転職潜在層とは、今は転職活動をしていないものの、良い機会があれば転職を検討する人材層のことです。こうした層は数多く存在する一方で、従来の求人広告や人材紹介だけでは、接点を持つことは容易ではありません。
本記事では、転職潜在層の定義やアプローチすべき理由のほか、効果的な4つのアプローチ方法、採用を成功させるポイントを解説します。転職潜在層の採用に成功した事例も紹介していますので、ぜひ参考にしてください
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採用に役立つ「マーケティング」の考え方とは

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転職潜在層とは、機会があれば転職する可能性がある人材層のこと
転職潜在層とは、今は積極的に転職活動をしていないものの、より良い条件や環境があれば転職を検討する可能性がある人材層のことです。
求人への応募や選考への参加など、転職に向けた具体的な行動を起こしていない点が、転職を強く意識して活動している「転職顕在層」との違いです。スカウトサービスや採用プラットフォームに登録していても、積極的には求人を探していない人材は転職潜在層に含まれます。「自分の市場価値を知りたい」「今の会社に大きな不満はないが、より良い環境があれば検討する」など、漠然とした転職意欲を抱えている点が特徴です。
転職潜在層は労働市場の半数以上を占める
Sansanの調査によると、積極的に転職活動を行っている転職顕在層は7.6%にとどまる一方、転職に関心はあるものの活動していない転職潜在層は55.2%に上ります。
同調査では、転職潜在層のうちスカウトに前向きな層は89.4%(「内容が魅力的なら検討・話を聞きたい」73.5%+「どんな内容でも話を聞きたい」15.9%)という結果です。積極的に転職活動をしていない層であっても、企業からのスカウトをきっかけに転職を検討する可能性があることがわかります。
出典:Sansan株式会社「AI時代の転職・キャリアに関する実態調査」
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転職潜在層へアプローチすべき理由

転職顕在層のみを対象とした採用活動ではなく、転職潜在層まで視野を広げることで、応募が集まりにくい、内定辞退が発生しやすいといった課題を解消できる可能性があります。ここでは、転職潜在層へアプローチすべき理由について、詳しく見ていきましょう。
| <転職潜在層へアプローチすべき理由> ・採用ターゲットの母数を大きく広げられる ・競合他社との人材獲得競争を避けやすい ・企業からの働きかけが転職を後押しできる |
採用ターゲットの母数を大きく広げられる
転職潜在層まで採用対象を広げることで、これまで接点のなかった大多数の人材にアプローチできるようになり、採用ターゲットの母数を大きく広げられます。
転職顕在層はそもそも母数が少なく、特にITエンジニアなど需要の高い職種を転職顕在層だけに絞って追いかけると、アプローチできる人材は限られやすくなります。厚生労働省の調査でも、パートタイムを除く常用の有効求人倍率は、職業計の1.17倍に対し、情報処理・通信技術者は1.48倍と高く、人材の供給が需要に追いついていない状況がうかがえます。
【関連記事】有効求人倍率の見方と採用への影響
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出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)について」
競合他社との人材獲得競争を避けやすい
転職潜在層にアプローチするべき理由のひとつは、競合他社との人材獲得競争を避けやすくなることです。
転職顕在層は複数社の選考を並行して受けていることも多く、内定辞退や条件面での引き上げ合いが発生しやすい傾向があります。一方、転職潜在層は積極的な転職活動をしていないため、アプローチした時点で競合他社と競り合う場面が少なく、自社の魅力やビジョンをじっくり伝えやすいのがメリットです。
給与や待遇だけの比較に陥りにくい分、事業のビジョンや働く環境といった条件面以外の魅力もあわせて伝えやすい層ともいえます。
企業からの働きかけが転職を後押しできる
企業側からの働きかけによって、転職潜在層の転職を後押しできることがあります。
Sansanの同調査では、転職潜在層が積極的に活動していない理由として「忙しく時間を割けない」「具体的に行きたい企業がない」が上位に挙がっています。自ら求人を探す余裕や動機がない層だからこそ、企業側から具体的なポジションや働く環境を示すことが、転職を検討するきっかけになります。
出典:Sansan株式会社「AI時代の転職・キャリアに関する実態調査」

