?

上田瑞起(以下、上田):前職の大手企業が「ホワイトすぎる」と感じたことはありません。もちろんブラックではないですが、数字にこだわる文化はきちんとあるし、上司からの指導もそれなりに厳しい環境でした。成長したいという気持ちで入社したので、期待通りですね。

松山慎一郎(以下、松山):僕が勤めていた大企業も「ホワイトすぎる」ことはないです。でも、日経新聞の記事に書いてあるような「成長への不安」を感じやすい部分もあったかと思います。例えば、1年目の社員は時間を厳しく管理されていて残業はまったくできません。もう少し仕事をしたいと思っていても、定時になったら切り上げないといけない。

また、部署やどんな上司の下で働くかにもよると思いますが、仕事の指導を厳しくされたことはありませんでした。自分から積極的にいかないとフィードバックをもらえなかったので、同じ業界で働く社外の人に知見を求めたこともあります。

上田:「不安」という観点で言えば、思い通りにキャリアを選べないことに悩んでいる人はいましたね。いわゆる「配属・異動ガチャ」。事業部が多いからこそ、希望の部署で働けなかったり、突然思いもしない異動が下されたりすることはよくありました。

松山:僕も、望んでいたのとは違う部署への配属だったんです。配属先の携帯電話の店舗販売員は、お客さんの多い週末には必ず出勤しないといけません。働く時間を自分でコントロールできないことに、少し窮屈さを感じていました。

若手が会社に求めるのは「柔軟な働き方」と「成長機会」

——「ホワイトすぎる」ことはないけれど、成長やキャリア形成、働き方の柔軟さには課題感もあった、と。では、今の若手社員が企業に求めていることはなんだと思いますか?

前田恵莉(以下、前田):先日、しゃかいかの学生インターン生たちに話を聞かせてもらったところ、「やりがいがほしい」という意見が多く出ました。人生を豊かにするためにも、1日の時間の多くを占める仕事にやりがいを求めたい、と。また、先行き不透明な社会に対する不安を感じるからこそ、「成長」を求める声もありました。

松山:学生さんや若手社会人が、将来を不安に思っているのは間違いないと思います。同じ時期に就活していた中で、大企業を目指している人の多くも不安を口にし、「安定」を求めていました。

ただ、最近の潮流として、「言われた仕事をしていれば安定だ」と考える人よりも、「将来に備えて、活かせるスキルを磨かないといけない」と考える人が増えているように思います。事実、同世代で転職した人の中には、総合職から離れて専門職にいく人も多い。キャリアの方向性や身につけられるスキルを、早いうちからコントロールしたいと考えているようです。

上田:少し違う観点からですが、同世代の若手社会人には「時間や場所に縛られない柔軟な働き方」を求める人が増えています。僕らの世代はリモート環境下の大学生活や就活、入社後研修を経験していて、オンライン上のコミュニケーションや、非同期のプロジェクト進行に慣れ親しんでいるんです。なので、リモートワークやフレックス制を導入している職場に魅力を感じる傾向があります。

前田:まとめると、若手社会人が求めていることは2つありそうですね。制度やルールがなるべくゆるく「柔軟な働き方」の選択肢があること。そして、望むスキルや、やりがいを得られるような「成長機会」があること。

「ホワイトすぎる企業」とは、前者だけが強い企業なのかもしれません。

不要なルールや慣習を無くせば、社員は仕事に集中できる

——ブラックでもなくゆるすぎもしない、「ちょうどいいホワイト企業」の輪郭が見えてきましたね。

松山:そうですね。人によって働き方や仕事に求めているものは多種多様。ゆったりと働きたい人もハードに働きたい人も、自分のペースに合わせて働けるといいですね。もちろん、それによって収入などを柔軟に変えられる仕組みも必要だと思います。

また、仕事のハードさだけではなく、体質などのパーソナルな違いにも対応できると、なおいい。僕の場合、人よりも音や光に敏感なので、情報量が多すぎてオフィスワークは難しく、リモートワークのほうがパフォーマンスが上がるんです。そうした一人ひとりの違いに合わせて、働き方を選べるのが「ちょうどいいホワイト企業」だと思います。

上田:働く環境が選べることに加えて、個人の枠に収まってしまわないように、少し背伸びをしないといけないアウトプットの機会があると嬉しいですね。挑戦するために必要な情報やノウハウに簡単にアクセスできたり、上司や同僚にすぐ助けを求められたり、サポート体制がしっかりしていることも大事だと思います。

——どうすれば「ちょうどいいホワイト企業」が増えると思いますか?

