採用オウンドメディアとは?5社の成功事例から考える始め方

近年、採用市場や求職者を取り巻く環境に大きな変化が起こり、優秀な人材の獲得に向け、自社保有のメディア(オウンドメディア)を使った採用手法が注目を浴びています。

こちらでは、採用オウンドメディアの定義や必要性、具体的な取り組み方法を事例付きで解説していきます。

採用オウンドメディアとは?採用サイトとの違い

採用マーケティングのテーマにおいてよく見聞きするようになった「オウンドメディア」。一体どんなものなのでしょうか。まずは言葉の意味や定義を確認します。

オウンドメディアとは?

オウンドメディアとは、企業や組織が保有する情報配信の媒体をさし、自社保有のブログやWebサイト、そして、TwitterやFacebook、InstagramなどのSNSアカウントもそれに含まれます。

また、欲しい人材に合わせてオウンドメディアを戦略的に活用する採用手法を、オウンドメディアリクルーティング(Owned Media Recruiting)と呼びます。

採用オウンドメディアとは?

採用オウンドメディアとは、オウンドメディアの中でも、潜在候補者(未来の求職者)に向けた情報を発信・蓄積するための“Webサイト”を指します。

SNSではフロー情報化する発信内容を、採用オウンドメディアによってストック情報化し、“ファン ”となった潜在候補者に、“欲しいときに欲しい情報が見つかる場所”として利用してもらうことを目的としています。

採用サイトとの違いとは?

採用オウンドメディアと従来の採用サイトとの違い、それは役割が異なる点です。従来の採用サイトは、求人情報の提供と応募窓口としての役割が大きく、能動的に企業認知を高めるための活動は行われていませんでした。

一方、採用オウンドメディアには、採用したい人材層に向けて戦略的に企業の魅力やメッセージを届けることで、企業理解を促し、最適な人材を確保する狙いがあります。

採用オウンドメディアで成果をあげている企業事例

採用オウンドメディアの必要性や取り組み方の理解が進んだところで、事例を見てみましょう。一括りにオウンドメディアと言っても、コンテンツの作り方はさまざまです。

次に紹介する5社は、採用オウンドメディアで成果をあげている企業です。

株式会社 LINE【OnLINE】

URL:https://line-online.me/

Wantedly:https://www.wantedly.com/companies/line/feed 

LINEは、採用手法を人材紹介からダイレクトリクルーティングに転向して成果をあげた企業のひとつです。2020年8月17日、採用担当者ブログ LINE HR BLOGをOneLINEに移設して運用が始まりました。“LINEでは、こうしています。”をメッセージテーマに、VISION(なぜ・事業の取り組み)CULTURE(社員インタビュー・WOWな出来事)WORKS(仕事・働き方)を発信しています。

株式会社サイボウズ【サイボウズ式】

URL:https://cybozushiki.cybozu.co.jp/

Wantedly:https://www.wantedly.com/companies/cybozu/feed

“カイシャ・組織”情報の発信だけではなく、社員にフォーカスした”働き方・生き方”、“家族と仕事”のカテゴリーが目を引く、サイボウズのオウンドメディア。“サイボウズのことを全く知らない人にサイボウズを好きになってもらう”をコンセプトに、チームワークの良さ、従業員エンゲージメントの高さを感じさせるコンテンツとなっています。なお、サイボウズ式のグローバルメディアとして“Kintopia”も運用しています。

エン・ジャパン株式会社【キャリアハック CAREER HACK】

URL:https://careerhack.en-japan.com/

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エン・ジャパンが運用するのは、IT・WEB業界で働く人のためのメディア。業界の有名人インタビューやクリエイターの働き方、さまざまなキャリアストーリーの紹介をメインに配信しています。また、“新社会人のみなさんへ”、“読書をしよう”、“勇気がもらえる言葉たち”という特集も組まれており、IT・WEB業界で働く人を通してトレンドに触れたり、ライフスタイルを学べるメディアになっています。