転職潜在層が抱えるニーズ
転職潜在層に響くアプローチを設計するには、彼らが抱える本音を理解しておくことが大切です。同じ転職潜在層というくくりでも、抱えているニーズは一様ではなく、アプローチの方法もニーズに応じて変える必要があります。ここでは、代表的な4つのニーズを紹介します。
| <転職潜在層が抱えるニーズ> ・自分の市場価値を客観的に知りたい ・やりがいや裁量のある仕事に挑戦したい ・給与や働き方などより良い条件を得たい ・良好な人間関係やカルチャーフィットを得たい |
自分の市場価値を客観的に知りたい
転職潜在層は、今の会社以外でどれくらい通用するのか、自分の市場価値を把握しておきたいという心理を抱えている場合があります。
すぐに転職する意思がなくても、キャリアプランを設計する上で他社からの評価を知りたいと考える人材は少なくありません。スカウトメッセージで具体的なポジションや期待する役割を伝えることは、こうしたニーズに応える有効な手段になるでしょう。
やりがいや裁量のある仕事に挑戦したい
転職潜在層は、より裁量のあるポジションや、自身の能力を活かせる新しい挑戦の機会を求めているケースもあります。現職で一定の実績を上げている人材ほど、日々の業務にマンネリを感じたり、これ以上の成長が見込めないと感じたりする場合があるためです。
スカウトやオウンドメディアで裁量権・挑戦できる環境を具体的に伝えることが、興味喚起につながります。
給与や働き方などより良い条件を得たい
今の給与水準や将来の昇給ペースに不安を抱えている場合、より良い条件を提示されることで転職意欲が一気に高まることもあります。
リモートワーク・DX推進を手掛けるLASSICが行った調査では、退職・転職を考える理由として「給与・待遇への不満」を挙げた回答者が53.2%で最多という結果です。給与や待遇への不満は、転職を意識するきっかけとして根強いニーズといえます。
ただし、条件面だけを前面に押し出した訴求は、他社との条件比較の土俵に乗ってしまい、かえって競争が激しくなる面もあるでしょう。働き方の柔軟性やキャリアの見通しなど、条件面以外の要素とあわせて伝える工夫が求められます。
出典:株式会社LASSIC「仕事選びで重視する条件と退職・転職を考える理由に関する調査」
良好な人間関係やカルチャーフィットを得たい
現職の人間関係や社風にずれを感じている場合、価値観の合う企業文化を求める傾向があります。条件面の良し悪しだけでなく、企業のビジョンやカルチャーに共感できるかどうかを重視する人材も多く、こうした層には日頃からの情報発信が響きやすいのが特徴です。
例えば、社員インタビューや社内の雰囲気を伝えるコンテンツを通じて自社の「想い」を発信しておくと、転職を意識し始めたタイミングで自社を思い出してもらいやすくなります。
【関連記事】採用におけるカルチャーフィットの考え方
【関連記事】社員インタビューの質問設計
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採用に役立つ「マーケティング」の考え方とは

