「自社の求人になかなか応募が集まらない」「採用目標に対して必要な人数を確保できない」こうした悩みを抱える採用担当者は少なくありません。選考の土台となる候補者を一定数集める「母集団形成」は、採用計画を進める上で重要な取り組みです。
本記事では、母集団形成の基本や重要性、進め方のほか、代表的な8つの手法、よくある課題と改善方法、成功事例を解説します。
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母集団形成とは、選考の土台となる候補者の集まりを作る活動
採用における「母集団形成」とは、選考の土台となる候補者の集まりを作る活動を指します。採用活動の基盤であり、選考を円滑に進めるための最初のステップとして位置づけられます。
採用成果につなげるには、選考の土台となる量を確保しつつ、採用基準に合う人材にも情報が届くよう、ターゲットを明確化した上で、適切な手法を選ぶことが重要です。
母集団形成が重要視される理由

母集団形成の重要性が高まった要因は、大きく2つあります。詳しく見ていきましょう。
労働者人口の減少による構造的な人手不足
少子高齢化の影響を受け、日本の労働者人口は年々減少しています。
厚生労働省の「一般職業紹介状況」によると、2025年度平均の有効求人倍率(求職者1人あたりの求人数)は1.20倍となり、求人数が求職者数を上回る状態が続いています。
このように、労働市場全体では「多くの求人に対して求職者が少ない売り手市場」が常態化しており、求人を掲載して応募を待つだけでは、必要な人数の候補者を確保することが難しくなっているのが現状です。そのため、企業が主体的に候補者との接点を広げ、母集団を形成する重要性が高まっています。
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採用におけるミスマッチの増加
母集団形成が十分にできないと、選考の対象となる候補者が限られ、採用要件とのすり合わせが不十分なまま採用判断につながる可能性があります。また、採用期限を優先することで、十分に比較検討できないまま内定者を決めるケースも少なくありません。
その結果、入社後のミスマッチや早期離職につながるおそれがあります。
こうした事態を防ぐためにも、母集団形成の段階で一定数の候補者と接点を持つことが重要です。
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母集団形成における新卒採用と中途採用の違い
新卒採用と中途採用では、ターゲットや時期が異なるため、接点の作り方にも違いがあります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
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新卒は母集団を広く形成して絞り込む
新卒採用では、学事日程や就職活動の時期にあわせて、インターンシップや説明会などを通じて幅広い学生との接点を作り、母集団を確保します。中途採用ほど実務経験やスキルを細かく指定しないケースが多いため、まずは接点を広くとり、選考の中で段階的に絞り込む進め方が一般的です。
【関連記事】新卒採用における母集団形成のポイント
中途はターゲットを明確にして母集団を形成する
中途採用は、欠員や事業拡大などの採用ニーズに応じて、任せる業務や必要な経験・スキルなどを先に整理します。その上で、採用ターゲットを明確にし、その層に届きやすい手法を活用して母集団を形成します。
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母集団形成のメリット

母集団形成に取り組むことで、採用活動全体にどのような効果が生まれるのでしょうか。主なメリットは以下のとおりです。
| ・採用目標を達成しやすくなる ・複数の候補者を比較検討しやすくなる ・採用コストを適正化しやすくなる |
採用目標を達成しやすくなる
母集団形成に取り組むことで、採用目標を達成しやすくなります。
選考では候補者を段階的に絞り込んでいくため、計画した採用目標を達成するには、その前段階で必要な人数の母集団を確保しておくことが重要です。
過去の選考での歩留まり(各選考段階を通過する割合)をもとに必要な母集団人数を逆算し、人数が不足していれば、早い段階で手法の追加などを検討できます。
選考途中で辞退者が出ても、母集団に十分な候補者がいれば選考を継続でき、採用目標を達成しやすくなるでしょう。
複数の候補者を比較検討しやすくなる
十分な母集団を形成しておけば、複数の候補者を比較検討しやすくなることもメリットのひとつです。
母集団が1人しかいなければ、その候補者を採用するかどうかを判断することになります。しかし、複数の候補者がいれば、経験やスキルなどを比較しながら、採用基準に照らして検討できます。
採用コストを適正化しやすくなる
必要な母集団をあらかじめ確保することで、採用コストを適正化しやすくなります。
母集団が不足したまま採用活動を進めると、追加の求人掲載や掲載期間の延長、期限前の人材紹介依頼など、当初予定にはなかった施策が必要になり、出費が増える可能性があります。
必要な母集団人数をあらかじめ見積もり、手法ごとに目標人数を設定しておけば、こうした後追いのコストを抑えやすくなるでしょう。
また、候補者数の見通しが立てば、面接日程を計画しやすくなり、担当者の工数も計画的に配分しやすくなります。
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母集団形成の進め方