株式会社メルカリ【mercan メルカン】

URL:https://mercan.mercari.com/

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mercanは、メルカリグループのメンバー全員が発信することができるコンテンツプラットフォームです。“メルカリの人を伝える”をテーマに、働く人に焦点をあてた“1on1”、“All for one”の記事を始め、職種ごとにカテゴライジングされた記事は、まさに転職潜在層へのアプローチに秀でたコンテンツと言えます。“エンジニアと立ち話”や“グローバル”といったタグも見られ、求職者の探索行動を正確に掴んでいます。

株式会社サイバーエージェント【FEATUReS】

URL:https://www.cyberagent.co.jp/way/features/

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FEATUReSは、豊富な画像や動画素材を使い、“採用”、“サービス”、“技術・デザイン”、“IR”の4つを主軸として配信するサイバーエージェントの公式オウンドメディアです。また、サイバーエージェントでは、インターネット広告に関する最新事例や手法を紹介する情報サイトの運用も行っています。CyberAgent AD.AGENCYhttps://ownedmedia-library.com/1071-cyberagent-agency/ 

採用オウンドメディアに取り組むべき2つの理由

なぜ「今」採用オウンドメディアが必要なのでしょうか。理由は、採用市場と求職者の変化にあります。

「転職潜在層」に向けたアプローチの必要性

少子高齢化による労働人口の減少により、採用市場では有効求人倍率の高止まりが起き、優秀な層の人材獲得競争が激化しています。

これまでの「転職顕在層」へ向けた企業優位の“待ち”の採用手法では、優秀な人材の獲得だけでなく、最低限の応募数の確保すら危うくなっています。

そこで、「転職潜在層」に向けたアプローチが注目されることになりました。採用オウンドメディアにて情報発信を行い、自社へのファン化を促したうえで、いざターゲットが転職活動を始めたときに自社が選ばれるよう継続的な接触機会をつくるという手法はその一つです。

「シゴト観の変化」と「選職リテラシーの高まり」

求職者を取り巻く環境も大きく変化しています。終身雇用に代表されるような画一的な働き方の時代は終わり、ワークライフバランスや多様な働き方が求められる潮流があります。

また、長寿化により「教育→仕事→リタイア」という人生の3ステージは、それぞれのステージを行き来する移行期を何度も挟み「マルチステージ化」すると予測されています。

働くという行為そのものの意義や価値を問われる機会が増え、求職者の「シゴト観の変化」が起こっています。

さらに、デジタルデバイスの普及によって、個人が手にできる情報量が増え、「選職リテラシー」の高まり、つまり、求職者の企業・仕事選びにおける情報収集や選別能力も高まっています。

求職のWeb検索方法においては、これまでの「30代 転職」のような“事柄”検索ではなく、職種×「在宅 ワークライフバランス 有給消化率」などの働き方や、「正当な評価 ユニーク ものづくり」のような企業の特徴も検索されるようになり、複数のキーワードの組み合わせが主流になりつつあります。

企業は、仕事選びが“働き方やそこで働くことで得られる経験”を重視するフェーズに移行したことを理解し、求職者がどのように情報収集を行うか、その探索行動を把握した上で能動的な情報発信を行う必要があるのです。

採用オウンドメディアの始め方

では、具体的にはどのように取り組んでいけばいいのでしょうか?発信すべき内容と発信するために必要なことについて解説していきます。

何を発信するか

採用オウンドメディアで発信すべき内容は、自社の社会的価値・魅力となる「WHY」を核としたメッセージです。

「自分たちの事業がなぜ存在しているのか」というビジョン/ミッションを伝え、共感を促すことで、潜在的な候補者を増やします。

なお、これらのメッセージングは、企業理念として単に文字として書きおこすだけではなく、社員インタビューや社内風土・文化を感じられるコンテンツを通して発信することで、より効果を期待できます。

かつて人は、報酬や待遇といった要素によって行動を起こしているとされてました。しかしキャリア観が多様化した現代では、やりがいによって行動が促されるように変化してきています。

このやりがいによる動機付けを、採用オウンドメディアで「何を発信すべきか」の軸として据えるようにしましょう。

発信するために必要なこと

発信する前に行いたいこと、それは「ペルソナの設計」と「採用ブランディング」です。必要な人材要件とどの層にどのような情報を届けたいかを明確にすることで、効果的な採用活動が可能になります。