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転職潜在層に効果的な4つのアプローチ方法

転職潜在層は自ら求人を探しに行動していないため、企業側からの働きかけが欠かせません。ここでは、代表的な4つのアプローチ方法を紹介します。
| <転職潜在層に効果的な4つのアプローチ方法> 1. ダイレクトリクルーティング 2. SNS・オウンドメディア 3. リファラル採用 4. Web広告 |
1. ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングは、スカウトサービスや採用プラットフォームの登録者データベースから自社にマッチする人材を探し、直接スカウトメッセージを送る手法です。
テンプレートの文面をそのまま送る画一的なスカウトは敬遠されやすいため、候補者の経歴やスキルのどこに魅力を感じたのかを具体的に伝えることが重要です。
また、件名や書き出しの一文で「なぜこの人にスカウトを送ったのか」が伝わるようにすると、開封率・返信率の向上が期待できます。
【関連記事】ダイレクトリクルーティングの基本と媒体の選び方
【関連記事】スカウトメールの返信率を上げるコツ
2. SNS・オウンドメディア
SNS・オウンドメディアの運用は、すぐに転職を考えていない層にも繰り返し接触できる点が強みです。
SNSで社内の雰囲気やプロジェクトの裏側を継続的に発信すれば、転職潜在層の目にとまる可能性があります。また、オウンドメディアの記事はコンテンツとして蓄積されるため、自社の事業分野に関心を持つ層と自然に接点を持つきっかけになります。
即効性は高くありませんが、継続的に発信を積み重ねると、転職を意識し始めたタイミングで自社名を検索してもらえたり、応募につながったりすることが期待できます。
【関連記事】SNS採用の進め方
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3. リファラル採用
リファラル採用は、社員から知人や友人を紹介してもらう手法です。
社員という信頼できる情報源からの働きかけは、転職を考えていなかった層にも安心感を与えやすく、話を聞いてみようという心理的ハードルを下げられます。就業規則に定めるなど法令に沿った形で紹介した社員へのインセンティブを設けたり、紹介する際にそのまま使える資料を用意したりするなど、リファラル採用の仕組みを整えることも継続的な運用のポイントです。
また、紹介する社員自身が自社の魅力を言語化できているかどうかも、リファラル採用の成果を左右します。
【関連記事】リファラル採用の報酬設計と注意点
【関連記事】リファラル採用の仕組みと進め方
【関連記事】リファラル採用の成功事例
4. Web広告
Web広告は、検索連動型広告やディスプレイ広告、SNS広告などを活用し、転職サイトに登録していない転職潜在層にも自社の求人情報や魅力を広く届けられる手法です。
自社サイトや採用ページを訪れたユーザーに再度広告を表示するリターゲティング広告を組み合わせれば、一度興味を持った層への再接触も狙えます。ほかの3つの手法に比べて短期間で露出を増やせますが、費用対効果を見ながら配信量を調整する運用体制も欠かせません。
【関連記事】採用広告の種類と選び方
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転職潜在層の採用を成功させるポイント
転職潜在層へのアプローチは、手法を実行するだけでは成果につながりません。転職潜在層の採用を成功させるためのポイントを確認していきましょう。
| <転職潜在層の採用を成功させるポイント> ・選考を前提にせず関係構築から始める ・候補者の温度感にあわせてアプローチを変える ・連絡の頻度と間隔を適切に調整する |
選考を前提にせず関係構築から始める
転職潜在層へのアプローチでは、選考を前提にせず、まず関係構築から始めることが重要です。
転職潜在層は転職を決意していないため、いきなり選考へ誘導すると警戒感を与えかねません。「話を聞かせてほしい」というスタンスでカジュアル面談を設定し、複数回の接点を通じて中長期的に信頼関係を築く姿勢が求められます。
カジュアル面談は、企業が候補者を見極めるための面接とは異なり、企業と候補者がお互いを理解することを目的とした機会です。初回の面談で選考への応募を求めず、まずは相互理解の場として位置づけることで、転職潜在層も安心して参加できるでしょう。
【関連記事】カジュアル面談の目的と進め方
【関連記事】カジュアル面談で使える質問例とNG質問
候補者の温度感にあわせてアプローチを変える
転職潜在層へのアプローチは、候補者の転職意欲の高さ(温度感)に応じて内容を使い分けるのが有効です。
転職潜在層といっても、情報収集段階なのか、条件面まで意識し始めている段階なのかは一様ではありません。関心が漠然としている層には業界動向やキャリア情報を、具体的に検討し始めている層には実際のポジションを提示するなど、段階に応じてアプローチを変えましょう。
カジュアル面談での会話や、メッセージの返信内容から温度感を見極め、次に届ける情報の内容を判断しましょう。
連絡の頻度と間隔を適切に調整する
転職潜在層は転職を急いでいないため、連絡が過剰になるとかえって印象を損ないやすくなります。
初回接触後は、目安として数ヵ月に一度、近況報告や有益な情報を届ける程度を基本とし、候補者の返信ペースにあわせて間隔を調整する姿勢が求められます。焦らず関係を維持し続けることが、結果的に転職潜在層からの応募につながる近道になるでしょう。
【関連記事】候補者体験(採用CX)の高め方
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採用に役立つ「マーケティング」の考え方とは