母集団形成は、どのように進めればよいのでしょうか。ここでは、5つのステップに分けて解説します。
| 1. 採用計画とターゲットを明確にする 2. ターゲットに合った手法を選定する 3. ターゲットに向けて情報発信や募集活動をする 4. 母集団の状況を可視化する 5. 効果検証をもとに改善する |
1. 採用計画とターゲットを明確にする
まず、採用人数や採用時期、募集する職種などの採用計画を明確にします。その上で、各職種で求める経験・スキルなどを整理し、どのような人材を採用したいのかを具体化しましょう。
ターゲットをより具体的に設定したい場合は、採用ペルソナを設計する方法もあります。年齢や職歴などの属性に加えて、仕事に対する価値観や就職・転職の理由などを整理することで、ターゲットを具体化しやすくなります。
【関連記事】採用ペルソナの作り方
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2. ターゲットに合った手法を選定する
ターゲットを明確にしたら、その層と接点を持ちやすい手法を選定します。
新卒採用か中途採用か、職種、求める経験・スキルなどによって、適した手法は異なります。求人広告や人材紹介、ダイレクトリクルーティング、自社採用サイトなど、それぞれの特徴を踏まえて、複数の手法を組み合わせることも検討しましょう。

3. ターゲットに向けて情報発信や募集活動をする
選定した手法を用いて、ターゲットに求人情報や自社の情報を届け、応募につなげます。
自社の求人に興味を持ってもらうためには、仕事内容や求める経験・スキルだけでなく、自社の特徴や働き方など、求職者が知りたい情報を具体的に伝えることが大切です。
4. 母集団の状況を可視化する
募集活動を開始したら、応募数などを記録し、採用目標に対して必要な母集団が形成できているかを確認します。
特に、求人媒体や人材紹介、ダイレクトリクルーティングなど複数の手法を利用する場合は、手法ごとの応募数を確認することが重要です。
手法ごとの応募数を記録しておくことで、どの手法から応募が集まりやすいのかを比較でき、母集団形成の進捗も把握しやすくなります。
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5. 効果検証をもとに改善する
母集団の状況を可視化したら、手法ごとの成果や応募につながるまでの状況を分析し、求人内容や情報発信、手法などを見直します。
例えば、求人の閲覧数に対して応募数が少ない場合は、仕事内容や募集条件の伝え方などを見直す方法があります。一方、応募数そのものが不足している場合は、現在利用している手法に加えて、新たな手法を取り入れることも検討しましょう。
このように、実施した施策の結果を確認しながら、求人内容や情報発信、手法などを継続的に改善することが、必要な母集団を形成する上で重要です。
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母集団形成の主な手法8選
母集団形成には、さまざまな手法があります。代表的な8つの手法について、それぞれ特徴を見ていきましょう。
| 手法 | 特徴 |
|---|---|
| 求人広告 | 幅広い求職者に求人情報を届けやすい |
| 自社採用サイト・オウンドメディア | 自社から情報を発信し、自社に興味を持つ人材との接点を増やせる |
| 人材紹介 | 採用要件に近い人材を紹介してもらいやすい |
| 採用イベント | 一度に多くの求職者と接点を持てる |
| ダイレクトリクルーティング | 自社が求める人材に直接アプローチできる |
| リファラル採用 | 社員の紹介を通じて新たな人材との接点を作れる |
| SNS採用(ソーシャルリクルーティング) | SNSを通じて幅広い層に情報を届け、人材との接点を増やせる |
| インターンシップ | 学生などと早い段階から接点を持ちやすい |
1. 求人広告
求人広告は、求人サイトなどの媒体に求人情報を掲載して、求職者に情報を届ける手法を指します。幅広い層に求人情報を届けやすく、母集団を形成するための代表的な手法のひとつです。
応募者が多い場合は、書類選考などの工数が増える可能性があるため、あらかじめ選考体制を整えておくことが大切です。
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2. 自社採用サイト・オウンドメディア