“ペルソナ”とは、マーケティング関連の用語として使われている言葉で、ユーザーの具体像をさします。ターゲットを「層」の設定とするならば、ペルソナは「個人」の設定を意味します。年齢、性別、居住地、職業、役職、性格、趣味、家族構成、価値観など、ひとりの人物像を固めるイメージです。

採用におけるペルソナを設計することで、潜在層の求めている情報や探索行動がより明確になり、効果的なアプローチが可能になります。

“採用ブランディング”では、候補者に「どのような自社イメージを持ってもらうか」、「それをどのようなストーリーラインで伝えるか」という戦略設計を行います。

採用ブランディングへの取り組み方|まずは押さえたい3つのポイント
従来の「自社の求人情報を提示して、それを見た求職者からの応募を待つ」という「待ち」の採用ではなかなか優秀な人材を獲得できなくなっています。そんな状況で注目されているのが、「採用ブランディング」です。本記事では、採用ブランディングの定義、なぜ取り組むべきなのかを解説した上で、具体的な取り組み方や事例を紹介しています。
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採用オウンドメディアのデメリットとは?

採用オウンドメディアには始めるべき“メリット”が多くありますが、運用においてはデメリットもあります。

採用オウンドメディアのデメリット

時代に合わせた採用手法として注目を浴びている採用オウンドメディア。一方で、企業規模や人員体制によっては、取り組みの大変さを指摘されることもあります。

主にデメリットとして挙げられるのは、「周知に時間がかかる」「すぐに成果が出ない」「継続運用の難しさ」の3点です。

採用オウンドメディアは即効性のある手法ではないため、長期的な運用を見込んだ施策が必要です。オウンドメディアを持っていない企業は、Webサイトの立ち上げから始める必要があり、認知されるための取り組み、そして成果を出すためには質の高いコンテンツを作り続けることも求められます。

さらに、コストも立ち上げを阻む要因のひとつです。Webサイト制作には経費がかかり、コンテンツ制作を外注する場合は、それらの費用も含めて検討しなければなりません。

Wantedlyのストーリーを活用している企業事例

自社での立ち上げが難しい、または取り組みに限界を感じる場合は、Wantedly の活用をお勧めします。

Wantedlyにはストーリーという機能があり、候補者の知りたい「会社の素顔」をブログを投稿するように発信することができます。また、Wantedlyで作成した会社ページは88%でGoogle検索の1ページ目に表示されており、認知度をあげる施策に頭を悩ませることはありません。

自社にとってどんな方法が運用しやすいか、継続運用を考えた上で選択することも大切です。

Wantedlyについて詳しくはこちら

株式会社Gunosy

https://www.wantedly.com/companies/gunosy/feed

2020年12月以降オウンドメディアをWanntedlyに移転。女性社員のインタビュー記事、オンラインシャッフルランチやオンライン忘年会など企業カルチャーや風土を感じられるコンテンツが強み。

 

株式会社マネーフォワード

https://www.wantedly.com/companies/moneyforward/feed

ダイレクトリクルーティングに力を入れ、2019年もっともWantedlyを活用した企業に送られる「WANTEDLY VISIT AWARDS」でGold賞を受賞。「ファンづくり」のミッションを掲げ、活発な採用広報活動を行っている。 

マネーフォワードが語る採用広報の本質と体制の作り方【Event Report】
HERP株式会社との共催イベントとして、採用の体系論から具体的な手法までをお伝えする、全4回のオンラインイベントを実施します。第2回は、株式会社マネーフォワードの富田様をお呼びし、採用広報の位置付けや媒体選定、そして企業が発信することの本質を考えていきたいと思います。
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著者プロフィール

一月香織

Writer

国家資格キャリアコンサルタント兼ライター。大手教育系企業にてマネージメント経験を積み、人事研修課に異動。エリア責任者として新卒・中途採用、人材育成に携わる。母集団増、内定辞退率、離職率減に貢献。フリー転身後は子育て世代のキャリア支援を中心に、Webサイト運営や採用・転職に関わる記事執筆も行う。

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