- 応募は来るが、欲しい人材とはなかなか出会えない
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転職潜在層へのアプローチで採用に成功した企業事例

ここまで紹介した考え方やポイントを実際に取り入れ、転職潜在層の採用に成功している企業の事例を2社紹介します。自社のアプローチ方法を検討する際の参考にしてください。
ダイレクトリクルーティングでスカウト返信率を大幅改善|株式会社スリーシェイク
SREコンサルティングなどIT基盤事業を手掛ける株式会社スリーシェイクでは、開発メンバー自身が採用に参画し、候補者と直接やりとりするダイレクトスカウトに切り替えました。気軽に話せる雰囲気やエンジニアが重視する学習環境・サポート体制を伝えたことで、返信率が0.5%から20%まで改善。現場のエンジニア自身がスカウト文面を見直し、候補者が返信しやすい文面に変えたことも、返信率改善の要因です。
Wantedly経由で採用したメンバーは30名以上にのぼり、うち11名がスカウト経由での入社となっています。開発現場の様子をエンジニア自身の言葉で届けたことが、すぐには転職を考えていなかった層との接点づくりにもつながったと考えられます。
【関連記事】エンジニア採用の成功事例
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スカウトとストーリーで異業種人材を採用|株式会社メグラス
介護付・住宅型有料老人ホームの運営を手掛けるメグラスでは、Wantedlyのスカウト機能を活用し、異業種人材2名の採用に成功しました。候補者のプロフィールを読み込んだうえで、スカウトの際にストーリーの関連記事のリンクを送るなど、自社を知ってもらう工夫を重ねている点がポイントです。
また、1年以上前にスカウトを送った方から連絡が届いたこともあるといいます。すぐに返信がなくても、一度持った接点があとから候補者につながる場合があることを示しており、中長期的な関係構築の意義がうかがえる事例です。
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転職潜在層への継続的な関係構築が採用成功のカギ
転職潜在層は働く人の半数以上ともいわれる一方で、従来の求人広告や人材紹介だけでは接点を持ちにくい層です。ダイレクトリクルーティングやSNS発信、リファラル採用、Web広告といった手法を組み合わせ、選考を急がず信頼関係を築く姿勢が、転職潜在層の採用を成功させるポイントになります。
求人広告や人材紹介への出稿だけで応募が思うように集まらないと感じている場合は、いきなりすべての手法を導入しようとせず、まずは自社の採用ターゲットに合った手法をひとつ選び、転職潜在層と接点を持てるところから取り入れてみましょう。
なお、転職潜在層への継続的なアプローチには、採用サービスのWantedlyを導入するのも有効です。企業の「想い」と「共感」を重視したプラットフォームのため、スカウトやストーリーを通じて中長期的な関係を築きながら、転職潜在層からの応募や入社につなげやすくなります。転職潜在層への長期的な関係構築を仕組み化する手段として、Wantedlyの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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採用に役立つ「マーケティング」の考え方とは

- 応募は来るが、欲しい人材とはなかなか出会えない
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人材獲得競争が激化する今、自社に合う人材を継続的に獲得するには「マーケティング」の視点が欠かせません。
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