自社の採用サイトやオウンドメディアは、仕事内容や社員インタビュー、企業文化などを発信することで、自社に興味を持つ人材との接点を増やす手法です。求人情報だけでは伝わりにくい自社の魅力について詳しく伝えられることが特徴です。
既存のWebサイトを活用する場合は、新たな媒体への掲載費用を抑えながら情報発信できるメリットがあります。一方で、自社サイトへの流入が少ない場合は、求人情報を掲載するだけでは十分な母集団を形成できない可能性があるため、検索流入やSNSなどを通じてサイトへの訪問者を増やす取り組みも必要でしょう。
また、新たに採用サイトを制作する場合は、制作費用や運用負荷も考慮する必要があります。
【関連記事】採用オウンドメディアの始め方
3. 人材紹介
人材紹介は、人材紹介会社に自社の採用要件に合う人材を紹介してもらう手法です。
採用要件をあらかじめ人材紹介会社に伝えることで、候補者を探す手間を抑えながら母集団を形成できる点がメリットです。
一方で、採用が決まった際に紹介料が発生するケースが多いため、ほかの手法と比べて採用コストが高くなる場合があります。
【関連記事】人材紹介の選び方
4. 採用イベント
採用イベントは、合同説明会や転職フェア、会社説明会などのイベントを通じて、求職者に自社の情報を伝える手法です。複数の求職者と一度に接点を持ちやすく、短時間で多くの求職者に自社を知ってもらえることが特徴です。
短期間で幅広い求職者にアプローチし、母集団を増やしたい場合に活用されています。
一方で、大規模なイベントほど参加者の属性を事前に細かく絞り込みにくいといった傾向があります。
5. ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングは、自社が求める人材を探し、直接アプローチする手法です。
応募を待つだけでなく自社から個別に働きかけられるため、転職活動を積極的に行っていない人材とも接点を持てる可能性もあるでしょう。
一方で、検索やスカウトの送信、候補者とのやりとりなどを自社で行う必要があるため、運用に一定の工数がかかることに注意が必要です。
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6. リファラル採用
リファラル採用は、社員から友人・知人などを紹介してもらい、自社の求人に興味を持つ人材との接点を作る手法です。
社員の人脈を通じて、求人媒体などとは異なる経路から人材との接点を作ることができます。
一方で、社員の人脈に依存するため、短期間で多くの母集団を形成することには向いていません。また、紹介を促すための社内制度の整備や、社員への周知など、継続的な取り組みが必要です。
【関連記事】リファラル採用の始め方
7. SNS採用(ソーシャルリクルーティング)
SNS採用(ソーシャルリクルーティング)は、X(旧Twitter)・Instagram・FacebookなどのSNSを活用して、自社の企業情報や求人情報を発信し、認知獲得や人材との接点を作る手法です。
SNSは情報を拡散しやすく、採用情報や仕事内容、社内の雰囲気などを継続的に発信できることが特徴です。また、SNSを通じて、まだ就職・転職活動を始めていない潜在層とも接点を持てる可能性があります。
一方で、フォロワーとの関係構築や情報発信の継続には時間がかかり、成果が出るまで根気強く運用を続ける必要があります。
【関連記事】SNS採用の始め方
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8. インターンシップ
インターンシップは、学生などに実際の仕事を体験してもらう機会を提供する取り組みです。新卒採用で活用されることが多く、説明会や採用イベントなどより前の段階から学生との接点を作ることができます。近年は、社会人を対象としたインターンシップを中途採用の接点づくりに活用する企業もあります。
実際の仕事を体験してもらうことで、自社への理解を深めやすく、採用に関心を持つ人材との接点を増やせることがメリットです。
一方で、プログラムの企画・運営には準備期間が必要で、参加者対応にも人員を割く必要があります。また、内容によって参加者が限られる場合もあるため、短期間で多くの母集団を形成したい場合には、ほかの手法と組み合わせることも検討しましょう。
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母集団形成でよくある課題と改善方法