前田:「柔軟な働き方」と「成長機会」のうち、特に前者の考え方が認められる必要があると思います。ただ、経営側が優先順位を上げない限り、そうした環境は実現しないですよね。

松山:僕はその考えが広まらない根本には、「性悪説」的な考え方があるんじゃないかと思っています。リモートワークが普及した時も、「家で仕事したらサボるだろう」と言う人がたくさんいましたよね。リスクを考えることも必要ですが、もう少し性善説をベースに組織を作ってもいいと思うんです。そうすれば、ルールや制度を減らし、柔軟な働き方ができる企業が増えそう。

前田:私の実体験からすると、そのほうが仕事の成果も出やすいと思うんです。新卒で入社した会社は上下関係がはっきりしていて、ルールや制度が多くありました。上司の顔色を伺いながら仕事をしたり、飲み会のルールが厳しかったり、仕事以外のことに労力をとられることが多かったんです。

TAMに入り、そうしたことから解放されました。ルールや制度、不要な上下関係のしがらみに頭を使うことなく、仕事に全力で取り組めるようになった。本質的じゃないことの時間を減らすことで、社員は仕事に集中することができますし、そのほうが企業も成長できると思います。

自律した社員同士の関わりが「柔軟だけどゆるくない組織」を作る

——前田さんにとってTAMは「ちょうどいいホワイトな職場」ということですか?

前田:そうですね。リモートかつフレックスな環境で働き方や仕事のハードさを選べるといった点で、「ちょうどいいホワイト」に当てはまると思います。もちろん部署や人や時期によっても状況は違って、今の私はちょっと「ブラック寄り」かもしれませんが......(笑)。自分次第で色の濃さを変えられるのは間違いないです。

——「柔軟だけどゆるくない」企業文化を成り立たせているものは何だと思いますか?

前田:自律している人が多いことだと思います。高い基準で仕事をすることを望む人が多いので、制度やルールがないことがプラスに働いているのかもしれません。

松山:「WDP(Work and Development Plan)」という取り組みも、自律を促していると思います。WDPとは仕事もプライベートも含め、5年後、10年後、もっと言えば人生を通して大切にしたいことを言語化し、社員同士で共有する取り組みです。お互いの理想を知っているからこそ、いい意味での緊張感も生まれています。

——素敵な取り組みですね。他にTAMならではの取り組みはありますか?

松山:年に一度、仕事の成果や能力に基づいて給与交渉をする機会があります。僕のような新卒の社員にも、社長に直接交渉する権利があるんです。ただそれは、成果を出さないと給料が上がらないということでもあります。柔軟なように見えて、厳しさもある仕組みです。

上田:他にも、2カ月に一度、TAM独自のフレームワーク「PGST」を使った、チームリーダーとの振り返りMTGが設けられています。「PGST」とはクライアントの目的・指標・戦略・戦術を整理するものですが、それを自社向けにも転用しているんです。共通のフレームワークがあることで、コミュニケーションはスムーズになり、お互いのフィードバックも活性化していると感じます。

「PGST」とは?
(P)目的:その年度の目標(複数あってもOK)
※いつでも暗記して空で言えること
(G)指標(ゴール):各戦略の達成度合いをはかる「指標」
※何ができればゴール達成か?(数値目標・KPI=複数人で共有できる指標であるため、ゴールは数値であること)
(S)戦略:それぞれの目標を達成するための戦略
※やらなければならないこと
(T)戦術:具体的にどうするか?
※いつごろ、どういったActionを実施するか

——制度やルールではなく、自律した社員同士の関わり合いによって「ゆるくない」組織を作っているんですね。最後に、今後よりよい組織になっていくために大事だと思うことを教えてもらえますか?

前田:ここまで話してきて、「ちょうどいいホワイトな職場」には、個人の強い目的意識が前提にあるように思いました。「どんな仕事がしたいか」「どんな人生を送りたいか」といった目的が定まると、自律もしやすく柔軟な組織でもパフォーマンスが出せますから。

ただ、最初から全員が明確な目的を持っているわけではないと思います。私もそうでしたが、先輩たちが生き生きと働く姿に刺激を受けて、芽生える目的意識もあるはずです。今後は先輩社員の一人として、そうした背中を見せて行きたいですね。

松山:僕も個人の目的意識が重要だと思います。そして、目的意識を育むためにはさまざまな背景を持った人たちに触れることが大事。今は同じチームの人と関わることが多くなっていますが、部署の壁を超えて、いろんなTAM社員と接する機会を増やしていきたいです。

上田:目的意識がないと、目の前の仕事のことしか考えられなくなったり、「やらされ仕事」が増えたりして、「ブラックな職場」に近づきやすくなります。そうならないためにも、いろんな人に触れて視野を広げ、失敗を恐れずに自分のやりたいことに挑戦し続けることが、大事なんじゃないかと思いました。

[取材] 佐藤紹史 [編集] 岡徳之 [撮影] 藤山誠/蔡昀儒

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