母集団形成そのものは、候補者の集まりを形成する活動です。ただし実務では、候補者数が不足する「量」の課題だけでなく、集まった候補者が採用要件と合わないといった「質」の課題も生じることがあります。課題と改善方法を見ていきましょう。
候補者数が少ない「量」の課題
候補者数が少ない場合、企業や求人の認知が広がっていない、あるいは利用している手法がターゲットに届いていないことが考えられます。
手法ごとの応募状況などを確認し、候補者が不足している手法や状況を把握した上で、利用する手法の追加や見直しを検討しましょう。
例えば、より多くの求職者に情報を届けたい場合は、SNSや採用イベントなどの手法を組み合わせる方法もあります。
候補者は集まるが、求める人材が集まらない「質」の課題
母集団形成では、まず必要な人数の候補者を集めることが重要です。一方で、数が集まっても、採用要件と合わない候補者が増えれば、選考にかかる工数が増えてしまう場合があります。
この場合、採用ターゲットや必須条件が明確になっていない、あるいは求人内容と実際に求める人物像にずれがある可能性があります。
まずは、採用ポジションに必要なスキルや経験、人物像などを整理し、採用要件を明確にしましょう。その上で、ターゲットとなる人材に届きやすい手法を選び、求人情報の内容や訴求方法を見直すことで改善につながります。
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母集団形成に成功した企業事例
最後に、母集団形成に成功した事例をご紹介します。
それぞれ手法や工夫したポイントは異なりますが、いずれも必要な母集団を確保し、採用につなげた例です。
株式会社TBM

株式会社TBMは、2021年卒から新卒採用に着手し、500名の母集団を形成。11名に内定を出しました。
母集団形成においては、Wantedlyを活用しています。
具体的な施策としては、会社説明会と座談会をセットにしたミートアップを活用して開催しました。また、集まった母集団には社内のリクルーターをつけ、「最終面接で合格が出たら必ず承諾してくれるだろう」という段階を目指して、個別にフォローを行いました。
その結果、内定承諾率は9割に達しています。複数の手法を組み合わせ、採用につなげた事例です。
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ディップ株式会社

ディップ株式会社は、機械学習エンジニアとデータサイエンティストをターゲットに採用活動を行い、5名の採用に成功しています。
求人・自社サイトで募集をかけるとともに、リモートインターンの受入も始めたのがポイントです。
リモートインターンで母集団を形成するだけでなく、候補者のスクリーニングにも利用でき、自社に合った人材をピンポイントで採用できました。
エントリーは2,000~3,000程度集まり、過去最速の採用スケジュールを達成できました。
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母集団形成はターゲットを明確にし、手法を組み合わせよう
母集団形成は、採用活動全体を支える土台であり、望む人材を確保するための出発点です。採用目標に応じて必要な候補者数を見極め、継続的に確保していくことが重要です。
採用ターゲットを明確にした上で、ターゲットに合った手法を選び、応募状況や手法ごとの成果をもとに継続的に見直すことで、必要な母集団を確保しやすくなります。
母集団形成を進める際は、手法ごとの特徴を理解し、自社の採用計画やターゲットに合った手法を組み合わせましょう。
Wantedlyは、企業の価値観や仕事内容などを発信しながら、求職者との接点を作れる採用プラットフォームです。求人情報だけでは伝えにくい企業の情報も発信できます。母集団形成の手法のひとつとして、Wantedlyの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
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